著者
中村 俊夫
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.171-183, 1995-08-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
60
被引用文献数
6 4

1950年頃にLibby(1955)によって開発された14C年代測定法は,現在,地質学,地球科学,環境科学,考古学,文化財科学などさまざまな分野で利用されている.この45年の歴史をもつ放射能測定(14Cの放射壊変で放出されるβ線を検出し,14C濃度を知る方法)による14C年代測定法に対し,加速器技術を取り入れた新しい14C年代測定法(加速器質量分析法)が約15年前に開発され,現在全世界で活躍している.ここでは,名古屋大学タンデトロン加速器質量分析計を用いた14C年代測定の現状を概観し,測定される14C年代値の信頼度をさらに向上するための検討課題について,すなわち,試料の採取,試料調製,加速器質量分析法による14C濃度測定などの14C測定上の問題,および14C濃度から14C年代値の算出,その暦年代への較正に至るデータ処理上の問題点について議論する.さらに,14C年代測定法と他の年代測定法との比較について紹介し,タンデトロン分析計の利用の実情と将来計画について概説する.
著者
前田 陽一郎
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.690-700, 1994
被引用文献数
3

「人間らしい」行動決定機能を知能ロボットにおいて実現することを考えた場合、あいまいな状況認識を含む行動シーケンスを表現できることが重要である。そこで筆者らはクリスプおよびファジィ演算が混在するようなシーケンスフローが表現可能なファジィアルゴリズムの概念を用いて、人間に近いマクロ行動決定アルゴリズムをすでに提案している。本論文では、ファジィペトリネット(FPN)の考え方に基づき、ファジィアルゴリズムのフロー全体の表現を行い、これを用いてファジィ真理値トークンの伝搬によりシステムのあいまい性の推移状況を捉えることを試みる。これにより従来困難であったシーケンスルールの多段発火におけるあいまい性の客観的・総合的評価手法を提案する。これを用いると、あいまいさの爆発が起こらないファジィアルゴリズムの設計やシステム挙動解析が可能になる。さらに、自律移動ロボットの行動決定ファジィアルゴリズムを例題として、本手法によるシミュレーションを行ったので報告する。
著者
鎌田 良二
出版者
甲南女子大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

方言は地方都市を中心としてその周辺地域に広がって行くものである。大阪方言は関西一円に強い勢力をもって広がろうとしている。江戸末期・約140年前に大阪の女ことばとして生まれた指定(断定)助動詞"ヤ"は今や全関西に広まっている。本研究は奈良・平安時代からかつての中央語であった京都・大阪を中心とする京阪語がやがて近畿一円に広がって行ったありさまを史的・社会言語学的立場からその現在における状況を見ようとするものである。そこで本研究では江戸末期の大阪方言の書「浪花聞書」(文政2年・1819年)・「新撰大坂詞大全」(天保12年・1841年)の大阪方言が現在どこに、どのように残っているかを見ることにした。この「どこに」は大阪市内と、近畿周辺域の福井市・敦賀市・三重県津市・岡山市・鳥取市・兵庫県姫路市・洲本市・徳島県徳島市などとその周辺域の各郡各町に臨地調査を行なった。「どのように」は語彙の品詞別・また語形態の変形・意味用法の変化そしてそれを使用する人の年令別・性別・職種別について調査した。さらに約40年前の語彙資料として楳垣実「京言葉」(昭21年)・前田勇「大阪辯の研究」(昭24年)から抜き出したものについても同様の調査を行なった。その結果は「福井・敦賀市・洲本三市方言の動向-大阪弁の広がり-」(甲南女子大学研究紀要第27号・平成3年)・「近畿・中国両方言の表現形式の地理的分布」(「関西方言の社会言語学」<未刊>)に記した。
著者
玉田 敦子
出版者
中部大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

17世紀まで、主に聖体論争で用いられ、「神」的な力とエネルギーされていた「エネルギー」という語は、18世紀になると「エネルギー」は「人間」が生み出す文体の力という意味で流行するようになる。この「エネルギー」概念の変化の背景には、18世紀における古代修辞学の復権があった。本研究においては18世紀の修辞学における「エネルギー」と「速度」の概念の重要性について、「研究成果欄」に示す3点を明らかにした。
著者
石見 豊
出版者
国士舘大学政経学会
雑誌
國士舘大學政經論叢 (ISSN:05869749)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, 2013

1 0 0 0 OA 語箋

著者
[高橋富兄] [著]
出版者
[高橋富兄]
巻号頁・発行日
vol.[38], 1000
著者
任 眞嬉 元 ナミ[訳] 金 甫榮[訳]
雑誌
GCAS report : 学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻研究年報 (ISSN:21868778)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.6-22, 2015-02 (Released:2017-09-01)

韓国では、1999年「公共機関の記録物管理に関する法律」の制定と相まって電子政府が進められ、多くの公共記録が電子文書で作成されるようになった。この法律は2007年に「公共記録物の管理に関する法律」と改正され、電子記録管理システムを中心に更新された。公共部門の記録管理の発展とともに、民間分野におけるアーカイブズへの関心も高まり、さまざまな民間アーカイブズが構築されつつあるが、その過程で公共記録の管理方法やツールをそのまま適用することは難しいという学問的、実践的課題が提起された。特に記録システムの構築には多くの課題が存在している。本講演では、その解決策の一つとして「AtoM」や「Archivematica」「Omeka」などのオープンソース・ソフトウェアを利用して構築された記録システム「人間と記憶のアーカイブ」、「マウル・アーカイブ」「セウォル号アーカイブ」の事例を紹介する。このような民間アーカイブズのための記録システムの普及活動は、記録保存の重要性に対する共感を広げ、記録文化を浸透させることに大きく貢献している。
著者
高井 智代 松本 直司
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.70, no.589, pp.55-62, 2005-03-30 (Released:2017-02-11)
参考文献数
27
被引用文献数
6

In order to improve visual recognition of stairs in upward and downward motion, sensory test was carried out by 10 vision-impaired persons. The result shows that the appearance of finishing materials (for example, combinations, sizes, colors) have influence on visual recognition of stairs. The most influential element was the ratio of the brightness between border and tread. The second most influential element was the width of border at tread (in case of going down), and the width of border at tread and rise (in case of going up). We proposed a standard plan of stair elements for good visual recognition.
巻号頁・発行日
vol.[65] 地所之部, 1000

1 0 0 0 OA 兵論

著者
福沢諭吉 著
出版者
飯田平作
巻号頁・発行日
1882

1 0 0 0 OA 諸家短冊帖

出版者
巻号頁・発行日
vol.永世(浅葎庵)・光俊(東奥狂夫)・津世丸(五十槻屋)・毒也(玉川,
著者
荒井 啓行 鈴木 朋子 佐々木 英忠 花輪 壽彦 鳥居塚 和生 山田 陽城
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.212-215, 2000-03-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
10
被引用文献数
5 10

Choline acetyltransferase 活性増強作用と神経栄養因子様作用を有する漢方処方の加味温胆湯 (KUT) を用いて, Alzheimer 病 (AD) への治療介入を試みた. 認知機能は, Folstein らの Mini-Mental State Examination (MMSE) スコアで評価し, その年変化を指標とした. Baseline MMSEは, KUT群 (20例) で18.6±6.8, コントロール群 (32例) で20.8±5.6であった. KUTは北里研究所東洋医学研究所薬局処方集第3版に基づき, 煎出し, 平均約1年間服用した. 悪心, 嘔吐, 下痢などのコリン作動性神経刺激症状は認められなかった. コントロール群では, MMSE年変化は4.1ポイントの悪化であったのに対して, KUT群では1.4ポイントの悪化であった (p=0.04). KUTの効果は漢方医学的ないわゆる証やApoE遺伝子型に依存しなかった. KUT投与前後で脳脊髄液tau値やAβ1-42値に有意な変動は見られなかった. KUTは, 少なくとも初期から中期にかけてのADにおいて進行抑制効果を有するものと考えられた.
著者
佐野 真人
出版者
皇學館大学研究開発推進センター
雑誌
皇學館大学研究開発推進センター紀要 = Bulletin of the Research and Development Center of Kogakkan University (ISSN:21892091)
巻号頁・発行日
no.1, pp.87-99, 2015-03

『延暦儀式帳』は、『皇太神宮儀式帳』と『止由気宮儀式帳』の総称で、伊勢の神宮における最古にして最重要の古典である。両儀式帳を合わせて約二七〇本に近い写本の存在が確認できる。しかしながら、延暦二十三年(八〇四)注進の原本は現存しない。写本のほとんどが近世以降に書写されたものである。皇學館大学研究開発推進センター神道研究所では、『延暦儀式帳』の内容を詳細に検証し、『延喜式』を始めとする古代の基本文献を利用して研究を進めている。これは今日行われている遷宮・神宮祭祀・行事を対象とした研究の進展に寄与することは言うまでもないが、その成果は広く我が国古代の神祇・法制・文化史等の研究に資することになろう。その基本作業として、大学共同利用機関法人人間文化研究機構国文学研究資料館を中心とする様々なデータベース等を利用し、写本所蔵リストを作成した。本稿は、『皇太神宮儀式帳』と『止由気宮儀式帳』の写本を所蔵する機関の目録(稿)である。
著者
川村 昭子 新澤 祥恵 中村 喜代美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

<b>目的</b> 石川県独自の行事で、奥能登地区に伝わる農耕儀礼「あえのこと」は、だんだんとこの行事を行う地区・農家が減少しつつある。時代と社会の変化に合わせて現代どのように意識され、伝承されているかを調査した。<br><b>方法 </b>1)日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学-行事食-」に「あえのこと」を加えて、2010年4月に石川県内19市町村の食生活改善推進員461名を対象とし、認知・実施状況、この行事で食する食べ物・料理について調査した。2)2011~2012年に石川県能登町(旧柳田村)で行われた行事について調査した。<br><b>結果</b>&nbsp; 「あえのこと」は、田の神様をもてなし、感謝をささげる奥能登の伝承行事で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録され、国の重要無形民族文化財にも指定されている。毎年12月5日に田の神様を迎え、翌年の2月9日に田の神様を送り出す行事で、現在は輪島市、能登町、珠洲市などで行われている。1)この行事の認知率は40.6%であったが、実施(経験)率は6.1%と低く、奥能登の輪島市、能登町、珠洲市などで行われていた。2)12月5日の「田の神様お迎えの儀」、2月9日「田の神様送り出しの儀」両儀式後、必ず「直会の儀」として、甘酒、小豆飯、汁物、刺し身、煮しめ、焼き物、酢の物、漬け物、ぼた餅などの「ご馳走」でもてなし、神様のおさがりとして家族全員で食事をする。調査では喫食経験のある料理として、煮しめ(13)、尾頭付き焼き魚(10)、小豆飯(7)、酢の物(6)、ぼた餅(4)、甘酒(3)などが出現していた。だんだんと簡略化され、家庭で「ご馳走」を作らないのか、行事は行ってもあまり食されていない傾向であった。
著者
稲村 勝樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.2627-2640, 2016-12-15

近年,パスワードリスト攻撃など,ユーザの安易なパスワード設定を原因とする不正アクセスが多発している.そのため,パスワードとあわせて認証を行う方式の提案・実装が急務となっている.一方,CHAPはインターネット上のサービスにおいて認証方式のデファクトスタンダードの1つとなっている.したがって,CHAPから新しい認証方式に変更することは容易なことではない.そこで,本稿ではサーバやユーザ端末での処理方法を改良することで,CHAPの構造をそのまま活用しながらパスワードとそれ以外の認証を同時に行うことができる新しい認証方式を提案する.これにより,既存の認証プロトコルで多要素認証が実現可能となる.また,サービスの継続性を考慮したプロキシサーバ型改良方式も提案する.さらに提案方式のテストシステムを構築し,パフォーマンス測定による実装評価を行う.これにより,提案方式を使用することで低コストでパスワード認証と他の認証の併用が実現できることを示す.Recently, unlawful access often happens caused by users' mistakes of password setting, e.g. password-list-attacks. Therefore, proposing/implementation of other authentication methods, which are used together with password authentication, are urgent. Meanwhile, CHAP is used a lot of services over the Internet as de facto standard. Therefore, it is not easy to change a new authentication protocol into CHAP. I propose a new method which can send many types of authentication codes using intact CHAP with revising calculation on user terminal and servers. As a result, a multi-factor authentication over existing password-authenticaion protocol can be realized. In addition, I propose a revised method of my proposal using a proxy server because of continuity in services. Furthermore, I structure a test system using proposed method and evaluate performances of it. By using my proposal, other authentication method using password authentication together can be realized with a minimum cost burden.