著者
加門 隆 斎藤 和美 三輪 泰彦 佐伯 健作
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.119-123, 1974-02-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
12
被引用文献数
6 3

酸無水物で硬化したエポキシ樹脂の構造と動的粘弾性について検討した。ゴム状態式のフロント係数 (φ) はすべて1より小さく, またジアミン硬化エポキシ樹脂のφより小さかった。同一酸無水物硬化樹脂系でのφは橋かけ密度 (ρ) が小さくなると小さくなっていく。ガラス転移温度 (Tg) は芳香環や脂環などの嵩だかい酸無水物で硬化した樹脂のほうが脂肪族酸無水物より高い。そして, 同一酸無水物系では, Tgとρの間には次式の関係にあることが見いだされた。Tg=K1logK2ρここでK1, K2は定数。K1は嵩だかい脂環族酸無水物系のほうが脂肪族酸無水物系より大きい, そしてK2は両系ともほぼ同じ値であった。
著者
岡部 嘉幸
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題では、現代語でも近世後期江戸語でも用いられる複数の文法形式(助動詞など、文法機能を果たす形式、たとえば、ハズダやカモシレナイなど)について、当該形式の近世江戸語での意味・機能的な特徴を、近世後期江戸語と文法体系の似通っている現代語との比較・対照という手法を用いることで明らかにした。また、本研究課題における文法形式の分析の中心は、モダリティ形式であったが、この分析の過程で、先行研究において議論の錯綜している「モダリティ」という文法概念の再検討も行った。さらに、江戸語資料の資料ジャンルの多様性や言語量の確保のため、他の研究課題と連携しつつ、人情本・洒落本のコーパス化も行った。
巻号頁・発行日
vol.[24], 1000
著者
野上 玲子
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.82_1-82_1, 2016

<p> オリンピックはこれまで、パリ大会(1900年)での「宗教」論争によるアメリカ選手団の分裂や、セントルイス大会(1904年)での人種差別による「民族競技」の開催など、「人間の尊厳」を脅かす問題が幾度となく生起してきた。1935年のクーベルタンのラジオ演説においても、精神や肉体の創造は、「人間の尊厳」を損なう出来事の下ではあり得ないと述べている。このような歴史的教訓から、IOCによって2015年に採択されたオリンピズムの目的は、「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会を奨励すること」とし、今日でも人間性の尊重が強調されている。しかし、依然として、オリンピズムの特徴や理念について、十分に解明されているとは言い難く、オリンピズムの価値それ自体が批判的に考察されることも少なくない。未だ、民族紛争やメダル争いが激化するオリンピックの世界で、「人間の尊厳」という理念は何を意味し、どのような内在的価値を持つのだろうか。本研究では、オリンピズムにおける「オリンピック」と「人間」との関わりを通じた道徳的な価値を再評価しつつ、オリンピックで発揮される「人間の尊厳」の根源的な意味を解明することを目的とする。</p>
著者
石井 晃 志築 文太郎
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.657-669, 2018-02-15

スマートウォッチのような超小型タッチスクリーン端末(以降,超小型端末)に搭載されるタッチスクリーンは,身に付けるという特性上,小型で軽量であることが要求されるため超小型である.そのため,Fat finger problemやオクルージョンの問題が発生し,ユーザは小さなターゲットを選択しにくい.この問題は,ふきだし表示を用いて操作している指によって遮蔽されている領域を遮蔽されていない領域へ表示することにより解決することができる.しかしながら,超小型端末向けのふきだし表示のデザインについてはこれまで深く調査されてこなかった.本論文では,3つのデザイン要素(それぞれの要素には2つの水準を設けた)を選び,そして超小型端末上の選択タスクにおいて8つのふきだし表示の性能を実験的に調査した.実験の結果,先行研究における結果と一部一致したが,超小型端末ならではの結果も得ることができた.ふきだし表示内の表示はなめらかに変化させたほうが選択速度が速く,エラー率も減少し,また精神的負荷も減少した.また,ふきだし表示内に正確なタッチ位置を示すポインタを表示したほうがエラー率が減少した.デザイン要素としてのふきだし表示の位置は選択タスクにおける性能に影響を与えなかった.
著者
鈴木 蕃 佐藤 勝春 小林 秀彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.335-338, 1975-04-15

1970年2月の国際固体回路会議における米国のインテノレ及びハネウェル両社のPチャンネル1k ビットMOSメモリ発表以後,同種のICメモリをコンピュータのメインフレームメモリに導入することが全世界的になってきた.この理由としては,(1)従来のコアメモリより小型で,(2)安く,しかもコアメモリより,今後はるかに大幅な値下りの潜在力を秘めた,(3)低消費電力で,(4)信頼性の高いメモリが,(5)CPU等とほぼ同じ方法で製造でき,(6)同じ方法で保守できる等が挙げられよう.ACOS シリーズ77のメイン・メモリは,全面的にMOS メモリを採用し,上記のような長所を持っている.
著者
富田 純一
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
年次学術大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, pp.377-379, 2017-10-28

一般講演要旨
著者
中嶋 大 常深 博 林田 清 鶴 剛 田中 孝明 内田 裕之 堂谷 忠靖 尾崎 正伸 冨田 洋 夏苅 権 上田 周太朗 岩井 將親 廿日出 勇 山内 誠 森 浩二 西岡 祐介 平賀 純子 信川 正順 信川 久美子 村上 弘志 幸村 孝由 馬場 彩 Doty John 他 SXI チーム
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.368-368, 2016

<p>X線天文衛星「ひとみ」搭載CCDカメラ(SXI)は、200μm厚の裏面照射型PチャンネルCCDを完全空乏化させ、0.4-12 keV の軟X線帯域で38分角四方の広い視野をカバーする。SXIは軌道上での立ち上げから、冷却後の天体データ取得に至るまで、期待通りの性能を示した。我々は軌道上データを用いて、線形性・電荷転送効率・応答関数・検出効率などを較正しており、本講演ではその現状について報告する。また、可視光漏れなど軌道上で発生した事象への対策についても報告する。</p>

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出版者
巻号頁・発行日
vol.第18冊(延享3),
著者
田上 雅浩 一柳 錦平
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.101-115, 2016-08-28 (Released:2016-09-05)
参考文献数
46
被引用文献数
1 3

d-excess(=δD-8×δ18O)は,主に水蒸気が蒸発する時の相対湿度,水温,風速によって変化し,大気水蒸気輸送過程では保存されるため,水蒸気の起源(どこで水蒸気が蒸発したか)の推定に有用である。本総説では,日本における降水のd-excessの観測研究と水蒸気の起源の推定に関するモデル研究をまとめ,大気水循環トレーサーとしての降水のd-excessの可能性について議論した。その結果,降水のd-excessが20‰以上,または冬季の値が夏季の値より高ければ,日本海側以外の地域の降水に日本海起源の水蒸気が卓越すると推定するのは妥当でないということを確認した。その一方,冬季において,観測された降水のd-excessと降水に占める日本海を起源とする水蒸気の割合との間に正の相関があることがわかった。これは,日本における降水のd-excessは,日本海起源水蒸気の寄与率を推定できる可能性を示唆している。降水の安定同位体比のマッピングと組み合わせることで,古気候や水資源管理に有用な基礎情報として提供できる可能性がある。
著者
泉澤 恵
出版者
日経BP社
雑誌
日経ドラッグインフォメーションpremium
巻号頁・発行日
no.100, pp.51-56, 2006-02-10

昨年12月、厚生科学審議会の医薬品販売制度改正検討部会(以下、制度改正部会)はOTC薬のリスクを3段階に分類し、リスクの程度に応じた販売方法や新しい販売資格の創設を盛り込んだ報告書をまとめた。厚生労働省はこれを受け、薬事法改正案を今期通常国会に提出する方針である。
著者
川原谷 浩 安孫子 勤 松葉谷 治 KAWARAYA Hiroshi ABIKO Tsutomu MATSUBAYA Osamu
出版者
秋田大学大学院理工学研究科
雑誌
秋田大学大学院理工学研究科研究報告 = Scientific and technical reports of Graduate School of Engineering Science, Akita University (ISSN:24324108)
巻号頁・発行日
no.37, pp.31-36, 2016

At Noboribetsu, Hokkido, hydrogen and oxygen isotopic ratios (δD and δ18O) of precipitation collected in about one month interval were measured from 1979 to 1983. Although the easurement is rather old, it is useful to explain the isotopic characteristics of precipitation in the southern coast area of Hokkaido. δD, δ18O and d value (d=δD-8δ18O) of annual mean precipitation at Noboribetsu are -60‰, -8.9‰ and 11, respectively. The relationships of δD and δ18O show obvious difference between winter season and spring to fall season, and the d value is 21 in the winter season and higherthan the value of 9 in the spring to fall season, as like as the characteristics observed at Akita, Ryori and Rokkasho in thenorthern Honshu. The relationship in the spring to fall season is similar to those at Akita, Ryori and Rokkasho, and thisimplies that the Noboribetsu precipitation in the spring to fall season may be brought by the process similar to those in theabove three localities. On the contrary, the relationship in the winter season is different from those of above three localitiesimplying some difference in precipitation process. However, the d value of annual mean precipitation at Noboribetsu isthe same as Ryori located at the Pacific Ocean coast of northern Honshu, because the precipitation amount in the winterseason is fairly smaller than that in the spring to fall season at Noboribetsu as like as Ryori. The isotopic ratios of smallrevers in the Noboribetsu area are similar to those of several small rivers at the southern coast of Hokkaido, and thisimplies that the isotopic ratios of precipitation at the southern coast of Hokkaido have characteristics similar to those atNoboribetsu.Records monitoring the airflow's temperature and absolute humidity revealed a periodic nature of the variations. Suchseasonal changes had an approximate cycle length of six months and can be modeled by a harmonic vibration equation. The dewcondensation observed at the rock surface can be explained by the calculation results based on the measured values. Theconstraints of equation (6) are practically negligible at a Hyakumeishi level, which was apparent from the induction of theproposed theoretical formula. The seasonal thermal variations of the environment and the dew generation mechanism can beattributed to heat balance in the entire mining area. Finally, the primary results of this study are considered to be fundamentaldata to the case of variously utilized underground spaces.
著者
一柳 錦平 田上 雅浩
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.123-138, 2016-08-28 (Released:2016-09-05)
参考文献数
15
被引用文献数
4

日本全域における降水の安定同位体比の空間分布と季節変動を明らかにするため,日本水文科学会同位体マッピングワーキンググループでは,2013年に年間を通した集中観測(IOP2013)を実施した。本研究では,熊本大学で同位体比を分析した56地点のデータを用いた。その結果,各観測地点における降水のδ18Oやd-excessは短期的な変動が非常に大きく,冬型と南岸低気圧との違いや梅雨の影響などが認められた。また,日本全域を6地域に分けて平均した降水のδ18Oの月平均値について, 観測地点や期間が異なるデータを地域平均した田上ほか(2013)とIOP2013とを比較した。その結果,降水のδ18Oの月平均値は年平均値からの偏差として計算しても,観測地点が少ない地域では観測期間の違いは無視できない。しかし,d-excessの月平均値は絶対値を用いて地域平均すれば,季節変動を適切に表現できる。さらに,各観測地点における短期間の採水データから解析したδ18O の気温効果は北緯35°より北しか認められず,降水量効果は北緯37°より南の地点が多いという空間分布が,はじめて明らかとなった。今後は,2013年に他地点で観測した結果をできるだけ多く収集して,さらに空間解像度を上げて再解析を行う必要がある。
著者
田上 雅浩 一柳 錦平 嶋田 純
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.73-91, 2013-08-31 (Released:2013-11-15)
参考文献数
59
被引用文献数
4 6

日本全国で降水の安定同位体比やd-excessの観測研究が多く行われてきたが,いまだに日本全国の時空間変動は明らかにされていない。本研究では,過去に日本全国で観測された48地点の降水の安定同位体比のデータを収集し,その季節変動と空間分布を明らかにした。その結果,降水δ18Oは,沖縄では冬季に高く,それ以外の地域では春季と秋季に高かった。降水δ18Oが高くなるのは,水蒸気フラックスの上流部で降水量/可降水量が小さく,蒸発量/可降水量が大きいためと考えられた。また,降水δ18Oは,年・春季・冬季には緯度効果が見られた。しかしながら,夏季には南西からの大きい水蒸気フラックスによって水蒸気フラックス上流部の降水量/可降水量と蒸発量/可降水量の低く,降水δ18Oは−10‰~−6‰の範囲に分布していた。また,秋季には台風によってδ18Oの低い降水が特に西日本や沖縄に供給されるため,−10‰~−4‰の範囲に分布していた。降水d-excessは日本全国で夏季は10‰より低く,冬季は15‰以上と高かった。秋季や冬季には,日本海側の降水d-excessは太平洋側より高い傾向が見られた。したがって,太平洋側・九州・沖縄地方では冬季の降水d-excessが20‰以上,または夏季より高くても日本海起源であると推定することはできない。ただし,本研究で使用したデータは観測期間が異なるため,日本全国で降水の安定同位体比の集中観測が必要である。
著者
榎本 至
出版者
Japanese Society of Sciences in Swimming and Water Exercise
雑誌
水泳水中運動科学 (ISSN:18806937)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.15-19, 2005

国際オリンピック委員会(以下IOCと略す)の定める評価基準に照らすと,水球競技はその歴史と伝統において他のオリンピック種目より秀でているものの,5大陸への普及度とTV露出度においてその評価は低い.水球競技の発展のため,国際水泳連盟(以下FINAと略す)は国際試合数の増加や審判の能力向上に努める一方,"よりゴール数の多い,よりスペクタクルなゲーム"を目指してルール改正に踏み切ろうとしている.このルール改正は,日本などの小型選手を抱える国にとって有利に働くことが予想されている.一方日本国内では,日本オリンピック委員会(以下JOCと略す)を始めとして多くの競技団体において,従来の学校教育主導型による選手の育成制度の限界が指摘され,一貫した指導理念と個人の特性や発達段階に基づいてトップレベルの競技者へと選手を導くシステムの必要性が叫ばれている.水球競技においても,ジュニア期の選手育成に関してはいくつかの問題点を抱えている.これらの問題点を改善する新たな競技者育成システムを開発し,FINAの提唱する新ルールを追い風としながら,未来の日本水球の競技力向上に繋がる海図が描けるだろうか?