著者
和田 彩 中村 康香 跡上 富美 佐藤 眞理 吉沢 豊予子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.213-219, 2016 (Released:2017-03-18)
参考文献数
43

目的:近年増加する就労妊婦に特化した支援を実現するには,就労妊婦としての特徴や就労妊婦ならではの心情に着目した知見が必要である.本概念分析の目的は「就労妊婦の罪悪感」の概念を明らかにし,今後の研究や就労妊婦に対する看護支援への示唆を得ることである.方法:分析は,Walkerらによる概念分析の手順に沿って行った.罪悪感の一般的な捉え方,心理学,精神医学・精神分析学,看護学における用法の分析の結果,9つの罪悪感の定義属性を抽出した.分析結果を就労妊婦の経験・実態・否定的感情,働く母親の罪悪感という観点から文献検討した内容と統合した.結果:就労妊婦の罪悪感は,[自己規範に違反した際の否定的感情],[行為の自制をする感情],[利益過剰状態に対する感情]の3概念で構成されていた.結論:就労妊婦の罪悪感は,就労妊婦に対する理解を深める上で重要な概念であり,妊娠期の心理的健康に影響を及ぼす可能性も考えられる.今後の更なる研究の蓄積,測定用具の開発が求められる.
著者
吉村 淳子
出版者
新見公立短期大学
雑誌
新見公立短期大学紀要 (ISSN:13453599)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.87-91, 2007

本研究では、ひとりの高齢者に今まで生きてきた生活について語ってもらうことにより、その語りの中に在る音風景を抽出することを試みたものである。そして、その音風景が高齢者のケアに有効に活用できるのではないかという可能性を検討した。語りが進むにつれ笑顔が増える、笑い声がでる、生き生きとした表情になるなどの身体的変化が起こった。それに伴い声のトーンが高くなり、非常に饒舌になっていった。これらは、昔語りをすることによる効果であった。その中に在る音を思い出すことで活気ある時代を過ごした身体感覚が蘇り、当時の運動記憶や知覚記憶が再生され、自己意識が活性化されたものと解釈することができる。
著者
東 真由美 阿久津 洋巳
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.10, pp.157-162, 2011

本研究は,音楽によって引き起こされた気分が人の表情の認知に影響するかを調べた.表情には笑顔と悲しい表情と中立の表情を選び,コントラストを低くした写真にランダムノイズを加え,短時間提示した.提示された顔写真の感情を評価することにより,表情の認知を測定した.楽しい気分を誘導する音楽と悲しい気分を誘導する音楽を使用して,実験参加者の気分を操作した.音楽は,すべての表情に対してその感情評価に影響し,音楽の気分に沿って顔写真の感情表を変化させたが,その変化は大きくなかった.背景音楽は顔写真の感情を認知する際に影響するが,その条件と影響の量は限定されていると考えられる.
著者
三雲 真理子 新川 典子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.106-106, 2013

我々が話者に抱く印象は、話者の表情や声の調子などから大きく影響を受けることが知られている。本研究では、接客場面の第一声として発せられる「いらっしゃいませ」には、活き活きとしてかつ丁重な要素が含まれる必要があること、そこに笑顔が伴うことが活き活きした丁重な印象をより強めることが示唆された。 活き活きとした印象に関しては、高い女声の場合は活き活きとした印象を形成しやすい一方、高い男声の場合は表情の影響を受けやすく、平常顔でも活き活きとした印象を低下させるという結果が得られた。 丁重さの印象に関しては、男声も女声も表情の影響を受けやすく、不機嫌な表情は音声の高低に関わらず丁重さを著しく低下させることが示唆された。また低い女声の場合、平常顔でも丁重な印象を低下させる一方、低い男声の場合、平常顔のときは、音声のみの場合より丁重な印象が増加するという結果が得られた。
著者
藤原 健 大坊 郁夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.412, pp.59-64, 2013-01-24

本研究では、競争/協調という文脈と、ポシティブ/ネガティブという感情が、笑顔あるいは悲しみ表情の刺激人物に対する会話動機評価にどのような影響を与えるのかについて検討を行った。具体的には、68名の男女大学生を対象に、競争/協調のプライミングおよび感情誘導を兼ねて音楽刺激の提示とエピソード記述を行ったうえで、刺激人物(笑顔 or 悲しみ表情)とどの程度会話したいかについて回答を求めた。その結果、笑顔の人物に対する会話動機で2要因の交互作用が有意となり、競争条件のポシティブ感情群は協調条件のポジティブ感情群よりも会話動機を低く評価していた。また、競争条件のネカティブ感情群は笑顔の人物に対する会話動機を高く評価していた。悲しみ表情の人物に対する会話動機については、競争/協調あるいは感情の効果は有意とならなかった。これらの結果について、適応的気分効果仮説から考察された。
著者
高野 史男
出版者
愛知学芸大学地理学会
雑誌
地理学報告 (ISSN:05293642)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.48-53, 1956-03-31
著者
人見 勝人
出版者
日本情報経営学会
雑誌
オフィス・オートメーション (ISSN:0389570X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.100-105, 1998-04-10

Fortune誌に発表された1996年販売高世界トップ500社のデータ, Business Week誌に発表された1996年世界トップ1000社のROE(株式資本利益率)データ, 並びに社会経済生産性本部発表の国別労働生産性資料に基づき, 主として電機会社, そして自動車会社, 更に製造業の経営効率の国際比較を行ない, 日本産業の現状, その国際性などを考察する.
著者
有賀 雅奈
出版者
北海道大学高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
no.17, pp.23-34, 2015-07

日本では,サイエンティフィック・イラストレーション(以下,SI)やメディカル・イラストレーション(以下,MI)を描くイラストレーターが注目されることは少なく,彼らの活動はよくわかっていない.本稿では,SIやMIを描くイラストレーターの団体活動に注目し,団体活動の動向を明らかにすることを目的とした.方法はインタビュー調査である.SIやMIを活動テーマに含み,プロのイラストレーターが関わっている11の団体を選定し,代表や事務局などにインタビュー調査を実施した.その結果,日本にはSIをテーマとする小規模の団体のほか,植物などの重複する,あるいは下位のテーマで活動する団体,SIやMIよりも広いテーマで活動する団体がみられた.2010年以降,SIとMIのイラストレーター向けの教育を行う団体も現れていた.団体の活動内容は設立時期が90年代以前の団体は展示を,90年代頃に設立された団体は研究会を,2010 年以降の団体は教育を行うという傾向があった.また,日本のSIやMIのプロのイラストレーターは関心に合う団体に分散して所属する傾向があった.全体としてSIやMIのプロのイラストレーターの巨大な職業団体や教育組織を持つ欧米とは,特徴が大きく異なることが明らかになった.
著者
佐々木 孝輔 平田 章 井上 智雄
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.260-269, 2016-01-15

イラストは,読者を引きつけると同時に文書などの可読性を高めることができるが,だれでも作成できるものではないため,需要が大きいコンテンツの1つである.従来,高品質かつ高価格で,イラストを必要とするクライアントの要望に応じ最適なイラストがプロのイラストレータによって提供されてきた.これに対して本研究では,クライアントの要望に則したイラストを描画能力を問わない複数人で作成することを目的とし,線画イラスト作成をマイクロタスク化し,それをクラウドソーシングにより実行する線画イラスト生成手法を考案した.本手法では1枚の写真を原図とし,複数の一般ワーカが原図を見ながら少しずつ線を描き加えることで,1枚の線画を生成する.本手法による線画イラスト生成の実験から,実際に線画イラスト生成が可能であることが確認できた.Illustration is a key factor to attract document readers. However not everybody can make it in good quality. Thus illustration has high demand. Although conventionally clients request skilled creators to draw illustrations with good rewards, there exists huge needs for less expensive illustrations. We propose a novel method of generating such illustrations by crowd-sourced microtasks. In this method, a basic drawing is generated by unskilled crowd workers from one photograph. Experimentation to study the feasibility of the proposed method indicated positive result.
著者
中村 晋
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.605, pp.217-230, 1998-10-21
参考文献数
20
被引用文献数
4 4

本論では, 地中構造物の各部材の損傷及び構造物の終局状態等の耐震性能の照査を, 保有変形能と呼ぶ構造物の各部材の損傷と関連づけられた層間変形と構造物の地震応答層間変形の比較に基づいて行う耐震設計手法の提案を行った. この手法の大きな特徴は, 構造物の応答変形である層間変形が各部材の損傷モードを関連づけられていることから, その比較が耐力照査も満足するという点である. ここで提案する手法における各評価項目のモデル化は兵庫県南部地震により被災した神戸高速鉄道・大開駅, 高速長田駅の一般駅部および大開駅と新開地駅間の駅間トンネル部の3つの構造物モデルを用いて行った. さらに, それら構造物へ本手法を適用し, 本手法の有用性を明らかにした.
著者
平川 雅彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.47-52, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
7

自動車に搭載する自転車認識技術を特許情報から解析する。特許情報の課題と解決手段を記述している文章を抽出し、トピック分析を行った。分析にはLDA法を用い特徴キーワード群を抽出する。信号灯、道路種別などの複合語は抽出できなく、このため、形態素3-gramの頻度で解析した。その結果、衝突の可能性などの特徴語を把握できるようになった。また、特許間の距離は潜在的意味解析により3次元の図形表示し、最も正確な位置関係のものを選定した。今後は、解析精度をさらに向上できる手法を検討する。

1 0 0 0 OA [歌仙]

出版者
林和泉掾
巻号頁・発行日
vol.[3], 1661
著者
伊藤 一人
出版者
Japan Society of Ningen Dock
雑誌
人間ドック = Ningen dock : official journal of the Japanese Society of Human Dry Dock (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.7-16, 2012-06-30
参考文献数
40
被引用文献数
1

我が国の前立腺特異抗原(PSA)を用いた前立腺がん検診の普及率は低く,現在も多くの臨床的に重要ながんが進行するまで見逃されている.また,前立腺がん死亡数は増加し続けており,2010年は11,600人と推計され,2025年には15,700人に増加すると予測され,最も効果が期待できる対策を早急に講じるべきである.<br> 前立腺がん検診は無作為化比較対照試験で死亡率低下効果が得られることが証明されており,日本泌尿器科学会は前立腺がん検診ガイドラインにおいて,「前立腺がん死亡率を低下させるPSA検診を推奨する」との指針を示した.一方で,検診受診から治療までの過程で不利益を被る場合もあり,検診の受診による利益と不利益を正しく住民に啓発したうえで,受診希望者に対して最適な前立腺がん検診システムを提供することをガイドラインに明記している.<br> 死亡率低下効果が証明されたPSA検診は,日本泌尿器科学会のガイドラインに沿って,日本の主な受診機会である住民検診および人間ドックなどで正しく普及させることで,前立腺がん死亡率の低下が期待できる.