著者
征矢 智美 野村 美佳 林 照次 長谷川 敬
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.115-124, 2004-06-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
10
被引用文献数
1 4

「肌の透明感」は女性の肌状態, 肌意識に関するアンケート調査や化粧品使用前後の指標に多く使用される重要なキーワードであるが, 「透明感」が具体的に肌のどのような状態を指すかについては明確ではない。そこで, 本研究では最初に若年層と中高年層を対象に「透明感のある肌」に対する重要度調査と他の肌表現語との関連度調査を行った。その結果, 「透明感のある肌」の重要度は, 若年層では最高位であるのに対し中高年層では肌荒れしていない等の肌悩みの方が重要視されていた。反面, 「透明感のある肌」は, 肌のキメや色, うるおいなどの三つの要素を基本要件とする複合概念であるという点で両年代に差異はなかった。次に, 両年代の評定者が同じ若年モデルを観察したときの「透明感」の主観判断とモデルの実際の皮膚生理的特性との関係を調べた。その結果, 若年層では肌色におけるbの色ムラ (標準偏差), 角層水分量, 皮膚表面形態 (皮溝深さ, 皮溝量), 中高年層では, 肌色におけるLおよびaの色ムラ (標準偏差) について有意な関係が認められた。これらの結果から, 「透明感」の言語的構造に年代差はないが, 判断の手がかりである皮膚の生理特性は異なると考えられた。
著者
Hanley Sharon 松岡 悦子 櫻木 範明 伊藤 善也 玉腰 暁子
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

2017年度は、日本における子宮頸がん検診受診率向上を目的として、諸外国で行われている自己採取HPV検査の必要性やその普及状況を一般市民や専門家に認識していただくために国際シンポジウムを4つ開催し、学会発表を7回行った。国際シンポジウムのひとつとして、昨年と同様に8月25日に北海道大学において第2回国際シンポジウム 「子宮頸がん予防の戦略: 検診とワクチンー-教育と啓発による女性の認識向上を目指して」を開催した。講師として招いたのはロンドン大学のルーイズ・カドマン氏(Research Nurse Consultant、Wolfson Institute of Preventative Medicine)である。彼女はロンドン在住のアジア系女性を対象に、本研究でも使用するHPV検査用自己採取器具、Evalyn Brushの受け入れに関する比較研究を担当した。また、カナダでコルポー外来を受診した1000人以上を対象に、本研究でも使用する自己採取用のHerSwabを用いたときと医師採取のときのHPV検査の検査結果一致率を検討した臨床試験の研究代表者であるエドアルド・フランコ教授(マーギル大学)を招待した。道内外の一般市民、留学生や専門家がおよそ90名参加した。さらに、2017年から自己採取HPV検査を正式に国家検診プログラムを導入するオーストラリアのケートシムズ博士を招き、オーストラリアの自己採取検査におけるHPV検査の基準や方法について情報収集を行った。その結果、PCR法を用いた検査や偽陰性を最小化するために内部コントロールを用いる検査を利用できることや本研究で使用する予定であったHybrid Capture 2はオーストラリアでは認可されなかったことが明らかになった。そこで、本研究でもHybrid Capture 2の代わりに別のHPV検査を使用することを検討した。
著者
小澤 麻紀 田上 八朗
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.1, no.6, pp.418-423, 2002 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10

アトピー性皮膚炎の患者20例を対象に, 黄色ブドウ球菌属等に対する抗菌作用を有するb-ツヤプリン (ヒノキチオール) 配合保湿クリーム (ヒノキAPクリーム) の有用性と安全性を検討した。ほとんどの症例で乾燥症状の改善を認めた。協力が得られた11症例についてはヒノキAPクリームと基剤のみの塗り分け試験を行い, 使用前後の角層機能と黄色ブドウ球菌数を測定した。角層機能は, どちらの側とも使用後に回復した。黄色ブドウ球菌数はヒノキAPクリーム使用側で減少する傾向がみられた。本試験品に起因する副作用は認められなかった。以上より, ヒノキAPクリームは保湿効果が高く安全性に優れ, 黄色ブドウ球菌が増悪因子のひとつであるとされるアトピー性皮膚炎の治療補助剤として有用であると考える。(皮膚の科学, 1: 418-423, 2002)
著者
塚原 渉 Nigel Ward
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.64, pp.57-62, 2000-07-14

音声認識の実用化に伴い,応用分野もビジネス用途から娯楽・教育用途にまで広がってきた.娯楽・教育用途ではインタラクション自体の魅力が大切だが,その際,従来システムのような不自然な応答は致命的となる.そこで,人間同士の友好的な会話では相手の状態を推測しながら応答を微妙に変えていく点(レスポンシブネス)に着目し,機械との対話におけるレスポンシブネスの有効性を検討した.学習ゲーム形式の会話(山手線駅名当てクイズゲーム)において,システムの確認発話応答あいづち(はい,うんなど)の使い分けルールを実装し,被験者13人に対して音声認識をWizard of Oz方式で行う会話実験を行った.その結果,コーパス中の出現比率であいづちを使い分けるよりも印象が良くなることが分かった.As advances in speech recognition enable applications in entertainment, education and so on, users will demand that the interactions themselves be pleasant. Human-human interaction is pleasant in part because of the feeling that the other person is really listening and caring. That is, the other person picks up cues regarding the speaker's internal state at each moment and responds appropriately. To emulate this ability, a system must be able to infer the user's internal state and to use this information when choosing responses. We implemented this "responsive" ability for a memory game, using prosody and context to determine choice of acknowledgements. Most users did indeed prefer interacting with the responsive system, when preferences were measured using suitably sensitive techniques.
著者
金子 杏弓 高橋 史
出版者
信州大学大学院教育学研究科心理教育相談室
雑誌
信州心理臨床紀要 (ISSN:13480340)
巻号頁・発行日
no.16, pp.21-26, 2017-06

本研究では,被援助志向性に影響を及ぼす感情的側面として心理的負債感を仮定し,心理的負債感を感じやすい者ほど他者に対する援助要請への志向性が低いという仮説を検証した。大学生・大学院生92名を対象に質問紙調査を行った結果,被援助志向性と心理的負債感の聞には統計的に有意な相関がみられず,仮説は支持されなかった。この結果は,被援助志向性と心理的負債感がそれぞれ独立して援助要請行動に影響を及ぼしている可能性を示唆している。今後は,被援助志向性および心理的負債感が援助要請行動に及ぼす影響について検証を重ねる必要がある。
著者
日潟 淳子 齋藤 誠一
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.109-119, 2007-08-10 (Released:2017-07-27)

青年期は時間的展望の獲得期とされ,自己の人生に対して時間的な視野が広がるが,それと同時に現実と非現実が分化し,未来に対しては期待とともに不安も抱くことが示唆されている。本研究では高校生と大学生を対象に,過去,現在,未来に対する時間的展望の様相と精神的健康との関係をとらえ,青年が心理的に安定した状態で時間的展望の獲得を促す要因を検討することを目的とした。その結果,高校生,大学生ともに過去,現在,未来に対してポジティブな時間的展望を持つ者は精神的健康度が高かった。しかし,未来に対する時間的態度においては違いが見られ高校生では未来のみにポジティブな態度を示している者は精神的健康度が低かったのに対して,大学生では低くはなかった。高校生と大学生では未来を志向することに対する心理的影響が異なることが示唆された。また,過去,現在,未来に対してポジティブな時間的展望をもっている者は,過去,現在,未来の出来事をバランスよく想起しており,過去の出来事へのとらえ直しや,未来の出来事に対して現実的な認知を行っている様子が見られ青年期が心理的に安定した状態で時間的展望を抱く要因として自己の過去,現在,未来におけるライフイベントに対する関与の強さと的確な認知をしていることが示唆された。
著者
吉見 憲二
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2016-EIP-72, no.10, pp.1-5, 2016-05-26

一部の人気スポーツを除いて,地域のプロスポーツチームでは経営や集客に苦労している現状がある.しかしながら,大口のスポンサーの維持・獲得は容易ではなく,少ない予算や人員での広報活動を余儀なくされているチームも少なくない.こうした状況ではソーシャルメディアの活用に対する期待も大きいが,現状の広報においてどの程度ソーシャルメディアが活用されているかについてまとまった調査・研究があるわけではない.本研究では,主にプロサッカーの下部リーグを対象に,各チームのソーシャルメディア利用の現状を把握するとともに,その活用上の課題について明らかにすることを目的とする.
著者
石井 耕 Ishii Koh
出版者
北海学園大学経営学会
雑誌
北海学園大学経営論集 (ISSN:13486047)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.42-68, 2016-03-25