著者
鈴木 堅弘
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.38, pp.13-51, 2008-09-30

本論は、春画として最も有名な北斎画の「蛸と海女」を取り上げ、この画図を中心に春画・艶本表現における図像分析を試みた。まず具体的な図像分析に先駆けて、同種のモチーフが「あぶな絵」や「浮世絵」にも描かれている背景を追うことで、近世期の絵画表現史における「蛸と海女」の画系譜を作成した。そしてその画系譜を踏まえて、北斎画を中心とした春画・艶本「蛸と海女」の図像表現のなかに、同時代の歌舞伎、浄瑠璃、戯作などに用いられた「世界」と「趣向」という表現構造を見出すことにより、春画・艶本分野においても同種の演出技法が用いられていたことを発見するに至った。また、こうした図像分析を通じて、北斎画を中心とした春画・艶本「蛸と海女」の表現構造が、太古より連綿と続く「海女の珠取物語」の伝承要素や、江戸時代の巷間に流布した奇談・怪談の要素で構成されていることを読み解いたといえよう。
著者
山本 晋一郎 大元 謙治 井手口 清治 山本 亮輔 三井 康裕 島原 将精 井口 泰孝 大海 庸世 高取 敬子
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.91, no.7, pp.1205-1209, 1994 (Released:2008-02-26)
参考文献数
10

こむら返りを伴う肝硬変患者35例にタウリン1日3g,4週間投与を行った.症状の軽快は22例(62.9%)に認められた.8例にタウリン投与前後の血中タウリン濃度を測定した.投与前血中タウリン濃度は54.1±20.7nmol/mlに対し,投与4週後は125.1±59.1nmol/mlと前値の2.3倍となり,有意の増加が認められた.血中タウリン濃度の増加に伴い症状は軽快し,両者の間に一定の相関が示唆された.こむら返りを伴わない肝硬変10例における血中タウリン濃度は81.0±16.7nmol/mlと,こむら返りを伴う肝硬変患者に比して有意の高値を示した.タウリン投与後経時的に血中タウリン濃度を測定しえた例で,血中タウリン濃度は投与1週目にピークを示し,投与中前値の2~5倍の濃度に保たれていた.
著者
玄 武岩
出版者
北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院
雑誌
国際広報メディア・観光学ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.18, pp.25-47, 2014-03-18

This paper examines the transnational space of popular culture and cultural identities in Korea that formed in the process of the public acceptance of Japanese Animation (Anime), one of few fields officially allowed in the postwar period during which Japanese popular culture was forbidden. Particularly, in analyzing anime-songs aired in Korea between the 1960s and the 2000s and in observing the process of their historical evolvement, critical points for arguing the flow of popular culture between Japan and Korea as it relates to media culture and identity emerge. The research first reconstitutes the cultural relationship between postwar Japan and Korea, as reflected in the acceptance of Anime and historic changes in South Korean identities in the above period, according to the ideal type “Anime-Song Community.” Then, the research employs a comprehensive approach incorporating diverse perspectives of industrial and historical content flow, consumption, and identity to examine the way in which media practice constitutes that field. By thus considering from an overall perspective what kind of socio-cultural dynamics are revealed through changes in the style of acceptance of “Anime-Songs” shared between both countries, we should be able to comprehend the transition of cultural identity amidst young Korean generations.
著者
所 功
出版者
京都産業大学
雑誌
産大法学 (ISSN:02863782)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.324-351, 2010-09
著者
幸野 朋美 渡邊 恵太
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.17-22, 2017-09-09

通常の布地(テキスタイル)は固定的であり,環境の変化やユーザの好み/必要性に応じて布地自体の物理的な特性を動的に変化させることはできない.そこで近年,スマートテキスタイルと呼ばれる,状態など変化可能な布地が注目されている.本稿では既存の布地を動的な布地へと拡張できる糸システムとその利用例について報告する.本システムを用いると,本来矛盾する暖かさと涼しさといった要素を両立させることができる.
著者
大村 益夫
出版者
早稲田大学語学教育研究所
雑誌
講座日本語教育
巻号頁・発行日
vol.第15分冊, pp.123-150, 1979-06-01
著者
金水敏編
出版者
くろしお出版
巻号頁・発行日
2007
著者
Toshio Katsuki
出版者
The Japanese Society for Plant Systematics
雑誌
Acta Phytotaxonomica et Geobotanica (ISSN:13467565)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.119-126, 2018 (Released:2018-06-30)

A new species, Cerasus kumanoensis T. Katsuki (Rosaceae), sp. nov., is described from the southern Kii Peninsula, Japan. It is similar to C. jamasakura var. jamasakura and C. leveilleana because the corymbose inflorescences and extended peduncle are identical in these three taxa. However, C. kumanoensis is distinguished by several morphological and phenological characteristics, an earlier flowering period, narrowly ovate and smaller leaf blade (4–8 cm long, 1.8–3.6 cm wide) and glabrous petiole and pedicel.

42 0 0 0 OA 東紫哇文庫

著者
仮名垣魯文 作
出版者
辻岡屋文助
巻号頁・発行日
vol.一, 1862
著者
吉田 文 村澤 昌崇 濱中 淳子 二宮 祐 田中 正弘 福留 東土 黄 梅英 李 敏
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、文系大学院修士課程の修了者が労働市場においてどのように評価されるのかを、日米中の比較として実施した。分析の枠組みは、大学院教育―学生の資質・目的―労働市場の3点の関連構造を明らかにすることにあり、3者のサイクルのどこにネックがあるかを明らかにすることにある。分析の結果、中国やアメリカと比較して、日本においては、大学院教育は職業人教育をめざす工夫をせず、学生は大学院で獲得したスキルを職場で活用することを重視せず、労働市場は大学院教育よりも企業内訓練に対する信頼を置くという、3者が孤立し、関連性のサイクルが回らない構造があることが明らかになった。