著者
土井 徹平
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.3-20, 2010-05-25

本稿では,足尾銅山と尾去沢(おさりざわ)鉱山を対象として,1900年代から1910年代における鉱業の労働市場と雇用の特質について考察した。近代の鉱山には,「坑夫」(採鉱夫・支柱夫)の同職集団である「友子(ともこ)」が存在しており,坑夫は友子を通じて同職者の「渡り」(鉱山間での移動)を保障するとともに就職の斡旋を行った。また友子は,内部で技能伝承を行うことで,市場に対し熟練労働力を供給する役割を果たしていた。したがって近代の鉱業の雇用あるいは労働市場の特質を明らかにするためには,友子を介した雇用の実態を解明する必要がある。しかし友子と雇用との関係については研究の蓄積がなく,友子の発達が労働市場に及ぼした影響についても,はっきりした結論が得られていない。このことをふまえ本稿では,友子の運営資料を用いることで,鉱山の雇用の実態を分析した。そして,友子を介した「渡り」や技能伝承の結果,近代の鉱山では労働力の需給バランスが保たれていたこと,そして市場構造に地域的な差異があったことを明らかにした。
著者
鈴木 康平

筑波大学修士 (図書館情報学) 学位論文・平成27年3月25日授与 (34282号)
著者
Masato Hino Daisuke Morokuma Hiroaki Mon Jae Man Lee Takahiro Kusakabe
出版者
(社)日本蚕糸学会
雑誌
Journal of Insect Biotechnology and Sericology (ISSN:13468073)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.2_021-2_029, 2016 (Released:2016-10-12)
参考文献数
29

DNA replication is one of key event in cell-cycle progression, yet due to their importance and lethality, the chronological phenotypes of DNA synthesis machineries after the depletion of corresponding genes have proved difficult to study. In the present study, mRNAs for three DNA polymerases, a clamp, and three clamp loaders were gradually depleted from cultured silkworm cells by soaking RNAi. Interestingly, the depletion of these DNA synthesis factors had different effects on the cell growth rate and arrest of cell-cycle progression during time-lapse observation. The depletion of DNA polymerases immediately arrested the cell-cycle progression at the S phase, while that of PCNA, a DNA clamp, required more time to slow cell growth and finally induced apoptosis. Surprisingly, silkworm cells continued to undergo several rounds of cell division when the components of clamp loaders were knocked down.

1 0 0 0 OA 白浪五人男

著者
西男 編
出版者
興風社
巻号頁・発行日
1918
著者
氏原 暉男 森本 昇司 小野 珠乙 南 峰夫 池橋 宏
出版者
信州大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1998

ミャンマー東部の山岳国境地帯はケシの栽培地帯として有名で,アヘン生産の原料となるケシ栽培を根絶することが重要課題となっているが,十分な成果が上がっていない.これは現地の自然および社会的条件に合致したケシに代わる換金作物が導入,確立されなかったからである.ケシは現地農民の唯一の収入源であり,ケシと同等以上の収入が得れれる代替作物の開発普及が不可欠である.このような観点から,平成10年8月から9月にかけて約2週間にわたり,シャン州コーカン地域のケシ栽培地帯の拠点の一つであるターシェータン村を中心に農家の経営実態と農作物の栽培状況などを調査した.さらに具体的な換金作物,薬草あるいは動物資源などについて,視察と聞き取り調査を実施した.その結果,シャン州の平地部では中国の雑種イネ品種を導入した先進的な稲作が行われているのに対して,ケシ栽培地帯の山岳地域では焼き畑が行われ,主にトウモロコシが栽培されていた.明らかに地域格差が認められ,ケシ栽培に頼らざるを得ない状況が認められた.そこで具体的に収入源となる可能性が有る代替作物あるいは動物製品について調査した.山岳地域から市場までの道路事情が悪く,特に雨期には通行止めもしばしばである.従って,果樹,野菜など保存がきかず,重量のある生ものは除外された.少量で価格が高く,保存がきくものとして薬草が考えられるが,聞き取り調査では有望な薬草は見つからなかった.一方,この地域は有名な茶の産地で,半発酵のコーカン茶は調製法などの工夫,向上により換金作物として可能性がある.また,山岳地帯の環境に適した作物としてソバについて日本産品種を試作した結果,十分な収量と品質が認められた.現地農民はソバの栽培経験を持っており,日本の需要家との価格交渉,およびヤンゴンまでの輸送法を確保できれば代替作物として可能性があることが明らかとなった.
著者
穂坂 茂 間中 久美 岡田 純 近藤 啓文 柏崎 禎夫
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.52-57, 1993-02-28 (Released:2009-01-22)
参考文献数
11

&全身性エリテマトーデス(SLE)は男性にはまれな疾患である.今回,われわれは男性SLE 17例を対象に,その臨床像,血清学的および内分泌学的検討を行った.発症年齢,観察期間を一致させた女性SLEと比較して,男性例では日光過敏症が有意に多く(p=0.04),リンパ節腫脹と中枢神経障害がやや多かった.腎障害は同率であったが,ネフローゼ症候群が男性に多かった.白血球減少は女性例に有意に多かった(p=0.07)が,血清学的検査で男女間に有意差は認められなかった.治療内容では,男性例により多くのステロイドホルモンが必要とされた,われわれの男性SLEは女性例に比してやや重症である傾向がみられた.血中性ホルモン値では,従来報告されているestrogenの上昇を示す症例はなく,一部の症例で大量ステロイド剤や免疫抑制剤による精腺障害,視床下部-下垂体機能障害が疑われた.
著者
田村 直人
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.10, pp.2465-2472, 2014-10-10 (Released:2015-10-10)
参考文献数
10

全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)は多様な病態を示し,高頻度に再燃や持続性の活動性病変を呈する難治性の自己免疫性疾患である.最近,新たなSLE分類基準,ループス腎炎の治療やTreat to Targetのための診療のリコメンデーションなどが相次いで提唱されている.また,抗マラリア薬やミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil:MMF)は国際的にSLEの主要な治療薬となっており,国内でも早期の適応承認が期待されているほか,新たな分子標的治療薬も開発されている.
著者
五野 貴久
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.346-346, 2013 (Released:2013-10-31)

全身性エリテマトーデス(SLE)は,自己抗原に対して過剰反応する樹状細胞やリンパ球が活性化し,抗二本鎖DNA抗体をはじめとする自己抗体の産生,補体及びサイトカインを介して,皮膚炎,関節炎,血球減少,腎炎,神経障害など全身の諸臓器に障害をきたす自己免疫疾患である.一卵性双生児におけるSLEの発症一致率は25%であり,その病因に遺伝的要因が強く関与している.SLEは,20-40歳代の若年女性に発症する頻度が高く,日光暴露にて病状の増悪を認めることから,性ホルモン,紫外線などの環境的要因もSLEの発症に関わっている.個々の症例においてSLEの病状は異なり,その臨床像は多彩である.例えば,SLEに起因する腎炎(ループス腎炎)といっても,メサンギウムの増殖と上皮下や内皮下に免疫複合体の沈着を伴う腎炎と,基底膜の肥厚が主体となる膜性腎症に分けられる.また,SLEに起因する精神・神経障害を呈するneuropsychiatric (NP) SLEでは,アメリカリウマチ学会により19の精神・神経症候に分類され,その病態は複雑で治療もしばしば難渋する.このセッションでは,SLEの予後規定因子であるループス腎炎とNP-SLEを中心に,SLEにおける基本的な病態を踏まえつつ,近年,新たに明らかとなったSLEの病態に関する研究成果をレビューし,その病態の理解を深めていきたい.
著者
Anwar M S Lee S R Ishiguro R Sugimoto Y Tano Y Kang S J Shin Y J Yonezawa S Manske D Takayanagi H Noh T W Maeno Y
出版者
Springer Nature
雑誌
Nature communications (ISSN:20411723)
巻号頁・発行日
vol.7, 2016-10-26
被引用文献数
46

磁石に浸み込む超伝導電子ペアを実現 :スーパー・スピントロニクスへの布石. 京都大学プレスリリース. 2016-10-28.
著者
西野 友年 奥西 巧一 引原 俊哉
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05272997)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.133-155, 1997-05-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
浅野 二郎 仲 隆裕 藤井 英二郎
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.67-74, 1988-03-18
被引用文献数
1

紹鴎・利休以前,茶会の場における庭は,例えば喫茶往来に記される喫茶の亭における庭,あるいは尊教院の茶座敷に対する茶の庭としての「堀庭」にみる如く,書院造庭園の系譜に属する庭,いわばそれは観る庭,楽しみの庭ともいえる庭園であった.紹鴎・利休において,茶はそれまでの茶から離れ,わび茶の確立に向う.その中で茶の湯の場はわび茶のための場としての草庵茶室の創出へと展開する.それとともに,この茶室のための外部空間としての庭は,わび茶の理念をふまえる庭,即ちそれまでの庭とはその造庭理念のうえで全く道を異にする,いわば新しい庭,「坪の内」が茶の庭として創り出される.紹鴎・利休が求めた草庵わびの茶は,しかし,やがて武家の茶・大名茶と呼ばれる茶,即ち「客をもてなす道理を本位とする」茶を生み出し,それがひとつの大きな流れとなる時期を迎える.この新しい茶の流れにとって織部・遠州が果した役割は極めて大きい.而して,織部・遠州の茶会において,すでにあった鎖の間をひとつの茶会の流れの中で,真に活かしきり,用いきる時期を迎える.さらに,この鎖の間の活用のなかから露地(茶庭)と書院造庭園とが相互に響き合う見事な,そして新しい庭づくりが創まる時期を迎える.つまり,二つの庭の有機的一体化の時期を迎えることになるとみる.それは,わび茶に対する新しいとらえ方がこのような造形の実現を可能にしたとみてよいであろう.また,これを形而下のこととしてみれば,織部・遠州における鎖の間にかかわるさまざまな面での造形が,その大きな契機として働いたといってよいのではないかと考える.このようにして到達した新しいわび茶の造形のひとつの到達点に孤篷庵・忘筌の露地があるとした.また,さらにこの忘筌の露地の造形の発展・展開のなかに石州の慈光院の庭があり,松平不昧の向月亭の前庭と菅田庵の露地とのつらなりがあるとみる.
著者
加藤 淳一 KATO Junichi
出版者
名古屋大学附属図書館研究開発室
雑誌
名古屋大学附属図書館研究年報 (ISSN:1348687X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.81-84, 2008-03-31 (Released:2009-02-10)

This report concisely explains the history of information science in the United States. The purpose of this report is to reconfirm the field framework of information science. The framework of information science of Japan is different from the information science that Machlup and Mansfield define, because it is a framework similar to informatics for Japan.
著者
岡 健太郎 高橋 志達 神谷 茂
出版者
公益財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.177-185, 2015 (Released:2015-11-03)
参考文献数
44

Clostridium difficileは芽胞形成性のグラム陽性偏性嫌気性細菌で,主に抗菌薬投与後に下痢や偽膜性大腸炎(pseudomembraneous colitis, PMC)などのC. difficile関連下痢症/疾患(C. difficile-associated diarrhea/disease, CDAD)を引き起こす原因菌として知られている.本菌は一部の健常者の腸内に定着する常在菌の一種であり,通常は他の腸内細菌により抑制されているが,抗菌薬の投与により正常腸内細菌叢が撹乱されると異常増殖と毒素(トキシンAおよびトキシンBなど)産生を引き起こしCDADが発症する.抗菌薬関連下痢症(antibiotic-associated diarrhea, AAD)のうち,5-20%が本菌によるものと考えられており,治療には原因抗菌薬の中止とバンコマイシンまたはメトロニダゾールの経口投与が有効であるが,10-35%に再発が認められ,近年では再発を繰り返す症例が問題となっている.CDADは,腸内に定着した常在性C. difficileによるものの他に,保菌健常者やCDAD発症者の糞便を介した接触感染が主な感染経路であり,特に芽胞を形成する菌であることから,芽胞が長期間にわたって環境中に生残して院内感染や再発の感染源となることが考えられる.特に入院患者では,本菌の検出率は入院期間と相関することが知られている.また,芽胞は抗菌薬に抵抗性であることから,再発例の一部では,治療後に芽胞の形態で腸内に生残して再発を引き起こすものと考えられる.従って,CDADあるいは再発性CDADの治療および予防法としては,原因抗菌薬の中止やバンコマイシンまたはメトロニダゾールの経口投与による治療や接触感染予防策や環境清掃などによる一般的な感染予防法に加え,抗菌薬の使用制限による正常腸内細菌叢の撹乱防止や,何らかの方法による正常腸内細菌叢の維持および早期回復が重要となる.これまでに,正常腸内細菌叢の維持および早期回復を目的としたプロバイオティクスによる予防の有効性が多数の研究者により報告されており,CDADの治療および予防においては,主に抗菌薬の補助療法としてプロバイオティクス製剤等が使用されている.プロバイオティクスには病原性細菌の生育阻害作用と腸内細菌叢の改善作用があることから,C. difficile腸炎の予防や治療補助に有効であると考えられるが,その効果や作用機序はプロバイオティクスの菌種や菌株によって異なり,菌種あるいは菌株ごとの大規模臨床試験による科学的検証が望まれている.
著者
秋山 誠治
出版者
社団法人 有機合成化学協会
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.465-472, 2012-05-01 (Released:2012-06-04)
参考文献数
110
被引用文献数
5 7

Organic luminescent materials have been regarded as one of the most important key materials in the fields of various applications such as fluorescent paints, fluorescent brightening agents, wavelength-conversion films for agricultural use, dye lasers, bioanalytical luminescent probes, piezo- and tribochromic luminescent devices, organic light-emitting devices, and so on. In order to achieve the purposes, they have been well designed and their functionality has been finely tuned by introduction of some functional groups and subunits. Nowadays, the development of organic luminescent materials is about to go to the industrial stage, and highly functionalized luminescent materials are enthusiastically developed towards practical and versatile demands, using wide range of synthetic technology from classical synthetic methods to new types of cross-coupling reactions using transition metal-based catalysts. Here we show recent research developments of organic luminescent materials, especially focusing on applications to organic electronic devices and the relevant.
著者
Okamoto Norihiko L Fujimoto Shu Kambara Yuki Kawamura Marino Chen Zhenghao M T Matsunoshita Hirotaka Tanaka Katsushi Inui Haruyuki George Easo P
出版者
Springer Nature
雑誌
Scientific reports (ISSN:20452322)
巻号頁・発行日
vol.6, 2016-10-24
被引用文献数
319

新しい構造材料「高エントロピー合金」の強度の実験的決定に成功. 京都大学プレスリリース. 2016-10-24.