著者
小野 朋子
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.2, pp.100-109, 2012 (Released:2017-10-23)
参考文献数
32
被引用文献数
1

弱酸性次亜塩素酸水溶液は本来アルカリ性の次亜塩素酸ナトリウムを塩酸でpHを5.5~6.5の弱酸域に調整し,殺菌作用の強い非解離型の次亜塩素酸の比率を増加させたもので,醸造食品の現場において問題となる芽胞菌のBacillus属菌やClostridium属菌に対しても殺菌効果が強い。そこで,著者に実際の食品加工現場における適用事例について解説頂いた。弱酸性次亜塩素酸水溶液は次亜塩素酸ナトリウムよりも低濃度・短時間で殺菌が可能であるために,食品や部材に対するダメージが少なく,塩素臭も低減されるので,これを醸造食品工場において適用し,各種麹の一般細菌を含め特に芽胞菌を低減頂けるならば幸いである。
著者
藤井 進也
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.79-85, 2012 (Released:2016-04-15)
参考文献数
47
被引用文献数
1

音楽家は,日々弛まぬ練習を積み重ね,初心者にとっては大変困難なリズム運動の生成と同期を実現することができる.これら音楽家の身体運動には,巧みなリズム運動の神経制御メカニズムや,学習に伴う中枢神経系の適応的変化の仕組みを解くための鍵が多く潜んでいる.本稿では,世界最速ドラマーをはじめとした音楽家の運動制御研究について紹介し,高度なリズム運動の生成と同期を実現する音楽家の身体運動制御戦略について解説する.

40 0 0 0 OA 日本戦車の魂

著者
竹田靖治 著
出版者
教養社
巻号頁・発行日
1944
著者
細井 昌子 安野 広三 早木 千絵 富岡 光直 木下 貴廣 藤井 悠子 足立 友理 荒木 登茂子 須藤 信行
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.445-452, 2016 (Released:2016-05-01)
参考文献数
4

線維筋痛症は病態が未解明な部分が多いが, 独特な心理特性, 免疫学的異常, 脳機能異常, 自律神経機能異常など多面的な病態が近年の研究で報告されている. 本稿では, 九州大学病院心療内科での治療経験をもとに, ペーシングの異常, 受動的な自己像が構築される背景と過剰適応・過活動, 安静時脳活動の異常について, 線維筋痛症における心身相関と全人的アプローチの理解促進のために, 病態メカニズムの仮説について概説した. 線維筋痛症では, default mode networkと呼ばれる無意識的な脳活動が島皮質と第2次感覚野と強く連結しているといわれており, これが中枢性の痛みとして, 過活動に伴う筋骨格系の痛みや自律神経機能異常といった末梢性の痛みと合併し, 複雑な心身医学的病態を構成していると考えられる. ペーシングを調整し, 意識と前意識や無意識の疎通性を増すための線維筋痛症患者に対する全人的アプローチが多くの心身医療の臨床現場で発展することが望まれる.
著者
ムンクジルガラ
出版者
和光大学現代人間学部
雑誌
和光大学現代人間学部紀要 (ISSN:18827292)
巻号頁・発行日
no.3, pp.117-135, 2010-03

本稿の課題は、アイヌの海外諸民族との交流が、彼らの民族としての復権運動において大きな意味を持つことを文献資料及び聞き取り調査などに基づいて明らかにすることである。アイヌの民族復権運動は、長年日本政府によって強いられてきた「同化」政策や一般の人々の間にある差別や偏見のなかで他者からも独自の民族とみなされないだけではなく、アイヌ自らも民族として名乗れなかったなど、紆余曲折をたどった。70年代に実現したアイヌ中国訪問は、アイヌにとって、初の海外交流になっただけではなく、中国の少数民族との交流は「輝かしいもの」として中国の民族政策のあり様に触れる機会となった。中国の少数民族との交流の実現は、アイヌの民族としての復権運動の大きな契機となった。アイヌは、中国の民族政策に倣って日本における少数民族としての諸権利を求める運動を展開させていこうとした。中国訪問に始まる世界の先住・少数民族との積極的な交流は、アイヌの民族の権利回復と結びついていったのである。

40 0 0 0 OA 東区会史

著者
大阪市東区 編
出版者
東区
巻号頁・発行日
1944
著者
大類 孝 中山 勝敏 福島 健泰 千葉 大 佐々木 英忠
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.34-36, 2005-01-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
8
被引用文献数
1 63

呼吸器感染症の中で肺炎は, 抗菌剤の開発がめざましい今日においても, 日本での疾患別死亡率の第4位を占めている. また, 肺炎による死亡者を年齢別に見ると, 65歳以上の高齢者が全体に占める割合は約9割と極めて高い. 近年, 高齢者の肺炎は複雑化し難治例が増加しつつあるといわれる. その背景には高齢化社会を迎え, さまざまな基礎疾患を抱えた易感染状態の患者が増加している点や, 加齢に伴う免疫能の低下によって弱毒性の病原微生物によっても肺炎を発症しうる点などが挙げられる. よって, 高齢者特に寝たきり高齢者の免疫状態を把握し, ワクチン等を用いて免疫を賦活化させ感染防御能を高める方法は, 高齢者の感染症, 特に肺炎の予防に有効ではないかと考えられる. 本シンポジウムで, 私は, 初めに寝たきり高齢者の免疫能について言及し, さらにこれらの対象者におけるインフルエンザワクチン, 肺炎球菌ワクチンおよびBCGワクチンの効果について解説する.
著者
宮内 哲
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.60-70, 2016-04-01 (Released:2017-04-14)
参考文献数
64

その1において, (1) Bergerが脳波の研究を始める前に, 神経解剖学的研究, 脳血流・脳温の計測, 脳への電気刺激など, さまざまな当時としては最先端の研究を行っていたこと, (2) それらの研究の多くは闇雲に行ったのではなく, 19世紀の自然科学に大きな影響を与えたエネルギー保存の法則に基づいたBergerなりの脳活動と精神活動に関する壮大な構想に基づいて行われた可能性があることを述べた。その2では, Bergerがヒトの脳波を発見する前に行われた動物の脳波に関する研究, Bergerによるヒトの脳波の研究を紹介し, Bergerの研究が当時の神経生理学に受け入れられなかった理由について考察する。
著者
小池 淳一
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.205, pp.459-472, 2017-03-31

本稿は、民俗儀礼を起源とする俳句の季語を文芸資源と捉え、その形成の過程を論じようとするものである。七五三という儀礼は実は新しく、都市的な環境のなかで成立したものである。そして特に現代では古い状況から新しい状況へと変化することを示す儀礼というよりも、人生の階梯を晴れ着などで示す表層的な儀式という性格が顕著である。そうした七五三が文芸資源として俳句作品に用いられる際には、子どもの成長や晴れ着の着こなし、儀式のなかでの動きを切り取るものとして機能している。社会的な儀礼よりも一時的な儀式としての意味合いが強調される。一方、岡見は「堀川百首」の源俊頼の和歌における「をかみ」の語釈として胚胎し、近世の季寄せや歳時記の類にこの語に関する関心が引き継がれてきた。記録上は、多少のバリエーションがあり、担い手や方法に差異があるが、実際の民俗儀礼として明確に確認はできない。この語は俳句作品のなかでは年の暮の情景を示すものとして、さらには時間感覚を表出させるものとして働く場合が多い。それは幻想的であり、年中行事というよりも特殊な境界の時空をとらえるものとなっている。
著者
北海道大学観光学高等研究センター文化資源マネジメント研究チーム
出版者
北海道大学観光学高等研究センター
雑誌
CATS叢書 : 観光学高等研究センター叢書
巻号頁・発行日
vol.1, 2009-03-25

メディアコンテンツとツーリズム : 鷲宮町の経験から考える文化創造型交流の可能性 / 北海道大学観光学高等研究センター文化資源マネジメント研究チーム編 = Media Contents and Tourism : An Experience of Washimiya Town and Neon Genesis of Tourism / Edited by Cultural Resource Management Research Team, CATS, Hokkaido University

40 0 0 0 OA 大日本地誌大系

著者
雄山閣編輯局 編
出版者
雄山閣
巻号頁・発行日
vol.第39巻, 1933
著者
小川 令 赤石 諭史 百束 比古
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.20-27, 2010 (Released:2010-04-01)
参考文献数
87

ケロイドや肥厚性瘢痕には,いまだ確実な治療法が存在しないため,統一された治療指針ができておらず,各施設が限られた治療経験を基に独自に工夫を重ねて治療を行っているのが現状である。しかし,世界的にはケロイドや肥厚性瘢痕の基礎研究が進み,質の高い臨床研究が増えつつある。よってこれらの報告から,質の高い臨床研究を抽出し,現時点でのケロイドや肥厚性瘢痕の治療に対するエビデンスを検討したため報告する。 診断では,時には悪性腫瘍の鑑別としてバイオプシーも考慮すべきであることが示唆された。予防では,細菌感染や異物反応,外傷などにより遷延する炎症,尋常性ざ瘡など皮膚の炎症性疾患,外力などを極力排除すべきと考えられた。肥厚性瘢痕やケロイドの治療では,手術,圧迫療法,放射線療法,凍結療法,ジェルシート,レーザー,ステロイド注射,5-フルオロウラシル(5-FU)などの単独療法,併用療法が有用であることが示唆された。また,治療後の経過観察はもちろん,治療中でも定期的に患者を診察し,再発の傾向がないか診断することは必須であると考えられた。