著者
眞田 克
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.293-301, 2012-04-01 (Released:2012-04-01)
参考文献数
16

水道管からの水漏れと同じくLSIも欠陥箇所を介して電流が漏れ出し故障に至らしめる.この漏れ電流現象はLSIを評価する重要なパラメータの一つである.しかしながらDSM(Deep Sub-Micron)化に伴うデバイス技術の進展は電流値を用いた評価を困難とした.この問題を克服すべく,テスト技術は統計処理による正常/異常値間の差分の顕在化による識別法更には電源電流の波形の相関比較やフーリエ変換による数理処理により異常の有/無を顕在化する技術が開発されている.故障診断技術は漏れ電流の特徴を用い,論理情報と組み合わせることで簡易で高精度に故障候補を特定する技術の開発で評価技術の向上が図られている.
著者
マルチュウコフ アンドレイ
出版者
国立国語研究所
雑誌
国語研プロジェクトレビュー (ISSN:21850119)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-15, 2010-10

本稿は分裂他動性を考察する。即ち,ある出来事を描写するのに,他動詞を用いるか,自動詞を用いるかに関する通言語的な傾向を考察する。本稿は,Tsunoda(1981, 1985)の動詞階層を出発点として,この階層を二次元の階層(または二次元の意味地図)に修正すれば,意味的に一貫したものになることを示す。二次元の階層を用いると,一次元の階層の反例を説明できる。更に,諸言語(例えば英語と日本語)の間に見られる違いを一貫した原理で説明できる。
著者
熊谷 正朗
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.136-139, 2011 (Released:2011-04-16)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1
著者
山中 光義
出版者
福岡女子大学
雑誌
文芸と思想 (ISSN:05217873)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.A19-A51, 2003-02-25
著者
小林 健二
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin of The National Institute of Japanese Literature (ISSN:03873447)
巻号頁・発行日
no.08, pp.141-183, 1982-03-30

「名取熊野縁起」が形成された過程を、本縁起を構成するモチーフを吟味することにより、「道とをし」の熊野神詠譚が、梛の葉や虫喰いの神詠等の諸要素を取り込みながら、陸奥在地の名取老女の熊野勧請説話と結びついて作り出されたこと、また、その成立に紀州熊野三山の先達組織が関与していたであろうことを考察する。 The process when “Natori Kumano Engi”(名取熊野縁起)was formed by examining a motif constituting this Engi (writing about the history) closely, followings were considered that while Kumano Shineitan of ”Michitooshi”(道とをし)taking in elements of a leaf of Nagi and the worm-eaten state Shinei (waka which God wrote), it was created to be tied to the Kanjin-setsuwa of an old woman in Natori in the local area of Mutsu Province and Sendatsu group of Kumano Sanzan (three major shrines, Kumano-Hongu-Taisha, Kumano-Hayatama-Taisha and Kumano-Nachi-Taisha) would participate in the establishment.
著者
岩野 和生 茂木 強
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.515-524, 2015-10-01 (Released:2015-10-01)
被引用文献数
2

現代社会は知識と情報にあふれており,われわれはこれを活用しきれていない。知のコンピューティングは,知の創造,蓄積と流通を促進し,人間の科学的発見を加速し,人々が賢く生きるための仕組みづくりを目指す活動である。本稿では,背景として情報科学技術の発展と課題を述べた後,知のコンピューティングの仕組みとしての社会実装イメージを提案する。さらに,人と機械の創造的協働を実現するための研究開発について考察し,最後に,広範な社会的インパクトをもつ科学技術の社会受容に関する取り組みについて紹介する。
著者
増山 滉一朗 藤田 悠 奥原 颯 天野 英晴
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-217, no.21, pp.1-6, 2015-10-01

バッテリー駆動デバイスのための高性能低電力アクセラレータとして silicon on thin BOX(SOTB) プロセスを用いて開発された,Cool mega array-SOTB-2(CMA-SOTB-2) について報告する.CMA-SOTB-2 は大規模な演算素子 (PE) アレイ,データ転送を管理するためのμコントローラ,およびデータメモリから構成される.今回導入したμコントローラ内のデータマニピュレータにより,データメモリヘの並列アクセスが可能となった.また遅延調整機構の導入により,PEアレイ内演算のための最適な遅延時間を容易に検出,設定できるようになった.実装においては,前回の試作機である CMA-SOTB の時のものよりもリーク電力が少ないセルライブラリを使用した.これにより実チップ評価にて,わずか 0.4mW の消費電力で 297 MOPS の性能を達成した.この電力効率は CMA-SOTB のほぼ倍である.CMA-SOTB-2はレモンを 3 つ使用したレモン電池により,およそ 0.3mW の電力で画像アプリケーションを動作させることが可能である.
著者
高橋 淑郎
雑誌
早稲田大学日本語研究教育センター紀要 (ISSN:0915440X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.55-76, 1999-05-31

講義や論文における次のような「自問自答形式の疑問表現」を<自問表現>と名づけ, その性格を考察した。(例)で, 今週からは, どういう勉強をするのか, っていうと, 2つの変数を同時に取り上げて分析する方法について勉強していきます。【講義】(1)<自問表現>は, 典型的な疑問表現と比べると, 表現主体が疑問を抱かず, しかも自分で答える, という特徴を持っている。(2)<自問表現>は講義, および論文の一部でよく使われる。(3)「説明要求」の<自問表現>は答えの表現と, 合わせて「x(と)はyである」という「題目提示」-「説明」関係を構成している。そのため, 講義や論文のような一方的な伝達形態の言語表現になじみやすいと考えられる。(4)「説明要求」の<自問表現>において疑問表現を用いるメリットとして, 題目を文として提示することができるので名詞句の場合のように複雑な構造になりにくい, 疑問詞による漠然とした題目提示が可能, また, 答えとして複数の文を持つことができる, さらに独立文形式のものに限っては働きかけの効果が狙える, ということが指摘できる.(5)「判定要求」の<自問表現>は答えの表現と合わせて全体で「Aである(ではない)」(Aは命題・事柄・事態など)という表現を構成している。(6)「判定要求」の<自問表現>では, 「Aである(ではない)」を強く印象づけるために疑問表現が用いられていると考えられる。「Aである(ではない)」が強調されるとその根拠・理由≡が求められる場合が多く, その結果, 「判定要求」の<自問表現>は説明・解説の表現を構成することになる。その点で「説明要求」の<自問表現>と同じく, 一方的な伝達形態の言語表現になじみやすいと考えられる.
著者
田中 繁
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.1018-1022, 1995-10-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
11

大脳皮質視覚領には,さまざまな視覚情報に関する地図が存在する.本解説記事では特に,物体が視野内を運動するときめ方向につい之の情報表現がmiddletemporal area(MT)内にいかにして自己組織化されるのか,という問題を取り上げ理論脳科学における最近の進展の一端を紹介したい.
著者
坂元 宗和 高木 幹雄
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.63(1992-CG-058), pp.35-42, 1992-08-10

2変数関数の剰余類を選んで平面上にプロットすると,思いがけない複雑なパターンが現れる.そのいくつかの論理和をとり,画像処理的に加工してジャギネスを抑えると,白黒の模様ができる.4枚の白黒模様を重ね,色番号を定義するビット・プレーンと見て,各色番号に重複して色価を割当てれば,新しいモチーフが出現し,カラー模様ができる.高品質の模様を作るには,適切な生成関数のパラメータ選択とデザイン加工が必要である.パラメータ選択が理論的な知識に基づくことは言うまでもないが,審美的判断を必要とする美術的応用の際は,応用分野における評価の基準を知らなければならない.
著者
渡邉 翔一郎 近藤 健一 松岡 絢香 宮武 昌史 野田 慶親
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.135, no.10, pp.676-679, 2015-10-01 (Released:2015-10-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

1.はじめに 1.1 地球環境問題と鉄道をとりまく背景 近年は地球環境問題に対する意識が高まり,低炭素社会実現への期待が日に日に大きくなっている。そんな中で鉄道は環境親和性の高い乗り物として脚光を浴びている。二酸化炭素排出量
著者
藤原 翔
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本年度は2015年に中学3年生とその母親を対象として行った調査の追跡調査を行った.ベースサンプルの分析結果から明らかになった課題,高校に進学していたら2年であること,2012年の高校生調査との比較が可能なことなどを踏まえて調査票を作成した(2017年4月開始,11月確定).そして,東京大学社会科学研究所研究倫理審査委員会の承認を受けた上で,2017年11月から2018年1月にかけて,郵送調査を行った.郵送調査の結果,2015年の調査で有効回答が得られた1,854世帯のうち,1,591世帯(85.8%)の回答を得た.ただし,母親のみ回収の世帯が92世帯,子のみ回収の世帯が3世帯あり,ペアで回収できた世帯は1,496世帯であった(80.7%).調査票には,子どもの情報については進学した高校の情報や高校卒業後にどのような学校に進学したいか(学校名・学部学科名)などの項目が追加された.データの納品後はこれらの情報のクリーニングとコーディング(職業,高校偏差値,高校学科,大学偏差値など)を行った.基礎的な分析として,中学時の進学を希望していた高校の偏差値・学科と教育期待・教育アスピレーションと実際に進学した高校の偏差値・学科と教育期待・教育アスピレーションの情報を用いた固定効果モデルによる分析を行った.その結果,普通科希望から専門学科への変化は,教育期待・教育アスピレーションを下げることが示唆された.この結果については,高校階層構造の影響をみるための因果分析として論文をまとめている.
著者
永瀬 節治
出版者
日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.796-803, 2010-03
被引用文献数
2

世俗領域から樹林地を擁する聖域へのアプローチである神社参道は、並木やモニュメントを備える等、他の道とは異なる独自の空間概念で捉えられてきた。さらに近代の国家神道体制のもとで、神社は天皇制と結びついた参拝施設として位置づけられ、特に重要な神社においては、境内の森厳さとともに、参道にもそれに相応しい空間像が求められた。一方、欧米を範とする都市計画の展開の中で、近代都市が備えるべき要素として、ブールヴァールと呼ばれる並木を備えた広幅員街路の概念が導入された。大正期に造営された明治神宮への参宮道路として、市区改正事業により計画された明治神宮表参道(以下、表参道)は、国家的な参拝施設のための大規模な参道であると同時に、ブールヴァールとしての素質を有する街路空間を実現し、今日も東京を代表する並木道となっている。本研究は、このような表参道の空間を成立させるに至った背景や、計画をめぐる一連の経緯を検証し、当初の表参道が備えていた意味と成立空間との関係を明らかにすることを目的とする。