著者
新ヶ江 章友
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.116-123, 2011

2010年7月に、オーストリア・ウィーンで第18回国際エイズ会議(XVIII International AIDS Conference)が開催された。学会のテーマは「Rights Here, Right Now(今ここでこそ人権を)」であった。本稿では、とりわけHIV/AIDSをあぐるスティグマと差別の問題に焦点をしぼった発表のいくつかを紹介する。現在世界では、HIV/AIDSをめぐるスティグマや差別は、公衆衛生施策にとっての最重要課題であると位置づけられている。なぜならスティグマや差別こそが、予防や治療促進を阻害すると考えられているからである。この見方は当然、HIV/AIDSの問題化の当初から議論されてきたが、現在においても未だ十分な解決策が提示されてはいない。日本でも、スティグマや差別の軽減のための具体的な施策が、今後さらに展開されていく必要がある。
著者
平島 弘一 三尾 剛 市山 尚 三觜 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.93, no.453, pp.107-113, 1994-01-28
被引用文献数
7

気象レーダ及びその他のセンサーからの情報を複合したシステムを用いて雷雲を捕捉するシステムである地上用雷電探知装置の、雷雲判定の方式等を中心にシステム概要を報告する。本システムで実現された主な課題は次のものである。・立体構造の判定単位区分の細分化・予知に結び付ける新しい知見に立脚した処理アルゴリズムの開発
著者
堀井 希依子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.121-140, 2012-03-15

本研究は、看護師の離職防止対策の示唆を得ることを目的として、1)自己効力感、達成動機、キャリアレジリエンス、キャリアパースペクティブの各要因が組織コミットメントに対してどのような効果を持っているのか、2)組織コミットメントは職業継続意思にどのような効果を持っているのかをキャリアステージ別に検討する多母集団解析を実施した。調査は、801 名の女性看護師を対象に実施した。分析の結果、中期キャリアにある看護師の組織コミットメントを規定する要因は他のキャリアステージのそれとは異なっていることに加えて、組織コミットメントが低い傾向が見出された。以上の結果から、中期キャリアにある看護師の離職防止を強化する必要性が示唆された。
著者
Miyake Y. Saruhashi K.
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
Papers in Meteorology and Geophysics (ISSN:0031126X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.241-244, 1957

1957年3月に開催された国連の第3回科学委員会に,各国から提出されたSr-90の資料に基いて,1951年のはじめから1955年の秋までの5年間に,地表面に蓄積したSr-90含量の世界的分布を求めた.主なる汚染源としては,第1図から明らかなように,太平洋のビキニ環礁,ソ連のカザツク地方(黒海とバルハシ湖の間)およびアメリカ合衆国のネバダの三点がある.前二者では,水爆実験も行われているので,原爆実験のみを行っているネバダにくらべれば,汚染度は高い.第1図によると,ソ連の実験とネバダの実験では,汚染地域は偏西風にのって西から東にのび,ビキニでは逆に偏東風で西にひろがっている.これは地球上の風系と全く一致しているところである.<BR>1955年秋までに地表面に蓄積したSr-90の総量は地球全体で0.7メガキユリーとなる.北半球には地球全体の80%,その中,東半には,地球全体の約57%が集まっている.緯度による分布をみると,第2図(A)に示すように,北緯20°と50°附近の2ヵ所にピークがみられる.前者はビキニ実験によるものであり,後者はソ連の実験によるものである.第2図(B)には北半球を東半,西半にわけての分布を示した.東半の分布は第2図(A)と同じような形であるが,西半は40°附近に一つのピークがみられる.これはネバダの実験によるものであり,前者に比べれば,その汚染度は低い.
著者
武田 甲 白木 与志也 舩橋 秀登 北 宜裕 山田 良雄
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.49-52, 2013-02-05

日本における茶栽培の主要産地は関東以南であり,作什面積は平成22年度に全国で46,800ha,神奈川県では274haである(社団法人日本茶業中央会,2011)。茶栽培は鳥獣被害を受けないことなどから中山間地域における重要な作目のひとつとなっている。2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震に伴う福島第一原子力発電所の事故により,3月15日および3月21日に放射性物質が拡散した(青山ら,2011)。当該原子力発電所から239~310kmの距離にある神奈川県内では,葉根菜および果樹類への影響は軽徴であり,2011年3月17日に設定された食品衛生法に基づく放射性セシウムの暫定規制値である500Bqkg-1を超えた作物はなかった。しかし茶生産においては,関東地域内のほとんどの茶産地で生産された一番茶の荒茶から放射性セシウムが検出され,暫定規制値を超えた産地では出荷制限に至った(原子力災害対策本部長神奈川県知事宛通知,2011など)。これまで茶の放射能汚染に関する研究としては,1954年のビキニ環礁での水爆実験が日本の茶葉および浸出液に及ぼした影響に関する報告(河合ら,1956),チェルノブイリ原子力発電所の事故がトルコの黒海沿岸部で生産された茶に及ぼした影響に関する報告(Gedikoglu and Sipahi,1989),同地域で生産された茶葉の生物学的半減期の報告(UEnlue et. al.,1995),および 1961年~1979年に生産されたインドのアッサム茶で行われた核種別濃度推移に関する報告等がある(Lalitet. al.,1983)。また,放射性セシウムの移行係数を算出した報告(近澤・宅間,2005),汚染茶葉から抽出した放射性セシウムの挙動を砂質土で試験した報告(Yuecel and OEzmen,1995),茶樹体内での部位別の放射性セシウム濃度を調査した報告(Topcuoglu et. al.,1997)等がある。しかし,国内の茶園土壌あるいは茶樹根圏における放射性セシウム動態については詳細な検討がなされていないことから,著者らは降下後6ヶ月後(1地点)および8ヶ月以後(5地点)の神奈川県内の茶園土壌における放射性セシウムの垂直分布調査を行ったので報告する。
著者
武岡 雅則 大槻 知明 岩橋 榮治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, 1996-03-11

光符号分割多元接続(CDMA)方式では,各ユーザーが同じ周波数帯を利用するためチャネル間干渉雑音が太きくなり,誤り率特性が劣化するという問題点がある.これを改善する一手法として拡張prime系列を用いたキャンセラが提案され,ナンバーステートモデルによるビット誤り率特性が穀告されている.本稿では,キャンセラシステムの光検出器にアバランシェフォトダイオード(APD)を用い,その出力電圧をガウス分布で近似した解析により,素数pが増加すると干渉除去能力が高くなり収容可能ユーザー数が増加すること,及び受信信号パワーが大きい時はナンバーステートモデルによる解析結果に一致することを定量的に示す.
著者
糸川 英夫
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1949

授与名簿の本タイトル: 音響イムピーダンスに依る微小変異測定に関する研究
著者
酒造 正樹 荒川 豊 下地 貴明 柴崎 望 Masaki Shuzo Yutaka Arakawa Takaaki Shimoji Nozomu Shibasaki
雑誌
DOCMAS = DOCMAS
巻号頁・発行日
no.B302, 2014-03-02

People under chronic stress cannot have appropriate care without self-reported health status. If their mental stress is quantitatively estimated with small sensors and data mining technologies, we can know their variation of mental state in their daily life. Sharing the information with others will help them not get worse. An application for smart phones which can check the variation of mental state as a life log is discussed in this paper.
著者
Takahisa YAMAMOTO Koshi MITACHI Takashi SUZUKI
出版者
社団法人 日本機械学会
雑誌
JSME International Journal Series B Fluids and Thermal Engineering (ISSN:13408054)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.610-617, 2005 (Released:2006-02-15)
参考文献数
13
被引用文献数
16 24

The Molten Salt Reactor (MSR) is a thermal neutron reactor with graphite moderation and operates on the thorium-uranium fuel cycle. The feature of the MSR is that fuel salt flows inside the reactor during the nuclear fission reaction. In the previous study, the authors developed numerical model with which to simulate the effects of fuel salt flow on the reactor characteristics. In this study, we apply the model to the steady-state analysis of a small MSR system and estimate the effects of fuel flow. The model consists of two-group neutron diffusion equations for fast and thermal neutron fluxes, transport equations for six-group delayed neutron precursors and energy conservation equations for fuel salt and the graphite moderator. The following results are obtained: (1) in the rated operation condition, the peaks of the neutron fluxes slightly move toward the bottom from the center of the reactor and the delayed neutron precursors are significantly carried by the fuel salt flow, and (2) the extension of residence time in the external-loop system and the rise of the fuel inflow temperature show weak negative reactivity effects, which decrease the neutron multiplication factor of the small MSR system.
著者
小松 彦三郎
出版者
京都大学数理解析研究所
雑誌
数理解析研究所講究録 (ISSN:18802818)
巻号頁・発行日
vol.1392, pp.246-249, 2004-09
著者
Viet-Ha Tran Takeshi Yatabe Takahiro Matsumoto Hidetaka Nakai Kazuharu Suzuki Takao Enomoto Seiji Ogo
出版者
(社)日本化学会
雑誌
Chemistry Letters (ISSN:03667022)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.794-796, 2015-06-05 (Released:2015-06-05)
参考文献数
37

We report the first example of a Ni0 precursor that provides a contamination-free (<1%) nickel film by metal–organic chemical vapor deposition (MOCVD) using N2 as the carrier gas. The structure and physical properties of the Ni0 precursor and subsequent film are described.
著者
三崎 文夫 林 恭平 渡辺 能行 川井 啓市
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化機病學會雜誌. 乙 (ISSN:13497693)
巻号頁・発行日
vol.80, no.12, pp.2504-2511, 1983

嗜好品の摂取状況と潰瘍発症の関係を検討するため, 内視鏡検査直前にアンケート調査を行い, 男性胃潰瘍 (GU) 136例, 胃•十二指腸潰瘍 (GDU) 38例, 十二指腸潰 瘍(DU) 84例について, 発症前の煙草, アルコール, 香辛料, コーヒー, 紅茶, 牛乳の摂取状況を対照 (正常, 萎縮性胃炎) 65例と比較検討した. 症例全体での比較, 性•年齢でのマッチド•ペアによる比較, 2因子の組合せでの比較, 標準化相対危険度を検討し, 煙草がすべての潰瘍に強い危険因子であり, 香辛料がGUで, コーヒーがDUで, アルコールが他因子との組合せでGUの危険因子になりうることを認めた.
著者
河合 蘭
出版者
医学書院
雑誌
助産雑誌 (ISSN:13478168)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.498-503, 2015-06-25

前回に引き続き,2015年3月に発表された少子化対策の基本方針「少子化社会対策大綱」に盛り込まれた「妊娠・出産の医学的・科学的に正しい知識の教育」についてお伝えしていく。 前回は,知識の普及についてこれまでの変遷を見てきた。それは,すでに出産年齢にある女性を主な対象とし,「本や雑誌を買う」「講演に行く」などの自発的な行動に期待するものだった。行動した人はすでにある程度の危機感をもっていた。
著者
伊古田 博嗣 岡田 孝一郎 黒木 由貴子 新垣 雄光
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.80-80, 2005

海水中の過酸化物の生成起源は、海水中での光化学反応と大気中の過酸化物の海水への乾性沈着、雨の日は大気中の過酸化物の雨水中への溶け込みとその湿性沈着などが考えられている。また、海水中でのオゾンの生産量、光活性物質の濃度、入射光、海面での透過度や光の波長域などの因子が大きく影響していると報告されている。そこで、本研究では晴れの日の海水中の過酸化物のソースを明らかにすることを目的に以下の3項目について研究を行った。まず、海水中の過酸化物に対する海水の循環や潮汐の影響を考察する。次に、乾性沈着の影響を考察する。さらに、大気中の過酸化物の日周変化を測定し、過去の測定結果との比較を行う。