著者
田中 元 鈴木 哲也
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.209-218, 2014

<p> 中高理科教員の免許を取得できる大学の教育系/理学系学部それぞれに於いて化学関連シラバスを調査し、化学用語をノードとしたマップを作成した。今回、マップ作成に当たりノードだけでなくエッジのウエイト評価も行い、マップに採用するノードの選別により妥当性を持たせた。このマップを基に、理学系を教育系の対照とした分析を行い、将来の理科教員に求められている化学リテラシーの姿に迫ろうというものである。結論として、教育系に於ける化学教育はミクロ的領域からマクロ的領域へと理論化学を横断する形を主とし、そこから外れる他の要素の比重は有意に小さいことが挙げられる。ここに見られるものは、化学の使われ方よりも、化学そのものを教えるという目的である。教育系における化学教育の現在の形に於ける改良点、他の方向に向いた発展の可能性が、本研究により示される可能性がある。</p>
著者
礒崎 真英 小西 信幸 黒木 誠 野村 保明 田中 一久
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.354-363, 2004-07-15
被引用文献数
5 10

慣行的なかけ流し方式のロックウールシステム(慣行区)と、我々が開発した培養液をできる限り栽培系外への廃棄量を減らすロックウールシステム(改良区)を用いて、トマト'ハウス桃太郎'の9段穫り栽培を行った。改良区の栽培系外への廃液量は慣行区の9.8%で、大幅に廃液量が削減された。各成分の廃棄量も著しく削減され、削減率はNO3-N 93%、P 99%、K 98%、Ca 87%、Mg 89%、NH4-N 99%であった。改良区の茎長、茎重、葉重および収量は慣行区のそれらと差異がなかったが、茎径は慣行区よりやや細くなり、3果房より上位の果房の平均果実収穫日が3-7日遅れた。改良区では、培地中のCa、Mg、S、Bは、慣行区より2-3倍高い濃度で推移したのに対して、Pは栽培全期間を通して、Kは栽培前半において、それぞれ慣行区より低い濃度で推移した。このPおよびK濃度の低下が茎径が細くなり果実収穫日が遅れた要因の一つであると考えられるので、給液の最適PおよびK濃度についてはさらに検討する必要がある。また、Na濃度は、慣行区では20mg・lier-1前後で推移したのに対して、改良区では栽培後半から次第に上昇し、栽培終了時には135mg・lier-1に達した。今後、改良ロックウールシステムでのトマトの生育・果実収量と原水のNa濃度との関係について明らかにする必要がある。
著者
郡 千寿子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.110, pp.1-8, 2013-10

山形県立博物館の分館である教育資料館には、近世江戸時代の文献資料が多数保存されている。継続的に行ってきた北東北地域の文献資料の研究調査を背景にして、本稿では『改正絵入南都名所記』について紹介する。現在の奈良、古くは大和や南都とも呼ばれた地域を紹介した地誌資料には、この『改正絵入南都名所記』のほかにも多種多様の資料が存在しているが、それらにも触れつつ、当該資料の価値について検討考察を行った。山形県立博物館教育資料館所蔵の『改正絵入南都名所記』については、『国書総目録』『古典籍文献目録』にも記載がなく、従来まで未見未詳のものであり、紹介することに意義があるだけでなく、東北文化圏における関西文化受容という意味においても、注目すべきものであることを指摘した。加えて、東京都立中央図書館特別文庫所蔵(加賀文庫)の『南都名所記』との比較検討を行い、それぞれの資料の特質について提示した。
著者
渡辺 優子 酒井 千恵 清水 英世
出版者
岐阜市立女子短期大学
雑誌
岐阜市立女子短期大学研究紀要 (ISSN:09163174)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.119-121, 2004

The purpose of this study is to examine oxidative degradation of frying oils used in the cooking practice done in July,2004 from May in Gifu City Women's College. The results are as follows. (1) Peroxide Value was 4.49 or less. (2) Acid Value was all 0.5 or less. (3) The frying oils examined this research was confirmed the safe one on food sanitation.
著者
市川 和昭
出版者
名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.121-130, 2012-03-31

油脂は酸化的劣化や加熱劣化などにより風味および栄養価の低下を引き起こしやすく,さらには食中毒を引き起こすことがある.従ってフライ油などは劣化の程度を適切に判断して新油に交換することが必要である.油脂の加熱劣化の反応は複雑であり一つの分析手段のみでは評価することができないので,過酸化物価(PV)+カルボニル価(CV)+酸価(AV)指標によって加熱油を評価することを試みた.ヨーロッパ等で用いられている極性化合物量(PC%)と比較しながら評価した.PV+CV+AV指標とPC%は非常によく相関した.決定係数R2はエゴマ油0.99,大豆油0.95であった.廃棄基準とされる PC25% に相当する PV+CV+AV 指標は約60 meq/kg であった.CV 及び AV もそれぞれ PC% と比較的によく相関した.エゴマ油は自動酸化が速く進行したが,今回の加熱劣化試験では各分析値,PV+CV+AV 指標及び着色が大豆油やジアシルグリセロール油(DG 油)に比較して劣ることはなく,またエゴマ油中のトコフェロール量は大豆油やジアシルグリセロール油(DG油)に比較してゆっくり減少した.実際の厨房の処理油はモデル実験の加熱油に比較して AV が著しく高いものがあったが,これは揚げ種からの水分による加水分解の影響と思われる.この現場の油のプロットはモデル実験の加熱油の PV+CV+AV 指標と PC% のプロットの直線から外れた.
著者
趙 姍姍
巻号頁・発行日
2014-06-30

Hokkaido University(北海道大学). 博士(法学)
著者
岡部 宏行
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.27-32, 1963-03-30

Purpose : The purposes of this study are, first, to treat unbalanced diet of children by Image-association method, and secondly, to form experimentally unbalanced diet of adults who show aversion of the milk, remove it and investigate the effect of the Image-association method and Post hypnotic suggestion. Procedure : According to this purpose the following process is taken (1) The children who have unbalanced diet were selected by means of a check list for unbalanced diet of children and treatment was given only to ten children who wanted it, by Image inducing method, Amnesia method, Direct suggestion method, Motion picture method, Age regression method, Inducing dream method and so on. (2) a. Two boy and three girl students of a college, who liked milk and were not recognized to have unbalanced diet, were selected. Everyday they were led to hypnotism half an hour and by the Image-association method and Post hypnotic-suggestion the negative attitude against milk was formed. Only after examination it was removed. b. Two boy students of a college were selected who liked milk and were not recognized to have unbalanced diet. Their dislike of milk was formed through negative suggestion and they were left as they were in order to see the process of natural removement of the suggestion. Results : (1) During this investigation period, eight children out of ten received complete treatment. By investigation six months later one out of the ten returned to the former state. Therefore the treatment percentage reduced to 70%. The difference between the experimental group and the control group was significant. (2) a. After giving the students negative suggestion for the third time it became just impossible for them to drink the milk. Even after the third time by giving removing suggestion it became possible. b. Their negative attitude against milk was seen the third or fourth time. Then it was left as it was, and S 1 was restored to the former state on the 24th day and S 2 on the 5th.
著者
岩本 憲司
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学紀要 (ISSN:03899543)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.105-170, 1992-03-20

本稿は、何休『春秋公羊經傳解詁』の日本語譯である。譯出作業はかなり進んでいるが、紙面の都合で、今囘はとりあえず、(三) として、莊公十一年から僖公四年までを掲載する。以後、數年にわたって連載する豫定である。なお、本稿は、一九九一年度跡見學園特別研究助成費、及び三島海雲記念財團學術奬励金による研究成果の一部である。
著者
有井 治
出版者
成城大学
雑誌
成城大學經濟研究 (ISSN:03874753)
巻号頁・発行日
no.53, pp.69-84, 1976-03
著者
鶴川 直樹 縄手 雅彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.58, pp.75-80, 2011-05-13

我々は小学3年の脳性麻痺児の協力で数の概念が向上するようなツールを作成し検証している.協力者は知的発達に遅れがみられ,足し算が苦手であった.そこで,心的数直線を参考にした「すごろくゲーム」を作成し,協力者に行ってもらった.この「すごろくゲーム」には10や5のまとまりの理解や3つの数の足し算の理解を進めるようなイベント等を用意した.これを行った結果,5や10のまとまりの理解が進んだ.また,3つの数の足し算の能力にも向上がみられた.
著者
馬塲康夫 新里圭司 黒橋 禎夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.4, pp.67-74, 2008-01-22
被引用文献数
3

本稿では,検索エンジン基盤TSUBAKIを使って検索されたウェブページを,ページ中の複合名詞に注目して自動的にクラスタリングするシステムについて述べる.検索エンジン基盤TSUBAKI とは 日本語ウェブページ1億件を対象にした研究用途に主眼をおいた検索エンジンである.本クラスタリングシステムは,このTSUBAKIと連係することで,数千から数万件のウェブページを分類することが可能であり,さらに,豊富な言語情報を利用した高精度な複合名詞抽出を行うことが可能である.簡単な評価実験の結果,本システムを用いることでTSUBAKIの検索結果中で下位に埋もれているウェブページに対し効率よくアクセスできること,さらには,抽出した複合名詞が有用な情報へアクセスする際に有効であることがわかった.This paper describes a system that organizes a large number of web pages retrieved from the search engine TSUBAKI into clusters according to compound nouns extracted from the pages. TSUBAKI is a search engine infrastructure that can retrieve pages from 100 million web pages. Our clustering system deeply cooperates with TSUBAKI. This enables the system to generate clusters from several thousand web pages, and to give elaborate labels to the clusters. Experimental results showed that our system users can efficiently access low-ranked web pages in a search result obtained from TSUBAKI, and that generated labels navigate the users to information that they want.
著者
三宅 幹子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.42-51, 2000-03-30
被引用文献数
1

本研究では, 特性的自己効力感(GSE)が課題固有の自己効力感(SSE)の変容に及ぼす影響を検討した。実験1では, 72名の大学生をGSE尺度得点によってGSE高群とGSE低群とに分けた。さらに各群をポジティブFB条件, ネガティブFB条件, FBなし条件(統制条件)の3つの条件に割り当てた。ポジティブFB条件とネガティブFB条件では, それぞれボジティブまたはネガティブに操作されたフィードバックが与えられた。SSEの評定には3種の測度(予測される課題遂行量に基づき絶対的に評定されるSSE-A, 予測される偏差値に基づき相対的に評定されるSSE-R, 統合的に評定されるSSE-T)を使用したが, GSE群間に差が見られたのは, SSE-Aにおいてのみであった。SSE-Aの値は, ネガティブFB条件下でGSE高群の方がGSE低群よりも有意に高かった。他の2つのFB条件下ではGSE高群とGSE低群との間に有意な差はなかった。SSE-T, SSE-Rでは, いずれのFB条件下でも, GSE群間に有意な差はなかった。実験2では, 40名の大学生をGSE高群とGSE低群とに分け, さらに各群をネガティブFB条件, FBなし条件に割り当てた。やはり, ネガティブFB条件下でのみ, GSE高群の方がGSE低群よりもSSE-Aの値が高かった。SSE-T, SSE-Rでは, いずれのFB条件下でも, GSE群間に有意な差はなかった。さらに, 課題遂行量にも, ネガティブFB条件下でGSE高群の課題遂行量がGSE低群よりも多くなるという, SSE-Aと同様の変容パターンの傾向が見られた。これらの結果から, GSEの高さがSSE-Aの変容を通じて課題遂行に影響している可能性が示唆された。