著者
加納 光樹 篠原 現人 渋川 浩一
出版者
国立科学博物館
雑誌
Bulletin of the National Science Museum. Series A, Zoology (ISSN:03852423)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.39-46, 2003-03

Juveniles of a rare callanthiid fish genus Grammatonotus are described based on six specimens (18.6-22.8 mm SL) from Tosa Bay, Pacific coast off Shikoku Island, Japan; the occurrence represents the first record of Grammatonotus juveniles from the northern Pacific. Although we could not determine their certain species name, they were most probably identical with G. surugaensis, based on geographic distribution and osteological characters. The characters useful for identification of the juveniles of Grammatonotus are discussed with other Grammatonotus juvenile specimens from other areas.
著者
北場 育子 百原 新 松下 まり子
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.181-194, 2011
被引用文献数
1

奈良盆地西部の生駒市高山町稲葉に分布する大阪層群海成粘土層Ma2層から産出した花粉化石と大型植物化石に基づき,Ma2層が堆積した前期更新世MIS 25の古植生と古気候を推定した.当時の植生は,ブナ属やコナラ亜属を主体とする落葉広葉樹林が卓越していた.植物化石群のうち,最も温暖な地域に生育するハスノハカズラと,最も冷涼な地域に生育するサワラの分布域の気候から,当時の奈良盆地西部の気温条件を年平均気温約10~13℃と推定した.Ma2層に含まれるブナ属殻斗化石は,小型で基部が隆起する殻斗鱗片から,シキシマブナと同定した.微分干渉顕微鏡による観察から,シキシマブナ由来である可能性が高い同層準のブナ属花粉は,小さな粒径と粗い表面模様を持つ点で,現生のブナ属と異なることがわかった.また,奈良盆地と大阪湾周辺のMa2層のメタセコイア化石産出状況を比較・再検討した結果,大型植物化石の産出の有無や花粉の産出率に地域差があることが明らかになった.
著者
真鍋 博
出版者
美術出版社
雑誌
美術手帖 (ISSN:02872218)
巻号頁・発行日
no.234, pp.7-10, 1964-04
出版者
美術出版社
雑誌
美術手帖 (ISSN:02872218)
巻号頁・発行日
no.594, pp.p19-84, 1988-05
著者
北場 育子
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

地球磁場が気候に与える影響を検証するため、以下の研究を行った。1.複数の地磁気逆転を含む110~70万年前の大阪湾堆積物の古環境解析を行った。本年度は、特に、地磁気の逆転が起こらなかったステージ25の珪藻・硫黄・花粉を分析し、海水準と気候を復元した。また、先行研究による年代モデルの見直しを行い、より高精度な年代軸を入れた。さらに、アリゾナ大学で炭素同位体分析を行い、新たな古環境指標を得た。その結果、全体的な気候変化は、日射量変動に起因する氷体量変化によって生じる海水準変化と調和的な変動を示し、通常、地球の気候はミランコビッチ理論で説明できることを確認した。しかし、ステージ19と31では、最高海面期に日射量変化では説明できない寒冷化が生じていた。この寒冷化は、それぞれ、マツヤマ-ブリュンヌ地磁気逆転期と、ハラミヨサブクロン下限の地磁気極小期に一致しており、約40%以下への地磁気の減少が、約1~4℃の気温低下を引き起こしたことを明らかにした。成果の一部をGondwana Research誌に公表したほか、近日中にScience誌に論文を投稿し、国内外の学会で発表を行った。2.110万~70万年前に生育していたブナ属は、絶滅種を含むため、植物化石に基づく同時代の気候復元は困難であるとされてきた。そこで、この絶滅種の分類学的位置と生育条件を明らかにした。この成果は、第四紀研究に論文を公表し、国内の学会で発表した。3.インドネシアのハラミヨサブクロン下限相当層の花粉分析を行った。この層準では古地磁気強度を得ることが困難であり、地磁気強度と気候の関連を検証するには至らなかったが、地磁気逆転境界付近を境に、環境が大きく変化したことを明らかにした。このほか、共同研究として、新第三紀~第四紀の磁気層序と植生・気候変化に関する研究や、インドネシアのマツヤマ-ブリュンヌ境界付近の人類化石産出層に関する古地磁気・古気候学的研究を行い、論文を公表した。
著者
安達 真由美 水上 尚典 半田 康 多賀 昌江
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

一般に、外部の音は子宮に届きにくいが250 Hz(真ん中のドあたり)以下の音は届く。本研究では、チェロの曲を用い、妊婦がヘッドフォンを通して聴いている時と、妊婦が波のような音を聴いている間にスピーカーを通して音楽が提示された時の胎動の様子を、聴覚システムが完成する以前(27週齢以前)と以降(28週齢以降)で、18組の妊婦と胎児を対象に縦断的に比較した。その結果、28週齢以降において、ヘッドフォン提示時よりもスピーカー提示時の方が、安静時よりも頻繁に四肢が動いていた。また、28週齢以降には、妊婦がヘッドフォンで楽しい音楽を聴取しているときよりも優しい音楽を聴取しているときの方がより動いていた。
著者
一杉 太郎
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

超伝導体は金属光沢か黒色を呈する、というのが常識である。BCS理論に従うと、高い超伝導転移温度を有する物質はキャリア濃度が大きいため、可視光透明性が失われるはずである。しかし、我々は超伝導転移温度13.3 Kを示す、スピネル型LiTi2O4透明超伝導薄膜(可視光を透過する超伝導体)の合成に成功した。この物性を活用することにより、光エレクトロニクスと超伝導を組み合わせた新奇デバイスの構築が期待される。そこで本研究では、透明超伝導メカニズムの解明に取り組んだ。光学特性、電子状態評価、電子輸送特性評価を行い、高いキャリア濃度を有するにもかかわらず可視光透明性を示す理由を検討した。
著者
中村 直紀 根本 正之
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.27-33, 1994-05-13
被引用文献数
2 1

Eupatorium odoratum はキク科の多年生低木で熱帯アジアの焼畑放棄地にしばしば侵入し優占群落を形成する。焼畑放棄地でよくみられるベニバナボロギク、カッコウアザミ、ギョウギシバ、カタバミおよびE. odoratum の実生成長に及ぼす E. odoratum の他感作用とその庇蔭効果について検討した。石英砂を充填したポットに各植物の実生を移植し、その表面に粉末にした E. odoratum 生葉を添加して、これらを温室内の相対照度が各々100%、 30%、 10%の人口庇蔭条件下で栽培した。またE. odoratumの粉末の代わりに他感作用のみられない腐葉土の粉末を添加して同様の庇蔭条件で栽培し、両者を比較した。E. odoratum 粉末の添加と庇蔭の双方の処理を施した場合、キョウキシバを除く他の実生の成長は、庇蔭処理のみのものと比較してより強く抑制され、しかも抑制の程度は10%区の方が30%区より強かった。一方ギョウギシバの実生は庇蔭処理単独で著しく成長が抑制された。そのため庇蔭条件下での粉末添加による成長抑制効果は明らかでなかった。
著者
鹿園 直建 武藤 逸紀
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.6, pp.363-371, 2004-06-15
被引用文献数
1 2

東濃砂岩型ウラン鉱床地域の中新世瑞浪層群の堆積岩は,湖成層である上岐累層(20〜18 Ma),海成層である明世累層(16〜15 Ma),生渋累層(5〜0.7Ma)凝灰岩質泥岩,シルト岩相よりなる.土岐累肩巾の黄鉄鉱の量は多く,自形-半自形を呈し,硫黄同位体組成は非常に高い(δ<34>^S=+10〜50‰).一方,明世累層中の黄鉄鉱は量が少なく,フランボイダル状を呈し,硫黄同位体組成は低い(-28〜-5‰).この東濃地域の硫黄同位体の特徴と大きな砂岩型ウラン鉱床を胚胎するアメリカ西部のモリソン湖成層との鉱物学的・地質学的類似性より,中期巾新世(18〜16 Ma)の瑞浪地域での堆積・続成・ウラン鉱化作用は,アルカリ条件下で生じたことを示している.土岐累層の白形-半白形黄鉄鉱の高δ<34>^S 値は,高δ<34>^S 値を持つ硫酸イオンの還元により生じたものであろう.海水が湖水に浸入し,溶液中の硫酸イオン濃度が減少し,この硫酸イオンがバクテリアにより還元され,高δ<34>^S 値の黄鉄鉱が生成したのであろう.日本海が拡大し,西南日本の時計回りの回転が起こった中期中新世に,湖水環境から海洋環境へ変化し低温から高温-乾燥気候へと変化した時に湖水環境がアルカリ条件になったと考えられる.
著者
傳 康晴
出版者
千葉大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本年度は、人間同士の音声対話コーパスの分析を通じて、「命題要素+インタラクション要素」という観点から自然発話文の構造を記述することを目指した。その結果、以下の成果が得られた。・発話冒頭の語句の再開始 昨年度の成果により、発話冒頭に見られる語句の再開始(「たー、田中真紀子が、えーと、総裁選に出るんだって」)が、発話の滞りを聞き手に事前告知するための合図として機能することがわかったが、この事前告知を有標化する音の引き伸ばし(「たー」)が意図的なものであるか検討するため、類似した現象である語句の言い直し(「た、辻元清美が辞職したって」)と比較した。その結果、言い直しよりも再開始のほうが音の引き伸ばしは顕著であり、自己発話の滞りを話し手が事前に検知して告知するという意図的な方略であることがわかった。・非優先的発話の構造 依頼を断る場面など社会的に好まれない発話(非優先的発話)は、一般に、間延びしたり、回りくどい言い回しになることが知られているが、依頼そのものがぶっきらぼうであった場合には、さらに、呼応の隔りの調整のため、問い返しという方略がしばしば用いられることが実験的検討によってわかった。これは、非優先的発話では、発話が問い返しを含む複数のターンにわたって計画されることを示唆しており、単独文の文法規則によって自然発話文の構造を記述しようという本研究の限界を示し、今後の課題を投げ掛けるものとなった。
著者
神田 真司
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

生殖を制御するという報告があるキスペプチン神経系が持つその他の機能を包括的に理解するため、受容体を発現する細胞をGFPで可視化し、RNAseqによって同定するという新しいアプローチを用い、キスペプチンによって制御される神経系を同定した。また、この方法によって同定したニューロンに対して電気生理学的な手法によってキスペプチンの作用を解析した。キスペプチンによって、摂食や恒常性維持に関連するペプチド神経系、行動への関与が示唆されるペプチドニューロンに対し、持続的な脱分極を引き起こすことが示唆された。また関与が示唆されたいくつかの神経ペプチドについて、TALEN法によるノックアウト個体の作出を行った。

1 0 0 0 OA 祭具図式

著者
増田英治 編
出版者
増田英治
巻号頁・発行日
1893