著者
元木 博彦
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

急性心不全で入院加療を行った患者に心臓超音波検査、血清採取をおこなった。平成28年度末までに414名の心不全患者登録を行った。患者群の年齢は中央値で81歳、平均左室駆出率は48%でHFPEF症例が50%に認められた。今後800症例の登録完了後、前向きの予後調査を予定している。現時点では後方視的に解析をおこない、高齢者心不全、HFPEF患者の特徴を明らかにした。高齢者心不全患者は①高齢女性、②高血圧と心房細動を合併、③軽度の貧血と中等度の腎機能障害合併、④左室拡張末期容積低下が特徴であった。左心房機能解析可能症例としては76症例、うちHFPEF症例が28例、HFREF症例が16例であった。
著者
前川 道郎
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.108, no.1343, 1993-06-20
著者
吉良 史明
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本年度は、昨年度に引き続き、中島広足周辺の国学者の資料を調査収集することに専念した。また、集めた資料をもとに今年度の研究課題として示した二つのテーマに取り組んだ。以下にその詳細を記す。まず一つ目のテーマである中島広足と幕末の国学者の交流の模様に関して。今年度研究業績の図書に示した『近世後期長崎和歌撰集集成』において、広足が中央の著名な人物と親交を深める際には肥前諏訪神社宮司青木永章、長崎会所請払役近藤光輔の両人を介していたことを明らかにした。そしてさらに、永章と光輔の文事を明らかにすることに主眼を置き、研究を進めた。結果、現時点までに永章の文事の実態を明らかにしつつある。同人が長崎文壇の中心人物の一人であったこと、また京都の綾小路家より雅楽の伝授を受け、その雅楽を長崎の地に広めていたこと、さらに江戸の歌人と長崎の歌人の交流の仲立ちをしていたことを明確にした。結果、永章は中央の文化を長崎の地に伝え、長崎の文化的興隆に多大な役割を果たした人物であることを明示し得たかと思う。次に二つ目のテーマである幕末国学者の歌作の実体に関して。歌語「神風」は地名の伊勢にかかる枕詞として上代より近世後期に至るまで詠まれてきた。一方、幕末の国学者の間においては、神に仇するものを滅ぼす意味に詠じられていたことも事実である。そこで、何故かく歌語「神風」が変容して和歌に詠まれるに至ったか、広足とその周辺の国学者の歌、ならびに歌学を検証した。結果、近世後期に折しも『蒙古襲来絵詞』が復元され、折柄の外圧の高まりを受けて外寇史の考証が盛んに行われる過程において、神風に護られた国とする神国史観が構築されたこと、また万葉集の柿本人麻呂詠の高市皇子の挽歌を証歌として、歌語「神風」を神に仇するものを滅ぼす意味ととる解釈が幕末の国学者の間において盛んになされていたこと、神風は神国の象徴であり、挙国一致を図る上で欠かせないイデオロギーとして和歌に詠まれていたことを明らかにした。なお、その成果は、すでに学会発表として公にしている。以上、本年度は上記の二点に関して、研究を進め、近日中に論文に取り纏める予定である.
著者
大賀 寿郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.651, pp.41-44, 2006-03-06
被引用文献数
1

学会の役割としては研究討論のほか、産業界のための技術標準化への貢献も重要である。ここでは実例をあげて電気音響変換器の技術標準化の過程を解説する。
著者
H. C. Hottel
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学 (ISSN:03759253)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.77-88, 1962-01-05 (Released:2010-10-07)
参考文献数
13
被引用文献数
1
著者
椨 瑞希子 小玉 亮子 赤坂 榮 Hevey Denise Ang Lynn Schoyerer Gabriel Riedel Birgit
出版者
聖徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は、日本、ドイツ、イギリスの3か国における家庭的保育の実態を明らかにすることを通して、子どもの視点が欠落しがちな3歳未満児保育の望ましい在り方を探ることにある。文献調査を通じて、3国いずれにあっても、①私的な営みとして存在していたものが過去20年の間に既存の就学前施設と同等の法的位置づけを得たこと、②家庭的保育法制化の誘因は緊急かつ大幅な保育拡充政策であったこと、③法制化の道程と到達点は各国における保育の歴史的背景によって異なること、④家庭的保育の衰退もしくは停滞が認められること、を明らかにした。日独、日英研究者による合同調査を通して、家庭的保育者の働き方や意識の異同も確認した。
著者
小倉 匡俊
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本研究の目的は、動物園で飼育されている霊長類と鳥類を対象に認知科学的手法を導入し、認知能力の進化史を解明すること、および飼育環境を改善する環境エンリッチメントを開発することである。中でも、ヒトに特徴的な認知能力のうち道具使用行動に着目する。ヒトの進化の隣人である霊長類と、系統的に遠いが相同な行動を進化させた鳥類を対象として、道具使用行動の実験を実施し、背景にある認知能力の進化史を明らかにする。また、飼育環境の改善に不可欠である飼育環境に求められる認知要因の解明と環境エンリッチメントの発展にも貢献できる。こうした研究目的および昨年度までの実施状況に基づき、実施2年度目である本年度は東山動植物園を研究のフィールドとして、鳥類と霊長類を対象とした認知実験と行動観察を継続した。まず、鳥類を対象とした研究においては、本年度は簡単な刺激弁別課題をおこない、認知実験に必要な手順を学習させた。対象とした5個体のうち4個体で学習を完了できた。続いて道具使用行動についての実験に移る予定だったが、対象個体が繁殖期に入り実験の継続が難しくなったため、いったん中断した。霊長類を対象とする研究では、チンパンジー・ゴリラ・オランウータンの大型類人猿3種を対象として選定し、道具使用行動を採食場面に導入することによる環境エンリッチメントの評価を目的として、行動観察を実施した。平常時の行動時間配分および行動レパートリーについて分析をおこなった。行動観察のために開発したモバイルアプリケーションについて論文と学会発表で公表した。また、平行して共同研究者と協力しておこなったコアラの採食選好性などについての研究をそれぞれ学会発表として公表した。自身の研究分野について書籍で概説したとともに、学会発表で公表し、アウトリーチ活動として高校で出前授業をおこなった。
著者
浦野 直人 石田 真巳 西沢 正文 西沢 正文
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は未利用資源である褐藻廃棄物から効率的にバイオエタノールを生産するため、褐藻糖化酵母を創出することを目的とした。酵母と酵素の活性温度を一致させるため、海洋低温菌由来のラミナラナーゼを探索し、相模湾由来のPseudoaltermonas haloplankitis LAを単離した。LAのラミナラナーゼPhLamは活性部位下流にX1, X2, X2の繰返し配列を持つ新奇酵素であり、活性発現にXが必要であった。PhLamを酵母Saccharomyces cerevisiaeで表層提示したところ、組換え酵母は褐藻ラミナランの分解活性を持ち、ラミナランから直接的にバイオエタノールを生産した。
著者
佐藤 壽平
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.277-"373-8", 1938

抑々人體エアリテハ,解剖學上顔面頭蓋骨中ニ,其ノ大サ,位置,形状及ビ數ニ於テ,多少ノ個人的差異ヲ示ストハ雖,略々一定ノ配列ノ下ニ鼻腔ト連絡セル副鼻腔ノ存在スルハ周知ノ事實ナリ.元來此ノ副鼻腔ナルモノハ,胎生學上鼻腔ノ陷凹ニ依リテ發生スルモノナルガ故ニ,鼻粘膜ノ諸種病的變化ハ容易ニ副鼻腔粘膜ニ波及シ得ルモノナリ.之即チ吾人ノ日常最モ屡々副鼻腔疾患ニ遭遇スル所以ノモノニシテ,吾ガ専門領域ニ於テハ,該副鼻腔疾患ハ臨牀上最モ重要ナル位置ヲ占ムルモノノ一ツナリ.然ルニ現今尚該副鼻腔ノ有スル確然タル生理學的作用ノ定義ヲ下シ得ザルハ,吾人ノ最モ遺憾トスル所ナリ.茲ニ於テ各種動物副鼻腔ノ比較解剖學的研究ハ,其ノ生理學的作用ヲ探究シ,或ハ其ノ副鼻腔ニ關スル種々ナル實驗ヲ試ムルニ當リ必要缺ク可カラザルモノナル事ハ今更茲ニ喋々ヲ要セザル所ナリ.然ルニ從來ノ主ナル文獻ヲ渉獵スルニ,哺乳類ニ關シテハ,Paulli,S.,Eller,H.及ビRichter,H.,鳥類ニ於テハ,Beecker,A.,Lurje及ビBleicher,M.,兩棲類ニ於テハBorn,G.,Seydel,O.及ビNemours,P.R.等ノ研究ヲ擧ゲ得レドモ,何レモ本問題ノ核心ニ觸レザルモノノミニシテ今日迄ニ尚動物ノ副鼻腔ニ關スル詳細ナル系統的研究ナルモノハ未ダ發表セラレザルノ現状ナリ.コノ時ニ當リ,本研究ガ聊々ナリトモ學會ニ貢獻スル所アランカト思惟シ,中村教授指導ノ下ニ本問題ニ着手シタル所以ナリ.以下簡單ニ成績ヲ報告シ以テ諸先輩諸賢ノ御批判ヲ仰ガントスルモノナリ.實驗動物ハ哺乳類ヨリ犬,猫,家兎及ビ海〓ヲ,鳥類ヨリ鶏,鳩及ビ雀ヲ,兩棲類ヨリハ蛙及ビ山椒魚ヲ選擇セリ.實驗方法トシテハ,哺乳類及ビ鳥類ニアリテハ先ヅ動物ヲ斷頭,固定後,顔面及ビ頭蓋骨ニテ蔽ハレタル頭部ヲ取リ出シ,夫々基準線ヲ定メ,其ノ上方及ビ左右兩側ヨリ直視シタル圖ヲ描キ,次デ脱灰水洗後一定量ノ白蝋並ニ寒天ニテ該頭部ヲ包裏シタル後,本學解剖學教室島田教授ノ御創案ニ係ル腦截斷器ヲ拜借シ,前額面ニ於テ基準線ニ直角ニ2mm乃至3mmノ厚サヲ有スル連續切片ヲ作成シ,各斷面ヲ直接描寫シテ得タル各斷面圖ヲ基礎トシテ副鼻腔ノ位置ヲ記入セリ.次ニ容積ハ石膏ニテ作リタル頭部全體ト其ノ副鼻腔トノ模型ヲ夫々ぱらぷいんヲ以テ充分浸漬セシメタル後,比重天秤ヲ應用シテ測定セリ.兩棲類ニアリテハ,上述ノ如キ操作困難ナルガ故ニ,之レ等ハ凡テちえろいぢん包裏法ニ從ヒ,前額面ニ於テ切斷シテ得タル標本ヲ以テ觀察セリ.尚各種動物ノ副鼻腔粘膜ハ,ちえろいぢん又ハぱらふいん包裏法ニヨリテ得タル標本ニ就キ比較セリ.以上ノ實驗方法ニ基ヅキテ檢索セシ結果ヲ概略述ブレバ凡ソ次ノ如シ.1.哺乳類ニ於テハ,共ノ副鼻腔ノ種類及ビ數ハ各網目ニ依リ異ナル.即チイ.哺乳類中,食肉類ニ屬スル犬及ビ猫ニアリテハ,完全ナル副鼻腔トシテハ上顎竇及ビ前額竇,不完全ナルモノトシテ蝴蝶竇及ビ篩骨竇ヲ區別シ得.ロ.哺乳類中,噛齒類ニ屬スル家兎及ビ海〓ニアリテハ,完全ナル副鼻腔トシテハ上述食肉類ノ上顎竇ニ一致スルモノ唯々一ツ認メラルルノミナリ.不完全ナルモノトシテハ家兎ニ於テハ蝴蝶竇及ビ篩骨竇ヲ,海〓ニ於テハ篩骨竇ノミヲ列擧シ得.2.鳥類ニ於テハ,其ノ副鼻腔ノ種類及ビ數ハ各網目ニ依リテ著シキ差異ヲ認メズ.即チイ.實驗ニ用ヒタル凡テノ鳥類即チ鶏,鳩及ビ雀ニ於テハ常ニ哺乳類ノ上顎竇ニ一致セル副鼻腔唯々一ツ認メラル.ロ.鳥類ノ副鼻腔ハ特有ニシテ,次ノ諸點ニ於テ哺乳類ノ上顎竇ト區別シ得ラル.即チi)鳥類ノ副鼻腔ハ外皮ニテ蔽ハレタル軟部組織ニ依リテ副鼻腔外側ノ大部分境界セラル.ii)眼窩底ニ迄擴大シ,所謂Sinus infraorbitalisヲ形成ス.iii)鳥類中特ニ鳩ニアリテハ,所謂Sinus infraorbitalisナルモノハ明ニ區別セラレ,極メテ狭隘ナル間隙ヲ以テ副鼻腔ト連絡ス.即チ先ヅ自然ロヨリSinus infraorbitalisニ開ロシ,然ル後,上顎竇ニ相當スル副鼻腔ニ連絡ス.之レ其ノ他ノ島類即チ鶏及ビ雀ト異ナル點ナリ.iv)鳥類中,鶏ニ在リテハ,哺乳類ニ於ケル前鼻甲介ニ一致スル上甲介ナルモノアリテ,コノ外側ニハ1ツノ腔胴アリ.副鼻腔ハ何等著明ナル限界ナクシテ,コノ腔胴ニ移行ス.之レ即チ鶏ノ副鼻腔ガ噛齒類殊ニ家兎ノ副鼻腔ト相通ズル點ナリ.如何トナレバ,噛齒類ニ於ケル副鼻腔モ亦其ノ前鼻甲介内ニ存在スル袋状ノ腔胴ニ連絡スレバナリ.v)鳥類中,鶏以外ノモノ即チ鳩及ビ雀ニアリテハ,鶏ノ如キ上甲介ヲ有セズ,從ツテ鶏ニ於テ認メラルルガ如キ副鼻腔ノ擴大状況ヲ呈セズ.3.兩棲類ニ於テハ,其ノ副鼻腔ノ種類及ビ數ハ各綱目ニ依リテ著シキ差異ヲ認ム.即チイ.兩棲類中,蛙ニ於テハ,中腔並ニ下腔ト稱スル副鼻腔アリテ,下腔外側ノRecessus lateralisガ哺乳類ノ上顎竇ニ相當スルモノナリ.ロ.兩棲類中,山椒魚ニアリテハ,明ニ完成サレタル副鼻腔ヲ具備セズ.只鼻腔外側ニ,恰モ蛙ノRecessus lateralisヲ想像セシムル如キ裂隙認メラルルノミ.4.實驗ニ供シタル各種動物ニハ,其ノ發育程度種々ナルモ,1ツノ共通ナル副鼻腔即チ上顎竇ニ一致スルモノヲ認ム.5.該上顎竇ト其ノ周圍臟器トノ關係ヲ觀ルニ,哺乳類及ビ鳥類ニアリテハ眼窩ト密接ナル解剖學的關係ヲ有スレ共,兩棲類ニアリテハ然ラズ.又齒列ニ對シテハ,家兎及ビ海〓ニアリテハ,第1乃至第3臼齒之レニ接近スレ共,其ノ他ノ動物ニアリテハ關係僅少ナリ.6.該上顎竇自然孔ノ鼻甲介ニ對スル位置ハ,哺乳類及ビ鳥類ノ間ニ於テ一見著シキ差異アル觀ヲ呈スルモ,比較解剖學的見地ヨリ觀レバ,兩者ノ間ニ甚シキ差異ヲ認メズ.兩棲類ニアリテハ,獨リ,此等ト全ク異ナリタル關係ヲ有ス.即チイ.該上顎竇自然孔ハ,哺乳類ニ於テハ下甲介後端ノ上方ニ,鳥類ニ於テハ,哺乳類ノ下甲介ニ一致スル中甲介後端ノ上方ニ位ス.ロ.兩棲類中,蛙ニ於テハ,該上顎竇ニ相當スルRecessus lateralisハ判然タル境界ナクシテ下腔ニ移行ス.ハ.兩棲類中,山椒魚ニ於テハ,蛙ト同様ニ,自然孔トシテ認メラル可キ境界ナクシテ鼻腔ニ移行セル副鼻腔ヲ想像セシムル裂隙アルノミ.7.該上顎竇自然孔ノ形状ニ關シテハ,哺乳類及ビ鳥類ノ間ニ於テ,何等著シキ差異ヲ認メザルモ,副鼻腔,鼻腔底或ハ竇底ニ對スル位置的關係ハ兩者ノ間ニ於テ著シキ差異ヲ認ム.即チイ.哺乳類及ビ鳥類何レニ於テモ,上顎竇自然孔ハ半月状ノ狭隘ナル裂隙状ヲ呈ス.ロ.家兎ヲ除ク其他ノ哺乳類ニアリテハ,凡テ上顎竇自然孔ハ副鼻腔ノ前端ニテ竇底並ニ鼻腔底ニ近ク,共ノ半月状自然孔ノ彎曲面ヲ前方ニ向ハシメテ存在シ,副鼻腔上顎竇全體ニ比シテ比較的大ナル周圍ヲ有ス.ハ.家兎ニアリテハ,該自然孔ハ副鼻腔ノ稍々中央ニテ竇底並ニ鼻腔底ヨリ遙カ上方ニ位シ,共ノ彎曲面ハ後方ニ向フ.ニ.鳥類ニアリテハ凡テ,家兎ト等シク其ノ自然孔ハ竇底並ニ鼻腔底ヨリ遙カ上方ニ位スルモ,其ノ彎曲面ヲ上方ニ向ハシメ,略々副鼻腔ノ上方ニ開ロス.8.該上顎竇自然孔ノ副鼻腔ニ連絡スル状況ハ動物ノ種類ニヨリ異ナル.即チイ.哺乳類及ビ兩棲類ニ於テハ,直接自然孔ヨリ副鼻腔ニ至ル.ロ.鳥類中,鶏及ビ雀ニ於テハ,先ヅ,前眼窩壁ニ沿ヒ,自然孔ヨリ後下方ニ走行セル極メテ短キ且狭隘ナル裂隙状ノ管ヲ介シテ,眼窩底ニ迄擴大セル上顎竇ニ開ロス.ハ.鳥類中,鳩ニ於テハ特有ニシテ,先ヅ,自然孔ヨリSinus infraorbitalisニ至リ,然ル後上顎竇ニ連結ス.9.粘膜ノ構造ニ就テハ,鳩ヲ除ク上記凡テノ動物ニ於テハ,單層纎毛圓柱上皮ニヨリテ蔽ハル.但シ鳩ハSinus infraorbitalisノ範圍ニ於テハ,他ノ動物ト同様ナレ共,上顎竇部ニ於テハ單層骰子形,纎毛ヲ有セザル上皮ニヨリ蔽ハル.上皮間ノ杯状細胞ハ鳩及ビ雀ヲ除ク凡テノ動物ニハ存在ス.固有膜ニテハ,哺乳類ノ上顎竇ニノミ多數ノ腺ヲ有ス.血管ノ分布状況ハ,犬,鶏及ビ蛙ニ於テハ比較的多ク,其ノ他ノ動物ニ於テハ少數ナリ.10.最後ニ,犬及ビ猫ニアリテハ上顎竇及ビ前額竇,其他ノ哺乳動物及ビ鳥類ニアリテハ,上顎竇ニ相當スル副鼻腔ノ顔面頭蓋全體ニ對スル容積ノ比ヲ求メタルニ,凡テ極ク僅カノ價ヲ示スノミナリ.11.以上ノ實驗殊ニ粘膜並ニ容積ノ比較研究ヨリシテ,副鼻腔ナルモノハ,吸氣殊ニ深呼吸ノ際ニ空氣ヲ温メ、且濕潤ナラシムトノ學説ヲ支持スレ共,頭蓋ヲ輕減ナラシムトノ學説ニ對シテハ寧ロ支持セザルモノナリト思考ス.
著者
田中 東子
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.40-57, 2003

This paper aims to reconsider how the body is gendered and represented in the media program, in particular the media program of the Olympic Opening Ceremony. And then to ask the idea that the body is in actual existence a priori and its representation is the reflection, echo and effect of that body previous to its representation, I adopt the approach that the gendered bodies are constructed by and through its repetitive representations in the media and being constructed with the repetitive performances by speech acts and physical acts in the relations between social and cultural power and the various cultural configurations. This "gender constructivism" approach makes it possible to clear the reason why we can interpret an certain body's representation as "the female body" without any suspicions and on the other hand how we can change the gendered flame in the media program.
著者
山本 薫子
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

バンクーバーDTES地区および横浜寿町地区はともにかつて日雇い労働者の街だった地域だが、生活困窮者、ホームレスの割合が増し、生活保護受給者数も大幅に増加した(「福祉化」)。一方で、公的支援、民間部門による支援活動も活発に展開されてきた。カナダでは障がい等を抱えた生活困窮者への福祉支援としてハウジングファースト施策が導入されたが、そのことは都市下層地域であるDTES地区に外部からさらに多くの生活困窮者を集中させる結果となった。また、横浜市においても市内他地域から生活保護受給を理由として寿町地区へ移住する者が増えている。これらの人々の中には衣食住は満たされていても社会的に孤立している者も多い。
著者
樋口 貴俊
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本研究では、熟練した野球打者の投球視認能力を空間的な正確さと時間的な正確さに分けて分析することを目的として、以下の2つの実験を行った。まず、実験1では、空間的な投球視認能力の解明を目的として、大学野球選手9名を対象とし、ボールが投じられてから一定時間後に透明な状態から不透明な状態へと変化する視界遮へいメガネを打者に装着させた状態でピッチングマシンから投じられたボールを見送った後に、バットでボールの通過位置を示す課題を行わせた。実際にボールを打つ際と同程度の視覚情報のみを打者に与えるために、投球がホームプレートに到達した時点で遮蔽メガネが不透明状態になるように設定した。バットとボールの位置を2台の高速度カメラで記録した画像から計測した結果、バット長軸方向よりもバット短軸方向のボールとバットの距離の方が有意に大きかった。このことから、投球の高さを認識する能力が打者のパフォーマンスの優劣に大きく影響する可能性が示唆された。次に、実験2では、時間的な投球視認能力の解明を目的として、大学野球選手12名に、捕手方向から撮影した投球映像を呈示し、画面上に引いた線とボールが重なる瞬間にボタンを押す課題を3つの異なる球速の映像で合計90試行行わせた。毎試行直後にボタンを押した時間と正解時間との差を呈示し、次試行での修正ができるようにした。各条件の最初の10試行は各被験者が試行錯誤を行うと仮定し、分析対象外とした。いずれの条件においてもボタン押しのタイミングは実際のボール到達よりも早く、ボール速度が遅い条件の方が時間的誤差も大きかった(高速球条件 : -9.1ms, 中速球条件 : -9.91ms, 低速球条件 : -13.2ms)。投球視認できる時間の長い条件において時間的誤差が大きかったことから、投球視認時間が長くても時間的な正確さは改善されない可能性が示唆された。
著者
T. Nakai
出版者
The Botanical Society of Japan
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.504, pp.556-566, 1928 (Released:2011-01-26)
被引用文献数
2
著者
伊藤 正紀 本間 定 小井戸 薫雄 芝 清隆
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

細胞性免疫ワクチンには、アジュバントが必須であるが、副作用が指摘されている。アジュバントフリーワクチンを作成するため、これまでに抗原提示細胞への抗原取込能力(物理アジュバント機能)を包含した抗原を作成してきた。本研究では、物理アジュバント機能に加えて、抗原提示細胞を成熟化させる信号アジュバント機能を抗原自身に付与した。試験管内の実験では、抗原提示細胞の成熟化機能が発揮されたが、動物実験では信号アジュバント付与による物理アジュバント機能の低下が影響し、細胞性免疫の誘導が得られなかった。アジュバントフリーワクチンを作成するためにはアジュバント機能を最適化して抗原に導入する必要が明らかとなった。
著者
杉木 明子
出版者
神戸学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は多くの難民が第一次庇護国で長期難民状態となっている状況をふまえ、特に長期的難民が集中しているアフリカ難民受け入れ国に対する支援方法、及び難民保護の「負担分担」に対する国際協力の可能性を多角的に検討した。アフリカに居住する難民および難民受け入れ国のニーズと、ドナー諸国の動向という2つの側面から分析することにより、現在のアフリカにおける難民保護レジームの限界を明らかにし、今後の課題を提示した。
著者
植村 幸生 薩摩 雅登 小島 直文 尾高 暁子 松村 智郁子 久保 仁志 佐竹 悦子 塚原 康子
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

大学附設の民族音楽アーカイブを拠点とし、地域の邦楽器製作者や販売者らとの協働を前提に、邦楽専門家を擁する拠点大学の地の利を生かして、当該地域の児童生徒や学内学生むけ地域文化プログラムの開発と提案を行った。具体的には、下町の邦楽器製作業者/職人への取材をもとに、楽器製作や技の継承をめぐる今日的課題を明らかにし、これに関する問題意識を次代を担う若い世代に喚起すべく、展示と実演の場を設けた。同時に、邦楽を含む下町の伝統芸能や儀礼について、広義の担い手・上演場所・機会を項目とするデータベースを作成し、邦楽を育んだ土壌を通時的に俯瞰する手だてを、アーカイブから発信する準備を整えた。