著者
北山 陽子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

原核生物であるシアノバクテリアは、概日リズムを持つことが知られており、光合成活性や細胞分裂が約24時間周期で自律的に振動する。シアノバクテリアの多くの遺伝子の発現は概日時計に制御されており、24時間周期リズムでもって発現していることが知られている。シアノバクテリアの概日時計は、KaiA, KaiB, KaiCという三つの時計タンパク質によって構成されている。本研究では、概日的な遺伝子発現制御の大元である概日時計本体の周期が、どのような仕組みで調節されているのかを解明することを目的としている。概日時計の周期は、一般的に光照度に依存して変化するという性質を持つ。シアノバクテリアは照度が高くなるほど、周期が短縮する。平成27年度は、kai遺伝子に点変異を導入し、その周期が24時間から変化したシアノバクテリアを複数選別し、その周期変異体群から解析に適したものを探した。さらに、変異部位を同定し、光照度に依存した周知長変化の観察および遺伝子発現活性の測定を行った。
著者
渡辺 一徳 小野 晃司
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.75, no.7, pp.365-374, 1969-07-25
被引用文献数
6 12 5
著者
兼清 健志 井出 千束 中野 法彦 鈴木 義久
出版者
藍野大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

脊髄損傷モデルラットを用いて、骨髄間質細胞の培養上清の投与によって神経が再生する際、神経細胞に対する直接な効果だけでなく、シュワン細胞の浸潤や損傷部周辺のアストロサイトが活性化することを明らかにした。培養アストロサイトを用いて in vitro での骨髄間質細胞の影響を調べたところ、骨髄間質細胞の培養上清の添加によってアストロサイトによる炎症性ケモカインの産生が抑えられていた。また、脳脊髄液を産生し中枢神経系の維持に重要であるグリア細胞の一つである脈絡叢上皮細胞も骨髄間質細胞によって一部の栄養因子の産生が増加した。さらに、この脈絡叢上皮細胞の培養上清を脳脊髄液経由で投与し、神経再生を確認した。
著者
倉重 光宏
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.401-407, 1983-05-20 (Released:2011-03-14)
参考文献数
9

本論文は, 低速度のビームランディングに固有のセルフシャープニング効果が撮像管の解像度決定にどう寄与するかを明らかにすることを目的として, 同効果を支配する代表的な3つのパラメーターである, ターゲット蓄積容量, 信号電流, 走査線ピッチを選び, その影響を実測, および筆者が確立した解析理論により検討したものである. その結果, (i) セルフシャープニング効果は上述した3つのパラメーターに顕著に依存し, 例えば代表的な撮像管の設計に見られる蓄積容量数千pFのターゲットに対して数十%の解像度改善をもたらすこと, (ii) しかし, 本効果は蓄積容量が3000pF以上の場合や信号電流が数10nA以下では消滅すること, また (iii) 走査線本数を適度に増やすと本効果によって垂直解像度が顕著に改善されることなどが実測, 理論とも一致した結論として得られ, 今後の撮像管設計や撮像管の使いこなしに必須の貴重な指針が得られた.
著者
大原 隆明 神戸 敏成 中田 政司
出版者
公益財団法人花と緑の銀行
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

北陸地方における菊咲き性サクラ栽培品種群の調査の結果、樹齢40年以上の古木が44個体確認された。中には4新品種が含まれており、3品種をニュウゼンオトメキクザクラ、ショウホウジキクザクラおよびシママチキクザクラと命名した。二季咲き性1新品種は‘コシノフユザクラ’として品種記載を行った。芽接ぎ法については活着率11.8%と低い値であり、芽接ぎでの増殖は効率の良い方法ではなかった。組織培養については、実験に用いた10品種すべてにおいて、成長点からシュートを誘導することに成功した。最も効果的な培地は1 mg/l BAPおよび5 mg/l GAを添加したWP培地であった。
著者
柴田 和彦
出版者
山形県立鶴岡工業高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

1、研究目的環境保全の立場から地方農村住宅の変容を考察し、その中から伝統的かつ環境共生的住まいを持続してきた事例を発見し、伝統的空間や住まい方への回帰の実態を把握すること。2.研究方法1995年から調査した庄内地方農村住宅(107件)と旧由利郡の農村住宅(2005年調査96件)の中から、伝統回帰傾向にある住宅を抽出しその特徴を明らかにする。また、新旧住宅の対比及び鶴岡市の大工業を営む人達への伝統と環境共生についての意識調査からもアプローチする。3、研究成果庄内地方農村住宅の変容過程では、瓦屋根の継続需要、板張り嗜好、和室嗜好、鍵座敷回帰などの実態が明らかになった。また、旧由利地方では昭和50年頃中門総2階が発生し、南部曲屋系中門造りの影響と思われる伝統回帰現象の存在が確認できた。環境共生住宅調査から、豊かな自然環境の中、住宅そのものが自然の一部であると感じられる事項が多く見受けられた(下見板張り、セガイ造り、縁側の多用、座敷構成、瓦屋根、無垢材の使用、古材利用、自然換気重視、漆喰壁の採用)。周囲の屋敷は、防風林、沢水の敷地内への引き込み、食用植物の栽培(山椒、柿、椎茸、孟宗竹・・)など自然環境を見事に生かしていた。新旧比較では、鍵座敷や続き間の利用、仏壇位置の固定、ハレとケの明確な空間意識、外壁の下見板張りと漆喰壁嗜好、縁側の設置、三列型・四列型の継承など前住宅の強い影響が見られた。一方、環境共生のマイナス面は、過剰な車の保有、敷地内全面舗装化、ブロック塀や単管パイプによる防風柵、樹木伐採の増加などの問題があり、特に高齢化による維持管理の困難さが浮き彫りになった。最後に、大工さんへのアンケート結果からは、現代の高気密高断熱などの手法に矛盾を感じながらも、自然環境を生かした木造住宅の造り方を継承したいと考えていることがわかった。以上により、今後の農村住宅の目指すべき姿は「昭和30年代の環境と共生した伝統的木造住宅」ではないかと考えている。
著者
澤田 剛 MALIK A.K. MALLIK A.K.
出版者
熊本大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

環境科学、食品科学、臨床医学などの分野で重要な物質の幾何異性体を、高速液体クロマトグラフィによって分離、分析することは、分析化学の分野で重要な課題である。本研究では、高選択的な逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)に利用可能な、新奇な交互共重合ポリマーシリカハイブリッド型充填剤を開発することを目的としている。平成24年度は、分子ゲルを形成するL-グルタミド脂質を末端に導入し、アミド基を高密度で配向制御した超薄膜シリカ微粒子(si1-FIP)を合成し、RP-HPLC充填剤としての可能性を検討するとともに、これまでの研究成果をまとめて、図書の1章として発表した。Si1-FIPは、L-グルタミド脂質を合成してアミド基を置換後、アミノイソプロピルトリメトキシシラン(APS)修飾シリカ表面に導入して合成した。Si1-FIPを充填剤としてRP-HPLCを行った結果、多環芳香族類、特に、o-,p-ターフェニルの分離において高い形状選択性を示した(α_p<-/o-Terpheny1>=24.9)。また、これまでの研究成果を総括した結果、電荷移動相互作用を利用したN-マレイミド-オクタデシルアクリル酸エステルの交互共重合体や分子ゲル構造を利用した超薄膜を形成することで、アミド基やカルボニル基を高密度で配向制御した超薄膜が形成できることを見いだした。超薄膜シリカ微粒子をRP-HPLCの充填剤に利用することで、トコフェノール類やステロイド類、多環芳香族類をそれぞれ高い形状選択性を示した。特にトコフェノール異性体では、25min以内で完全分離が可能となった。これはL-グルタミド脂質部位とアミド基による水素結合、カルボニルπ相互作用等の弱い相互作用の多点集積化により、形状認識能が向上したためと考えられる。
著者
[山鹿素行著]
出版者
[書写者不明]
巻号頁・発行日
0000
著者
芳賀 京子
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は古代ギリシアで祀られていた神像を、アイスキュロスにならい、神話にさかのぼる由来を持ち圧倒的な神性を備えていた「古き神像」と、アルカイック時代以降に彫刻家が新しい大理石彫刻・ブロンズ鋳造技術を用いて制作した「新しき神像」に二分し、それぞれの神性の特質について文献資料や現存する礼拝像の詳細な調査により考察するものである。その結果、前者の神性は強力だが接触的・限定的で、像の力が神の意志とは無関係に機能したのに対し、後者は像が神のダブルイメージとして機能することで視覚的かつ広範囲に力を及ぼし得たこと、その「新しい」神性を意識的に礼拝像に賦与したのがフェイディアスだったことが明らかとなった。