著者
宮川 栄一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

公共財の完成に向けて2人の個人が交互に努力(コスト)を投入し合うというゲームを理論的に解いた。既存研究とは違い,相手がどれだけ公共財の完成に熱心かが不確実にしか分からないというケースを考えた。均衡を1つ求めることに成功した。公共財に必要な努力総量が比較的小さい場合には均衡が一意であることも証明した。均衡において公共財は徐々にしか完成しないことが分かった。必要な努力総量が少ない場合でも公共財の完成に長時間かかる場合があることも分かった。
著者
太地五郎作著
出版者
紀州人社
巻号頁・発行日
1937
著者
渡辺 均
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

市販の屋上緑化薄層基盤土壌では,降雨や灌水によって施工初期から土中の栄養塩類の流出が確認された。土厚10cmの屋上緑化薄層基盤土壌1m2に換算すると438~688リットルの降雨もしくは灌水によって,土壌中のほとんどの栄養塩類が流出することが推計された。さらに,その土壌素材ごとに栄養塩類量を調査したところ,バーク堆肥に含まれる栄養塩類が最も流出していることが確認された。屋上緑化薄層基盤土壌はパーライト,ピートモス,ゼオライトを主体とした配合にすることで,シバの生育と品質を維持させながら,栄養塩類の流出量を低減できることが明らかとなった。
著者
丸地 康平 今井 健男 太田 暁率 片岡 欣夫
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2009-SE-166, no.18, pp.1-8, 2009-10-29

派生開発では,既存のテスト資産を活用しテストケースを作成する.ゆえに,テスト工程の質を保証するには,テスト資産のテストケースの不足や冗長を見つけるテストケース評価技術が重要となる.ミューテーションテストはテスト評価技術であり,テスト削減に有効であることが知られる.しかし,時間コストを要する技術であり,システムテストへの適用は困難である.本稿では,派生開発のシステムテストに対し,ミューテーションテストの適用方法を提案する.適用実験により,提案方法がミューテーションテスト自体に要する時間の削減や,テストケース不足の発見に有用であることを示す.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.861, pp.88-90, 1996-10-14

イントラネット技術の要,ファイアウオールの先駆者。マイクロソフト,ソフトバンク,NTTなど大企業と提携。何事にも前向きな姿勢と,先を読む先見性が事業成功のカギ。飾らず人間味あふれる性格で,周囲から慕われる。分社化と新技術の普及を通じ,社会貢献を追求していく。「さあ,走ろう」──。営団地下鉄丸ノ内線の新高円寺駅。
著者
上宮 成之
出版者
成蹊大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
2000

廃棄物のエネルギー転換プロセスにおけるゼロエミッション化を目指すには、廃棄物の焼却・ガス化などのエネルギー変換プロセスのみならず、処理に伴い二次的に排出される廃棄物の処理・再資源化プロセスについて、マテリアルフロー・エネルギーフローを総合的に把握・評価することが必要である。本研究では、都市ゴミの収集から減容・無害化処理、金属回収処理までを、輸送をも考慮して評価し、一連のプロセスにおけるゼロエミッション化の可能性およびその効果を検討した。都市ゴミ1t処理したときのCO_2排出量を算出した結果、減容・無害化工程における排出量は全体の80-93%を占め、これらの工程のシステム全体に対する負荷が極めて大きいことがわかった。すなわち、システム全体から見ると、金属回収工程の占める割合は小さく、金属回収をすべきとの解釈をすることができる。また、発電により熱回収しエネルギー変換をすることにより、システム内で使用する電力のすべてを賄え、さらには余剰電力を売電することでシステム内に関わるCO_2排出量は全て相殺されることがわかった。さらに、LCA手法に新たな評価指数を導入して評価した。資源の確認可採埋蔵量の逆数と定義したエネルギー資源枯渇係数および金属資源枯渇係数を用い評価した結果、エネルギー資源枯渇係数は発電による削減効果が大きく、また金属資源枯渇指数の方がエネルギー資源枯渇指数よりも1桁大きい値となることが明らかとなり、金属資源の回収の重要性が半定量的に把握できた。ユーティリティ起因のCO_2排出量の他に、地域性や価値などの問題も含めて取り扱い方に大きな隔たりがある土地資源、エネルギー資源と金属資源について、これらの重要な評価軸を適切に選択し2軸平面図に描く手法により、簡易的ではあるが、多面的な評価が可能となり、意志決定に際し有効な手段となることを実証した。
著者
金子 啓祐
出版者
愛媛大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

Ca^<2+>/calmodulin依存性プロテインキナーゼ(CaMK)はすべての真核生物に存在し、動物では神経機能の調節、植物においては微生物との共生の制御にかかる。一方で、真菌類におけるCaMKの機能はほとんどわかっていない。これまで我々は担子菌Coprinopsis cinereaの新規CaMK遺伝子CoPK12を同定した^<(1)>。CoPK12は担子菌キノコ特有の活性化機構を有しており、その活性がC. cinereaの菌糸成長と関わることが示唆された。当該年度では、CoPK12が担子菌キノコ特有の細胞内局在を示すCaMKであることを明らかにした。菌糸細胞を細胞分画したところ、CoPK12は菌糸細胞の細胞膜に局在していた。一方で、内在性プロテアーゼによって生じる46kDaの分解断片は細胞質に局在していた。in silico解析によりCoPK12はN-ミリストイル化を介した脂質修飾を受けることが推測された。そこで、放射性同位体を用いたin vitroN-ミリストイル化アッセイによりCoPK12のN-ミリストイル化の可能性を調べたところ、CoPK12は有意にN-ミリストイル化を受けることが明らかになった。酵母細胞に発現させたCoPK12は細胞膜に局在したが、N-ミリストイル化部位を変異させたところ、細胞内局在が細胞質に変化した。このことから、CoPK12はN-ミリストイル化を介して細胞膜に局在するCaMKであることが示唆された。CaMKの多くは細胞質に局在することが知られており、N-ミリストイル化を受けるCaMKは前例がない。さまざまな生物種のCaMKのアミノ酸配列を用いてアライメント解析を行ったところ、担子菌キノコのCaMKが特異的にN-ミリストイル化を受けることが示唆された。一方で、担子菌キノコのCaMK間でN-ミリストイル化周辺のアミノ酸配列がほとんど相同ではなかった。このことから、担子菌キノコのCaMKの膜局在は、それぞれの遺伝子が独自に進化したことによるものだと考えられた。これらのことから、CoPK12の膜局在化は担子菌キノコ特有の現象であることが強く示唆された。(1)Kaneko K. et al. Siochim. Biophys. Acta 1790 (2009) 71-79.
著者
小島 泰友
出版者
東京農業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

2007-08 年の食料危機における EU や NAFTA 加盟国の主要農産物の需給や貿易動向をみる限り、地域経済統合や自由貿易協定は、地域内の食料安全保障を確保する意味で、加盟国間では有効に機能していたと考えられる。しかし、地域経済統合や自由貿易協定は、EU のトウモロコシの域外輸入の急増や小麦の域外輸出の減少、米国のメキシコへのトウモロコシ輸出の増加とそれに伴うアフリカへの同輸出の減少など、食料危機において域外の農産物輸入国へ負の影響を与える可能性がある。
著者
本間 義久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.112, pp.31-34, 2013-06-27

パナソニックが提供するHEMS(Home Energy Management System)商品であるスマートHEMSは、家全体のエネルギー消費量を「見える化」し、エネルギーを効率的に使用するために、太陽光発電、燃料電池、蓄電池等の創蓄機器やエアコンやIHクッキングヒータ等の家電機器との連携機能を備えており、エコと快適な暮らしを同時に実現する。スマートHEMSのシステム概要及び構成技術の紹介を行い、インテリジェントなエネルギーマネージメント機能を提供するための中核のコントローラであるAiSEGにおけるマイコン応用事例についても紹介を行う。
著者
吉川 茂樹 北 裕幸 田中 英一 長谷川 淳
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.125, no.12, pp.1137-1145, 2005 (Released:2006-03-01)
参考文献数
23
被引用文献数
3 2 4

The authors have proposed the Flexible, Reliable and Intelligent ENergy Delivery System (FRIENDS) as a concept of future electric power systems. The concept of FRIENDS takes into account the deregulation of the electric power industry and progress of technologies such as power electronics, distributed generators (DG), distributed energy storage systems (ESS), information and communication. One of the most important characteristics of FRIENDS is that new facilities called Quality Control Centers (QCC) are installed between distribution systems and electric consumers.This paper presents a methodology for DSM based on a real-time pricing system through the information and communication network in FRIENDS. The economic use of DG and ESS in QCC is also considered in the proposed DSM. The sigmoid logistic function is used for modeling the real-time pricing system and a couple of parameters in the function are optimized by the Genetic Algorithm so that the profit of QCC is maximized. The effectiveness of the proposed DSM is ascertained by evaluating the profit or the load factor of QCC through simulations using model systems.
著者
KHAMBU Bilon
出版者
Kyoto University
巻号頁・発行日
2011-11-24

新制・課程博士
著者
井澤 鉄也
出版者
電気通信大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

長期間の身体トレーニング(TR)は脂肪細胞の脂肪分解反応を増強させる.この現象は脂肪細胞のサイクリックAMP(cAMP)以降の酵素であるタンパクキナーゼ(PK)やホルモン感受性リパーゼ(HSL)の活性が増強するためであると考えられている.しかしながら,PKやHSL自身の活性はTRによって増強せず,未だその実体は捉えられていない.脂肪分解反応はcAMP以外にもCa^<2+>やカルモジュリン(CaM)によっても修飾されている.本研究においてはTRによる脂肪分解増強効果をCa^<2+>/CaM系とPKとの関係を検討した.TRによってラット脂肪細胞の脂肪分解反応は著明に増強した.TRラットおよびその対照群の脂肪分解反応はCaM阻害剤であるW-7で有意に抑制された.その抑制作用はTR群において有意に大きかった.このことからTRによる脂肪分解反応の増強機構にCa^<2+>/CaM系に大きく修飾されている可能性が示唆された.そこでさらにPK活性に及ぼすW-7の影響を検討した.細胞抽出液中のcAMPによるPK活性はTR群で低下する傾向にあった.このcAMPによるPK活性はW-7によって両群共に有意に抑制されたが,その抑制率はTR群(31.5%)で対照群(18.9%)に比較して有意に大きかった.このことから,TR群の脂肪細胞のcAMPによるPK活性の調節はCa^<2+>/CaM系に大きく依存していることが明らかになった.また,TRラットの脂肪細胞では細胞内Ca^<2+>濃度が有意に高く,これがCa^<2+>/CaMにより大きく修飾されているPK活性の調節に役だっている可能性も示唆された.
著者
杉 達紀
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

TgMAPK1がトキソプラズマの生態に果たす役割を解析するために、TgMAPK1の染色体位置上に変異を導入した。発現誘導が可能である、Destabilizing Domain (DD)タグをタンパク質N-末に融合した形で発現するように組換に成功した。DDタグが付加されたTgMAPK1はDDタグの低分子リガンドであるshield-1存在下において、濃度依存的にタンパク質の蓄積量の増加した。Shield-1の処理により強発現となったDDタグ融合TgMAPK1は原虫の生育を止めたことから、DD-TgMAPK1がDDタグの存在により機能を損なっていることが示唆された。HAタグをN末に付加したTgMAPK1に種々の変異を導入した配列により、原虫が持つTgMAPK1位置でノックインした原虫を作成した。低分子化合物であるBKIの一つである1NM-PP1による感受性が変化する感受性決定アミノ酸位置が、G, A, T, F, Yのそれぞれのアミノ酸に置換された変異体を作出した。Alanineを感受性決定アミノ酸に持つTgMAPK1をコードする組換原虫RH/TgMAPK1Aは、1NM-PP1により低濃度(100nM以下)で増殖が阻止されたのに対して、Tyr。sineを持つTgMAPK1をコードする組換原虫RH/TgMAPK1Yは耐性を獲得していた。1NM-PP1処理時において、核のDNA量の変化についてフローサイトメトリーで観察した。その結果RH/TgMAPK1AとRH/TgMAPK1Yともにゲノム複製の完了を示す細胞内DNA量2Nまでは相違なく進んだが、RH/TgMAPK1A (1NM-PP1感受性株)においては核分裂および細胞分裂期の進行を示す1NのDNA量を持った細胞が減少した。これは、TgMAPK1がDNA合成以降の細胞周期の中でチェックポイントとして働いていることを示唆している。
著者
佐原 寿史 山田 和彦 長嶋 比呂志 伊達 洋至 清水 章
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ブタをドナーとする異種移植は、ドナー臓器不足に対する有力な解決策となる。腎臓や心臓では2か月超える異種臓器の生着が得られる一方、異種肺移植の生着は数時間から数日に留まる。本研究では、ブタ肺をヒト血液で灌流するex-vivoモデルやカニクイザルへ同所性左肺移植を行うモデルによって、GalT-KOブタ肺が超急性期の肺機能不全を回避しうること、ドナーへの一酸化炭素投与による血管内皮保護効果を介して、術後微小血管障害軽減が得られた。しかし異種移植肺は術後3日以内に血栓性微小血管障害による機能不全を呈したことから、長期効果を得るためには新たな遺伝子改変ブタを用いた治療方針の開発が望まれる結果となった。
著者
峯田 周幸
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.8-16, 2012 (Released:2013-02-15)
参考文献数
29
著者
祐村 恵彦
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

細胞内でのミオシンの単量体と繊維の分子平衡の定量的解析を行った。ミオシンは繊維となることではじめて細胞運動や分裂のモーターとして機能しうる。また、どのように機能的なミオシンが細胞内での分布を厳密に制御されるのかについてもこの分子平衡との関連が重要であると考えられる。本研究では、ミオシン重鎖欠損細胞にGFP標識ミオシンを発現させることで、細胞内のすべてのミオシンをGFP標識できるという細胞性粘菌のメリットを利用して、FRAP, FLIP, micro CALIなどの最新の方法によりミオシンの繊維の分子平衡の定量的解析を行った。その結果、従来ミオシンは収縮環内で安定に存在すると考えられてきたが、本研究により、内質にいるミオシンとハーフタイム7秒程度ですばやく置換していることがわかった。さらに、重鎖リン酸化部位アミノ酸をスレオニンからアラニンに分子生物学的に変換した改変ミオシンを用いることで、ハーフタイム7秒の収縮環の置換にミオシン重鎖のリン酸化が関与することを示すことができた。また、本研究によりはじめて、ミオシンが表層流に乗って細胞分裂面に移行することもあきらかになった。また、ミオシン重鎖キナーゼの1つキナーゼAの細胞内分布についてもあきらかにし、それが細胞内質と表層を行き来していること、これがミオシンの細胞内分布に関与することも明らかになった。以上の結果を踏まえ、細胞分裂期の収縮環形成の分子機構の新たな仮説を提唱するに至った。