著者
実山 豊
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2010

ダイズの湿害は農業上重要な障害だが、その発生メカニズムには不明な点が多い。本研究では、水耕栽培法により過湿土壌の一様態「低酸素」を人工的に再現し、経験的に圃場耐湿性が既知な多種ダイズ品種を1ヶ月間栽培、その反応性を詳細に調査した。その結果、低酸素反応性と圃場耐湿性とに密接な関係性を検出し、湿害発生の主な理由の1つが低酸素であることを確認した。更に圃場耐湿性が弱い品種の中には、低酸素環境によって葉面積や細根の減少、根における吸水能力の減衰などの特徴的な反応を見出した。
著者
相葉 佳洋
出版者
独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター)
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

日本人PBCの新規疾患感受性遺伝子として同定されたTL1Aは、PBC患者の血中・肝局所において顕著に増加していた。血中TL1Aは、治療薬であるウルソデオキシコール酸によりPBC非進行群において有意に減少するが、PBC進行群では持続高値であることが明らかとなった。これらの結果は、TL1AがPBC、特に進行群患者において新たな治療標的である可能性を示唆する。また、in vitroとin vivoの解析から、単球、マクロファージ、胆管上皮細胞から産生されるTL1Aは直接的に胆管障害に関与するよりも、Tリンパ球を介しPBCの病態形成に関与する可能性が示唆された。
著者
福原 史子 奥山 清子 蜂谷 里香 岡本 純子
出版者
ノートルダム清心女子大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

コスミック教育は、あらゆる事物は宇宙の一部で、一つの全体的調和を形成するよう相互に結びついていることを発達段階に応じて学習、認識するよう促す教育である。まず、研究の第一人者C.M.トルードゥーの業績研究をもとに、今日的意義をキャリア教育やESDと関連づけて検討した。加えて、幼稚園における2年間の実践研究から、命の誕生や持続のために必要な要素を感じ、興味・関心をもち、コミュニケーションを図りながら協同して学び合えるコスミック教育の実践方法を導きだした。
著者
植村 裕子 榮 玲子 松村 惠子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.107-113, 2008-04

少産少子の現在,看護学生にとって身近な赤ちゃんの存在は稀少となっている。そのため,学生は母性看護学における対象の理解が困難な状況である。そこで,今回は赤ちゃんの特徴の理解を促す演習教材として育児擬似体験人形を活用し,その学習効果を明らかにすることを目的とした。体験人形の活用前後で赤ちゃんイメージの自記式質問紙および活用後の変化を調査した。その結果,体験人形活用後は肯定的イメージが有意に高く,項目別では肯定的な「かわいい」などで高かった。一方,否定的な「怖い」は低かった。活用後の変化の内容分析では,6サブカテゴリーから【技術の向上】【対象の理解】【愛着】の3カテゴリーが抽出された。このことから,学生は赤ちゃんを肯定的に受容することで,苦手意識を克服することができ,看護実践の際の自信になるといえる。また,赤ちゃんの身体的,生理的な側面だけでなく,母親の気持ちも理解していた。さらに,看護技術を自身で確認しながら実践することで技術を向上させることができたと考える。ゆえに,体験人形を活用することは実習につながる有用性の高い演習であることが明らかになった。
著者
やぎぬま ともこ
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.384, pp.129-131, 2007-05

★七夕と聞いて、思い浮かべるのは中国の織女と牽牛の伝説。天帝の娘である織女は機織の上手な働き者だった。牽牛もまた働き者の牛飼いの青年。しかし、若い2人は互いに夢中になり、織女は機を織ることをやめ、牽牛は牛飼いをやめてしまう。怒った天帝は2人を引き離し、7月7日の夜にだけ会うことを許した─というのが、その内容だ。

1 0 0 0 IR 七夕に寄せて

著者
森下 博三
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.8-10, 1974-07-01
著者
富田 晃彦
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

園児・保育者・保護者に宇宙への興味、そして科学的な見方・考え方をもっと持って欲しいという目的で、保育園での「天文あそび」活動を行った。その結果、宇宙の話は園での保育活動に取り入れられるものであり、考えを言葉にする、それを人とやり取りするということを含め、科学的な見方・考え方を園児に育てるのに有効であることがわかった。宇宙が対象であるが、都市域、昼間、部屋内でも十分な活動が展開できることも示した。
著者
永西 修 寺田 文典 石川 哲也
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.599-603, 2002-02-15
被引用文献数
3

実験1ではアミロース含有率が異なる3品種(コシヒカリ, ミルキークイーン, コシヒカリ糯の玄米について, 実験2では窒素の施用水準を変えて栽培した2品種(アケノホシ, 夕カナリ)の玄米について, 飼料成分とナイロンバック法で第一胃内消化性を比較検討した。実験1で供試した玄米の飼料成分には品種間で明瞭な違いはなかったものの, 乾物(DM), 粗タンパク質(CP)およびデンブンの第一胃内での有効分解率(ED)はアミロース含有率が低い品種で高かった。また, 実験2では窒素の施用量の増加により玄米のCP含有率は増加するとともに, CP中の結合性タンパク質比率は低くなった。DM, CPおよびデンプンのEDは施肥条件による明瞭な違いは認められなかったものの, いずれのEDもタカナリがアケノホシよりも有意に低かった。以上のことから, 玄米の第一胃内DM, CPおよびデンプンの消化性はCP含有率よりもアミロース含有率に影響を受けると考えられた。
著者
高橋 仁大
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は.テニスの電子スコアブックを用いた新しいパフォーマンス評価法の開発を目的とした.2007年度は各種データとゲーム結果との関連を検討した.その結果,プレーの高速化や時間的要素がプレーヤー個人の特徴を示していることを明らかにした.2008年度はスコアブックの機能追加として時間的要素と最終ショットの頻度を出力するプログラムを開発した.これにより,試合修了後即座にパフォーマンスの結果を出力することが可能となった.
著者
渡部 朋子 渡部 一郎
出版者
バイオフィリア リハビリテーション学会
雑誌
バイオフィリア リハビリテーション研究 (ISSN:13475568)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-4, 2007-08-25 (Released:2008-01-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1

メタボリックシンドロームは,若年期から継続されてきた食•運動習慣によるところが大きい.大学生を対象に,アンケートによる身体,運動,食行動等の調査を行い,若年者の腹囲と食習慣の関係を腹囲要注意群と正常群に分け検討する.腹囲は身長,体重,ヒップ,BMI,最高血圧,肩甲骨下部皮下脂肪厚と有意に相関した.腹囲要注意群と正常群との比較検討において,最高血圧では腹囲要注意群が正常群より有意に高く,すでにメタボリックシンドロームの危険性を示していた.内臓脂肪の減少には,バランスの取れた食事と運動が大切であり,夜間間食をしないことが,有用であることが示された.
出版者
同朋舎出版
巻号頁・発行日
1994
著者
奥田 晶彦 折茂 彰
出版者
埼玉医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

F9あるいはP19細胞は、哺乳動物(マウス)の発生初期を反映する培養細胞であり、これらの細胞にレチノイン酸等を加えることにより、細胞が分化し、神経あるいは心筋を成す細胞等に変化させることができる。それ故、これらの細胞は哺乳動物の初期発生を研究する上でよいモデルシステムとなっている。また、これらの細胞を用いた研究から転写に関して興味深い報告が数多く成されている。その1つがレチノインレセプター(RAR)β2遺伝子の発現に関するものである。この遺伝子のプロモーターは、RAR認識配列を2つ有しており、この遺伝子の発現は自分自身の遺伝子産物により自己調節されている。但し、この遺伝子の発現にはRARだけでは十分ではなく、初期胚特異的に発現する転写補助因子が必要であることが実験的に証明されている。私は、1998年に初期胚特異的転写補助因子UTF1をクローン化した。UTF1のアミノ酸配列を注意深く見てみると、種保存領域の中にLxxLLモチーフが2つ存在していることがわかった。そこで、私はUTF1が、上記の初期胚特異的転写補助因子に相当するのではないかと考え研究を始めた。まず、COS細胞への遺伝子導入実験によりUTF1が確かにRARβ2遺伝子のプロモーターを活性化する能力をもつタンパク質であることがわかった。且つ、この活性化は、プロモーター上に存在するRAR認識配列を介したものであることが確認された。また、GSTプルダウンアッセイによりUTF1とRARが直接結合することが確認された。但し、この結合は、レチノイン酸及びRARのAF2領域に非依存性であることが明らかになり、TIF-2等のステロイドホルモンレセプター補助因子とは、異なる様式で結合することがわかった。