1 0 0 0 OA 孫子 3卷

出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
1600

中国古代の兵法家孫子の書。孫子は春秋時代呉の孫武ともいい、孫武の子孫で戦国時代斉の孫臏ともいう。本書は、兵法書としてのみでなく、国家・人生に対する知恵を多く含んだ書として、日本でも古来重要視されてきた。当館本は、七書序1ページ、孫子巻上7丁、同巻中8丁、同巻下10丁の全26丁からなる。慶長11(1606)年に京都伏見で刊行された伏見版『七書』を底本とした翻刻本で、無刊記であるが、活字の様式等から慶長11年から19年頃にかけての刊行と推定される。伏見版『七書』の翻刻本には古活字版と整版があり、古活字版には東洋文庫本、斯道文庫本、栗田文庫本の三種類が確認できるが、当館本は斯道文庫本と同版である。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1547, pp.41-45, 2010-06-28

4月30日、蒸し暑いインドの首都ニューデリー。最高級ホテルの会場で、日本企業連合がインド西部で進める環境配慮型の都市整備事業の覚書が交わされた。日本側は直嶋正行・経済産業相を筆頭に、東芝の佐々木則夫社長、三菱重工業の佃和夫会長など官民の関係者がずらり。総額4000億円を超える事業だけに、参加者からは興奮気味の声が聞かれた。
著者
遠藤 俊祐
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

1,四国三波川帯の五良津岩体を構成する各種岩石(エクロジャイト,ざくろ石角閃岩)の熱力学相平衡解析(pseudosection解析)を行い詳細かつ定量的な温度-圧力経路を導出した,この研究では,複雑な履歴を経た岩石から信頼度の高い温度-圧力経路を導出するため,逆解析(地質温度圧力計)および前進解析(pseudosection解析)を組み合わせた相補的手法を用いる重要性と,各変成段階で酸化還元状態を独立の変数として考慮する重要性を示した.こうした精密解析の結果,これらの岩石が沈み込み帯において,沈み込み,沈み込むプレート(スラブ)から剥離し,マントル深度から上昇するプロセスを明らかにし,そのメカニズムについてモデルを提案した.これまで五良津岩体の大部分を構成するざくろ石角閃岩は,エクロジャイトが浅所まで上昇する過程で加水変質による産物と考えられてきたが,一部のざくろ石角閃岩は深部で安定であり,初生的岩相であることを示した.エクロジャイトより低密度なざくろ石角閃岩が卓越することで,五良津岩体は浮力上昇した可能性がある.2,天然には稀少でありながら,沈み込み帯深部に普遍的に分布することが予測され,重要視される'ローソン石エクロジャイト'をフランシスカン帯ジェナー海岸から新たに発見した.新たに見出した同岩石は,解析の結果,より高温の沈み込み帯を特徴づける'緑簾石エクロジャイト'から低温沈み込み帯を意味する'ローソン石エクロジャイト'へ変化したものであることが明らかとなった.また,特に低温の沈み込み帯条件では,塩基性岩は高い保水能力をもつため,系内の水がすべて含水鉱物として固定される状態(流体が存在しないか,水以外を主成分とする流体が存在)が一般的となる可能性を示唆した.このことは従来の高圧変成岩の解析で一般的に行われる,H_2O流体の存在の仮定に注意を促すものである.
著者
倉知 徹 川北 健雄 相良 二朗 佐々木 宏幸 谷口 文保 Tohru KURACHI Takeo KAWAKITA Jiro SAGARA Hiroyuki SASAKI Fumiyasu TANIGUCHI
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2010
巻号頁・発行日
2010-11-24

兵庫県播磨町では、2007 年以降住民主体のまちづくり組織、旧播磨北小学校施設運営協議会(以下協議会)が中心となった地域づくり活動が行なわれている。2009 年度に兵庫県立東はりま特別支援学校が開校し、公立学校とまちづくり組織の協働による取り組みが開始された。本報告は、2009 年度に取り組まれた協議会が中心となった協働によるアートワークショップについてのプロセスデザインの報告である。アートワークショップでは、県立播磨南高校芸術類型の生徒と県立東はりま特別支援学校の生徒が作業を分担し、協力して絵を描いた。描かれた絵は、多くの人に見てもらうためにギャラリーでの展示が行なわれた。また、成果を参加した人に配布することと、より多くの人に配布するために別の媒体に加工することとした。描かれた絵の一部を取り出し、ポストカードとクリアファイルに加工し、地元住民等に配布された。このアートワークショップのプロセスを通じ、それまで交わることのなかった人同士が協力し、協力して創作活動を行うことができた。また、このプロセスを通じ、多主体が協働する際のきっかけと内容を明らかにすることができた。The community building activity led by the Machizukuri organization called ex-Harima North Elementary school Facilities Management Conference (NE-FMC)) has been implemented in Harima town, Hyogo prefecture since 2007. In 2009, Hyogo prefectural East Harima Special Needs Education School (EHSNES) was founded, and the collaborations of community building activities began. This paper reports the process design of the art workshop thorough the collaborations implemented in 2009.In the artwork shop, four paintings were drawn through the collaboration by students of the Harima South high school and students of EHSNES. The paintings were processed to postcards and clear files, and distributed to a lot of people. Through the collaboration, student could interact each other, and the process clarified the chances and the contents of collaborations between multi-groups.
著者
浦田 広朗
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究課題では、高等教育政策研究の一環として、我が国の私立大学が果たしている公共的機能を実証的に明らかにした。私立大学に投入される資源を示す財務データ(特に収入データ)とアウトプットを示す教育・研究の成果データを広く収集した上で、私立大学が十分には「公」に支えられていない中、公共的機能を果たしていることを、都道府県の経済水準・政府と家計の教育支出・大学教育供給量・大学進学率のパス解析や、公共性の包括的指標としての公的収益率の計測、私立大学の教育や施設設備に投入される公的資金の分析などにより明らかにした。

1 0 0 0 OA 宇宙の謎

著者
ヱルンスト・ヘッケル 著
出版者
有朋館
巻号頁・発行日
1906
著者
野島 武敏
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.66, no.647, pp.2463-2469, 2000-07-25
参考文献数
8
被引用文献数
9 3

The aim of this paper is to invent foldable (or developable) conical shells in their axial direction. Foldable conical shells with several different types of folding patterns have newly been designed by geometrical considerations with the help of Origami concept. By using thin polypropylane sheet as well as papers, the designed conical shells with prescribed folding lines were actually manufactured, and it was verified that the shells are fully folded as expected. The designed models will make it possible to construct foldable/developable structures such as tents and dome-roof or to manufacture new types of industrial products.
著者
田口 哲典 青木 輝勝 安田 浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.23, pp.91-96, 2005-03-11

筆者らは、これまでに"MIRACLE"システムというリアルタイムで自由に動くことが可能な仮想試着システムを提案した。このシステムは実際に一着だけ服を試着しその服の柄などを変更するシステムであり、実際に試着した服の画像があるため、正確な仮想試着した姿を推測することが可能なシステムである。これまでにオクルージョンやしわ(セルフオクルージョン)などに対応した、平面モデルを用いた画像認識での形状認識を行ってきたが、形状データを可視化するためのマッピングが必要となる。そこで本稿では、リアルタイムでの処理を実現するためのこの平面モデルでのパッチのマッピングアルゴリズムとして、奥行き感を表現するための射影変換を基にしたパッチマッピングアルゴリズムを提案する。We have already proposed a real-time virtual clothing system called MIRACLE, in which user can try various clothes on while acting freely. This system enables to change patterns of clothes when users are putting only one cloth on. We proposed an algorithm of surface image recognition that is able to deal with occlusion and self-occlusion using two-dimensional image pattern matching. In this paper, we propose a two-dimensional texture mapping algorithm based on the projective transform for expressing depth feel in order to visualize surface model.
著者
星野 靖二
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:2896400)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.55-71, 2003-03-31

This essay examines the character of a Christian magazine called Shukyo oyobi bungei (Religion and Literature), founded in 1911 by Uemura Masahisa, a leading Japanese Christian of the Meiji era. From 1890, Uemura devoted himself to organizing the Nihon Kirisuto Kyokai (the Japan Christian Church), which achieved the status of a self-supported church in 1908. In the process of its foundation, the Church strategically concentrated on the urban middle class as a target of its mission work. It therefore attracted considerable numbers of urban youth, students in particular. An investigation of the contents of Shukyo oyobi bungei reveals that almost all of its articles discuss theological, philosophical, or religious matters. Furthermore, its news columns and book reviews are dedicated to intellectual issues of that time. This publication was thus more a scholarly journal than a popular magazine. Scholars writing for Shukyo oyobi bungei insisted on the existence of phenomena leading into and/or emerging from Christian faith. Kashiwai En contributed an article about affirming faith through research on religion, and Tanaka Tatsu wrote about being led to belief in Christianity through comparing it to other religious traditions. The influence of Uemura's ideas can be detected in these discussions of the relationship between academia and religion. These assertions, however, should not be ascribed solely to Uemura's intentions. The influence of the magazine's readership, including students, and of social movements such as Shuyo Undo (the Personal Cultivation Movement) was also considerable. The position of youth in the Church was an issue of particular importance. While movements such as Shuyo Undo tended to stress the mystical aspects of religion, Shukyo oyobi bungei insisted that research on religion based in rational investigation was crucial in acquiring faith. The rational standpoint of this magazine should be viewed in relation to the fact that serious theological studies emerged at this time within Japanese Christianity. As the study of philosophy of religion also arose in this period, it can be postulated that there was a growing need for an intellectual explanation of religion. It is therefore concluded that Shukyo oyobi bungei was essentially a scholarly journal, and was a publication that, while influenced by Uemura's ideas on religion and the academy, served as a response to the intellectual and spiritual needs of the youth of this era.
著者
土井 正晶
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2009

これまでに強磁性ナノコンタクト磁気抵抗(NCMR)素子(強磁性層にFe_<50>Co_<50>、スペーサー層にAlO_xNOL(Nano-Oxide-Layer)を用いたスピンバルブ素子)についてスピントルク励起型マイクロ波発振を測定した結果を報告した。測定試料の膜構成はunderlayer/lrMn15nm/COFe3.3nm/Ru0.9nm/Fe_<50>Co_<50>2.5nm/Al-NOL/Fe_<50>Co_<50>2.5nm/Cappinglayerであり、素子サイズは0.4×04μm^2、MR比は4~5%、面積抵抗(RA)は0.7~1.6Ωμm^2である。その結果、磁壁の閉じ込め方によってマイクロ波発振の周波数が異なることが示され、さらにフリー層の磁化方向がリファレンス層の磁化方向と完全に反平行であるときには発振が観測しにくいといった本系独特の特徴ある実験結果が得られた。また、18GHzを超える高いQ値=2300(f/△f:△f=8MHz)のシャープな発振を観察している。この結果は狭窄磁壁とそれに接したフリー層強磁性体を考慮したスピントルク発振シミュレーションの発振周波数とほぼ一致する。さらに、磁化反平行状態を0deg.と定義して印加磁場を膜面内方向で回転させ、ネットワークアナライザを用いたナノ狭窄構造薄膜のスピントルク強磁性共鳴(ST-FMR)による直流電圧スペクトルを測定した。ST-FMRスペクトルと発振スペクトルはともに9GHz付近で共鳴および発振を示した。ST-FMRスペクトルではフリー層磁化の共鳴と考えられる周波数以外に複数の共鳴ピークを示した。一方、発振スペクトルは線幅の狭い単一のスペクトルのみである。この両者の差異を周波数の磁場変化のキッテル式を用いたフィッティング解析から強磁性ナノコンタクトに幾何学的に閉じ込められた磁壁のスピントルク振動に基づいて考察を行った。
著者
前川 武雄

論文内容の要旨1 研究目的隆起性皮膚線維肉腫は緩徐に増大する真皮内の間葉系細胞腫瘍で、局所再発率が低いことや、転移が稀であることから中間型の悪性腫瘍として取り扱われている。病理組織学的には、車軸状構造(cartwheel pattern)や花むしろ状構造(storiform pattern)を形成し、真皮結合組織や下床の脂肪組織に向けて浸潤性の増殖を示す。一方、皮膚線維腫は良性の線維性組織球腫として知られる比較的頻度の高い腫瘍であるが、時に紡錘形細胞が束状や花むしろ状に増生し、時に皮下組織にまで進展することがある。皮膚線維腫と隆起性皮膚線維肉腫の間には臨床的、病理組織学的にいくつかの鑑別点が知られているが、時にその鑑別が困難な症例を経験する。皮膚線維腫及び隆起性皮膚線維肉腫における線維化の原因としてtransforming growth factor-β(TGF-β)の関与が重要とされており、そのTGF-β活性化のメカニズムの1つにthrombospondin-1(TSP-1)が極めて重要であることが報告されている。本研究では、両腫瘍におけるTSP-1の発現を比較することで、TGF-β活性化とTSP-1との関連性を明らかにし、両腫瘍の鑑別の一助になる可能性について検討を行った。2 研究方法皮膚病理組織標本は東京大学皮膚科を受診した同意の得られた皮膚線維腫患者7名及び隆起性皮膚線維肉腫患者4名の計11名より採取した。全ての患者は臨床的、病理組織学的に診断した。健常人コントロールとして、5名の基礎疾患を有しない健常人ボランティアより皮膚を採取した。皮膚線維腫及び隆起性皮膚線維肉腫の鑑別のため病理組織学的検討を全例で施行した。標本は20%ホルマリン液で固定し、パラフィン切片を作成の上ヘマトキシリンエオジン染色を行った。また、全例で抗CD34抗体を用いた免疫組織化学的染色を行った。免疫組織化学染色はVectastain ABC kitを使用し、パラフィン切片を用いて行った。抗TSP-1抗体は、Santa Cruz Biotechnologyのものを使用した。免疫反応性はVector Redを用いて可視化した。その後、切片はヘマトキシリンで対比染色した。染色の度合いは、弱陽性: +、中等度陽性: ++、強陽性: +++と判定した。免疫ブロット法において、TSP-1の検出は、蛋白濃度測定試薬を用いて補正を行った上で電気泳動し、ニトロセルロース膜に転写した。ニトロセルロース膜を抗TSP-1抗体を用いて一晩4℃でincubateし、二次抗体と反応後、enhanced chemiluminescenceで発光しX線フィルムに感光させた。コントロールとして、2000倍希釈した抗β-actin抗体を用いて免疫ブロットを行った。3 研究成果(1) 免疫組織化学染色によるTSP-1発現の比較正常皮膚では線維芽細胞にTSP-1の発現はみられなかった。皮膚線維腫では、病変内の紡錘形細胞に中等度のTSP-1の発現を認めた。これとは対照的に隆起性皮膚線維肉腫においては、TSP-1が腫瘍細胞に強くびまん性に発現していた。また、隆起性皮膚線維肉腫では皮膚線維腫と比較して腫瘍辺縁でのTSP-1の発現が強くみられた。隆起性皮膚線維肉腫において、腫瘍中央部と比較して腫瘍辺縁部においてTSP-1の発現が強くみられた。(2) 免疫ブロット法によるTSP-1発現量の比較免疫組織化学染色の結果とは異なり、皮膚線維腫、正常コントロールと比較した隆起性皮膚線維肉腫におけるTSP-1の過剰発現は認めなかった。4 考察皮膚線維腫及び隆起性皮膚線維肉腫における線維化の中心的役割を担っていると考えられているのがTGF-βである。TGF-βは多くの生体システムの中で、細胞外マトリックスの構成、成長、分化における重要な役割を果たす多機能のサイトカインである。TGF-βの活性化メカニズムの1つがlatent TGF-βとthrombospondin-1(TSP-1)との結合によるものである。そして、このTSP-1による活性化メカニズムはin vivoにおいてTGF-βの作用を発揮させる上で極めて重要であることが報告されている。したがって、TSP-1の過剰発現は皮膚線維腫と隆起性皮膚線維肉腫における線維化を引き起こしている可能性が考えられる。 本研究では、皮膚線維腫と隆起性皮膚線維肉腫におけるTSP-1の発現パターンに明白な違いが確認された。皮膚線維腫では、各腫瘍細胞においてTSP-1がびまん性に弱く散在性であり、一方で隆起性皮膚線維肉腫においては腫瘍の辺縁においてTSP-1が顕著に強く発現していた。この結果からは、TSP-1の発現パターンは皮膚線維腫と隆起性皮膚線維肉腫の鑑別に有用と考えられた。 TGF-βやTSP-1と悪性腫瘍との関わりは多数報告されている。TGF-βやTSP-1の過剰発現により癌の進展が抑制されるという報告もあるが、逆に悪性化や浸潤・転移を促進する因子であるとの報告もあり、その作用については未だ明らかにはなっていない。本研究で確認された隆起性皮膚線維肉腫におけるTSP-1の強い発現は、転移を抑制している可能性が示唆され、隆起性皮膚線維肉腫が局所性の悪性腫瘍であり、転移が稀であることを現していると考えられた。 本研究において、TSP-1は皮膚線維腫と比較して隆起性皮膚線維肉腫において強く発現していた。一方で過去の報告では、TGF-βレセプターが皮膚線維腫において隆起性皮膚線維肉腫よりも強く発現したとされる。TSP-1はTGF-βの主な活性化因子であるため、TSP-1も同様に皮膚線維腫において強く発現すると考えられたが、結果は逆のものとなった。この結果に関しては3つの仮説を考えた。①TGF-βの過剰発現によりnegative feedbackが働きTSP-1が抑制される可能性。②線維化に重要なのはligandの量ではなく、receptorの発現量が重要である可能性。③隆起性皮膚線維肉腫においては、TSP-1の産生が増加しているわけではなく分解能が低下している可能性。また免疫ブロット法において、皮膚線維腫、隆起性皮膚線維肉腫の腫瘍細胞と正常皮膚の真皮内線維芽細胞におけるTSP-1の発現量に有意な差は確認できなかった。これは免疫染色の結果と大きく異なるため、この結果を説明できる2つの仮説を考えた。①in vivo(免疫染色)では隆起性皮膚線維肉腫の細胞密度が高いためにTSP-1が過剰発現するが、in vitro(免疫ブロット)ではin vivoと異なり細胞と細胞外マトリックスのinteractionが異なるため、必ずしも実際の腫瘍の状態を反映していない可能性。②免疫ブロットにおいては、腫瘍からの培養線維芽細胞を用いているために、TSP-1の活性が減少してしまった可能性。3群において同じ発現量と言うことは考えにくく、本研究においてはin vivoでの結果を尊重すべきと考えた。5 結論①免疫染色では皮膚線維腫、隆起性皮膚線維肉腫ともにコントロールと比較して、TSP-1の過剰発現がみられた。 ②免疫染色では、隆起性皮膚線維肉腫においてTSP-1は皮膚線維腫と比較して強く発現しており、特に腫瘍辺縁で強く発現しており、鑑別に有用な可能性が考えられた。 ③免疫ブロット法では皮膚線維腫、隆起性皮膚線維肉腫、コントロール間における線維芽細胞内のTSP-1の発現量に有意な差は確認できなかった。論文審査の結果の要旨悪性軟部組織腫瘍の診断は難しく、しばしば病理診断の専門家でも意見もわかれるところである。このうち、隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)は、低悪性度の皮膚悪性腫瘍に分類されるが、良性の皮膚線維腫(DF)との鑑別が容易ではないこともある。DFなら腫瘍マージンぎりぎりで切除しても再発はないが、DFSPであれば、広範囲の病巣切除が必要である。したがって、両者の鑑別は重要である。DFSPではしばしば良性として誤診されて、小切除、再発を繰り返しているうちに、悪性度が強くなり、局所破壊、転移をきたすこともある。現在までDFSPでは、免疫染色で腫瘍細胞がCD34染色陽性、factor XIIIa染色陰性であることが特徴のひとつで、良性のDFとDFSPの鑑別に役立つとされている。しかしながら、これらを用いても両者の鑑別にとまどう症例もあり、DFとDFSPのより、精度の高い鑑別法が求められている。皮膚の線維化および線維性皮膚腫瘍の病態にはtransforming growth factor (TGFβ)が関与しているとされ、トロンボスポンジン1は、TGFβの活性化を促す上で重要な物質である。本学位論文の研究はDFとDFSPの鑑別方法に関するもので、その中でトロンボスポンジン1に注目している。研究は(1)両腫瘍のトロンボスポンジン1染色による免疫組織化学的解析、(2)免疫ブロットによる腫瘍内のトロンボスポンジン1発現量の解析から成っている。まず、免疫組織学的に、DFでは中等度にトロンボスポンジン1に染色されるが、DFSPでは細胞質がかなり強く染色されること、また、DFSPの染色性が腫瘍辺縁に強くなる傾向を見いだした。なお、正常皮膚組織線維芽細胞はトロンボスポンジン1に染色されない。また、免疫ブロットでトロンボスポンジン1発現量をみるとDFとDFSPでは有意な差がみられなかった。これらの結果から、DFSPではトロンボスポンジン1の分解が低下している可能性を想定している。本学位論文の結果はDFとDFSPの両者の鑑別法のみならず、線維性皮膚腫瘍や皮膚線維化の病態の理解に役立つ知見を包含している。しかしながら、論文審査では免疫染色による手法、抗体の選択、判定法の限界、今までのCD34染色と比較した有用性、実用性が問題点として取り上げられた。また、免疫ブロットにより、DF、DFSPではトロンボスポンジン1の過剰発現がみられないことの解釈にはいくつかの可能性があるのではないかという疑義も出された。それらについては後に、加筆訂正された論文が提出された。研究内容はすでに欧州の権威ある英文学術雑誌European Journal of Dermatologyに掲載されていることを評価し、審査員全員一致で合格と判定した。試問の結果の要旨申請者の紹介に引き続き、本研究内容ついての発表がおこなわれた。まずDFとDFSPの解説、その鑑別を行うことの重要性について説明がなされた。次いでDFとDFSPの線維化にTGFβとレセプターの結合が関与していること、TGFβが活性化してレセプターに結合するにはトロンボスポンジン1が必要であることなどの基礎的な事項の発表が行われた。その後、本題であるトロンボスポンジン1の免疫染色、免疫ブロットについてプレゼンテーションがあった。質問では(1)本当にDFSPとDF鑑別に有用なのか?(2)トロンボスポンジン1の発現が悪性所見とどう関係するのか?(3)悪性度よりも腫瘍の大きさと関係するのではないか?(4)DFで陽性、DFSPではさらに陽性、辺縁部ではもっと陽性である意味と過去の報告例にあるTGFβ染色の結果の整合性はどうか?(5)免疫染色の結果(DF<<DFSP) と免疫ブロット結果(DF=DFSP)の解離はどう説明されるか?(6)免疫ブロットでは腫瘍細胞を培養系に移しており、混在する腫瘍内の培養線維芽細胞のロンボスポンジン1を反映しているのではないか?となどの質問がなされた。(1)については検索症例も限られており、従来の方法に比べた有用性は現時点では見いだせていないが、腫瘍の発症や病態にトロンボスポンジン1が関わっているという結果は意義のある結果であるとされた。(2)については文献的には癌の進展、抑制など両論あるが不明(3)については小さいDFSPも症例に含まれており、大きさよりもDF、DFSP本質的な差であろうという答えであった。また、(5)についてはいくつかのspeculationのあることが述べられた。(6)については本実験の限界について説明が行われた。なお、これらは修正した博士学位論文にも反映された。申請者の研究領域周辺の知識、研究目的、結果やその意義についての理解、質疑に対する応答の内容、態度は満足すべきものであり、学位授与に価する十分な学識、研究資質、能力を有すると評価した。よって、審査員全員一致で博士学位を授与するにふさわしいと判定した。

1 0 0 0 OA 忘機小舫詩存

著者
松田甲 著
出版者
松田甲
巻号頁・発行日
1945

1 0 0 0 OA 日鮮史話

著者
松田甲 著
出版者
朝鮮総督府
巻号頁・発行日
vol.第1編, 1926
著者
高木 伸
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.888-894, 2004-09-20

「量子干渉性は、観測しなければ保たれ観測すれば消える」と言われる。これは正しいけれども、場合によっては、「観測しなければ消え観測すれば回復される」。この二命題は相矛盾しない。もちろん、「観測」の意味が相異なる。この事情を、サッカーボール干渉実験に即して、具体的に考察する。
著者
池田 誠
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本年度はコード帳符号化方式において、コード帳をデータに応じて更新し、時系列データのの繰り返しにたいして効果的に信号遷移頻度の削減を可能とする適応型コード帳符号化方式の検討を行い、試作したチップの測定評価を行った。この結果、乱数データを用いた場合、信号遷移頻度を25%から50%削減出来ることが分かった。この結果を実証するために次の特徴を有するチップの設計試作を行った。1)コード帳のコード数16,ワード幅:16ビット,2)距離最小コード検出回路としてはWallance-tree型コンプレッサー回路を使用。本チップの測定の結果、符号化回路の消費電力が電源電圧3.3V,動作周波数10MHzにおいて3.6mWとなり、16ビットのバスにおいては、負荷容量が30pF以上場合に本チップが有効であることが分かった。また、本チップは0.5umプロセスで試作を行っているが、現在の最先端プロセスである0.18umもしくはそれより微細なプロセスで試作することで符号化回路の消費電力の削減が可能となり、さらに適用範囲が広まるものと期待できる。また、更なる消費電力削減およびデータ転送効率の向上を目指して、これまでに提案されている圧縮アルゴリズムのうち代表的なものとして、ハフマン符号化、LZ77符号化,LZ78符号化手法を取り上げ、そのLSI化を行った場合のハードウエア量とデータ圧縮効率のトレードオフに関しての検討を行った。その結果、データが既知である場合にはハフマン符号化が圧縮率が最大となるが、一般の場合、過去のデータ列を保持し、その最大一致長を送信するLZ77方式およびその派生の符号化方式であるLZSS方式が、ハードウエア量に制約を課した場合、他と比較して圧縮率が高くなることが分かった。