著者
富山 潔 寺中 敏夫 向井 義晴
出版者
神奈川歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

マイクロコスムバイオフィルムを用いたin vitroモデルが,口腔内を模した,表層下脱灰病巣を誘発できることを確認・報告した.本モデルを用いて作成したバイオフィルムにSPRGフィラー含有歯磨材による処理を行なうことにより,顕著に脱灰を抑制することを報告した.また,渋柿由来の縮合型タンニンを含有させた食品・化粧品等の原料(PancilⓇ PS-M:リリース科学工業株式会社)が,濃度依存的にガラス上で形成したバイオフィルムの生菌数を抑制することを報告した.
著者
松田 央
出版者
神戸女学院大学
雑誌
論集 (ISSN:03891658)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.79-93, 2012-06

To talk of God means to talk of experience of God. Only those who have experience God can bear witness to God. Theologians themselves must deepen their experiences of God in everyday life. And it is necessary to construct a universal methodology so that more people may have experiences of God. I will suggest a methodology based on Christian Zen in this treatise. However, is it right to introduce the thought of Zen into Chistianity at all? Does not such a new attempt turn into a sort of syncretism? First of all, this issue should be discussed. Daisetsu Suzuki, a Japanese student of Zen, has already discussed this issue. I think that Christian Zen is not a syncretism but a new Christianity which contains both orthodox Chistology and a training of mind based on the tradition of Zen. But it is very difficult to convey the essence of Zen to ordinary people. The words of Zen transcend common logic. So I will introduce the thought of Thich Nhat Hanh, a Zen priest born in Vietnam. He also has a deep insight into Christianity. His keyword for thought is "mindfulness". Mindfulness means a deep awareness and a sort of energy which throws a light on all existences and acts. According to Hanh's view, Zen training aims to make the energy of mindfulness penetrate into each act in everyday life. He also suggests that the spirit of mindfulness and the Holy Spirit of Christianity are almost the same. The Holy Spirit is an invisible divine power or energy that emanates from God. The Holy Spirit is also a person(persona)of God. We can find a point of contact between Chritianity and Zen by thinking about the relation between the Holy Spirit and the spirit of mindfulness.
著者
赤堀 三郎
出版者
社会・経済システム学会
雑誌
社会・経済システム (ISSN:09135472)
巻号頁・発行日
no.24, pp.97-102, 2003-10-25

In the early 1980s, Niklas Luhmann introduced autopoiesis theory to sociology and redefined social systems concept as systems of communication. In this paper, by referring to Gordon Pask's "Conversation Theory", which Luhmann also referred to, we examine why Luhmann attached importance to the communication concept. The reason lies in that we can understand stability of social systems not as an equilibrium or regulation but as a continuous process of communication by using autopoietic model of social systems.
著者
大石 敬一郎 宝野 和博 メンディス チャミニ 鎌土 重晴 本間 智之
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

自動車用鋼板のような大型部材として用途のある展伸用Mg合金の開発を目指し、圧延・押出などの熱間加工後、時効処理により強化できるような時効硬化型Mg合金の研究を行った。時効析出型のMg-Ca合金はAlやInの微量添加により時効硬化性が改善される。Al添加合金では底面上にGPゾーンが形成され、In添加合金では柱面上に板状析出物の形成が確認された。この柱面析出物は析出強化に有効に働くとされており、新しい時効硬化型マグネシウム合金開発に期待される。さらに、これらの結果に基づいてMg-Al-Ca-Mn合金の熱間押出し材を作製し、400MPaを超える高い引張耐力を示す材料の開発に成功した。

1 0 0 0 OA 食道楽 : 縮刷

著者
村井弦斎 著
出版者
対岳書屋
巻号頁・発行日
1920
著者
小山 太一
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2003

昨年度における資料収集およびアントニー・ポウエルの戦前諸作品の研究を踏まえて、本年度は、論文The Novels of Anthony Powell : A Critical Study(90,000 words、未発表)を完成させることにもっぱら努力を傾注した。本論文は、まずポウエルの喜劇小説創作の傾向と諸問題、文学史的コンテクストを整理解説したうえで、ポウエルの戦前・戦後の全テクストに詳細な読解を加え、とりわけ戦後の膨大な12連作『時間の踊り』(A Dance to the Music of Time,1951-1975)の全体像を一望の下に置いたうえでその語りのテクニックとテーマを掘り下げるものである。その論述過程においては、喜劇小説家ポウエルの長いキャリアに「コミックなるものの構造転換、喜劇の持つ教育機能をみずから脱構築してゆく語り」という一貫したテーマを見出し、彼が英国の社会喜劇小説の伝統にもたらした革新(あるいは英国の社会喜劇小説の伝統への反逆)の持つ意味とその限界を明らかにすることを第一の目標とした。本論文は、現在、英国アントニー・ポウエル協会(http://www.anthonypowell.org)を通じて英国ないし米国の出版社との出版交渉を準備中である。また、本年度は、ポウエル以降の英国小説における「コミックなるもの」のありかたにも視野を広げ、文学史的通観を現代まで接続する試みも開始した。論文「イアン・マキューアンにおけるコミックの要素」は、現代において創作活動を展開している英国小説家について、彼の小説の語りの構造そのものに内在する不条理な喜劇性を考察したものである。
著者
小林 典子
出版者
大阪大谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

3カ年を通し、毎夏季海外調査を実施し、仏・英・独・米国等の14機関に厳重所蔵される聖母戴冠の画家系譜に関連する重要オリジナル全作品(13写本4板絵)の調査をほぼ完成することができた。その結果、この時期パリ写本彩飾挿絵工房において聖母戴冠の画家からブシコーの画家へと継承される系譜のうちに、油彩画完成を導く、彩色技法と顔料の抜本的革新が進行してきていることを明らかにした。その成果については、論文誌上や学会において発表を行った。
著者
石黒 京子 奥 尚枝 扉間 晶規
出版者
武庫川女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

アレルギー反応を阻害する新規物質を天然資源から探索するため、これまでにアナフィラキシ-を短期間に誘発するマウスモデルを作製し、このアナフィラキシ-によるマウスの死亡率、さらにアナフィラキシ-に基づく血圧降下をを指標とした新規アッセイ法を確立してきた。この研究期間では上記のアナフィラキシ-アッセイ系が独創的に多方面にわたって有用に活用出来ることを以下の実験において証明した。1、上記のアナフィラキシ-発現にかかわるケミカルメディエーターの血圧に与える影響を先のアッセイ系を用いて検討した。その結果ヒスタミンがアナフィラキシ-の血圧低下のイニシエーターとして作用し、PAFおよびセロトニンがアナフィラキシ-症状の持続に関与するが、ブラジキニンは関与しないことを明らかにした。また感作により外因性のヒスタミン感受性が増加することも判明した。2、上記血圧低下および先の感作マウスのヒスタミン感受性増加に、NOが関与することを証明し、本法が天然資源より抗アレルギー薬としてのNO合成酵素阻害物質の探索に応用できることを示した。3、我々が開発したアッセイ法を用いて天然から見い出したホウセンカ(Impatiens balasamina L)の白色花弁の35%エタノールエキスの活性成分を単離し、構成決定を行い、アンフィラキシ-活性本体がフラボノ-ると1、4-ナフトキノ誘導体であることを確認した。またそれらの抗体産生前後やメディエーター遊離段階におけるアナフィラキシ-抑制作用メカニズムを明らかにした。現在も細胞レベル、分子レベルでのメカニズム解明に取り組んでいる。4、これらの実験を進めるに当たって、さらに多数の検体に対応できるように、上記血圧法の血圧変動のパターンを解析し、新たな測定法を作成した。
著者
森 隆 永田 和哉 石田 卓夫 佐々木 富雄 濱田 香理 仁礼 久貴 大網 弘 桐野 高明
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.581-586, 1993-08-15
被引用文献数
2

実験的クモ膜下出血(SAH)後に起こる脳血管攣縮(VS)の病理発生と, 免疫学的反応の関与を明らかにするために, 犬のSAHモデルを用いて, Streptomyces tsukubaensisから分離された, 細胞性免疫抑制剤, FK-506のVSに対する効果を調べた. 実験的SAH後の無処置対照群の脳底動脈では, 典型的なVSを認めた. しかし, そのVSは, FK-506投与群及びステロイド剤とFK-506を併用投与した群のいずれにおいても, 無処置群との間で攣縮血管の収縮率に有意差を認めなかった. 免疫組織化学的並びに病理形態学的検索では, 無処置群の脳底動脈周囲の軽微なリンパ球浸潤以外に, FK-506投与群と無処置対照群との間に, 病変の性質に差を認めなかった. 病理組織学的に, クモ膜下腔の攣縮血管周囲に, FK-506によって抑制されない好中球の明らかな炎症反応を認めた. さらに, 攣縮血管壁の様々な収縮性あるいは退行性変化も認めた. 免疫組織化学的に, 攣縮血管の内膜, 中膜側及び脳幹実質内の毛細血管にIgG, IgM及びC_3の沈着を認めた. これらの沈着はVSにおける血管透過性充進によるものと思われた. 以上の様に, 細胞性免疫抑制剤, FK-506投与により, 血管攣縮あるいはリンパ球浸潤以外の病理学的変化が抑制されなかったことより, SAH後のVSの発生に細胞性免疫の関与が乏しいものと考えられた.
著者
小早川 光郎 山本 隆司 太田 匡彦 山本 隆司 太田 匡彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、2004年に行われた行政事件訴訟制度改革に対して、理論的側面及び実際的側面から検証を加えた。理論的側面からの検証の主たる成果として、原告適格、義務付け訴訟、差止訴訟を中心に、その理論的基礎及び法的問題点等を明らかにした。かかる理論的側面からの検証の成果を前提として、主として2004年改正後に出された裁判例の分析を行い、処分性、原告適格、義務付け訴訟を中心に、制度改革による実際的影響を明らかにした。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ア-キテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.637, pp.38-42, 1999-04-05

景気の低迷が続くなか,オフィスを中心とする大規模ビルの完成は,東京・新宿駅南口のJR東日本と小田急の共同開発が目立った程度で,少なかった。設計面では,ビルの規模の大小にかかわらず,環境への配慮が大きなテーマとなっている。ルーバーや太陽電池パネルなどの装置や,二重壁といった工夫で,室内の快適さを保ちながら省エネルギーの実現を図る例が見られる。