著者
丸山 佳重 丸山 倫夫 高田 俊範 原口 通比古 宇野 勝次
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.84-89, 1994-01-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14
被引用文献数
1

六君子湯による薬剤性間質性肺炎の1例を報告した. 症例は79歳, 女性で間質性肺炎の疑いで入院した. 労作時息切れと咳嗽, 胸部X線上両肺の容積減少とびまん性粒状網状影認めた. 薬剤性間質性肺炎を疑い, 全内服薬を中止すると共に, プレドニン治療を開始したところ, 臨床症状, 検査所見, 胸部X線・CT上に改善を認めた. 経気管支肺生検では間質性肺炎像を呈し, リンパ球刺激試験・白血球遊走阻止試験では六君子湯に対し陽性を示した. 当薬剤による薬剤性間質性肺炎の報告は本邦で第1例目と思われる.
著者
鈴木 和恵 立花 昭生 畠山 忍 岡野 弘
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.156-159, 1995-02-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
11

シロスタゾールによる薬剤性肺炎の1例を経験したので報告する. 症例は73歳男性. 3回目の急性心筋梗塞を発症し, シロスタゾールの内服が開始された. 約70日後に呼吸困難, 乾性咳嗽, 発熱が出現した. 高度の低酸素血症と胸部X線, 胸部CTでびまん性スリガラス様濃度上昇を認めた. 薬剤性肺炎を疑い, 硝酸イソソルビド (冠動脈拡張剤) を除くすべての薬剤の中止とステロイド治療を施行し, 改善した. シロスタゾールのリンパ球刺激試験は陽性であり, 同剤による薬剤性肺炎と考えられた. これまでにシクロスタゾールによる薬剤性肺炎の報告はみられず, 本症例が第一例と思われる.
著者
長谷川 大 南須原 康行 真木 健裕 三浦 巧 別役 智子 檜澤 伸之 西村 正治 小野塚 久夫 筒井 裕之
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.7, pp.1362-1364, 2006-07-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
7
被引用文献数
2

症例は70歳男性. 発作性心房細動に対し, コハク酸シベンゾリン (シベノール®) の服用を開始したところ, 15日目ごろより労作時呼吸困難を自覚し, 25日目に胸部異常陰影を指摘された. 抗生剤投与にて改善がみられないため, 我々はコハク酸シベンゾリンによる薬剤性肺炎も疑い, 同剤を中止した上でステロイド治療を施行した. 肺炎の改善を認めたが発作性心房細動が再発したため, 慎重な観察の下同剤を再開したところ肺炎の再増悪を認めた. 以上よりコハク酸シベンゾリンによる薬剤性肺炎と診断した.
著者
中丸 禎子
出版者
東京大学大学院ドイツ語ドイツ文学研究会
雑誌
詩・言語 (ISSN:09120041)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.31-52, 2004-09

2003年12月に提出した修士論文の前半である。スウェーデンの作家セルマ・ラーゲルレーヴは、デビュー作『イェスタ・ベルリングのサガ』(1891)において、1820年代の故郷ヴェルムランドを舞台に、善き人間性と美しい自然を民話的な筆致で書いた。論文の第Ⅰ章「作者と作品」では、作者の時代の状況と北欧文学史における位置を紹介し、論考の目的を説明する。これまで同作は、民話調の情景描写や、人間の善意の肯定、自然主義文学から新ロマン主義文学への転換という北欧文学史上の功績を高く評価される一方、「現実逃避」、「過去の美化」といった批判も受けてきた。これに対して、本論文は、同作が、背景としての「近代化」をどのように反映し、なぜ前近代を「美化」しているのかを論じることで、作家像に新たな光をあてるのみならず、スウェーデンの「近代化」のあり方と、それに対して「前近代」が果たした役割を、文学研究の立場から考察する。第Ⅱ章「前近代のヴェルムランド」では、『イェスタ・ベルリングのサガ』において、1820年代のヴェルムランドがどのように語られているかを考察する。この作品には雑多な人物・事物が登場し、美しさと危険、善と悪、強さと弱さといった、「正反対のもの」が混ざり合う。混沌とした、清濁併せ持つその世界のすべては、一貫して肯定的に語られている。この語り口を保証するのが、表題にもある「サガ」である。「サガ(saga)」は、古アイスランド語の動詞segja(言う)を語源とし、口承文芸を意味する。同作は、近代文学でありながら、「サガ」を標榜することで、語り手を批判的主体ではなく、すでにある物語の媒介者として表現し、同時に、一つの空間に語り手と聞き手が集まり、物語を声で伝えていく前近代的な共同性の再現を試みている。『詩・言語』第62号に掲載された「後編」に続く。
著者
林 博史 藤目 ゆき 秋林 こずえ
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

アメリカやイギリスなどで多くの米軍関係資料を収集するとともに、基地問題に取り組んでいる諸団体の聞き取りや資料収集をおこなうことができた。また日本国内や韓国など共同で基地の現地調査も実施し、韓国の研究者や、日本国内で基地を抱えている地域の地元研究者などとのネットワーク作りも進めることができた。共同研究者がそれぞれ多くの研究成果を発表し、米軍による性暴力ならびに性売買の歴史と現状について新たな研究を付け加えることができた。

1 0 0 0 OA 海軍案内

著者
二瓶寿松 著
出版者
海国文行堂支局
巻号頁・発行日
1915
著者
八尾坂 修
出版者
国立教育研究所
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

1各州における教員免許状の効力(有効期間)と現職研修の対応調査研究の結果得られた知見・成果は次の通りである。(1)今日卒業後即座に終身免許状を発行する州は3州(ニュー・ジャージー、マサチューセッツ、ミズーリ)に過ぎず、他の州はいずれも免許状の更新制、上進制を採用している。他のタイプとしては3タイプが考えられた。第1のタイプは有効期限付きの1種類の免許状を発行し、しかも一定の更新要件を課そうとするものである。第2のタイプは、等級別の免許状を上進させるたとによって最終的に終身免許状取得の道を開くものである。第3のタイプは終身免許状を発行することなく、有効期限付きの免許状を教職経験のみならず、一定の単位あるいは修士号取得等により、更新あるいは上進させようとするものである。(2)更新・上進要件として、大学(院)での単位履修のみならず、地方学区主導の研修プログラムを義務づけあるいは代替可能にしている州が多くの州に存するようになっていることはアメリカにおける免許制度と現職研修の対応における一つの変革とも指摘できる。(3)以上の結果を日本と比較してみると、わが国でも1989年4月以降、上位の免許状については在職年数のみによって取得することは適当でないとし現職研修が要求されたことからしてアメリカと同一方向を歩むことが予測され得る。2今後の研究の展開各州個別あるいは全州的にとらえた免許状の更新・上進制と現職研修の関連性の実態(免許状の名称、種類、有効期間、更新・上進要件、具体的な現職教育内容、現職教育の主体等)を明白にすること。さらにはこの研究対象を一般教員のみならず教育官吏職(校長等)にも視点を広げることが今後の研究課題である。
著者
濱里 忠宣
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.93-101, 1992-12-20

濱里忠宣先生は, 鹿児島県のご出身で, 昭和30年に京都大学文学部哲学科をご卒業後, 鹿児島県の教育界におはいりになりまして, 高等学校の社会科教諭を皮切りに, 県立高等学校長や鹿児島県教育委員会の社会教育課長, 教育長のご要職を経られまして, 本学会の大会実行委員会からご講演をご依頼申し上げました本年3月までは, 鹿児島県総合教育センタ-所長でいらっしゃいました.教育現場, 教育行政について豊富なご経験をお持ちでいらっしゃいますが, 只今は, 鹿児島純心女子短期大学教授として, 哲学, 人間学, 生活科学の講義をご担当になり, 教育研究者としてのご活躍とともに, 地元の南日本放送局の番組審議会委員, 文部省の青少年の学校外活動に関する調査研究協力者会議委員など, 社会活動の面でもいろいろとご活躍でいらっしゃいます.また, 全日本学士会, 人間学会の会員でもいらっしゃいます.ご著書としまして, エッセイ集の「樟南序章」(日本図書館選定図書, 大山学芸図書), 「若き旅人たちへ」(講談社)等がございます.先生のプロフィ-ルを簡単ではございますがご紹介申し上げます.(本大会実行委員長 関 志比子)
著者
浦野 東洋一
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科教育行政学研究室紀要 (ISSN:13421980)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-18, 2001-03-27

この裁判の事案は,群馬県立桐生工業高校で起きた事件です。原告である松本先生は,この桐生工業高校の卒業生です。大学を出て教師となり,幸運にもというべきか母校である桐生工業高校に赴任しました。おそらく専門が染色学であったからだと思いますが,人事異動を経験することなく,桐生工業高校で定年退職を迎えることになりました。つまり松本先生は,生徒として3年間,教師として37年間,あわせて40年間桐生工業高校に"在校"したことになります。教師としての最後の年,松本先生は求められて「40年の回想」と題する一文(後掲資料)を生徒会誌に寄稿しました。回想文は生徒会誌に2頁(A5判)にわたり掲載されました。その内容の大半は同校の昔の様子と今の様子の違い,自分の専門,教師としての活動や成長についての記述です。また,分量としては4分の1ぐらいだと思いますが,自分の人生の回想として,勤評反対闘争,安保闘争,平和運動などに参加したこと,そこで学び考えたことについても記述されています。1995年度末に刊行されたこの生徒会誌は,からくも卒業式に間に合い,生徒全員に配布されました。生徒会誌を読んだ校長は,おそらく日米安保条約に触れている部分などを不適当と判断したのでしょう,(1)松本先生の了解を得ることなく,(2)生徒会の組織である生徒会誌編集委員会に問題を投げかけることもなく,(3)職員会議にきちんと諮ることもなく,生徒会顧問の教師に対し,まだ配布されていない生徒会誌から「40年の回想」を削除するよう命じました。校長は当初,配布済の生徒会誌の回収も考えたようです。顧問の先生は抗議の意思を表明したようですが,校長からの「職務命令」であるということで,残っていた何百冊かの生徒会誌から「40年の回想」の頁を切り取るという作業をおこないました。そして4月に入学してきた桐生工業高校新一年生全員に,切り取られた生徒会誌が配布されました。そのことを知った松本先生が,校長に謝罪等を求めておこした裁判が,この事案です。

1 0 0 0 川と湖の魚

著者
川那部浩哉水野信彦共著
出版者
保育社
巻号頁・発行日
1989
著者
Hideyuki Yamamoto Sayomi Higa-Nakamine Nobuhiro Noguchi Noriko Maeda Yutaka Kondo Seikichi Toku Ichiro Kukita Kazuhiro Sugahara
出版者
(公社)日本薬理学会
雑誌
Journal of Pharmacological Sciences (ISSN:13478613)
巻号頁・発行日
pp.13R11CP, (Released:2014-02-19)
参考文献数
28
被引用文献数
2 17

Four transmembrane tyrosine kinases constitute the ErbB protein family: epidermal growth factor receptor (EGFR) or ErbB1, ErbB2, ErbB3, and ErbB4. In general, the structure and mechanism of the activation of these members are similar. However, significant differences in homologous desensitization are known between EGFR and ErbB4. Desensitization of ligand-occupied EGFR occurs by endocytosis, while that of ErbB4 occurs by selective cleavage at the cell surface. Because ErbB4 is abundantly expressed in neurons from fetal to adult brains, elucidation of the desensitization mechanism is important to understand neuronal development and synaptic functions. Recently, it has become clear that heterologous desensitization of EGFR and ErbB4 are induced by endocytosis and cleavage, respectively, similar to homologous desensitization. It has been reported that heterologous desensitization of EGFR is induced by serine phosphorylation of EGFR via the p38 mitogen-activated protein kinase (p38 MAP kinase) pathway in various cell lines, including alveolar epithelial cells. In contrast, the protein kinase C pathway is involved in ErbB4 cleavage. In this review, we will describe recent advances in the desensitization mechanisms of EGFR and ErbB4, mainly in alveolar epithelial cells and hypothalamic neurons, respectively.

1 0 0 0 倫理學年報

著者
日本倫理學會編
出版者
日本倫理學會
巻号頁・発行日
1953
著者
片岡 香子
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

火山性の決壊洪水は、噴火が直接的に及ぶ範囲を超えてより下流域にインパクトを与えることがあり、甚大な災害を及ぼす可能性が非常に高い現象である。本研究では、カルデラ湖決壊に起因する過去の大規模な洪水について、堆積学的・地形学的アプローチと古水文学的解析からの復元を試み、その実体を明らかにし、今後の火山土砂災害の予測・対策・軽減に貢献できる基礎的、具体的データの構築を目指す。
出版者
大空社
巻号頁・発行日
1990
著者
坂口 次郎 鈴木 雅和
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.197-200, 1996-03-29
被引用文献数
1

本研究の目的は,大規模都市公園における空間構成を客観的に記述し比較検討するため,グラフ理論に基づいたグラフの計測示数により,空間構成を解析することにある。日本における15ケ所の国営公園を対象とし,ゾーニングされた空間をグラフの頂点,それらを連結する主要な動線を辺としてグラフ化を試みた。またグラフの規模,連結度,分散度,関連数などのグラフ示数を計測し比較することにより,大規模都市公園における空間構成を類型化することができた。大規模都市公園におけるゾーニングは1段階だけの単純な構造ではなく,空間を複数回分割する階層的な構造があるなど,空間構成上の特微か把握でき,本解析法の有効性が確認できた。