著者
瀧端 真理子
出版者
追手門学院大学
雑誌
追手門学院大学心理学部紀要 (ISSN:18813097)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.33-51, 2014-03-01

動物園 / 水族館 / 博物館法 / 棚橋源太郎 / 公益法人日本動物園水族館協会 / JAZA
著者
角野 正高 西本 一志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.742, pp.77-82, 2004-03-18
参考文献数
6

本研究の目的は,無意識に表現された身振りやしぐさなどの身体動作に注目し,感情を表出したくても表出しにくい状況での情動表現を検討することである.そこで本研究では,対面場面の中で頻繁に観察される飲み物を飲むという行為に注目し,"コップを置いたり,持ち上げたりする際の圧力"と"コップの軌跡","動作速度"が感情によって変化するという仮説を立てた.これらの仮説を検証するために,被験者9名を対象として,自分の抱いている感情を直接表現できない"やりきれない場"における行動を記録するとともに事後プロトコル分析を行い,被験者が抱いていた感情を評価し,飲む動作と感情との相関を求めた.分析の結果,置く時の圧力の変化,コップを持ち上げてから口に付けるまでの時間は,感情によって有意に異なるという結果が得られた.
著者
名城 健二
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.401-406, 2014-08

オーストラリア連邦(以下AU)政府は,国内において増え続けるファミリーバイオレンス(以下FV)が母子の身体面や精神面,子どもの脳に与える悪影響を防止するために国の政策としてその解決に力を注いでいる.中でもビクトリア州(以下VIC)は,2006年から特徴的なFVの対応と予防システムを構築している.このシステムは,FVサービスの統合を目指し,警察官と裁判官,地域のFVのスペシャリストにてFVの対応について共通理解し,共に行動し,FVの被害者に対し共通のアセスメントを行い,専門的なサービスを提供するという流れになっている.VICは,FVの対応と予防をPrevention(予防),Early intervention(早期介入),Crisis(危機介入)の三つのレベルに分けシステムを構築している.Preventionレベルは,教育により人々の態度と行動を変え暴力のない関係を作り,女性と子ども達への暴力による犠牲の予防を目的にしている.Earlyinterventionレベルは,暴力的な支配や暴力的な行動を見せている個人とグループの早期発見を目的にしている.このレベルで最も特徴的な取り組みは,2009年のシステム改良後から開始された,各関係機関において共通に使用するCommon Risk Assessment and Risk Management Framework(以下フレームワーク)である.これは警察署や学校,病院,裁判所等の各関係機関にて使用する用語に対する共通理解,認識を持ち共通アセスメントシートを用いてFVに取り組むシステムである.Crisisレベルは,暴力を受けた女性と子ども達を保護し,生活の再建を図り問題が再現しないよう予防するためにタイムリーに一貫した対応を目的にしている.VICのFVのシステムで特徴的なことは,何よりもFV の対応と予防を三つのレベルに分け,関連する全ての関係機関が同じシステムの中で機能していることである.その背景には,AU政府とVIC政府のFVの対応と予防のビジョンと予算立ての共通認識がある.特にフレームワークは,FVの対応において迅速に効果的な成果を残していると思われる.インタビューから,現時点において予算の減額はないが,サービス内容が毎年州の予算編成に左右される.サービス提供施設は増えないが,対応件数が年々増え多忙になり継続支援や予防的な取り組みが十分できないとことが課題として挙げられた.また,関係機関の立場上の違いから上手く共通認識が図れないことがあることや職員研修の機会が少ないことも挙げられた.これらの意見からすると,今後継続的な予算確保や現場における関係機関との連携をスムーズにしていく上での課題が残っていると言えよう.いずれにせよ,今後日本におけるFVの対応と予防システムを考える際,VICのシステムから参考にできることがあると考える.
著者
若松 由佳子 川原 瑞代 渡辺 久美 島内 千恵子 菅沼 ひろ子 串間 秀子
出版者
宮崎県立看護大学
雑誌
宮崎県立看護大学研究紀要 (ISSN:1345692X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.92-97, 2000-12

近年の児の栄養方法の推移をみると母乳栄養の割合が上昇してきているが, 半数以上は哺乳びんを用いる育児が行われている。そこで, 今回哺乳びんの消毒方法がどのように行われているかを明らかにすることを目的に調査を行った。すなわち, 乳児を養育している母親108名を対象として, 哺乳びんの消毒方法の実施の実態とそれらに対する認識について調査した。その結果, 生後1ヶ月の時点での哺乳びん使用者は55名で, 哺乳びんの消毒方法は, 「次亜塩素酸ナトリウムでの消毒」が25名, 「煮沸消毒」が22名, 次いで「電子レンジでの消毒」が9名であった。消毒方法を選択するのに影響を受けた情報源では「テレビ・新聞等の広告」と「出産した施設での専門家の指導」が同数の14名, 次いで「家族」が13名でほぼ同数程度と多く, その他には「育児書」や「雑誌」などが情報源になっていた。消毒方法別にみると, 次亜塩素酸ナトリウム消毒実施者は, 「テレビ・新聞などの広告」が多く, 煮沸消毒実施者は, 「出産した施設での指導」が多かった。消毒方法についての認識は, 「清潔なものを使いたい」という人が多い一方で, 「手間がかかる」「いつまで必要か」「このような消毒や洗浄で子どもに安全か疑問」などの疑問も同時にみられた。更に, 哺乳びんの消毒を必要と考える期間についても, 6ヶ月から12ヶ月と答えた人が約60%を占めたが, 6ヶ月以下もみられ一定していなかった。これらの結果から, 哺乳びんの消毒については, 方法の選択や実施法やその時期に戸惑いがみられることがわかった。従って, 乳児の免疫学的及び, 細菌学的特徴も考慮に入れた消毒方法についての検討と情報提供が必要であり, 母親と指導する側の認識についても考慮しながら, 有効な保健指導を行う必要があることが示唆された。
著者
関根 孝道
出版者
関西学院大学
雑誌
総合政策研究 (ISSN:1341996X)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.165-197, 2005-09-20

On March 2, 2005, the United States District Court Nothern District of California gave an epochmaking decision. The decision held: in light of the many similarities between the lists generated by the Japanese Law for the Protection of Cultural Properties and the U.S. National Historic Preservation Act ("NHPA"), the Japanese Law is an "equivalent of the National Register" under the NHPA within the meaning of section 470a-2 thereof; since the Okinawa dugong is protected under Japanese Law on the basis of its cultural significance to the Okinawan people, section 470a-2 of the NHPA can apply to the Okinawa dugong, an animal protected for cultural, historical reasons under a foreign country's equivalent statutory scheme for cultural preservation; while section 470a-2 applies to "any federal undertaking outside the United States", it can as a matter of law apply to the undertakings alleged by plaintiffs in that case because plaintiffs have alleged and provided evidence to show that the contested actions and decisions were undertaken by the U.S. Department of Defense and thus constitute a federal undertaking which may directly and adversely affect a property, the Okinawa dugong; since the case at issue deals with a statute, unlike the NEPA, explicitly demonstrates Congress's intent that it apply abroad where a federal undertaking promises to have direct or adverse effects on protected foreign properties, the cort must construe section 470a-2 in accordance with the statutory text-to preclude enforcement as a blanket rule based on the act of state doctrine would empty section 470 of any meaning; since the record before the court does not currently describe an "official act of a foreign sovereign perfomed within its own territory," but rather a process intertwined with U.S. Department of Defense decision-making, the court evaluates the actions of a federal agency for the act of state doctrine not being implicated. This decison is extremely significant mainly for the Okinawa dugong protection and U.S. military facilities issues here in the future.
著者
齊藤 壽彦
出版者
千葉商科大学
雑誌
千葉商大論叢 (ISSN:03854558)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.49-106, 2003-03-31

本論文において,日本銀行が大手銀行などから直接にその保有株式を買入れた問題を実証的,総合的に考察した。単なる現状分析にとどまらず,理論研究を基礎に,時間的推移も考慮に入れてこの問題を考察した。政策評価(意義と問題点の分析)も行った。本論文においては,まず本施策の決定過程を考察し,当初株式買入を拒否していた日本銀行が,不良債権問題の深刻化と株価低落に伴う大手銀行の経営悪化という状況変化のもとで,日本銀行自らがこの異例の施策の採用を決断するに至ったことを明らかにした。続いて本施策の目的,日銀の株式買入方法,買入れ状況を論述した。さらに日銀の株式買入限度額引上施策について,それが実施された背景や目的について考察した。最後にこの施策を信用秩序維持,証券市場,貨幣・中央銀行信認に及ぼす影響について検討した。本施策は日本銀行が銀行の株価変動リスク軽減を通じて金融システムの安定を図る政策であって,また,政府に不良債権の早期処理への取組を促すという役割をもっており,それは一定の役割を果たしたが,それは大きな限界をもっており,また証券市場の改善には役立たず,中央銀行の財務悪化を通ずる信認毀損の恐れという問題点をもっていたということをを明らかにしている。
著者
松川 みゆう
出版者
日本フランス語フランス文学会関西支部
雑誌
関西フランス語フランス文学
巻号頁・発行日
vol.22, pp.15-26, 2016

L'analogie entre le corps politique et le corps humain dans le <i>Contrat social</i><br/><p> Rousseau fait à plusieurs reprises la comparaison traditionnelle entre le corps politique et le corps humain, qui se rapporte étroitement à la conception de la volonté générale. Dans le <i>Discours sur l'économie politique</i> rédigé en 1755 comme article de l'<i>Encyclopédie</i>, la volonté générale, qui constitue le cerveau du corps politique, tend toujours à la conservation de chaque partie du corps et devient donc autant la règle du devoir que la source de la liberté des citoyens. En effet, dans cet article, la liberté est finalement organisée sur le modèle du corps organique. On peut donc voir ici l'influence du matérialisme sur Rousseau. Dans le <i>Contrat social</i>, pour que la volonté générale soit « générale », tous les individus dans l'État, ayant rapport au tout, doivent prendre l'initiative en tant que peuple. La métaphore du corps et des membres représente ainsi la réciprocité entre l'individu et le tout, à savoir celle de la volonté générale. Et la métaphore du coeur, par sa fonction circulaire, témoigne de la récursivité de la volonté générale qui part du tout et lui revient. Dans le but de réaliser l'autonomie du peuple, Rousseau tente d'exclure la transcendance et de former la récursivité par la réciprocité. La métaphore organique, contenant ces deux caractéristiques, fonctionne de fait efficacement dans cet écrit.</p>
著者
頼 衍宏
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:24343110)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.9-49, 2018-11-30

法隆寺金堂に珍蔵されている「銅像薬師如来坐像」という国宝の光背銘は、日本の国語学ないし古典文学の領域で重要な位置を占めている。その文体について、現代の有力説では和文とされている。一方で、「正格の漢文」という波戸岡旭の説もある。ここでは、この少数説を支持して、訓詁・音韻・修辞という三つの側面から検証した。 字義については、とくに八箇所の文字列に即して考証する必要がある。そのために、中国の類書・正史・総集・金文・造像記・敦煌変文にとどまらず、日本で写経された漢訳仏典も視野に入れて、しかるべき用例を若干拾った。結果、純漢文体で読むことができた。この観点に基づいて、筆者は新しい読み下し文を作成してみた。 字音については、『切韻』の韻摂を導入して、銘文における韻字の分布を調査してみた。また、西周の散文のなかに存在する押韻をもつ金文、言い換えれば、非定型のなかに韻字を布陣する金石文の技法に注目しつつ、本銘の押韻状況を割り出した。 従来論じられていない修辞については、まず異なる字数五十八字のうち「大」「天」という執筆者の愛字から見ていく必要がある。その十二回ほど繰り返されている主旋律および配置の有り様は、唐詩に示された技法を抜きにしては考えられない。そのうえ、本銘を検討すると、前半の「大宮治天下」「天皇」「大」「賜」「歳次」「年」「仕奉」の七箇所が後半でそのまま繰り返されているという技巧も発見した。総合的に観察すると、同心円・渦・波という繫がりが認められる。冒頭の「池」に因んだ二十一箇所の修辞は、ちょうど発願の「丙午」から完成の「丁卯」までの二十一年間に相当する。 以上の考察により、正格漢文体とする少数説を復権させるとともに、現行における文学史の主流的な記述の仕方の刷新を提起したい。