著者
石崎 博志
出版者
琉球大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

今年度はポーランドのクラクフ、フランスのパリにて中国の字書の欧州の所蔵状況などを調査し、京都、東京にて関連する漢語資料の調査を行った。そして、来華宣教師および在欧の中国学者がどのような中国の字書を参照していたのか、また中国の字書が欧人の編纂した辞書にどの程度反映されているのかを考察し、口頭発表を行ったのち、論文を発表した。この研究で扱った辞書は『西儒耳目資』、"海篇類"の字書、『字彙』、『正字通』、『諧聲品字箋』、『五方元音』で、以下の結果を得た。"海篇類"の字書については欧州各地に数多くの所蔵がみられ、宣教師やヨーロッパ人学者もそれらの書名を引用するものの、具体的にそれらをベースに編纂された辞書はみあたらない。『字彙』『正字通』も欧州各国に伝わっているが、殆どの場合字彙の筆画検字法の導入に止まり、字書本体を使用した事例は挫折に終わっている。『品字箋』については、Antonio Diazが1704年にVocabulario Hai xing phin tsu tsienを著すが、その序文に『品字箋』の韻分類を示すも、本体は宣教師による辞書を引き写したものとなっている。『五方元音』とラテン語による"Vocabularium Sinico-Latinum juxta. Ou Fang Iuen In."については、発音体系に若干の齟齬があるが、辞書本体の語釈部分については『五方元音』の反映はみられない。
著者
桧山 真一
出版者
ロシア史研究会
雑誌
ロシア史研究 (ISSN:03869229)
巻号頁・発行日
no.46, pp.71-86, 1988-06-01
著者
斉川 雅久 赤須 東樹
雑誌
内分泌外科 = Endocrine surgery (ISSN:09149953)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.145-148, 2010-09-30
著者
若松 昭子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.143-158, 2001-04-30

ピアス・バトラーがニューペリー図書館の印刷史コレクション構築の中で最も力を注いだのはインクナブラの収集である。本稿では, 当該コレクションを通してバトラーが提示しようとした観点を明らかにするために, ニューペリー図書館のインクナプラ目録およびインクナブラ展示会目録の分析を通してコレクションの内容を検討した。コレクションにはインクナプラに用いられた活字体の変遷や, 書物が写本から標題紙等の機能を備えた近代的な形態へと発展する様子が示されていた。即ち, バトラーは当時発展期にあった分析書誌学の研究成果を採用することにより, 印刷術の歴史地理的な伝播過程, および書物の形成過程という二つの歴史を具現化しようとしていたことが見て取れた。さらに, インクナブラの時代を学問の発展期として位置づけようとしていたこともうかがえた。
著者
若松 昭子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
図書館学会年報 (ISSN:00409650)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-16, 1998-03-30

バトラーの図書館学の基礎を築いたといわれるニューベリー図書館時代に焦点を当て, ウイング財団の印刷史コレクションの形成過程を考察した。その結果, 彼が, 人文学的かつ学術的な印刷史コレクションの形成をめざし, 積極的な収集活動によって質の高いインクナブラを収集したことが明らかになった。彼が収集対象をインクナブラに絞った理由は, それらが歴史的, 学術的, 芸術的に優れているという判断によるものである。また成功の誘因として, 彼の学識, 充実発展期における同図書館の支援体制, 第一次大戦後のインクナブラ収集の好機という特殊な時代状況があったことも分かった。バトラーの収集方針と収集過程には, 印刷史の出発期を文化史の重要な時期と位置づけていた彼の書物観がうかがえる。
著者
若松 昭子
出版者
聖学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

アメリカの図書館学者ピアス・バトラーについての研究は、従来、シカゴ大学時代の彼の著作を中心に考察されてきた。本研究では、バトラーの書誌学者としての実践にも注目しその意義を考慮しつつ、彼の図書館学をメディア論の観点から再考した。バトラー図書館学の具体的・実証的な裏づけのために、シカゴ・ニューベリー図書館において彼が構築したインクナブラコレクションを分析した。その結果、バトラーが収集した当該館のインクナブラは、15世紀ヨーロッパにおける印刷術の出現と普及、ならびに近代的書物の形成過程を示す代表例であったことがわかった。即ち、バトラーは、15世紀後半のヨーロッパの様々な印刷所の代表的図書を集めるとともに、活字体の変遷を示す様々な活字の実例、あるいは標題紙、ページ付け、目次、索引などの印刷本特有の機能の発展段階を示す実例などを優先的に収集し、体系的コレクションを構築した。また、バトラーは印刷術発明と普及の影響を、書物形態の変化という分析書誌学的な興味からばかりではなく、多様な思想の表現、近代科学の発展、学術出版の広がり、著作者の権利意識の高揚、母国語出版物の普及による言語の標準化、等々の社会的・文化的な変化としてより広範な視野から捉えようとしたことがわかった。バトラーの図書館学の基礎にあるこの書物観は、20世紀後半のメディア論、つまり印刷術発明の社会的・文化的な影響を人間精神や社会構造の変化として解明しようとする視点と共通する。バトラーによる書物の社会史的な論考は、今日の研究と較べると論証性や実証性に不十分さが見られるものの、書物を社会史との関わりで捉え、印刷術の発明をメディアコミュニケーション革命として位置づけようとした今日のメディア研究と同様の視座を持つ、先駆的存在と位置づけることができる。
著者
金田 千秋
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.26-40, 1982-06-30

Es ist die Absicht dieses Aufsatzes, Fichtes Wissenschaftslehre aus dem asthetischem Gesichtspunkt zu uberblicken. Dazu bekommen wir einen Anhalt bei dem Manuskript, das "Practische Philosophie" gennant ist. Der leitende Begriff dieses Manuskripts ist der des Strebens, der die konsequente Thematisierung der sinnlichen Lust, des Schones und des Erhabenes ermoglicht. Erstens in der asthetischen Erfahrung geschiet die Wiederherstellung des vorstellenden Ichs aus der Abhangigkeit von dem Nicht-Ich. Zweitens erhalten das Schone und das Erhabene in sich eine Struktur des Reflexes. Diese zweien Einsichten sind nicht nur der Charakter der fruheren fichteschen Asthetik, sondern auch der der spateren. Denn die Grundeinsicht spaterer Wissenschaftslehre ist dargestellt unter dem Begriff der Reflexibilitat, der eine Konsequenz fichtescher Asthetik von Anfang bis zum Ende bezeugt.
著者
池田 浩
出版者
福岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、メンバーを奉仕するサーバント・リーダーシップに着目し、その効果を実証的に検討した。その結果、サーバント・リーダーシップは従来の変革型リーダーシップとは異なる効果を持っていた。すなわち、変革型リーダーシップは、有能性を意味するメンバーの「認知的信頼」を引き出していたのに対し、サーバント・リーダーシップは「情緒的信頼」を引き出していた。また、サーバント・リーダーシップは、メンバーの基本的な心理的欲求(有能感、自律性、関係性)を満たすことで、自律的なモチベーションや職務パフォーマンスを引き出していた。さらに、サーバント・リーダーシップは職場全体に波及する効果も持っていた。
著者
阿久津 泰典 遠藤 正人 星野 敏彦 久保嶋 麻里 加賀谷 曉子 角田 洋三 落合 武徳
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.1514-1519, 2003-11-01
被引用文献数
12

症例は55歳の男性.タール便,全身倦怠感を主訴に来院した.胃内視鏡検査および上部消化管造影X線検査にて胃体部小彎中心に3型進行胃癌を認めた.術前の白血球数が18,610/mm^3, G-CSF 76pg/ml と高値であった.多発肝転移を認めたため,根治切除は困難と診断され化学療法を施行した.腫瘍より出血を認め止血困難のため2002年11月6日胃全摘術を施行した.進行度はT3N3P0H3, stage IV であった.病理組織学的診断はtub2, se, pm(-), dm(-), ly3, v3, n3, stage IV であった.術後,肝転移巣は増大し.G-CSF値も250pg/mlまで上昇し,術後91病日に肝不全で死亡した.本邦でのG-CSF産生胃癌は自験例が21例目であり,まれであった.また通常型胃癌とは特徴が異なり,本邦報告例の文献的考察を加え報告する.
著者
石山 裕慈
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.108, pp.9-17, 2012-10

本稿は、室町時代に書写された複数の『論語』古写本に着目し、それぞれの資料に記入された漢字音の清濁について考察したものである。 『論語』古写本においては、韻書全濁字への濁点加点例のような、清濁の原則に必ずしも忠実ではない場合が多々見られる。さらに、同じ漢字の清濁が資料によって食い違っている場合が存するほか、同じ資料の中でも両様の形が出現する例も散見される。また、「漢語」単位で分析した場合も、やはり清濁の揺れが少なくないことが分かる。 一連の考察から、それぞれの字の清濁とはある程度の流動性を帯びたものであって、韻学的知識などをもとに、絶えず「整備」される性質のものであったことが窺える。
著者
廣田 收
出版者
同志社大学
雑誌
人文學 (ISSN:04477340)
巻号頁・発行日
vol.191, pp.143-186, 2013-03
著者
小林 恵美子
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、未成年大学生が飲酒、喫煙をするか否かを合理的に判断する背景について、次のことを実証した。飲酒に対する社会的制裁と非飲酒に対する社会的報酬の推定値は抑止要因として、そして、飲酒に対する社会的報酬と非喫煙に対する社会的制裁は促進要因として作用していることが明らかになった。さらに、飲酒、喫煙に対する「制裁>報酬」となった時にこれら違法行為を自重すること、また、非飲酒に対する「制裁<報酬」となった時に飲酒を自重することが示された。
著者
小林 恵美子 松原 斎樹 藏澄 美仁 飛田 国人
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
no.24, pp.241-244, 2006-12-20
被引用文献数
4

In this paper, we introduce the importance of the use of supplementary air-conditioning behavior toward energy conservation. The questionnaire survey was done for the resident of housing complex in Kyoto city in the summer and winter. The results indicate the possibility that making good use of supplementary air-conditioning conserve behavior energy.