著者
中山 匡 石沢 京香
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第III部門, 自然科学・応用科学 (ISSN:13457209)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.89-94, 1997-08

The cellular protein profile was produced by two-dimensional polyacrylamide gel electrophoresis (2D-gel electrophoresis) on whole cell extract of an halophilic archaea, Halobacterium halobium, which was prepared from late log-phase cells grown on basal salts' medium containing 10% Sehgal and Gibbon's complex medium (V/V) at 55℃. The 242 proteins were separated. Two-hundred and three of them were detected on the similar protein profile obtained from 40℃-grown cell extract by 2-D gel electrophoresis. Although significant overlap was noted during comparison of protein compositions obtained from between 40℃ and 55℃, only a few proteins (a total of 39) were newly detected from 55℃-frown cell extract and cataloged in reference to a standard polypeptide map (high-temperature specific protein : Htp). Polypepitdes (a total of 50) quantitatively increased (greater than 5-fold) and 28 proteins decreased (less than 1/5) during 55℃-cultuvation55度で培養したHalobacterium halobiumの細胞構成タンパク質を2次元電気泳動法で調べた。本条件で242種のポリペプチドが分離され,そのうち203種が40度培養で得られた細胞を構成する蛋白質と共通であり,39種が55度培養で新たに確認された(高温特異的タンパク質:Htp)。さらに11種のポリペプチドで40度培養時より5培以上その量が増加していた。また28種のポリペプチドで40度培養時よりその量が1/5減少していた。これらは高温で培養した本菌を構成するタンパク質の特徴であると考えられる。
著者
石井 好二郎
雑誌
臨床化学 (ISSN:03705633)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.344-349, 2005-11-30
参考文献数
10
著者
松本 克彦
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.196-203, 1968
被引用文献数
1

前報に続き, コナダニ類のヒポプスの成因を検討した.すでに繁殖しているコウノホシカダニLardoglyphus konoiの集団を種々の湿度環境におき, ダニ数および年齢構造の変動を観察した.コウノホシカダニを煮干し6 : 乾燥酵母剤4の割合で混じた飼料で, 温度25℃, 湿度76% R. H. (NaCl飽和溶液にて調整)において, あらかじめ4週間飼育した.繁殖ダニ数は飼料0.5g当り平均256匹であつた.この飼料を10gずつ小コツプに取り, これを, K_2SO_4 (98% R. H.), KNO_3 (94% R. H.), KCl (87% R. H.), Na_2SO_4 (82% R. H.), NaCl (76% R. H.), NaNO_2 (66% R. H.), NaHSO_4・H_2O (52% R. H.)の各飽和溶液を入れたデシケーターにそれぞれ置いた.温度は25℃と一定にした.1)飼料内ダニ数への各湿度の影響は, 実験開始2日目から現われた.低湿度66%, 52% R. H.ではダニ数は減少した.最高ダニ数を示した湿度は82% R. H.であり, 7日目で912匹となつた.87% R. H.以上の高湿度では最高ダニ数に達する時期が, 他の湿度に比べて遅くなつたが, 増殖率は相当良好であつた.2)飼料内から外部へ移動する這い出し現象は低湿度においては実験開始時から盛んに行なわれた.94% R. H.以上の湿度における這い出し現象は, 他の湿度に比べ1日遅れて2日目から始まつた.各湿度における這い出し現象の最盛期は, 飼料内のダニ数が減少期に入つてからであつた.飼料内のダニ数に対する這い出しダニ数の比, すなわち這い出し比は最適繁殖湿度82% R. H.および94%, 98% R. H.では小さく, 低湿度では大きな値を示した.這い出し数の最高は87% R. H.の湿度で示された.3)湿度76% R. H.以上の飼料内ダニの年齢構造に対する湿度差の影響は14日以内には見られず, 17日以後になると, 高湿度では成虫の比率が高くなつた. 66% R. H.以下の低湿度では2日目以後から成虫が少なく, 前若虫の占める率が大きくなつた.ヒポプスは各湿度ともほぼ10日前後に現われた.ヒポプスの出現比率は最適繁殖湿度82% R. H.をはさんだ87, 76% R. H.に極大値を示した.4)這い出しダニの年齢構成は各湿度とも初期ではほとんど成虫で占められていたが, 這い出しダニ数の増加とともに, 若い時期のダニ数が多くなつた.ヒポプスの出現時期は湿度98% R. H.ではやや遅れるが, その他の湿度ではほぼ同じ8日前後であつた.ヒポプス出現率が10%以上の大きい値を示す時期は湿度が高くなるにつれて遅くなつた.出現率の大きさは飼料内のヒポプスと同じく, 76%および87% R. H.の所で極大を示した.
著者
信夫 隆司
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.43-90, 2001-07-01

松尾鉱山は、かつて、東洋一の硫黄鉱山であるとか、「雲上の楽園」と言われた。閉山からすでに30年以上が経過し、松尾鉱山の栄華を知る人も数少なくなってきている。今日では、松尾鉱山から出る強酸性の坑廃水の処理問題だけに関心が行き勝ちである。しかし、この問題が登場する背景をわれわれはきちんと理解しておく必要がある。そのため、本稿では、1914(大正3)年に松尾鉱業が創立される由来にまで遡り、松尾鉱山の歴史を紐解いてみた。また、松尾鉱山の生みの親である松尾鉱業初代社長中村房次郎の事跡をたどりながら、第2次世界大戦までの30年あまりにわたる松尾鉱山の歩みを跡づけた。
著者
徳永 幹雄 橋本 公雄 磯貝 浩久 高柳 茂美
出版者
九州大学
雑誌
健康科学 (ISSN:03877175)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.9-17, 1992-02-08
被引用文献数
2

運動やスポーツを行うことによって生ずる心理的効果として爽快感の体験とその観定要因を分析するために3つの実験を行った。実験1は炎天下に行われた大学におけるテニスの授業, 実験2は継続的授業の初期(2回目)と後期(12回目)の大学のサッカーの授業, 実験3は習慣的に実施されている高齢者のテニスの練習を対象とした。それぞれの主な結果は, 次のとおりである。1. 炎天下のテニスの授業では80.4%の多数の学生が「爽快」と答えた。爽快感の規定要因では気分のすっきり度, 運動欲求の強さ, 暑さに対する評価の3要因が最も関係していた。その他, 身体的状態, 心理的状態, 個人的特性, 環境的条件が輻輳して関与していることが推測された。2. サッカーの授業の進行と共に「爽快」と答えた学生は増加し, 後期では84.7%の多数となった。爽快感の評価の変化をみると上昇型は56.5%, 無変化型は25.9%, 下降型は17.7%であった。とくに上昇型では体力, 技術, 性格の自己評価の高まり, 熱中度, 達成感, 運動欲求といった心理的状態の変化, 発汗, 苦しさ, 疲労度の減少といった身体面の適応,向上が関係していることが明らかにされた。3. 高齢者のテニス前後の爽快感,感情得点,乳酸, ACTH, ベータ・エンドルフィンの平均値にはいずれも有意な変化は認められなかった。しかし,テニス後の相互関係をみると, 爽快感や感情得点と乳酸値にはマイナスの相関がみられ, ACTHやベータ・エンドルフィンの分泌にはプラスの相関がみられるという興味ある傾向が認められた。ただ, 高齢者の運動の爽快感をホルモン分泌からのみ考察するのは困難ではないかと思われた。
著者
藤澤 弘幸 高原 利雄 緒方 達志
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.719-721, 2001-11-15
参考文献数
9
被引用文献数
6 10

カンキツ'清見'の貯蔵中に発生する果皮障害を防止する目的で, 貯蔵前の乾燥予措処理の影響および長期貯蔵に適する貯蔵温・湿度環境を検討した.乾燥予措の程度が強いほど, 果皮が斑点状に褐色する果皮障害が著しく発生した.貯蔵温度1℃では低温によるピッティングが発生し, 12℃では貯蔵早期から果皮障害が発生した.貯蔵温度を5, 6℃とした場合に障害発生が少なく, 貯蔵環境を高湿度とすることにより障害は顕著に抑制された.'清見'果実は, 予措を施さず, 温度6℃, 相対湿度98%以上の環境に貯蔵することにより, 5ヶ月以上の長期間にわたり果皮障害を免れて貯蔵することが可能であった.
著者
糸山 豊
出版者
名古屋工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

若材齢時におけるコンクリートは活発な水和進行過程にあり物性の変化が著しいため、クリープ試験期間中の水和進行を抑制させた状況下において試験を行う必要がある。そこで本年度は,若材齢時の水和組織を極力保持した状態で、それ以上の水和進行を抑制させるために、練混ぜに用いる水の一部を同体積のアルコールで置き換えたコンクリートおよびモルタルを対象として圧縮クリープ試験を行い、アルコール置換による水和抑制効果とクリープ挙動に及ぼす影響について検討を行った。また、異なる応力履歴においてクリープ試験を行い、クリープ挙動の履歴依存性について検討を行った。予備実験の結果から、アルコール置換率40%以下で1ヶ月間養生を行ったコンクリートが若材齢時におけるコンクリートの水和状態を保持していると判断し、置換率はコンクリートでは30%、モルタルではアルコール置換率の違いが強度発現、クリープに及ぼす影響を検討するため30%、40%の2水準設定した。クリープ試験中は温度30℃、湿度98%一定で、てこ式圧縮クリープ試験機を用いて一定応力を載荷してひずみ挙動を測定し、除荷後の回復クリープひずみ挙動も併せて検討を行った。本年度の研究で得られた知見を以下にまとめる。1 試験期間中の水和進行を抑制させてクリープ試験を行った結果、長期材齢時におけるクリープ特性の傾向がみられたことから、若材齢時のクリープは水和進行の影響を大きく受けることが推察された。2 セメント硬化体における微細空隙中の液体の特性がクリープおよび回復クリープの発生機構上、重要な役割を果たすことが推察された。3 練混ぜ水の一部をアルコール置換することで強度発現が小さくなり、水和反応が長期間にわたって抑制された。
著者
Shi Min Yang Yingnan Li Yiting Wang Yuepeng Zhang Zhenya
出版者
Canadian Center of Science and Education
雑誌
International Journal of Biology (ISSN:19169671)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.2-12, 2011-10
被引用文献数
4 3

A novel approach by utilizing soybean curd residue, to produce polysaccharide from the edible mushroom Pleurotus ostreatus in solid-state culture, was developed. Firstly, the significant effect of fermented conditions on P. ostreatus polysaccharide production were screened out to be inoculum size, moisture content and C/N ratio by using a single factor experiment. Secondly, the three factors were optimized using central composite design in response surface methodology. As results, a quadratic model was found to fit for P. ostreatus polysaccharide production, and the optimal fermented condition was determined as following: inoculum size (11.79%), moisture content (74.64%) and C/N ratio (12.77). A yield of 38.207 ± 1.049 mg/g for polysaccharide was observed in veri?cation experiment. Compared with unfermented soybean curd residue, total polyphnol, protein and various amino acide of fermented soybean curd residue were increased significantly. Therefore, a nutritious ecologic feed can be produced using fermented soybean curd residue.
著者
星野 豊
出版者
筑波法政学会
雑誌
筑波法政 (ISSN:21880751)
巻号頁・発行日
no.55, pp.33-48, 2013-07
著者
坂口 守男 中司 妙美 飛谷 渉
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 第3部門, 自然科学・応用科学 (ISSN:13457209)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.27-35, 2012-02
被引用文献数
1

保健センターが取り組んでいる熱中症対策に関する報告を行った。2006年~2010年までの過去5年間における本学での熱中症発生件数は31件で,ほとんどが7月,8月に集中していた。次に2009年に,体育会に所属する21クラブを対象に実施した面接調査の結果を検討した。調査項目は,環境温度把握,コンディショニングチェックリストの使用,暑熱馴化期間の設定,水分補給の仕方,前年度の熱中症発生数,救急搬送または病院受診数,発生状況についてであった。環境温度を把握しているクラブは3団体,コンディショニングチェックリストを活用しているクラブは7団体,暑熱馴化期間を設定しているクラブは5団体にすぎなかった。飲料水としてはスポーツドリンクが最も多かった。水分摂取の間隔は15分以下のクラブが主であったが,60分毎に摂取するクラブが2団体あり,摂取量も1000cc以上というクラブが4団体あった。8つのクラブが前年度に熱中症の発生を経験していた。そのうち2つのクラブでは救急搬送していた。これらの結果から,本学においては今後も体育会系クラブを中心に熱中症に対する意識を高めていく必要性が痛感された。We reported measures against hyperthermia that the health center staffs conducted. The outbreak number of hyperthermia in Osaka-Kyoiku University was 31 cases in the past five years (until 2006 to 2010). Most of them occurred in July and August. The results of the interview that we carried out for 21 sport clubs in 2009 were reviewed. We found that only three clubs checked environmental temperature before training, seven clubs utilized conditionings check list, and five clubs set a summer heat acclimatization period. Interval of fluid intake and introjections during training were not appropriate in four clubs. Eight clubs experienced outbreak of hyperthermia in 2008. Two clubs among them experienced emergency cases that were transported to hospitals. These results suggest that measures against hyperthermia were not sufficient yet in our university. We have taught managers of each club how to prevent hyperthermia individually every year, and must continue it in future.
著者
Yuji Furutani Tetsunari Kimura Kido Okamoto
出版者
日本生物物理学会
雑誌
BIOPHYSICS (ISSN:13492942)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.123-129, 2013 (Released:2013-08-10)
参考文献数
20
被引用文献数
5 10

Attenuated total reflectance (ATR)-FTIR spectroscopy has been widely used to probe protein structural changes under various stimuli, such as light absorption, voltage change, and ligand binding, in aqueous conditions. Time-resolved measurements require a trigger, which can be controlled electronically; therefore, light and voltage changes are suitable. Here we developed a novel, rapid buffer-exchange system for time-resolved ATR-FTIR spectroscopy to monitor the ligand- or ion-binding reaction of a protein. By using the step-scan mode (time resolution; 2.5 ms), we confirmed the completion of the buffer-exchange reaction within ~25 ms; the process was monitored by the infrared absorption change of a nitrate band at 1,350 cm-1. We also demonstrated the anion-binding reaction of a membrane protein, Natronomonas pharaonis halorhodopsin (pHR), which binds a chloride ion in the initial anion-binding site near the retinal chromophore. The formation of chloride- or nitrate-bound pHR was confirmed by an increase of the retinal absorption band at 1,528 cm-1. It also should be noted that low sample consumption (~1 μg of protein) makes this new method a powerful technique to understand ligand-protein and ion-protein interactions, particularly for membrane proteins.
著者
入來 正躬
出版者
Japanese Society of Biometeorology
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.63-72, 2000-08-01
参考文献数
15
被引用文献数
8

1995年より1999年までの5年間に亘り,7,8月に山梨県で発症した熱中症の症例について,山梨県医師会会員への質問紙郵送法調査結果及び救急搬送データを用いて解析した.5年間に205例が報告された.質問紙郵送法調査62例,救急搬送152例で,両者に共通の症例9例であった.8月の平均最高気温が高い年ほど症例数が多かった.5年間に症例数が次第に増加又は減少する一定の傾向は認められなかった.環境温28°Cより症発がみられ,35°Cをこえると症発の著しい増加がみられた.発症は気温が急に上昇した日に最も多くみられた.発症数のピークは10歳代と70歳代の2つある.発症の大部分(88%)は屋外(および体育館)での運動中または作業中であった.特に60歳以下では(第1のピーク),車中の症例を除く全例が屋外での運動中,作業中の症例であった.一方70歳代以上になると(第2のピーク),屋外での日常生活行動中(歩行中,買物など)にも発症し、さらに慢性疾患のある場合には屋内でも発症した.男性に多く,全例の2/3を占める.死亡例は5年間で5例であった.5例中4例では核心温が40°Cを超え,意識障害などの中枢神経機能異常がみられた.治療には輸液と,核心温が38°Cを超えた場合には体外·体内冷却(体表冷却,冷却点滴,冷却胃洗浄など)が行われ効果がみられた.
著者
石丸 学 佐藤 和久 内藤 宗幸
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

放射性元素は崩壊の際に多量の放射線を発生し、周囲の材料に原子レベルの欠陥を与える。このため、原子力産業に使用される材料は、照射環境下に曝されても構造変化やそれに伴う材料劣化が起こらないことが求められている。本研究では、イオンビーム技術および先端的電子顕微鏡技術を用いて、ナノ構造化を施した材料の照射挙動を調べた。その結果、多量の面欠陥を導入した炭化ケイ素において、耐照射性が向上することを見出した。