著者
朴 洗憲 山崎 哲生 島田 荘平 山本 恭久
出版者
The Mining and Materials Processing Institute of Japan
雑誌
資源と素材 : 資源・素材学会誌 : journal of the Mining and Materials Processing Institute of Japan (ISSN:09161740)
巻号頁・発行日
vol.118, no.10, pp.641-649, 2002-11-25
参考文献数
48
被引用文献数
3 3

Cobalt-rich manganese crusts on seamounts and manganese nodules on deep ocean floor have both been received attention as future resources for Co, Ni, Cu, and Mn. Lack of information on cobalt-rich manganese crusts has precluded comparisons between the two sources in terms of their technical and economical advantages. In the past 15 years, Japan has surveyed the cobalt-rich manganese crusts; therefore, it seems the proper time to compare the two. In this paper, we consider distribution features and R&D results to develop a method for examining and comparing the economical potentials of manganese nodule and cobalt-rich manganese crust mining. Through the preliminary evaluation of the two, the effectiveness of the method is confirmed. <BR>Cobalt-rich manganese crust development seems a risky but high return venture because of its high sensitivity to cobalt prices. Manganese nodule development, on the other hand, is considered to be a stable and good for a long-term venture. One of the application fields will be the selection of suitable metallurgical processing. A lower substrate ratio in excavated ore is clearly required for the economy of the crust development. In order to improve the evaluation, detailed technical information for the recovery efficiencies in the subsystems and units is necessary.
著者
大村 いづみ
出版者
名古屋市立大学
雑誌
名古屋市立大学看護学部紀要 (ISSN:13464132)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.23-29, 2003-03
被引用文献数
5

妊娠初期から産褥期までの母親意識(母親役割の受容、子どもへの感情)と抑うつ状態の変化および両者の関連について分析することを目的に、正常な妊褥婦52例を対象に質問紙調査を行った。母親役割の受容については、全般に積極性得点が高く、消極性得点は低かった。積極性得点は妊娠末期にやや低下する傾向があり、消極性得点は妊娠末期から産褥期にかけて高くなっていた。子どもに対する感情では、子どもの人格性の意識と密着の得点が他よりも高かった。また、Zungスコアの平均から見て軽度から中度の抑うつ状態にあると考えられた。時期別には、妊娠末期にZungスコアが高く、産褥期には低下していた。しかしながら、母親意識、抑うつ状態とも妊娠時期による統計的有意差は認められなかった。一方、積極性得点と抑うつ状態との間(r=-0.47)、また、子どもへの献身得点と抑うつ状態との間(r=-0.41)には相関が認められた。このことから、母親意識と抑うつ状態との間には関連があると考えられた。この点を中心に今後、さらに対象例数の増加、同一対象の縦断的追跡など、検討が必要である。

1 0 0 0 OA 不折画集

著者
中村不折 画・著
出版者
光華堂
巻号頁・発行日
vol.第3 宮島,豪渓,寒霞渓, 1911
著者
江崎 和希 宮上 寛之 圓 吉夫
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.429-439, 1996-08-01
参考文献数
26
被引用文献数
2 1

本研究は, 初心者や一般愛好家の参加が認められているトライアスロン競技のなかの一つであるミドルディスタンスタイプを取り上げ, 被検者8名を対象とし, それが生体にどのような影響を及ぼすかということについてロングディスタンスタイプのトライアスロン競技の値との差を比較検討することを目的とした.採血は, 競技前日, 競技終了直後, 競技翌日に行った.<BR>1) RBC, Hb, 血糖値は, 競技前日, 競技終了直後, 競技翌日において有意な変動はみられなかった.<BR>2) WBCは, 競技終了直後, 有意な上昇を示し, 競技翌日には, 競技前日の値に回復した.3) 血清CPK, LDH, GOT活性値は, 競技直後, 有意な上昇を示した.さらに血清CPK活性値は, 競技翌日, 競技前日の値に比べ著しい上昇を示した.<BR>4) 腎機能を反映する血清クレアチニン値は, 競技終了直後, 有意な上昇を示したが, 翌日には競技前日の値へ回復した.また, 血清尿酸, 血清BUNは, 競技終了直後, 有意な上昇を示し翌日も同様な値を維持していた.<BR>これらの結果とロングディスタンスタイプのトライアスロン競技の先行研究の値と比較検討した結果, ミドルディスタンスタイプのトライアスロン競技は, 血清CPK活性値の上昇率が6分の1ほどであり, 血清GOT活性値や血清GPT活性値の上昇率も比較的少なかった.このことからミドルディスタンスタイプのトライアスロン競技は, 骨格筋や肝臓への影響が比較的少ないことが示唆された.しかし, すべての酵素活性とも安静時あたりより明らかに上昇しており, 生体への影響は無視できないと考えられる.<BR>また, 初心者や一般愛好家がトライアスロン競技に参加するうえで, 自分の体力レベルを十分に把握し, レベルに合わせたレースを楽しむならば, ミドルディスタンスタイプのトライアスロン競技は, ロングディスタンスタイプのトライアスロン競技に比べ生体への負担が少ないと考えられた.
著者
岸本 智典
出版者
三田哲學會
雑誌
哲学 (ISSN:05632099)
巻号頁・発行日
vol.131, pp.235-265, 2013-03

投稿論文This paper examines William James' educational thought, especiallyabout his talks on "teaching," and discusses the background ideasunderlying his thinking on teaching. As often noted, his influence onAmerican schools and the outlook of educators was very profound.However, as Jim Garrison et al. indicated in William James andEducation, works focusing on the implications of his thoughts of educationhave been severely limited up till now.In this paper, I examine the contents of his influential book titledTalks to Teachers on Psychology (1899), comparing James' opinionsin them with his outlooks in his other psychological works, and investigatehis thoughts on education and teaching in the book. I focusespecially on his view of children and on the free-will controversy,and indicate his acceptance of the Darwinian thinking of evolution inhis educational writings. Eric Bredo, one of the authors of WilliamJames and Education, discussed the Darwinian center to James' vision,and claimed that James had reconciled freedom with determin-ism, and individuality with universality, by using Darwinian ideas.Favoring Bredo's opinion, this paper discusses some relationships betweenJames' talks on teaching as "an art" and his belief of "Freewill",and claims that he had accepted the "variation" concept derivedfrom Darwin as the theoretical background. Owing to hisacceptance of the "variation" concept, he could regard children aspartly free and emphasize the necessity of intuitive knowledge onthe pupil in the teaching act.
著者
和田 賢二 小形 芳美 大塚 浩通 小岩 政照 永幡 肇
出版者
日本家畜臨床学会 ・ 大動物臨床研究会
雑誌
産業動物臨床医学雑誌 (ISSN:1884684X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.53-63, 2011-11-01 (Released:2013-05-17)
参考文献数
31
被引用文献数
2

マイコトキシンはカビが産生する二次代謝産物であり,生体に対してさまざまな危害をもたらす.カビが発生した自給粗飼料の給与により成績不振に陥る牛群がしばしばみられるものの,マイコトキシンとの関係については明らかにはされていない.そこで,自給粗飼料のマイコトキシン濃度と牛群の生産性および疾病発生状況,白血球機能に対するマイコトキシンの影響ならびにマイコトキシン吸着剤の飼料添加による防除効果を調査した.購入飼料および自給粗飼料(計172検体)のアフラトキシンB1(AFB1),デオキシニバレノール(DON),ゼアラレノン(ZEA)を酵素免疫測定法により測定したところ,グラスサイレージおよびデントコーンサイレージで各マイコトキシン濃度が高い傾向にあった.AFB1濃度が高い自給粗飼料を給与している酪農場では牛の淘汰率が高く,1頭当たりの年間乳量が低い傾向にあった.また,マイコトキシンの重複汚染により子牛の増体量の低下,下痢症の増加と長期化および流早産の増加が認められた.またin vitroでは,マイコトキシンはリンパ球の幼若化および好中球の化学発光反応を抑制した.自給粗飼料のマイコトキシン汚染が疑われる農場において,吸着剤を飼料添加したところ,AFB1濃度が高値であった農場では乳汁中アフラトキシンM1(AFM1)濃度の低下および免疫細胞の増加が認められ,死亡率が減少した.ZEAが高値であった農場では繁殖成績に改善がみられ,早産を伴う周産期病が減少した.以上の知見から,自給粗飼料はマイコトキシンに汚染されている危険性があり,それらの継続的な摂取は白血球機能を介して,牛の生産性および疾病発生と関係していることが示唆された.さらに,飼料への吸着剤の添加は生体に対する各種マイコトキシンの影響を低減させる効果があることが確認され,生産農場における有効な対応策のひとつであることが示された.
著者
井上 孝夫
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

日本の海岸は、だれもが利用可能な開かれた空間(コモンズ)である。そのような性格を持つ海岸について、利用しながら保全する方法を探究した。具体的なフィールドとして、千葉県内の主要な海水浴場を事例とした。調査の結果、営利に偏った利用の制限は定着したが、利用者の利便施設の設置については不十分であり、停滞していることがはっきりとした。公益性を備えた海の家の設置や、利用を第一に考えた防護施設の整備が強く求められている。
著者
濃沼 信夫 伊藤 道哉
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

最近の癌治療は、初期治療に加えて長期フォローアップの重要性が増している。技術進歩等で長期生存者が増加し、失われた機能の回復や再発の防止が大きな課題になってきたためである。しかし、フォローアップの方法や有効性について、経済面からの検討はほとんどなされていない。本研究は、癌手術後のフォローアップ体制や投じる資源の妥当性を、医療経済の観点から検証することを目的とする。大腸癌の術後ファローアップを類型化し、再発形式、生存予後、患者QOL、医療費を比較するシステムモデルをMarkovモデルに準じて開発した。モデルのパラメータの算出には、大腸癌術後フォローアップ研究会に登録されたデータ(大学病院を中心とする全国16施設、結腸癌3,092例、直腸癌2,507例、観察期間5年)を用いた。モデルにこれらパラメータを投入して、費用便益分析等を実施した。Stage Iの結腸癌は814例、直腸癌は785例である。これらの癌の術後フォローアップによる救命数増加は各4.0%、5.5%であり、純便益は各9,221万円、1億6,396万円、医療費の減少は各768万円、1,056万円、費用と便益の差額は各3億5,943万円、1億2,735万円である。再発後生存率は、現在、結腸癌15.0%、直腸癌33.3%である。すなわち、医療経済の観点からは、結腸癌ではファローアップ費用の低減が絶対条件となり、直腸癌では再発後生存率を改善することが重要と考えられる。一方、Stage IIの結腸癌は1,270例、直腸癌は790例である。このうち再発は各170例、180例、再発後の生存数は各47例、35例である。フォローアップの平均費用を、平成16年の医科診療報酬点数表をもとに算出すると、再発1人発見に要する費用は、結腸癌195万円、直腸癌132万円である。また、1人救命に要する費用は各704万円、679万円であり、これは社会的に支出を容認されうる水準と考えられる。フォローアップによる救命数増加は、結腸癌18.5%、直腸癌13.0%である。大腸癌術後フォローアップの経済的効果は十分高いと考えられる。

1 0 0 0 A2

著者
森達也監督・撮影・編集
出版者
マクザム (発売)
巻号頁・発行日
2003
著者
寺田 竜太 ニシハラ グレゴリー・ナオキ 嶌田 智
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

九州南部は温帯と亜熱帯性海産植物の分布推移帯(エコトーン)に位置し,温帯域に見られる種類の多くは当地が分布南限となっている。本研究では,温帯域で藻場を構成する16種の分布南限群落の個体群動態を明らかにすると共に,培養試験や光合成活性の結果を基に,温度や光の耐性やストレスの影響を解明した。光合成活性の測定は,藻場構成種16種と共に食用紅藻9種も用い,様々な水温,光条件における純光合成速度や光量子収率(Fv/Fm),電子伝達速度活性(rETR)を測定した。その結果,分布南限の個体群では寿命の短命化や繁茂期間の短縮などが顕著に見られ,高水温の環境が各種の繁茂に影響を与えていると推察された。多くの種において,純光合成速度やFv/Fm,rETRは28℃以上で低下し,最高30℃に達する生育地の夏季水温がこれ以上増加すると,群落の生残に著しい影響が出る可能性が示唆された。

1 0 0 0 A

著者
森達也監督・撮影・編集
出版者
マクザム (発売)
巻号頁・発行日
2003
著者
渡邊 克巳 MOUGUNOT Celine
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

平成22年度は本研究課題「プロダクトデザインにおける顕在的・潜在的要因の認知科学的研究」というテーマの中で、前年度に見いだした知見「聴覚刺激を与えられた群の方が、対応する視覚刺激を与えられた群よりも、有意にオリジナルなスケッチ及びデザインを作成する傾向」に関して、追加の調査を行い、外部発表を行った。また、その結果集まったスケッチやデザインのアイデアを表現する際に、日本では「オノマトペ」が多用されることを発見し、平成22年度は、日本特有の言語表現である「オノマトペ」がデザインにどのように生かされているのかを調べる研究をスタートした。前年度と同様のパラダイムを用いて、例えば「楽しいメガネ」をデザインする場合と「うきうきする眼鏡」をデザインする場合などを比較し、作成されたスケッチを第三者に評価させた。その結果、オノマトペを使って表現したデザインとそれ以外のデザインでは、特定の差が見られることが明らかになった。この差が具体的に何に起因するのかは、今後の分析によるところが大きく、最終年度である平成23年度では、さらなる考察を加えて外部への発表を重点的に進めた。本研究の成果は、外部のデザイン専門学校と協力して行ったものであり、これからの研究を展開する上での基盤作りともなった。これらの結果は、複数の国際学会で発表され、その内2つは招待講演となっている。また、研究内容をまとめたものは、英文書籍およびフランス語での出版につながっている。
著者
青柳 悦子
出版者
筑波大学現代語文化学系
雑誌
言語文化論集 (ISSN:03867765)
巻号頁・発行日
no.65, pp.117-170, 2004

物語るという言語行為は、記述的な言語行為や日常における行為遂行的な言語行為など、その他の言語行為とどのように違っているのだろうか。<物語言語>はどのような特質をもっているのだろうか。 ...
著者
武尾 実 市原 美恵
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,比較的単純な噴火形態を繰り返す火道システムの確立した火山を対象に振動現象の観測データから,火道浅部の内部状態を推定する方法を確立し,一連の噴火活動中での噴火様式変化の推定に結びつけることを目的とした.本研究期間中に,2011年霧島新燃岳の噴火が発生し,準プリニー式噴火,マグマ湧出,ブルカの式噴火という異なる噴火に対する火口近傍で地震,地殻変動,空振という多項目の観測データを得ることに成功した.これらのデータを解析することで,ブルカノ式噴火に先行する傾斜変動の時間的変化と傾斜変動継続時間の関係から,火道内部でブルカノ式噴火の直前に進行するプロセスを解明した.また,微動と空振が同じ励起源から発生するメカニズムを,粘性の異なるアナログ物質を用いた実験により再現した.さらに,微弱な火口活動のシグナルを検出する手段を確立し,火山活動のモニターリングのレベル向上を図った.