出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1371, pp.32-37, 2006-12-18

リオデジャネイロの東に位置するカンポスからヘリコプターに乗り、沖合に飛ぶこと1時間。最初は遠くにぽつんと見えた点が、次第に海に浮かぶ木の葉のように辺り一面に広がる。そして、ヘリコプターが着陸態勢に入る頃、大きいもので長さ300mを超えるプラットホーム(海上油田生産設備)が全貌を現す。
著者
山室 信一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

明治国家は、欧米からの思想連鎖によって国民国家形成を進めた。しかし、そこでは国民国家としては幼体成熟ともいえる形で植民地領有国家すなわち帝国へと転化していった。しかしながら、これまでの日本のみならず欧米における政治学研究においても、この二重性をもった国家に関しての理論研究は、皆無であるような状況にある。こうした理論状況に鑑みて、本研究は植民地を有するに至った近代日本の統治システムが総体としていかなるものであったのかを史料的・理論的に整理し体系化することによって「国民帝国」という概念を新たに提起すべく、歴史的ならびに理論的に究明してきた。同時に、それによって明治国家の世界史的位相について新たな意味付けを行うとの目的をもって出発し、ウェストファリア体制以降の国際体系のなかにあった日本の近代国家としての二重性をもった国制的性格と法政理論の特徴について明らかにするという課題の下に史料的蒐集と論理的精緻化を図ってきた。ここで国民帝国とは「主権国家体系の下で国民国家の形態を採る本国と異民族・遠隔支配地域から成る複数の政治空間を統合していく統治形態である」と定義した。そのうえで、国民帝国とは(1)世界帝国と国民国家の拡張でありつつ、各々がその否定として現れる矛盾と双面性を持ち、(2)その形成・推進基盤が私的経営体からナショナルなものに転化し、(3)世界体系としては、多数の帝国が同時性をもって争いつつ手を結ぶという競存体制とならざるをえず、(4)その本国と支配地域とが格差原理と統合原理に基づく異法域結合として存在するものである、という4つのテーゼに収斂するものであることを提起した。今後は、王朝家産帝国の崩壊から国民国家が形成されたと見なされてきた中国が、むしろ家産帝国性を残したまま国民国家となったという意味で、日本とは逆方向での国民帝国となったのではないかという仮説を論証していきたい。
著者
松山 茂麿
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.8, no.11, pp.1255-1256, 1956-10-01

1907年Harrisonによつて始められた組織培養は,その後Fischer, Carrel,木村等によつて術式も改良されて多方面に亙つて研究され,我國でも木村門下その他諸氏の數々の業績が見られる.子宮頸癌の組織培養についても堀・江崎,成田,上野,榊原等がCarrelの懸滴法で固形培地を用いて子宮頸癌組織を培養し,その發育増殖の状態を観察している.Morre (1952, 1955)は子宮頸部組織を培養して,惡性病變は比較的増殖し易いが良性病變は比較的増殖し易いが良性病變増殖し難いと發表した. 私は短冊状硝子上培養法及びGey(1933, 1936)の考察したroller tube法で子宮頸部組織を培養し,病理組織学的に色々議論されている上皮内癌の診斷の補助とする爲,定型癌や糜爛,正常組織について下記實驗を行つた.
著者
小野 いく郎 加園 克巳
出版者
日本液晶学会
雑誌
日本液晶学会討論会講演予稿集
巻号頁・発行日
no.2004, pp.44-45, 2004-09-26

短冊形(長方形)の分子の集合体はその対称性が棒状分子に比べ低いことから、異なった相転移を示すことが、期待される。剛体球を連結したモデルで分子濃度による相の違いを調べた。5x2の短冊形の分子は濃度の低い方から等方相、ネマチック相、スメクチック相の他に2軸性のスメクチック相が現れる。この相と強誘電相、反強誘電相について論じる。
著者
村島 正彦
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.839, pp.88-93, 2007-01-08

間口3.8mの短冊状の敷地で、しかも軟弱地盤。都市部にはよくある敷地だが、こうした条件下でも意匠性をおろそかにしたくないというのが設計者の本音だろう。連載第3回は、鉄筋コンクリート(RC)造と木造の混構造を採用した住宅を取り上げる。RCで強度を確保しつつ、木造を組み合わせて建物荷重を小さくし、構造の合理的解決を図った。
著者
金子 晴勇
出版者
静岡大学
雑誌
文化と哲学
巻号頁・発行日
vol.4, pp.19-57, 1985
著者
池川 清子 吾妻 知美 西村 ユミ 守田 美奈子 蓬莱 節子 仁平 雅子
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

看護の高等教育化が急速に進展しつつある現在、看護学の学的基盤の確立が急務である。本研究では、研究代表者である池川が長年と取り組んできた「看護学の実践学的パラダイム」を基礎理論として、看護学固有の対象と方法を明確にすることをとおして、実践学としての看護学をより詳細に特徴づけ、基礎づけるものを明確にした。本研究の成果は、おおよそ以下の5点に要約される。1.看護学を実践学的パラダイムの視座から体系化するという試みは時代の要請であり、実践を目的とする看護理論の構築という観点からも、今、世界が向かおうとしている動向である。2.看護学を実践学として基礎づけるためには、科学的パラダイムとは異なる方法論の吟味が必要である。本研究では、看護の現象を看護者と看護を必要とする相手とのかかわりの中から立ち現れる出来事として捉え、従来の看護学を現象学的視点から問い直した。3.実践学としての看護学の前提を明らかにするためには、看護実践の構造の解明が不可欠である。本研究では、看護実践と言語、看護実践と行為・技術、看護実践と経験の諸点から看護実践の構造を明らかにした。4.実践学としての看護学の研究方法として、看護の現象をありのまま生き生きと捉える方法として、現象学的解釈学の有用性を明らかにした。5.これまで抽出が困難であった看護実践者の経験を現象学的記述による、方法としての「対話」を確立した。
出版者
福井県園芸試験場
雑誌
福井県園芸試験場報告 = Bulletin of the Fukui Prefectural Horticultural Experiment Station (ISSN:09105387)
巻号頁・発行日
no.13, pp.1-8, 2003-03

1.種子親(♀)'新平太夫'に花粉親(♂)'織姫'を1983年に交配し,樹勢が強く,豊産性で,一次加工に優れた早生系のウメ新品種を育成した.3.開花盛期期は育成地(福井県三方郡美浜町)において3月10日と'新平太夫'や'紅サシ'より3~4日早い.花弁は白色,花弁5枚で,不完全花の発生は少なく,自家結実性は'紅サシ'並に高い.3.発芽期は3月下旬で'新平太夫'並に早く,成熟期は6月中旬で,'紅サシ'より10日,'新平太夫'より約2週間早い.4.果実は豊円形で,果実重が30g前後の中玉である.果肉歩合は93.5%と高い.5.果皮の地色は濃緑色で'新平太夫'に比べて濃いが,成熟期には淡黄緑色となり,陽光面は淡紅色に着色する.果面の毛じはやや多く,光沢は少なく'織姫'と同程度である.6.核の大きさは中で,表面は点状,やや平滑,粘核で,核形指数が0.92と高く丸みを帯びる.7.青果,一次(塩漬)加工製品のいずれにおいても果面および果肉内に樹脂障害果の発生はまったくみられない.
著者
尾嶋 史章 近藤 博之 阿形 健司 荒牧 草平 近藤 博之 阿形 健司 荒牧 草平 白川 俊之 多喜 弘文 西丸 良一 古田 和久 吉田 崇
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では教育達成過程の国際比較を行うことによって、教育機会格差が生じるメカニズムの日本的特徴を明らかにした。特に中心においたのは、PISAを用いた青少年の学力形成に及ぼす家庭背景の影響である。入学試験による選抜と学校の階層構造、学校外教育など異なる学校教育システム下における家庭背景と生徒の学力形成との関係を分析した結果、日本を含めた東アジアの国々は欧米諸国とは異なる教育達成過程を持つことが明らかになった。
著者
森 仁志 榊原 均
出版者
名古屋大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

茎のプラスチドに局在し、頂芽切除によって変動するタンパク質を網羅的に同定することで、茎のオルガネラを理解し、腋芽の成長制御をオルガネラの観点から解析することを目的としている。頂芽切除前後のエンドウの茎からプラスチドを調製し、両プラスチドに含まれるタンパク質で量が変動するものを、質量分析法を用いた比較プロテオーム解析により検索した。比較プロテオーム解析は、質量の異なる修飾基(^<12>Cが^<13>Cに置換してある)を用いて、比較する試料を標識し、両者の量比を比較することによって行った。今年度はICPL(Isotope Coded Protein Labeling)法とNBS(13CNBS Stable Isotope Labeling)法で比較プロテオーム解析を行った。ICPL法では、まず両試料のタンパク質群のLys残基のε-アミノ基をニコチン酸(^<12>C_6/^<13>C_6)-NHSで修飾した。次にタンパク質群の複雑度を下げるために、SDS-PAGEでタンパク質を分画し、ゲルを87片の短冊に切り出した。各ゲル片をトリプシンでin gel消化し、生じたペプチド断片を逆相クロマトグラフィーで約50の画分に分画し、MALDI-TOF MSで解析した。質量差が6マスのペアペプチドイオンを探し、両者の量を比較した。その結果、頂芽切除前と切除3時間後、6時間後で量比に変化のあるペプチドが見いだされたが、概ね2倍以内の差であった。一方、NBS法ではタンパク質中のTrp残基を質量の異なるNitrobenzenesulfenyl(NBS)基(^<12>C_6/^<13>C_6)で特異的に修飾した。標識したタンパク質群をトリプシンで消化後、標識されたペプチドを、標識によって増加したペプチドの疎水性を利用しPhenyl Sepharoseカラムで濃縮した。このことによりペプチドの複雑度を下げることができた。8画分に分画した溶出試料をMALDI-TOF MSで解析し、質量差が6マスのペアペプチドイオンを探し、両者の量を比較した。しかし、ICPL法の場合と同様に顕著な差のあるペプチドを検出することはできなかった。
著者
須田 歩 趙 ひゅん珠 李 宙営 藤井 英二郎
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.465-470, 2009 (Released:2010-06-24)
参考文献数
6
被引用文献数
1 2

The effects of pair planting of Italian Cypress on the visual characteristics of geometric garden are discussed with the analysis of eye movements of 16 subjects. The distribution of eye fixation and eye movement speed inspecting French Garden from its east end are compared before and after the planting of pair trees which locate symmetrically at the western extension of east and west axe of the garden. The center of eye point distribution tends to concentrate on the central area including flower base after the planting of pair tree. And, the number of eye movement in the upper part of central area significantly increased in the male subjects. Contrarily, the number of eye movement in the lower part of central area significantly increased in the female subjects. Therefore, the characteristics of eye movement mentioned above are considered to indicate that the pair planting has a visual effect to conceive the axe of geometric garden.
著者
山本 裕紹 六車 修二 佐藤 剛 早崎 芳夫 永井 芳文 清水 義則 西田 信夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ
巻号頁・発行日
vol.98, no.165, pp.37-42, 1998-07-03
参考文献数
4
被引用文献数
2

フルカラーLEDパネルを用いた偏光眼鏡式立体ディスプレイを試作した.右眼用と左眼用を入れこにしたステレオ画像の表示は, LEDパネルを用いて160×80×(×RGB)の画素数(1.28m×0.64mの大きさ)で行った.LEDパネルを短冊に切った偏光フィルムで1列ごとに右眼用と左眼用とにマスキングした画像を, 偏光眼鏡で右眼用と左眼用の画像に分離して観察する.立体表示における観察距離と指向性の実験を行い、観察距離をLEDのドットピッチの3000倍程度に設定すればよく, 偏光マスクを設置しても指向性が狭くならないとの知見を得ることができた.

1 0 0 0 OA 鬼火の踊り

著者
ジヨルジユ・サンド 著
出版者
改造社
巻号頁・発行日
1924