著者
田邉 菜穂子
出版者
湘北短期大学
雑誌
湘北紀要 (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
no.32, pp.39-44, 2011-03-31
著者
王 暁瑞
出版者
総合研究大学院大学文化科学研究科
雑誌
総研大文化科学研究 (ISSN:1883096X)
巻号頁・発行日
no.8, pp.57-70, 2012-03

近世後末期の越前国福井(現福井県)出身の歌人橘曙覧が詠んだ五二首からなる連作詠「独楽吟」は、すべて初句が「楽しみは」、末句が「時」で揃うという形になっている。これは従来の和歌に見られない独特な表現形式とされ、その形成について、先行研究では、「くつかむり」の方式などが作者の発想と構成を促した、あるいは俳諧歌や狂歌から影響を受けたとするものなど、日本の韻文に関連した指摘が多くあるが、十分に納得のいく具体的な説明はいまだ提出されていない。 一方、中国文学との関わりについては、前川幸雄氏が、論文「橘曙覧作「日本建国之吟」考」(『福井大学教育地域科学部紀要』第五二号、二〇〇一年十二月)において、曙覧の「独楽吟」を北宋の邵雍の詩作に関連付け、さらに、論文「橘曙覧と邵雍と―「独楽吟」と「首尾吟」の関係について―」(『国語国文学』第五〇号、福井大学言語文化学会編、二〇一一年三月)において、「独楽吟」と邵雍の連作詩「首尾吟」との関係、即ち作者の人生、処世観、作品の構成(形式上の)、作品の思想上の類似性、共通性について考察した。これは、曙覧の「独楽吟」を考える上で非常に示唆的なものであった。 「首尾吟」とは、邵雍の詩集『伊川撃壤集』巻二十に収められる連作詩であり、各詩の首句と尾句が「堯夫非是愛吟詩」という同じ句で統一されており、従来、見られない特殊な漢詩の体裁となっている。また、この連作の各詩の首聯は、例えば「堯夫非是愛吟詩、詩是閑観蔬圃時」(「首尾吟」第六五首のもの)のように、首句が「堯夫非是愛吟詩」という同じ句で統一されているだけではなく、第二句「詩是閑観蔬圃時」の句尾も「…時」という詞で統一されている。『伊川撃壤集』では、このような形式の詩が一三五首連続して並んでおり、連作の全体に音律的リズムを与えている。本稿では、こうした首聯での表現形式と、曙覧の「独楽吟」の表現形式との相似性に焦点をあてて、両者の影響関係について考察する。そしてまた、「首尾吟」は、その表現内容においても、自然や田園、生活や家庭の楽など身近な楽しみを詠み上げているが、曙覧の「独楽吟」にも「首尾吟」の発想や趣向をとりなしたとみられる例が散見されることについて検討を加えた。In the late Edo period, Tachibana no Akemi wrote a linked poem called Dokurakugin, which had a unique form of expression by starting the upper phrase with "tanoshimi wa" ("the moment I'm feeling happy is") and concluding the lower phrase with "toki" ("when") The form of this poem has long been thought to be a unique artistic form of waka. Up to now, no research has been able to explain how the form of this poem came to be.However, the Northern Song Dynasty poet Shao Yong left a famous group of 135 poems called Shao wei yin (Jp. Shubigin), all of which were included in his collection Ichuan Jirang ji (Jp. Isen Gekijō shō). A special characteristic of these poems is that each upper and lower phrase reads "Gyofu kore shi ginzuru o aisuru ni arazu" (I wrote a poem because I want to enjoy life, not because I like to write a poem). Moreover, each of these poems uses "toki" to end the second sentence. That is to say, for every poem, the first sentence is "Gyofu kore shi ginzuru o aisuru ni arazu," and the end of the second sentence is "toki." Thus we can see that this form has a kind of rhythm between the first sentence and the end of the second sentence, and that it appears to be similar to the form that Tachibana no Akemi uses in Dokurakugin. In addition, the ideas and artistic conceptions of Shao wei yin and Dokurakugin in their expressions regarding landscape gardens and happy family life are also quite similar. I believe this is sufficient evidence to conclude that the expressive form of Shao wei yin had an influence on the form of Dokurakugin in its development process.
著者
戸田 まり 渡辺 恭子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.214-223, 2012

思春期前後の定型的な社会的情報処理の発達を調べるため,複数の想定場面を作成し,小学校5年から高校2年までの男女計716名に対し調査を行った。あいまいな状況で被害を受けた場合,アプリオリに相手の敵意を想定したり攻撃的な対応をする者は,年齢と共に減少することが明らかになった。しかし口に出さない内面での感情的反応は中学1年で最も否定的であり,この時期が,認知的には「相手の悪意ではない」と理解しながらも感情的には怒りを覚える度合いが高いのではないかと示唆された。相手の行動の解釈,生起感情,予想される対応をクラスター分析により4パターンに分けて発達的変化を調べた結果からもこのことは確認された。また中学生以上では,相手の敵意を想定しやすく感情的にも否定的になりやすく対応も攻撃的になりやすい群は,学校満足度や自分の学業成績に対する満足度は他の群と変わらないが,家庭での受容や親への気持ちについては他の群より否定的であり,家庭での人間関係があいまい状況でのネガティブな社会的情報処理と関連している可能性が示唆された。
著者
中島 伸子
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.202-213, 2012-06-20

本研究の目的は,老年期における身体・心的属性の機能低下について,幼児や小学生がどのように理解しているのか,そしてそれはどのように発達するかを検討することであった。24名の5歳児,28名の6歳児,24名の7歳児,28名の8歳児,31名の大学生の5群を対象に,5種の身体属性(走る速さ,風邪に対する耐性,腕力,心臓の働き,骨の強度)と心的属性として記憶力の計6属性について,5歳(幼児)から21歳(若年成人)および21歳から80歳(高齢者)へと加齢後どのように変化するかを「以前より衰退する」「以前より向上する」の2選択肢のもとで予測させた。その結果,(1)老年期における身体属性の機能低下については,5歳から気づきはじめ,6歳では大学生と同程度の理解に達すること,(2)老年期における記憶力の低下についての理解は,幼児から7歳くらいまでは希薄なのに対して,8歳以降,大学生にいたるまでに明確になること,(3)記憶力の低下についての理解の発達的変化には,記憶力と身体ないしは脳(頭)との関連性についての認識が関与していることが見出された。老化現象の理解の発達に関わる認知的要因について,素朴生物学の発達と心身相関的な枠組みの獲得という観点から考察した。
著者
山口 真希
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.191-201, 2012

知的障害児の数概念の発達は単純に「遅れ」るのだろうか。知的障害児が生活のなかでどのようにインフォーマル算数の概念を獲得していくのかについてはあまり明らかにされていない。本研究では,知的障害のある中学生(N=15)を対象に,数概念(計数,多少等判断,保存)および均等配分課題を実施し,知的障害児の数概念発達を日常的行為との関連で明らかにすることを目的とした。その結果,知的障害児について以下のことが示された。(1)数概念の発達は,生活年齢ではなく精神年齢に関係する。ただし,課題の取り組み方は同じ精神年齢の通常発達児と異なっている部分がある。(2)精神年齢,数概念の発達がともに幼児期段階であっても簡単な演算スキルを有している生徒がいる。(3)均等配分方略の差異は,生活年齢ではなく精神年齢に関係する。また精神年齢で対応させた通常発達児と比べると均等配分課題の成績がやや低い。(4)計数概念の有無,多少等判断概念の有無によって,採用する均等配分方略に違いが見られる。以上より,知的障害児の数概念と均等配分方略は相互に関連して発達し,通常発達児と異なるプロセスを経ている可能性が示唆された。
著者
吉武 尚美 松本 聡子 室橋 弘人 古荘 純一 菅原 ますみ
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.180-190, 2012

中学生や高校生が生活全般に抱く満足度評価(以下,生活満足度)に関連する要因として,パーソナリティや学力などのポジティブな個人内特性をはじめ,家族関係や友人関係などの対人関係が検討されてきたが,これらがどのように関連しあって生活満足度に結実するのかは明らかでない。そこで本研究は,ポジティブな個人内特性と対人関係が,生活満足度とそれぞれ独自に関連し,同時に対人関係は個人内特性にも関連するというモデルを構成し,両親の学歴と生徒の性別の影響を統制した上で検証した。加えて,モデルの変数間の関連性に発達的な違いが見られるか検討した。中学1年生(n=254)と高校1年生(n=368)の質問紙データを用い,共分散構造分析により仮説モデルの検証を行った結果,モデルの妥当性が確認され,さらに多母集団同時分析により仮説モデルは中学生と高校生でともに成立し,関連性の度合いもほぼ同程度であることが確認された。ただし,家族関係から個人内特性に引いたパス係数は中学生の方が高校生より有意に大きく,家族環境の良好さと個人内特性の関連性は中学生にとってより顕著であることが示唆された。
著者
佐藤 鮎美 内山 伊知郎
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.170-179, 2012

本研究では,生後9ヶ月児とその母親を対象に,絵本共有時間を3ヶ月間操作的に増加させた絵本群,および特に教示を与えない統制群を設定し,絵本共有増加期間前後における両群の母子相互作用を自由遊び場面において観察した。それにより,絵本共有が子どもに対する母親の働きかけに及ぼす効果を,縦断的に検討することを試みた。その結果,絵本群では,母親の子どもに対する賞賛および子どものほほえみの頻度が統制群に比べて増加することが示され,絵本共有により母親の子どもに対する敏感な働きかけが増加する可能性が示唆された。さらに絵本群において,子どもがほほえみながら母親を見上げる頻度が統制群に比べて増加することが示され,絵本共有によって子どもの感情共有が促される可能性が見出された。これらの結果から,絵本共有時間の増加によって,母親および子どもの行動が変容することが実証的に示唆され,絵本共有が母子関係の質を向上させるメカニズムの一端が明らかにされた。
著者
栗山 容子 大井 直子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.158-169, 2012

価値をアイデンティティ発達の中核に位置づけて,日本の大学生の価値意識を面接によって明らかにし,意味付与の志向性から構造化を試みた。またその発達的変化を追跡面接によって検討した。面接の内容領域のうち,生きていく上で大切なことという価値意識に関する分析を中心に揺らぎの経験や両親の価値の認知,宗教的価値意識を補足分析として実施した。研究1では1年生42名と4年生24名のスクリプトから8つの価値パターンを抽出した。価値パターンの意味付与の方向性から,自己志向(理性,努力・達成,自己準拠の3価値パターン),社会志向(人間関係,博愛・貢献,社会規範の3価値パターン),現実志向(積極行動,安楽・充足の2価値パターン)の3つの志向モードに構造化した。普遍的な価値に対応する価値パターンの他に"人間関係"や"自己準拠"の青年期に固有の価値パターンが明らかになった。1年では社会志向の"人間関係"が他の価値パターンに比して有意に多く見られたが,4年では偏りが少なく,個々の価値意識が窺われた。また4年では価値意識の揺らぎが落着し,両親の価値観の認知に個別性がみられた。研究2では研究1の1年生で,卒業時の追跡面接が実施できた30名について価値意識の変化を検討した。その結果,変化の方向性は一様ではなかったが,自己志向と社会志向に関連して青年期に特有の変化過程が推測された。
著者
山根 隆宏
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.145-157, 2012

本研究の目的は,高機能広汎性発達障害(以下,HFPDD)児・者の母親が障害のある子どもを育てる経験を人生にいかに意味づけているのかを,新たな悲嘆理論の知見に基づき,子どもの障害の捉え方との関連から明らかにすることであった。HFPDD児・者をもつ母親19名に対して半構造化面接を行い,障害のある子どもをもつことの意味づけや子どもの障害の捉え方についての語りを得た。人生に対する子どもの障害の意味づけの特徴について,「自己の成長への価値づけ」「子どもへの感情」「障害の位置づけ」の3つの視点から分類を行ったところ,「成長・肯定型」「両価値型」「消極的肯定型」「自己親和型」「見切り型」「希薄型」の6つの類型とその特徴を明らかにした。また,子どもの障害の意味づけと障害の捉え方との関連からは,人生に子どもの障害を肯定的に位置づけるかどうかは,障害それ自体や障害を含めた子どもに対して社会的意義や価値を見出すことと,障害を認識する上での困難さや葛藤の強さが関連していると考えられた。
著者
稲田 尚子 黒田 美保 小山 智典 宇野 洋太 井口 英子 神尾 陽子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.123-133, 2012

反復的行動尺度修正版(Repetitive Behavior Scale-Revised: RBS-R)は,自閉症スペクトラム障害(ASD)児者の反復的行動の種類の多さとその問題の程度を評価する尺度であり,6下位尺度43項目から成る。本研究は,日本語版反復的行動尺度(RBS-R)の信頼性と妥当性の検討を目的として行われた。対象者は,ASD群53名(男性:女性=42:11;平均年齢=11.2±10.5歳)と,対照群40名(知的障害児者23名,定型発達児者17名)とした。養育者の報告に基づき,専門家が日本語版RBS-Rを評価した。Cronbachのα係数は0.91であり,良好な内部一貫信頼性を示した。各43項目における評定者間一致度(級内相関係数)は0.79から1.00の範囲であり,評定者間信頼性は高かった。日本語版RBS-Rの該当項目数および合計得点はいずれもASD群で対照群よりも有意に高く,十分な弁別的妥当性を示した。また,合計得点は,小児自閉症評価尺度東京版に含まれる反復的行動に関連する3項目の合計得点と有意な正の相関(r=0.65)があり,併存的妥当性が確認された。今後,さらなる検討が必要であるが,日本語版RBS-Rの信頼院と妥当性が示された。
著者
山内 香奈
出版者
日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.117-125, 2012-06
被引用文献数
1
著者
小松 孝至 酒井 恵子 西岡 美和 向山 泰代
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.82-90, 2012
被引用文献数
5

Gitaigo is a subtype of mimetic words (onomatopoeia) in the Japanese language, which can be regarded as words that imitate actions or states. This study develops a personality scale, with six subscales, using 60 gitaigo words as items for rating the personality of the self and others. We asked 1 054 participants to rate their own personality and 905 participants to rate a close friend's personality, using 158 gitaigo words as items to describe personality. We found that a six-factor model, found in our previous study, was also applicable to the present study of ratings of participants' own personality. We also found six groups of words in the ratings of close friends' personality, although the factor structure is slightly different from the self-rating factors. We selected ten words that exhibited high loadings for each of the six factors to develop a personality scale with six subscales showing high reliability. We named those factors: Cowardliness, Slowness, Preciseness, Irritableness, Candidness, and Frivolousness. The average scores for self-ratings were significantly lower for two subscales (Preciseness and Candidness) and higher for other four subscales compared to the rating of others.