著者
武川 眞固
出版者
高田短期大学
雑誌
高田短期大学紀要 (ISSN:09143769)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.25-35, 2012-03

本稿では、障害のある人の権利保障実現のための前提作業として、「障害」分類などの国際レベルの到達点をふまえつつ、憲法学レベルでの「障害」把握の位置づけ、あるいは障害のある人の権利保障とその体系化の問題を検討している。次に、憲法や障害者基本法および障害者権利条約における障害への差別禁止規定とその実効性を問うかたちで、差別禁止と「合理的配慮」の意義を検討し、最後に障害のある人の権利保障と差別禁止法等の憲法学的な課題を提示している。
著者
内田 勝一
出版者
判例タイムズ社
雑誌
判例タイムズ (ISSN:04385896)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.p61-64, 1993-05-01
著者
堀田 創 萩原 将文
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.46-56, 2009-03-31

本論文では,人間関係ネットワークに基づく情報推薦システムの提案とその実装について述べる.提案システムは,(1) ユーザプロファイル構築,(2) アイテム選択,(3) プリファレンス情報の更新の 3 つのアルゴリズムから構成されている.(1) ではプリファレンス情報と人間関係ネットワークに基づいてユーザプロファイルが構築され,(2) でユーザプロファイルに基づいたアイテム選択が行われる.プリファレンス情報はユーザへのアイテム提示およびクリックを基にした情報であり,(3) においてシステムへのアクセスログが参照され更新される.実装においてはアクセスログの処理および 2 段階のアイテム選択がバックエンドプロセスとして行われることで,オンラインでの計算量の軽減を図っている.また実装されたシステムは広告配信システムとして実際の Web サービス上で運用された.評価実験では,ランダムな広告配信と比較し 1.9 倍の推薦効果が得られた.This paper describes the design and implementation of a recommender sytem using social networks. The proposed system consists of the following three algorithms; (1) Construction of user-profile; (2) Filtering items by profile data, (3) Updating preference data. In (1), user-profiles are constructed based on preference data and social networks. In (2), one item is selected by using constructed user-profile. Preference data are generated from behavior logs, updated in (3). The proposed system has been implemented as an advertisement delivery system. To reduce the calculation cost in one session, processes of log analysis and item selection are previously performed as backend processes. According to experimental results, the efficacy of the proposed system was 1.9 times higher than that of randomly delivering.
著者
明石 欽司
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.261-292, 2009-01

序論 : 問題の所在第一章 「大東亜国際法」理論の紹介第一節 「大東亜国際法」の登場と消滅第二節 「大東亜国際法」を巡る諸論考第二章 「大東亜国際法」の理論的特質第一節 「大東亜共栄圏」及び「指導国」の観念(一) 「大東亜共栄圏」の観念(二) 「指導国」の観念第二節 近代国際法上の諸原則との関係第三章 「大東亜国際法」の方法論第一節 研究及び解釈の方法第二節 国際法認識論(一) 松下正壽の国際法認識論と「大東亜国際法」 : 「主体性論」(二) 田畑茂二郎の国際法認識論と「大東亜国際法」 : 根本的法理念の転換(三)安井郁による「国際法階層理論」の紹介結論 : 「大東亜国際法」理論が日本の近代国際法受容過程で意味する事柄
著者
田中 浩司
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.212-223, 2010-06-30

本研究の目的は,集団に対する指導という観点から,保育者による鬼ごっこの指導の枠組みを明らかにすることである。対象者は,年長クラスにおいて継続的に鬼ごっこを指導した経験のある,幼稚園教諭と保育土,合計10名である。詳細な半構造化面接を行い,552分に及ぶインタビューデータを得た。修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析した結果,14の概念と4つのカテゴリーが生成され,全てのカテゴリーと関連する「遊びの流れ作り」がコア・カテゴリーとして位置づけられた。保育者による鬼ごっこの指導は,次のようなプロセスによって構成されることが示された。保育者はまず,集団としての「遊びの流れ作り」を行い,その流れの中に子ども自身の意志で参加するように「主体的参加への誘導」を行う。その上で,子ども自身で遊びをコントロールすることが出来るようにする「自己メンテナンス化」に向けた指導を行っていた。また,子どもの遊び経験をつなぎ合わせ,経験に連続性を持たせる「経験の積み上げ」は,他の3つのカテゴリーをつなぐように機能していることが示された。
著者
天野 成昭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.351-354, 1996-04-15
著者
諸星 妙
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究は、17世紀前半セビーリャの宗教的思想環境が芸術作品の主題や造形上の特質に与えた影響を考察するものであり、最終年度に当たる今年度は、現地において作品が実際に設置されていた環境での調査を行うとともに、これまでに収集・検討した資料等について、総合的な評価を行った。具体的には、第一に、ベラスケス《東方三博士の礼拝》について、現地調査等に基づき、同時代セビーリャの主要画家による作品との根本的な差異を明確化した。例えば、旧イエズス会誓願修道院ではロエーラスによる主祭壇装飾を調査し、同じくイエズス会施設のために描かれたものでありながらベラスケスの同作品とは規模、描法が大きく異なることを確認した。セビーリャ美術館では、その他の同時代画家の作品も広く調査したが、いずれも3~5mという規模の大きさを特色とし、その中に多くの人物やモチーフを描きこむ点でベラスケスの作品とは異なっていた。この知見を踏まえ、第二に、大規模ではないが主要部分を際立たせる、極めて現実主義的なベラスケスの表現について総合的な解釈を行った。まず、ベラスケスの同作品は、イエズス会のロヨラが『霊操』に明らかにしたような、聖書の物語を眼前に現出させて「見る」という観想のプロセスに関連づけられる。重点的に調査したベラスケスの師パチェーコの『絵画芸術』では、多くのイエズス会士が取り上げられ、その考えが引用されていた。しかし、ベラスケスが師を通じてイエズス会士及びその思想の近くにいたことは事実だが、調査の結果、特定の思想がベラスケスの個別の作品に具体的な影響を与えたことは確認できていない。むしろ、現地での作品調査を通じて明らかになったのは、ベラスケスの初期様式とモンタニェースらによる彩色木彫像との表現の近さであった。モンタニェースらの彩色木彫像の重要性は2010年の展覧会で注目されたものであり、本研究を通じて、初期ベラスケスのリアリズムとの関連という観点から、さらに詳細に検討されるべきテーマであることが確認された。
著者
中山 壽孝 中山 壽之
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.629-635, 2001
被引用文献数
2

空中花粉調査における染色封入方法は施設ごとに異なっており測定される花粉数に差異が生じている.スギおよびヒノキ料花粉数の測定において染色封入方法が与える影響について検討した.Durham型補集器2台を同一場所に設置し,台上にワセリンを塗布したスライドグラスを置き,24時間空中に曝露した.Calherla染色法(C法)とgentiana-violet-glycerin jelly法(G法)を用いて花粉数を測定した.C法が花粉シーズン中の観察開始から終了までの期間が長く花粉の検出に優れていたC法とG法による花粉数には,有意に相関が認められた(p<0.001).C法によるスギおよびヒノキ料花粉数はG法によるそれぞれの花粉数の38.7%,120.3%増しであった.花粉調査には全国統一してCalberla染色を使用することが望ましい.また,花粉数を公表する場合には捕集法と染色封入方法を併記することを推奨する.
著者
Jotaro Ohmori Tonami Ikuta Noboru Kuboyama Yoshimitsu Abiko
出版者
日本大学松戸歯学部 口腔科学研究所
雑誌
International Journal of Oral-Medical Sciences (ISSN:13479733)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.229-234, 2012 (Released:2012-04-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

Oral epithelial cells significantly influence host inflammatory responses against Candida albicans. Pro-inflammatory cytokines function as an early innate immune system mediator during C. albicans infection in oral epithelial cells. The presence of yeasts in periodontal pockets is well known and C. albicans is the species most commonly isolated from the oral cavity. To elucidate the molecular mechanisms governing the human gingival epithelial cells to C. albicans infection, human gingival epithelial cells (HGE) were primarily cultured and infected with C. albicans ATCC90029. Total RNA was extracted from HGE after 8 hrs of infection and monitored mRNA levels using Affymetrix GeneChip (Human Genome U133 plus 2.0 Array, 48,000 genes). GeneChip data was analyzed by GeneSpring software. The mesenchymal-epithelial transition factor (c-Met), showed a greater than 2-fold change in expression relative to those in control cells. In contrast, hepatocyte growth factor (HGF) showed an absent of gene expression in HGF. Altered mRNA levels of c-Met in GeneChip analysis were confirmed by reverse transcription polymerase chain reaction (RT-PCR) and real-time RT-PCR. Stronger immunoreactivity against c-Met was observed in the infection with C. albicans by using an in vivo rat animal model. These findings suggest that the enhanced c-Met expression is involved in the growth of gingival epithelial cells in response to C. albicans.
著者
中島 潤
出版者
東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻
巻号頁・発行日
2011-03-24

報告番号: ; 学位授与年月日: 2011-03-24 ; 学位の種別: 修士 ; 学位の種類: 修士(情報理工学) ; 学位記番号: ; 研究科・専攻: 情報理工学系研究科電子情報学専攻
著者
島倉 諭 項 警宇 稲垣 伸吉 鈴木 達也
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp."2A1-G05(1)"-"2A1-G05(4)", 2009-05-25

Recently, the demand for mobile robot which works in a complex environment is growing in many fields. Consideration of the statistical uncertainty of the observation and the locomotion is an important issue to be addressed in the control of mobile robot. This paper presents a new planning strategy which combines a Particle control and Potential method. The proposed scheme enables the robot to plan the path online considering the statistical uncertainty of the observation and the locomotion. Then, some simulation results are shown to verify the usefulness of the proposed method from viewpoint of a robustness against uncertainty.
著者
井手 清志郎 辻 俊宏 小針 健太郎 山中 一司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.147, pp.17-22, 2006-07-05
被引用文献数
1

分域の成長過程をAFMにより直接観察するためには電場の印加方向をAFMの観察面内にする必要がある。そこで10μmの間隙をもつ表面電極対をリラクサー系強誘電体単結晶PMN-PTに作製し、超音波原子間力顕微鏡(UAFM)およびラテラル圧電応答力顕微鏡(LPFM)を用いて電場印加による分域のスイッチング挙動を評価した。UAFMではLPFMで見られた分域境界で接触弾性の低下により共振周波数が低下したが、LPFMで見られない表面下で傾斜した分域境界も観察できた。電界を印加した結果、電界が弱い場合には可逆的な分域スイッチングが、強い場合には分域境界の移動を伴う不可逆的なスイッチングが観察された。移動を伴うスイッチングでは電場の方向に対して相対的に安定な分域が成長する過程が観察された。表面電極対は強誘電体の分域挙動の評価に有用である。
著者
菊池 裕
出版者
広島大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

(1) マイクロアレイ解析による内胚葉細胞の移動・消化管形成に関与する遺伝子の単離sox17-gfpトランスジェニックフィッシュからGFPの蛍光を指標にして内胚葉細胞のみをセルソーターで集めるための条件設定を行っている。(2) 遺伝学的スクリーニングによる内胚葉細胞の移動・消化管形成に異常を示す突然変異体の単離内胚葉細胞の移動・消化管形成が異常になる変異体をスクリーニングし、候補変異体に関して表現型の詳細な観察を行っている。特に消化管形成が異常になる変異体に関して、詳細な表現型解析を行っている。(3) 内胚葉細胞で発現するcxcr4a遺伝子の機能解析sox17-gfpトランスジェニックフィッシュを用いて、Sdf1/Cxcr4シグナルによる原腸陥入期の内胚葉細胞運動の制御機構に関して解析を行った。最初に私達は、cxcr4aは内胚葉細胞特異的に発現しているが、リガンドであるsdf1a, sdf1bは中胚葉細胞に発現していることを示した。Sdf1/Cxcr4シグナルは細胞の移動を制御していることが知られているため、Sdf1/Cxcr4シグナルが内胚葉細胞の移動に関与する可能性に関して解析を行った。アンチセンスモルフォリノオリゴを用いてSdf1/Cxcr4シグナルの阻害実験を行った結果、Sdf1/Cxcr4シグナル阻害胚では3体節期において著しい内胚葉細胞の移動の阻害が観察された。更に、Sdf1/Cxcr4シグナルの阻害により、移動中の内胚葉細胞における糸状仮足形成の低下が観察された。以上の結果よりSdf1/Cxcr4シグナルが内胚葉細胞の移動制御に関わることが示された。