著者
水上 忠彦 藤井 昭宏 小柳 義夫
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.9, pp.1-5, 2011-03-08

本研究では,MPI/OpenMPハイブリッド並列モデルをAMG法に適用させた。領域分割によりMPI化し,マルチカラーガウスザイデル法によりOpenMP化を行った.特に,Reorderingによるメモリアクセスの効率化,First Touch,NUMAコントロールの三つの組み合わせを最適化し高速化を図った.評価にはT2Kオープンスパコン(東大)を利用し,評価した結果,MPI/OpenMPハイブリッド並列モデルがFlatMPIのピーク性能の1.5倍程度の性能を示し,並列度によらず,Flat MPIと同等かそれ以上の性能を発揮することが分かった.We applied and evaluated MPI/OpenMP hybrid programing model for Algebraic Multigrid (AMG) method on T2K Open Supercomputer (Tokyo). We used domain decomposition for MPI and multi-color Gauss-Seidel method for OpenMP. Our implementation uses Re-ordering, First touch, and NUMA control for better performance. Numerical tests show that the hybrid model of AMG solver 1.5 times faster than flat MPI model, and that optimized version of the hybrid model AMG solver is faster than flat MPI model for all parallelism.
著者
國武 國武
出版者
宮崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

ブルーベリー葉におけるアントシアニン生合成において、光照射時の温度や光源が大きな影響を与えることが明らかとなった。また、葉においてはシアニジン系のアントシアニンが主として生合成され、アントシアニン生合成の制御機構が、果実とは異なる可能性が高いことが分かった。cDNA サブトラクションおよび degenerated PCR により 9 個のアントシアニン生合成関連遺伝子を単離することに成功した。アントシアニン生合成遺伝子の多くは、24 時間程度の強光照射により、発現が増加した。アントシアニン生合成機構は、光ストレスからの防御のため、素早く反応している可能性が高い。

1 0 0 0 OA 〔謡本〕

巻号頁・発行日
vol.芭蕉, 1623
著者
南 哲人 乾 敏郎
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.149-157, 2002-03-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
11
被引用文献数
1

The major function of prefrontal cortex (PFC) is known as working memory, which retains relevant information on-line. Rao et al. (1997) found neurons contributing to both object and spatial working memory. However, its mechanism is still unknown. In this study, we propose a neural network model of working memory in order to shed light on the mechanism. Our model has two input streams and can cope with the task in which two kinds of information have to be retained at the same time. We simulated some physiological results with this model. As a result, we could simulate temporal activity patterns of the neuron responding to both object and location information as shown in Rao et al. (1997). And we considered domain-specificity by constructing three architectures of neural networks and the physiological results could be simulated best by no-domain specificity model. This result suggests that there should be no domain-specificity in PF working memory.
著者
加藤 文昭
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本研究は電子スピンを有するラジカル高分子を合成、磁性電極とラジカル高分子からなる単層素子での磁気抵抗効果の発現およびそのスピン多重度との相関を見いだすこと、またラジカルを太陽電池等の有機電子デバイスへ応用する事を目的とする。本年度は、スピン量子数が2/2であるラジカル分子および非磁性金属電極からなるスピンバルブ素子を作成し、極低温磁場中での電流電圧特性評価を行った。ラジカル分子の安定な酸化還元能に着目し、色素増感太陽電池(DSSC)の電荷輸送媒体として適用、各種電気化学、光化学測定より色素還元能や電子交換反応速度を評価から、DSSC発電特性向上の指針を見いだした。以下実施した具体的実験事項を示す。1)ラジカル分子(S=2/2)によるスピンバルブ素子を作成、SQUID磁束計内にて外部磁場中での抵抗値変化測定した2)異なる反応性や酸化還元電位を有するラジカル分子(S=1/2)をDSSCの電荷輸送媒体として適用、特性を評価・比較した以上の実験から次の結果を得た。ラジカル分子を中間層、ITOおよび金を電極としたスピンバルブ素子において最大で2%の負の磁気抵抗効果を発現した。分子内スピン相互作用の有無により輸送される電子のスピン散乱過程が変化し、磁気抵抗効果が発現したものと考えられ、ラジカルによるホール輸送過程が電子スピン方向により制御・維持されることを示した。また、ラジカルを用いたDSSCでは、ラジカルの酸化還元電位と相関し開放電圧が向上した。反応性の増大にともない変換効率が向上し、DSSCの特性向上の指針を示した。
著者
高木 康平 日置 佳之
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.571-579, 2007 (Released:2008-12-05)
参考文献数
22
被引用文献数
3 3

侵略的外来種は生物多様性の保全にとって最大の脅威の一つとされている。その影響を軽減することを目指して,2005 年に外来生物法が施行された。イタチハギ (Amorpha fruticosa L.) は法面緑化に使用される北米原産の木本植物である。しかし,イタチハギは本来の分布域ではないアメリカ西部などにおいて在来植物への被害が報告されているにもかかわらず,法面緑化樹として有用なため,同法による特定外来生物の指定を受けていない。そこで本研究ではイタチハギの侵略性を評価するために,鳥取県旧八頭郡において法面とその周辺での生育状況及び八東川河川敷での逸出状況の調査を行い,2 つの外来種評価モデルを用いて侵略性の評価を行った。その結果,1) イタチハギは法面で25 年以上生存し続けること,2) 法面周辺に逸出していること,3) 河川敷で定着しており河川内で二次散布している可能性が高いこと,が明らかになった。また,2 つの外来種評価モデルをイタチハギに適用したところ,侵略性が高いことが示唆された。
著者
Ryota Sakamoto Koya Prabhakara Rao Hiroshi Nishihara
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
Chemistry Letters (ISSN:03667022)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.1316-1326, 2011-12-05 (Released:2011-11-26)
参考文献数
94
被引用文献数
22

In this account we describe ethynylene-conjugated arylethynylanthraquinone (ArAq) and bis(arylethynyl)anthraquinone (Ar2Aq) which possess ferrocene, triarylamine, platinadithiolene complex, p-methoxybenzene, p-methylbenzene, m-methylbenzene, and benzene as electron-donating arenes (Ar), and anthraquinone (Aq) as an electron acceptor. This series of compounds features donor–acceptor (D–A) interactions: (1) Expression of intramolecular charge-transfer (ICT) transitions; (2) flexible single crystal networks constructed by intermolecular D–A π–π stacking, which undergo guest-induced reversible crystal-to-crystal transformations. In addition, ArAq and Ar2Aq experience proton-induced cyclization so as to produce pyrylium and dipyrylium salts. These salts feature further expanded π-conjugation and stronger D–A interaction: (1) More red-shifted ICT transitions and narrower HOMO–LUMO gaps; (2) bright fluorescence; (3) valence tautomerism (VT); (4) unique reactivities.
著者
神川 龍馬
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

これまでにEFLのみを有すると考えられてきたカタブレファリス類において、Poombia sp.はEF-lalphaを有することを逆転写PCRによって明らかとした。本種のEST解析をその後に行ったところ、本EF-lalpha配列が同定されたがEFL配列は同定されなかったことから、本種はEF-lalphaのみを有することが強く示唆される。本解析によってカタブレファリス類においても、EFLおよびEF-lalpha遺伝子は混在しており、このような分布を示すに至った両遺伝子の複雑な進化過程が予想された。カタブレファリス類はクリプト藻類やゴニオモナス類と近縁であるとされている。クリプト藻類はEFLのみを有し、そしてゴニオモナス類はEFLのみを持つ種、EF-lalphaのみを持つ種、両遺伝子を持つ種が混在することが明らかとなっていることから、カタブレファリス類・クリプト藻類・ゴニオモナス類への進化過程で遺伝子の独立した喪失が起こったことが強く示唆される。また、in vitro実験系において通常のEF-lalphaと同様に、珪藻EFLタンパク質がGTP加水分解活性にともなうタンパク質合成能があるかを再検証することを試みた。EFLの機能解析に供するサンプルを作成するため、昨年度と異なり、C末領域にタグを追加したEFLリコンビナントタンパク質を大量発現する大腸菌を作成した。C-末端領域に結合させたHQタグを利用してカラム精製を行った。このリコンビナントタンパク質がGTPおよび蛍光アミノアシル-tRNAに結合するか調べた結果、本リコンビナントタンパク質はGTPおよびアミノアシル-tRNAに結合することが分かった。本研究成果は、追試実験が必要であるものの、この段階で特別研究員を辞退したため、追試および条件最適化の検討を行うことはできなかった。
著者
越後 成志
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

当研究科で開発した骨再生材料であるoctacalcium phosphate(OCP)と豚皮膚由来のアテロコラーゲンとの複合体は自己修復不可能と言われる骨欠損へのインプラントで骨架橋を形成したが、組織学的所見で、僅かではあるが母床骨と異なっており、形成された骨が歯科矯正的な歯の移動に際し障害を与えることが考えられた。そこで、イヌに人工的な顎裂を形成し、顎裂部へ骨再生材OCP/Collagen埋入後、イヌ自身の骨髄穿刺液を播種した群と播種しない群とで骨形成を比較することを目的とし実験した。その結果、骨再生材料(OCP/Col)へ骨髄穿刺液を播種した群の骨形成がよりよい骨形成が得られた。
著者
熊代 克巳 千葉 直史 塚原 卓郎
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.15-26, 1990-07-25

1. 飽和点以上の光量下で測定した場合の,リンゴ「ふじ」,ニホンナシ「幸水」,モモ「大久保」及びブドウ「ナイヤガラ」の葉の純光合成速度と,同化箱内気温,葉温,同化箱内湿度,蒸散速度,気孔伝導度,葉内CO2濃度,葉肉伝導度(純光合成速度/葉内CO2濃度)及び水利用効率(純光合成速度/蒸散速度)との相関を求めた。 4品種とも,気孔伝導度と純光合成速度との間には高い正の相関が認められ,湿度及び蒸散速度と純光合成速度との間にも正の相関が認められた。 気温及び葉温と純光合成速度との相関は低かったが,4品種とも,気温が約29℃あるいは葉温が約31℃を越えると,温度の上昇とともに純光合成速度が急低下する傾向が認められた。 葉肉伝導度と純光合成速度との間には,4品種とも,高い正の相関が認められた。水利用効率と光合成速度との間には,「ふじ」においてだけ正の相関が認められた。そして,気温と水利用効率との間には,4品種とも,高い負の相関が認められた。 2. 飽和点以上の光量及び気温が約25~29℃の条件下で,リンゴ,ニホンナシ,セイヨウナシ,モモ及びブドウの合計18品種について,純光合成速度,蒸散速度,気孔伝導度及び水利用効率を比較した。 18品種の純光合成速度は,13.7~16.7 μmol ・m-2・s-1(21.7~26.5 mg ・dm-2 ・hr-1)の範囲にあり,種類間の順位は高いほうからほぼ,リンゴ,セイヨウナシ,ニホンナシ,モモそしてブドウの順であった。 蒸散速度,気孔伝導度及び水利用効率は,種類・品種間に有意差は認められなかった。
著者
隅田 有人
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

近年、炭素-炭素結合切断反応に焦点を当てた有機合成反応の開発がさかんに行われるようになっている。しかしその多くは比較的結合解離エネルギーの小さいsp^2炭素もしくはsp炭素間を切断するものであり、最も結合解離エネルギーが大きいsp^3炭素-sp^3炭素結合切断反応の例はわずかしかない。また、これまでニッケル触媒による炭素-炭素結合切断反応の報告例は他の遷移金属に比べて多いとは言えない。本研究では、ニッケル触媒によるsp^3炭素-sp^3炭素結合切断を伴う新規有機合成反応の開発を目指し、以下の研究成果を得た。まず、トリメチレンメタン等価体(TMM)は環状化合物を合成する上で非常に有用な四炭素源として広く知られている。その発生には高温等の厳しい条件が必要であったが、パラジウム-TMM等価体を効果的に発生させる方法が報告された。一方、ニッケル触媒によるTMM発生法はメチレンシクロプロパンを用いた手法に限られており、その際パラジウムとは異なった反応性を示すことが知られている。そこで、ニッケル触媒による分子内にカーボナートを有するホモアリルアルコールを用いたTMMの発生法の確立を目指した。これにより、斬新なTMM発生法を提案することができる。また、前年度の結果を受けて、ニッケル触媒によるアリール亜鉛反応剤とアリルマロン酸エステル誘導体の反応について検討を行った。前者では種々の検討を行った結果、目的を達することができなかった。一方後者では、基質であるアリルマロン酸エステルのsp^3炭素-sp^3炭素結合切断を伴いながら、アリール亜鉛と反応し、アリルアレーンが収率よく得られた。これにより、単純なアリルマロン酸エステルも基質として用いることが出来ることが明らかになった。これは今後飛躍的な進展が見込める大きな研究成果であると確信している。
著者
古島 終作 金井 理 高橋 秀智
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.969-974, 1993-06-05
被引用文献数
3 1

本研究の結論は以下のようにまとめられる.<BR>(1) 手書きの線画の位相情報と幾何情報をもとに, 1枚の線画中で左右対称な頂点と曲線の対応付けと, 2線画間で同一な頂点と曲線の対応付けを自動的に行う手法を提案した。<BR>(2) 2次元曲線と3次元曲線との透視変換の関係が明らかである有理Bézier曲線の性質を用いて, 左右対称又は2線画間で対応付けられた2次元曲線を表わす点列から, その点列と投影された曲線との距離が投影面上で最小になる3次元有理Bézier曲線を直接計算する手法を提案した.<BR>(3) (1), (2) の手法を統合し, 容易かっ高速に手書きの線画から3次元自由曲線モデルを生成できるシステムを開発し, 手法の有効性を確認した.<BR>なお, 本研究は東京工業大学工学部知能化機械研究設備を用いて行われた.
著者
有馬 善一
出版者
摂南大学
雑誌
経営情報研究 (ISSN:13402617)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.93-106, 2011-02

本研究の目標は、ハイデガーの芸術論を手がかりにしながら、芸術の本質、つまり、芸術とは何か(Was)という問いに対して、芸術作品はいかに(Wie)あるかという問いを対峙させ、さらにここから、芸術作品の創造とその享受を、単に比喩としてではなく、根源的な意味において「世界の開示」として捉える道を開くことである。そのために、『存在と時間』の世界論における被投性と気分の意義を再確認した上で、世界とは存在者の存在のあり方(Wie)として理解されるべきこと、進んで「芸術作品の起源」における芸術と世界との連関を明らかにした。芸術作品は、ある気分において世界を開示する。そして、それはまさに存在者のあり方を具体的に描出することによるのである。
著者
安井 久一
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.337-344, 1999-06-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
木下 尚子 嶋 一徹 廣野 正樹
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.336-339, 2004 (Released:2005-11-22)
参考文献数
6
被引用文献数
2 1

瀬戸内沿岸の山火事跡地斜面に分布する先駆木本類6樹種について埋土深と土壌加熱が種子発芽に及ぼす影響を調査した。その結果,山火事により土壌表層では短時間高温に晒されるが,深さ4 cm程度の土壌では50 ℃以下の温度が長時間継続することが判明し,この深さに埋土されたアカメガシワ,クサギは加熱で発芽促進が認められた。これに対してアカマツは埋土すると発芽できず,耐熱性が低いため火事後の種子供給が必須なことが明らかになった。
著者
前田 智雄 前川 健二郎 戸田 雅美 大島 千周 角田 英男 鈴木 卓 大澤 勝次
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.83-89, 2008-06-01 (Released:2009-09-04)
参考文献数
25
被引用文献数
4

種々の光源の組合せによる補光がブロッコリースプラウトの生育およびポリフェノール含量に及ぼす影響を効率的に検討することを目的として,商業生産システムを模した実験装置を設計,製造した.ブロッコリースプラウトの胚軸長,生重,乾物重および総ポリフェノール含量に及ぼす種々の波長の蛍光管の組合せによる補光の影響を検討した結果,48時間の補光後に,1)白色蛍光管とブラックライト(UV-A);2)赤色蛍光管とブラックライトの組合せにおいて総ポリフェノール含量が暗黒や商業生産レベルの光強度に対して有意に高まった.一方,胚軸長はやや短くなったが乾物重には有意差は認められなかった.このことから,ブラックライトを組み合わせて補光を行うことで,抗酸化能を高めたスプラウトを収量や外観品質を損なうことなく生産できるものと思われる.
著者
冨永 達
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.36-40, 2007 (Released:2007-11-27)
参考文献数
18
被引用文献数
3 2