著者
表 祐介 黒木 太司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.361, pp.7-10, 2010-01-06

ミリ波フィルタの低廉化を目的とし、安価なFR-4基板を用いたBITラインフィルタを設計し、その特性を評価した。具体的には比帯域4%の0.1dBリップルチェビシェフ型3段帯域フィルタを30GHz帯で設計し、その伝送特性を数値計算したが、FR4基板の誘電損失、基板に蒸着された銅箔の表面及び裏面の実効導電率を考慮した結果、BITラインフィルタではFR-4基板を用いた場合でも通過域の挿入損失は0.42dB程度と低損失であることが明らかになった。
著者
猪子 香代 西園 文 大澤 真木子 石井 かやの
出版者
(財)東京都医学研究機構
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

子どもの抑うつは、学校の友人関係が、中学生年代では関係があると考えられる。また、「いじめ・いじめられ尺度」を作成し、また、家族、友人などとの関係における喪失・不安・怒りを引き起こすような「抑うつ誘因エピソード尺度」を作成した。#いじめ・いじめられいじめと自殺の関連が、マスコミで話題になり、一般の中学校においても、関心の高いところとなった。心理の暴力について、加害者、被害者、それに暴露された子ども、いずれも援助の対象と考える。今回は、これらの3つの側面からの質問紙を作成し、一般の中学生の生徒を対象に抑うつとの関連を検討した。共分散構造分析において、「いじめられ」の潜在因子は抑うつに関連があった。しかし、「いじめ」体験のこどもは「いじめられ」「いじめの目撃」体験と関連がある。「いじの目撃」体験のある子どもは「いじめられ」に関連がある。#抑うつについては、生活の中の出来事について、それをどのように認知するかということで、感情や情動に違いがみられるといわれている。抑うつの誘因になると考えられるエピソード尺度を作成し、一般中学校を対象に抑うつとの関連をみたところ、友人関係の不安、家族の言い争いが抑うつとの関連がみられた。いじめの問題も含めて、子どもたちの友人関係への不安への対処をどのようにするかということが重要と考えられる。子ども自身の特性を理解できるとともに、それぞれの子どもに対応したマニュアルを作成している。
著者
林 文男
出版者
東京都立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

研究材料としてカワトンボとミヤマカワトンボを用い、精子の量と質の比較を行った。2種ともに,メスの体内には,交尾嚢と受精嚢と呼ばれる2つの精子貯蔵器官を有している.一方,オスの交尾器の先端には,交尾嚢の中の精子を掻き出す器官(耳掻き状の反転部)と受精嚢の中の精子を掻き出す器官(ブラシ状の側突起)が備わっている.ミヤマカワトンボでは,交尾嚢,受精嚢ともに多くの精子が貯えられており,精子の生存率は交尾嚢,受精嚢ともに高く維持されていた.これに対し,カワトンボでは,受精嚢が著しく小さく,ここに精子を貯えているメスの割合は少なかった.また,受精嚢内に精子が貯えられている場合でも,精子の生存率は交尾嚢に貯えられている精子よりも低い傾向があった.つまり、カワトンボでは,受精嚢は精子の貯蔵器官として利用されていないと考えられた.それにもかかわらず,カワトンボのオスの交尾器には,ミヤマカワトンボと同様ブラシ状の側突起が発達していた.従来,オスの側突起は受精嚢の中の精子を掻き出すための器官としてのみ考えられてきたが,他の機能(交尾嚢内で交尾器の位置を確保したり,支持したりする機能など)を有する可能性があり,今後の検討が必要である.ミヤマカワトンボでは,交尾中および交尾直後の精子の挙動を明らかにするために,ハンドペアリング法によって交尾を行わせ,途中で交尾を中断させる実験も行った.その結果,交尾嚢内の精子については,オスによってほぼ全てが掻き出されることがわかった.しかし,受精嚢内の精子については掻き出しは不充分であった.受精嚢は左右の細長い袋からなるが,多くの場合,オスは片方の袋の精子しか掻き出せなかった.つまり,メスの生殖器のうちの受精嚢は,オスによる精子の掻き出しを防ぐ機能を有していると考えられた.
著者
小川郁
雑誌
Otol Jpn
巻号頁・発行日
vol.4, pp.189-195, 1994
被引用文献数
8
著者
渡辺 学 高田 博行
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

日独両言語における若者語および若者語研究の最新状況を文献調査や国際レベルでの情報収集を通してつねに把握しながら、とりわけ携帯メールのテクストに現れた若者語の特性と相違点を明らかにすることを試みた。具体的には、アンケート調査に基づく日独携帯メールテクストコーパスの作成と対照比較分析により、まず共通点として話し言葉の特性が書き言葉に浸透していく様子が観察された。他方、ドイツ語においては、文字(言語記号)中心のいわば「単線的コミュニケーション」につながる表現形態が目立つのに対して、関西方言の関東方言との偏差をも視野に入れて収集を進めた日本語の文例を分析した結果、顔文字・絵文字が頻繁に出現するほか、(疑似)方言語法、古語語法、幼児語法(ベビートーク)も現れることが分かった。これらの語法に限定するかぎり、日本語ではメールテクストにおいて日常語の「話し言葉性」からの意識的シフトが行われることがあり、ドイツ語ではそれがないものと暫定的に推論することができる。これらの特徴はひとり言語現象としてとらえることができるのみならず、言語行動のあり方の特性として把握可能であるばかりか、全角入力が基本となる日本の携帯メールで顔文字・絵文字が頻出するなど、メディアや(メディア)テクノロジーのあり方とも関連していること、それらの規制を受けていることも明らかとなった。メディアジャンルとしては、研究分担者が電子掲示板に注目して、その言語的特徴を調査したことが研究の裾野を広げるのに大いに役立った。さらに、資料として「日独若者語対照基礎語彙表」をまとめることができた。この語彙表は、日常語にまでおよぶ日独の若者語語彙の意味機能的な対応づけの試みであるとともに、収集した携帯メールテクストのコーパスとも合わせて今後の日独若者語対照研究の基礎資料として裨益するものと思われる。
著者
和久屋 寛
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

一種の信号変換ツールとみなすことで、様々な分野で自己組織化マップ(SOM)が利用されている。ここでは、シーズ重視の立場から、(1)新しいアーキテクチャの構築、(2)新しい信号処理技術の開発、(3)工学的な応用に取り組んだ。その結果、時系列信号処理や部分データへの対応、発散式学習などの技術を生み出し、オンライン手書き文字認識、アニメーション作成、観光情報解析ツール、携帯情報端末への実装などの研究成果を得た。
著者
宮狭 和大 坂内祐一 鈴木 雄士 玉木 秀和 重野 寛 岡田 謙一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.134-147, 2007-01-15
被引用文献数
1

実物体に基づいた遠隔コラボレーションでは,遠隔の実空間の間に存在する空間構造の差異を考慮する必要がある.特に既存システムではそれぞれの空間にシンタックスの異なる実物体を配置し,作業対象としてコラボレーションするものが存在しなかった.そこで本研究では,物体の表面に柔軟に貼り付けることができる「シール」の性質に着目し,これを複合現実感(MR)技術と組み合わせた手段として,仮想のシールを遠隔のそれぞれの実物体に基づいて貼り付けることで,実物体の間に存在するシンタックスの違いを吸収してユーザによる作業のセマンティックスを共有する手法を提案する.そして,実物体に対するポインティング機能を有したプロトタイプシステムを実装し評価実験を行った結果,シンタックスの異なる実物体間で,作業の情報をその意味を損なわずに共有できることが確認された.In remote collaboration based on real objects, the difference of the space structure between the remote real spaces should be considered. In conventional method it is difficult for users to collaborate based on the real objects which differ in syntax each other. To address this issue, we focus attention on a sticker or a sheet which can be attached on a physical object according to its surface. And as a method which Mixed Reality (MR) technology is combined with it, we propose an information sharing method of semantics which each remote user interacts with a real object, by using virtual sheet which can be attached to each real object according to its surface and can absorb the difference in syntax between these real objects. Then we implemented a prototype system which has pointing function and conducted experimentation. As a result it proved that it is possible to share the information of the interactions without losing the meaning between the real objects which differ in syntax each other.
著者
糸長 浩司 藤岡 泰寛 藤沢 直樹
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

URの団地建て替えに伴う具体的な団地(神奈川県茅ヶ崎市浜見平団地)での、団地再生と周辺住宅地を含めた地域再生の総合的な支援研究である。子どもの遊び空間の実態分析より、緑地空間の継承の意義を明らかにした。また、新しい集会施設とガーデンの計画と管理運営を団地自治会と協働することで、団地及び地域コミュニティ再生のための拠点空間として意義、支援グループの大学教育的視点からの継続性の必要性が指摘できた。
著者
中村 滋延 川尻 大輔
出版者
九州大学大学院芸術工学研究院
雑誌
芸術工学研究 (ISSN:13490915)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.17-24, 2011

The talking film debuted in 1927, succeeding the silent film. Influenced by requests from theater operators, many directors began producing talking films. However, for Chaplin, who had already established an original style of expression in silent film, sound was superfluous. At last, Chaplin produced The Great Dictator as a full talking film in 1940. The Great Dictator was the result of continuous exploration of expressions unique to talking film, for over a decade. Its sound effects are replete with originality and ingenuity. In this paper, the sound effects unique to The Great Dictator are clarified by analysis as follows: (1) By hiding the sound source, it can be arbitrarily moved around spatially and temporally. (2) Sound can present to the vieweres a reality that is different from the reality in the film. (3) It is possible to convey messages with multiple meanings by making the type and the location of the sound source vague.
著者
高橋延匡 武山潤一郎 並木美太郎 中川正樹 石川 裕
雑誌
研究報告 システムソフトウェアと オペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.2, pp.1-6, 2011-07-20

今後の高性能計算機においては,数十から数百以上のコアを集積したメニーコア環境が重要な役割を負う.メニーコア環境では,これまでのマルチコア環境とは違った OS カーネルやシステムソフトウェアが要求されるが,それらの開発の際に必要な実験向けメニーコア環境は,現在はまだ一般に入手できない.このような状況でも OS の開発を進めるために,本研究ではアクセラレータタイプのメニーコア環境を FPGA を用いてシミュレーションするシステムを設計する.また,HDL による実装の前段階として,Gem5 フルシステムシミュレータ上にメニーコア環境をモデリングする.Manycore processors, which have more than dozens of cores, will play large role in high-performance computing (HPC) in near future. Manycore environments require kernels and other system software to be designed differently from multicore counterpart. However, manycore environments that are necessary to develop those system softwares is not generally available currently. Our study aims designing and implementing a simulator of manycore environment in FPGA for those system software development. Prior to implementing the system in FPGA, we model the manycore processor on Gem5 full-system simulator.
著者
佐藤 未来子 辻田 祐一 堀 敦史 並木 美太郎
雑誌
研究報告 システムソフトウェアと オペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.1-6, 2011-07-20

ハイパフォーマンスコンピューティング (HPC) の分野では,ペタフロップス級のスーパーコンピュータ開発が現実のものとなり,エクサフロップス,ゼッタフロップスという単位のシステム開発が次の技術課題となっている.本研究では,エクサコンピュータの実現に向けて,今後 HPC の主流となるメニーコアアーキテクチャを有効活用するための基盤ソフトウェアの研究開発を行っている.従来のマルチコアアーキテクチャを汎用コアとして活用しつつ,演算性能や並列性を強化しているメニーコアアーキテクチャを混在させたシステムアーキテクチャを想定し,アプリケーションプログラムからはメニーコアとマルチコアの特性を活かした単一システムとして見せられるメニーコア OS カーネルの実現を目指す.本論文では,メニーコア OS カーネルの検討課題を述べ,プロセス管理,メモリ管理,I/O 管理についての基本設計を述べる.In the field of high performance computing (HPC), the super computer development of the PetaFLOPS class becomes the one of the reality. The development of the ExaFLOPS system is the following technological opportunity. In this study, the infrastructure software to use Many-core architecture that will become the main current of HPC in the future effectively is researched and developed aiming at the achievement of ExaFLOPS system. We are assuming the system architecture to use past Multi-core architecture together with Many-core Architecture. We aim at OS Architecture that can use Many-core and Multi-core from the application program as a single system. In this paper, we show the overview of the OS and discuss on problems of the OS for Many-core architecture system. Moreover we describe the management of processes, threads, memory and also inter-OS communication handling.
著者
下沢 拓 石川 裕 堀 敦史 並木 美太郎 辻田 祐一
雑誌
研究報告 システムソフトウェアと オペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.1-7, 2011-07-20

本稿では,メニーコア混在型システム向けのオペレーティングシステムのためのハードウェア抽象化層 AAL を設計する.AAL は,抽象化による移植可能性の向上を目的とし,抽象化層の摸擬環境を作成することによりメニーコア混在型システム向けのオペレーティングシステムの開発を可能にする.さらに,マルチコアシステムでメニーコア混在型システムを摸擬した環境での AAL の実装についても述べる.AAL, an abstraction layer of operating systems for manycore accelerators is designed in this report. AAL is aimed to provide portability of operating systems for manycore accelerators. AAL enables development of the operating systems without any manycore accelerators by implementing emulation of the layer. An implementation of AAL for a manycore emulation environment on a multicore CPU is also presented.
著者
西浦 和樹 田山 淳 沖林 洋平 池田 和浩 澤邉 裕子
出版者
宮城学院女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、創造的問題解決における心理メカニズム解明を目的として研究を実施した。本目的を達成するために、ブレインストーミング法(BS法)を代表とする集団的思考の方法を気軽に体験し、学習することのできるカードゲームを開発し、ストレス軽減と認知的対処方略を理解することのできる心理データの取得を行った。BS法がアイデア創出だけでなく、抑うつ感の軽減を促進すること、制御欲求の高い被験者は状況をより改善するように努めていることを確認した。
著者
五十嵐 誠一
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

東アジアおける市民社会によるトランスナショナルなネットワークの実体を実証的に把握し、それらが東アジアの地域主義と東アジア共同体の形成過程でいかなる役割を果たしてきたのかを明らかにした。