著者
Hirofumi Nobukuni Takuya Kamimura Hidemitsu Uno Yuichi Shimazaki Yoshinori Naruta Fumito Tani
出版者
(社)日本化学会
雑誌
Bulletin of the Chemical Society of Japan (ISSN:00092673)
巻号頁・発行日
pp.1111210384-1111210384, (Released:2011-11-29)
参考文献数
32
被引用文献数
13

Cyclic nickel and free-base porphyrin dimers (Ni2-CPDPy and H4-CPDPy) include fullerene C70 both in solution and in the crystals. Based on the 13C NMR spectra in solution, the included C70 molecule inside the cavity of Ni2-CPDPy shows both end-on and side-on orientations, whereas the C70 molecule within H4-CPDPy has only a side-on orientation toward the porphyrin rings. X-ray crystallography revealed both “end-on” and “side-on” orientations of C70 in the crystal structure of the inclusion complex of Ni2-CPDPy and C70. This is the first example of an X-ray crystallographic determination for an end-on orientation of C70 cocrystallized with porphyrins. On the other hand, only a side-on orientation of C70 was observed in the crystal structure of the complex of H4-CPDPy and C70. Further, a zigzag array of C70 molecules through van der Waals contacts with each other is formed along the monoclinic b axis in the latter crystal.
著者
中川 尚史 中道 正之 山田 一憲
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
pp.1111280025, (Released:2011-11-30)
参考文献数
29
被引用文献数
4 7

Questionnaire on infrequently-observed behaviors (IOBs) in Japanese macaques (Macaca fuscata) were given to primatologists. This survey aimed to provide basic information on the degree of rarity of each behavior. The questionnaire consisted of questions for respondents themselves, (e.g., name, research carrier, daily observation time), focal group (name of group and local population, captive, provisioned free-ranging, crop-raiding or purely wild), and IOBs. Experience of direct observation of 36 candidates of IOBs was also requested to answer by yes, no, or impossible to answer because of ambiguous memory or unawareness of its behavior. In total, 39 answer sheets were obtained from 32 respondents. The top 10 IOBs and the number of those answering "yes" in parenthesis are as follows: mating interruption by juveniles (1), simultaneously nursing different-aged offspring (1), tool-use (1), single mount ejaculation (2), transporting the older offspring (2), nursing the older offspring (2), simultaneously transporting different-aged offspring (3), pulling the hair of female chin as a courtship behavior by male (4), twin birth (4), and (diurnal) birth (6). Some of IOBs, such as mating interruption by juveniles, seem to be due to ambiguous memory or unawareness of its behavior. Apparent inter-population differences in the percentage of respondents answering "yes" to the all the respondents giving definite answers were found in some behaviors, such as embrace-rocking behaviors, mating behaviors in birth season, stone-handling, and feeding on vertebrates. Some of them, like the latter two, seem to have something to do with provisioning. With the modification of three categories by Nakamichi et al. (2009), we proposed the following five categories of IOBs: I) behaviors which are difficult to be observed despite its common occurrence; II) behaviors which rarely occur in every population: III) behaviors which rarely occur in some populations, but frequently occur in the others; IV) behaviors which are difficult to identify and memorize despite its common occurrence; V) behaviors which rarely occur during the most of the time but temporally occur.
著者
伊藤 孝恵
出版者
山梨大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

国際結婚夫婦のコミュニケーション態度に関する質問紙調査を、国際結婚夫婦並びに日本人同士夫婦に対し実施した。その目的は、日本における国際結婚夫婦のコミュニケーションに対する認識の特徴、特に外国人妻の認識の特徴を明らかにし、これに家族社会学の見地を加え、国際結婚夫婦における「多言語共生」「対等で互いの違いを認め合う夫婦間コミュニケーション」を目指すことにある。具体的には、国際結婚夫婦のコミュニケーション態度に対する認識の特徴を、日本人同士の夫婦と比して明らかにし、コミュニケーション態度とコミュニケーションに対する印象・情動との関連性を探る。質問紙は、日本語版のほか、英語版、中国語版、韓国語版、ポルトガル語版、スペイン語版、タイ語版を作成し、対象者が回答しやすいよう配慮した。質問紙は、山梨県を中心にその周辺の市で配布した。回収されたデータは、入力・集計した。今後、分析を進め、論文としてまとめる予定である。
著者
山本 盤男
出版者
九州産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

連邦国家インドで財政赤字削減と消費課税改革を目的に導入が目指されている財・サービス税(GST)の課税形態について、中央GSTと州GSTの詳細な制度設計を提示できたが、導入は中央と州政府間の同意が成立していないため遅れている。中央と州政府間の財源配分を中心とする連邦財政システムの改革は、第13次財政委員会の勧告が現状維持的であったため、第14次財政委員会が担うことになった。財政整理での公共支出改革の重要性が増した。
著者
松村 俊和 武田 義明
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.131-137, 2008
被引用文献数
1

&nbsp;&nbsp;1. 淡路島の水田畦畔法面における二次草原で,管理放棄後の年数と種数および種組成との関係を明らかにすることを目的として,管理が継続されている管理地と管理放棄後1-6年経過した放棄地で出現種とその被度および高さを調査した.<BR>&nbsp;&nbsp;2. 管理地の出現種数の平均値は25.3種で放棄地よりも有意に大きかった.放棄地での放棄後の年数と出現種数との間には,有意な負の相関が認められた.<BR>&nbsp;&nbsp;3. 積算被度と種数との間に有意な負の相関があった.また,0.2m以下の階層,0.2mを超え0.4m以下の階層および0.4mを超え0.6m以下の階層で,上層の積算被度と種数との間にそれぞれ有意な負の相関があった.<BR>&nbsp;&nbsp;4. 管理地の種組成は放棄後の年数が3年以内の放棄地とは類似していたものの,放棄後の年数が4年以上の放棄地とは異なっていた.<BR>&nbsp;&nbsp;5. 管理地には28種が特徴的に出現していたのに対して,放棄地に特徴的に出現していたのはネザサ類のみであった.<BR>&nbsp;&nbsp;6. 管理放棄による出現種数の減少と種組成の変化は,放棄後数年間という短期間に起こっていた.これは,草刈りによって被度の増加を抑えられていたセイタカアワダチソウやネザサ類が,管理の放棄とともに高さおよび被度を増加させたことによると考えた.
著者
前川 佳遠理 大久保 由里 北岡 タマ子 田中 輝 ライデルマイヤ マーガレット フェルフーフェン ポール 戸塚 順子 内海 愛子 ランゲン ヨハン・ファン
出版者
国文学研究資料館
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2007

国内外の史料所蔵機関のウェブサイトやカタログの収集に加え訪問調査を行い、個人・全国の戦友会・団体の事務局に質問票を郵送し、アンケートの集計を行った。個人・戦友会・団体の活動履歴や所蔵資料を国際文書館評議会ICAの国際標準「団体,個人,家に関する記録史料オーソリティ・レコード:ISAAR (CPF) Ver.2」に準拠して作成し公開準備を行った。本課題を機に戦友会事務局資料を中心に寄贈が進み、順次公開の予定である。国外ではインドネシア及び在オランダを中心に東南アジアの戦中・戦後の資料所在情報を調査し、特に俘虜銘々票の原本や原爆被害者調査委員会の原本資料のデジタル化・データベース化を通じた共有化モデルのプロジェクトに発展した。
著者
高津 浩
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

1.二次元三角格子磁性体PdCrO2の単結晶育成方法の確立これまでPdCrO2の単結晶の育成報告は一例もなかったが、約1年間にわたる試行錯誤の結果、フラックス法を用いることで単結晶が育成できることを見出した。更に、育成環境の最適化を行い、おそらく初めてPdCrO2の単結晶育成方法の確立に成功した。この結果は磁化率や電気抵抗率の本質的物性の解明に繋がっただけでなく、以下で詳しく述べるように二次元三角格子磁性体で初めて非従来型の異常ホール効果を発見する礎となった。2.PdCrO2における非従来型異常ホール効果の発見育成したPdCrO2の単結晶を用いて、磁場を[001]方向に印加し、電流を[110]方向に流した時のホール抵抗の磁場・温度依存性を調べた。その結果、局在Crスピンが120度構造に反強磁性秩序化するTN=37.5Kより低温のT*=20Kから、ホール抵抗の磁場依存性に従来のホール効果では説明できない非線形性を見出した。更に、T*では磁化率や比熱にも異常があることや、同構造で同価数・非磁性のPdCoO2のホール効果には40K以下の低温で非線形性が現れないことを明らかにした。これらの結果より、PdCrO2のT*以下のホール効果がスピン構造の変化と密接に関係する可能性を浮き彫りにした。これは近年フラストレート磁性金属のホール効果で注目されている「スピン配置の幾何学性」を起源とする新奇なホール効果と関係する可能性がある。これまで二次元三角格子系では、理論的にはマクロにそのようなホール効果は出現しないことが指摘されてきたが、実験的には適当なモデル物質がなかった為、明らかにされてこなかった。従って、本研究によりモデル物質PdCrO2を探し出し、初めて実験的にホール効果を検証した点は重要である。特に、単純な場合の理論予測とは異なり、明確な非従来型の異常ホール効果を見出した点は意義が深い。二次元三角格子は幾何学的フラストレート格子の中でも最も基本的な構造を持つ為、本成果は今後フラストレート磁性金属の磁性と導電性の相関を研究する上でも重要な情報を提供することが期待される。
著者
山田 顕 多勢 克己 中村 僖良
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.871-875, 1992-12-01
被引用文献数
9

Durninにより理論的に導き出されたベッセル形の無回折ビームは、有限開口の場合でもある程度長い距離にわたり広がらずに伝搬することから音響の分野でも注目され、研究が進められている。本報では、このようなベッセル形と類似の長距離集束超音波ビームを形成する実用的な方法として、放射面に重み付けを施したコニカル形トランスジューサを提案し、その放射音場について理論的に検討した。その結果、重み付けコニカル形は連続波駆動時に有限の開口を持つベッセル形と同等の放射音場特性を示すこと、また、パルス駆動時にはサイドローブが平坦化され、パルス長も短くなるなど、ベッセル形よりも有利な点があることが明らかになった。
著者
高木 信二 小川 英治 永易 淳 岩壷 健太郎 江阪 太郎 廣瀬 健一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

グローバル危機を契機に、(特にアジア地域における)経済間の相互連関が注目されるようになった。また、危機の発生確率を軽減するために各国が採るべき政策や制度への関心が高まると同時に、危機への耐性を維持する観点から、資本管理政策が主権国家の政策手段として広く受け入れられるようになった。本研究の成果は多岐に及ぶが、その核心的部分は、(1)経済連関をはかる手法を開発したこと、(2)実証的に経済統合の性格を特定化したこと、(3)資本管理政策の有効性を検証したこと、(4)危機発生確率を低下させるための政策、制度を明らかにしたことにある。
著者
鈴木 雅明
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

この研究は、J.S.バッハの教会カンタータについて、資料批判、作品研究、対訳作成などの準備段階から実際の演奏に至るプロセスを吟味し、公開演奏とCD録音において統合する目的で始めたものである。当初18曲のカンタータを3つの群に分けて3年にわたる研究の対象としたが、第1群として分類した8曲のうち7曲(BWV45,102,17,19,36,27,47)について実際に公開演奏とCD録音が終了した現段階で、この研究は個人的な事情により終了せざるを得なくなった。ここまでの研究において、特筆するべき内容としては、BWV102の自筆総譜に書き込まれた演奏上の指示が作曲者によるものかどうか、という点について小林義武氏(研究協力者)に資料調査を委嘱し、その結果を演奏に反映させた。またBWV36について作品成立の複雑な経緯については、江端伸昭氏の助力を得て整理した。またRWV102、27、47のアリアにおけるオブリガート楽器の撰択については、その複雑な事情に鑑み、資料の検討および可能性のある楽器の試奏を経て、複数の可能性を録音して、音楽上の表現を比較できるようにした。また聖書の引照つき対訳は、藤原一弘氏の協力を得て作成した。批判的パート譜の作成については、ウェブ上で公開して同時にオリジナル資料を直ちに参照できるようなシステムを構築するには至らなかったが、原資料に見られる不統一な指示を既成のパート譜に書き入れて演奏に供した。将来的な出版については、演奏上の指示がかえって自由な演奏の妨げとなり得ることから、理想的な形態については今後の研究に待たざるを得ない。しかし、ここまでの研究を通じて、上記のカンタータの実際の演奏結果をCDで公表することができ、それによって、演奏上の問題点と表現の一例を示すことができた。そのことによって、我が国のJ.S.バッハ作品の受容に微力ながら貢献できたと考えている。
著者
曽我部 博之 小高 昭夫
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.59, no.463, pp.19-26, 1994
被引用文献数
4 1

The study of the P-Δ effects due to the increase of horizontal displacement is being continued steadily. In the present paper, the P-Δ effects on the elasto-plastic response of lumped mass system subjected to strong-motion earthquakes are studied as follows : First, the stability coefficient (the parameter that characterizes the P-Δ effect) is estimated by the regression line for the height and the natural period of the buildings, and the elasto-plastic response spectra are examined. Second, the mechanism of the P-Δ effects is examined from the results of the energy response, and the estimate formula applicable to the amplification factor (the ratio between the maximum response displacement with and without P-Δ) is suggested.
著者
戸谷 陽子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本年度は、演劇・舞台芸術の書物に加え、過去10年間ほどに加速した政治経済的・文化的基盤と文化システムの変化について論じる基本的な研究書、学術雑誌等の書誌を収集・通読し理論化する作業は引き続き行ったが、研究最終年度であることを意識し、これまでに収集した資料や研究成果を「グローバル化した文化システムにおけるアメリカ舞台芸術」(仮題)というテーマのもとに集約すべく、概観しつつ整理する作業に重点をおいた。その実績として、演劇史の流れに深く関わる総括的な論文を発表した。また、過去10年間に加速した、演劇における知識や情報のグローバル化が、実際の演劇作品制作の現場にどのような影響をもたらしているか、また、伝統と現代、国境を越えたコラボレーションなどの試みがグローバリゼーションにより、どのような変化を遂げたかなどについての調査を開始した。そこで、具体的には、まず、国際演劇祭で流通する規格化されたプロダクションの詳細について、製作の過程、マーケティング戦略の実情などを丹念に調べ、これと芸術という概念の関わりを考察した。また、近年活発化している、国境を越えた、複数の民族や文化の担い手のコラボレーションによる伝統へのアプローチと、それらを巡る学術的な言説の変遷について考察を進めた。このため、来日している国際演劇祭のプロデューサや芸術監督にインタヴューを行い、また積極的に演劇祭や学会などについての情報を収集した。この成果は来年度に米国で開かれる学会で発表するべく準備中である。
著者
斎藤 彰一
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究において,匿名通信における匿名性の向上と,携帯端末などの性能の低い計算機や家庭や移動端末等のネットワーク環境における匿名通信利用について研究を行った.さらに,新しい通信方式である送信者追跡困難通信を開発した.この新方式は,追跡困難性による利用者個人情報の保護と,匿名性の悪用を防止することが可能である.これらの研究成果は,個人情報を保護するネットワークを備えたネットワークインフラの構築に貢献できると考える.