著者
上明戸 昇 野上 英和 山下 恭弘 財満 健史 大脇 雅直 杉山 武 和田 浩之
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.553, pp.17-22, 2002
被引用文献数
2 1

We developed a system that is a combination of sound information and picture. We studied the estimation of the direction of incidental plane waves with a small sized electric generator outdoor experimentally. As average numbers of the cross spectrum increase, sound source points are concentrated in a place, in the case that the sound source is random noise. We studied the visualization of sound insulation by this svstem in the anechoic room and outdoors. We confirmed the result and we were able to visualize the diffraction by setting the wall.
著者
八木 保樹 平林 郁子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.232-240, 2008 (Released:2011-06-25)
参考文献数
32
被引用文献数
2 1

A field experiment was conducted to examine the effects of food and the “door-in-the-face technique” on compliance with a request that one participate in a psychological experiment. It was predicted that positive affect was induced in participants who did eat, while those who did not eat were deemed to have neutral affect. Participants then received a rejection-then-moderation procedure (i.e., the door-in-the-face technique) or not, in that half of the participants were induced to refuse a large initial request and then asked a small request, while the other half were asked only a small request. Participants who experienced either a positive event (eating) or a negative event (normative pressure for reciprocation of concession) were more likely to agree to participate in an experiment than did neutral affect controls, likely because of mood maintenance or mood repair. However, people who were subjected to both events helped no more than did controls. This latter result suggests that positive affect may function as a resource that provides a psychological buffer against negative affect. Participants who complied in the no-food/no-technique and food/technique conditions rationalized their own behavior (i. e., engaged in dissonance reduction). The theoretical implications of our findings are discussed, with respect to the manipulation and measurement of affect.
著者
今井 正樹 岡田 誠之 武藤 暢夫
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.67, pp.57-65, 1997-10-25
被引用文献数
1

大都市を中心とした水需要の増大に対し,水資源の高度利用,下水道への排水量の抑制を主目的とする水の再利用システムとして,"中水道"の開発,実用化が進められてきた.本研究においては,配水管の通水能力の減少,管路の閉そく,熱交換器などの熱交換率の低下,スライムの発生に伴う局部腐食の増加などを引き起こしている"スライム障害"を水質面から取り上げ,具体的にはスライムの発生形態および発生要因を中心に,最終的にスライム発生を抑制させる目的で,特に中水の水質との関連性を踏まえて実験を進めた.主な検討項目は,(1)スライムの発生,生育条件の検討,(2)スライムの抑制,(3)スライムの生物活性,である.次に研究結果を要約すれば以下のとおりとなる.1)実排水および人工下水を用いて,スライムを発生させた場合,処理原水に対して凝集沈殿処理水ではその30%,砂ろ過処理水では10%まで発生を抑制できた.2)スライムの発生は水中の栄養塩類としてN,P化合物の存在が大きく影響し,とりわけPの存在は発生の主要因となっている.3)発生の経時的変化は一次反応の形態をとることが確認された.4)今回のスライムの組成はC_7H_<12>NO_6で示され,生物体としての細菌の組成と類似しており,酸素吸収量からも生物体としての活性が認められた.
著者
市野川 容孝 金 會恩 KIM Hoi-Eun
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

2009年11月末に来日以来、金氏は、日本帝国にとって最も重要な(他者)であった朝鮮人を、植民時時代の人類学者たちがどのように位置づけたかに関する研究に力を注ぎ、その研究成果を精力的に発表してきました。金氏がドイツの歴史研究者たちと企画した討論「Asia,Germany,and Transnational Turn」は、イギリスの重要な学術誌であるGerman Historyの2010年12月号に記載されました。この論文で金氏は、ドイツ史を世界史的な視点から再評価する必要性を力説しつつ、中国にのみ関心を集中されている最近のドイツ人研究者たちが、19世紀末のドイツ-アジア関係で最も重要な位置を占めていた「ドイツ-日本」間の複雑な多面的な交流を見落としていると指摘しました。また、金氏は、さらに二つの学術論文を仕上げ、国内外の学会で発表しました。金氏が昨年10月にサンフランシスコで開催されたドイツの学会にて発表した論文「Measuring Asianncss : Erwin Baelz's Anthropological Expeditions in Fin-de-Siecle Korea」は、日本の近代医学の父といわれるE・ベルツが1899年、1902年、1903年の3回にわたっておこなった朝鮮人種研究に関する、初の本格的な学術研究です。この論文では金氏は、アジアの諸人種間の階層とその相互関連性を強調したベルツの人種研究が、その後の人種に関する言説に非常に大きな影響を与えたことを実証しています。この論文は加筆修正の上、2011年に出版予定のM.Richl&V.Fuechtner eds.German-Asian Cultural Studiesの1章として刊行される予定です(その他の研究発表については、下記「11.研究発表」を参照のこと)。
著者
内山 靖
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

薄暗い視覚環境下では、 明所と比較して姿勢調節機構が低下しており、むしろ閉眼時よりも姿勢調節の緻密さが低下していた。また、視認性が低下しているにもかかわらず、明所と類似した歩行戦略を選択していることが明らかとなった。本研究から、薄暗い環境では姿勢調節にかかわる情報処理過程が複雑であるために機能不全が顕在化しやすく、これらの点から臨床評価指標を開発することの妥当性が示唆された。
著者
古屋 秀隆
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

中生動物ニハイチュウについて、分類、系統、およびニハイチュウと宿主との関係(共進化)について調べた。(1)分類 カリフォルニア湾産Octpus hubbsorum、オーストラリア沿岸産Sepioteuthis australis とSepioloidea lineolata、および日本沿岸産クモダコとウスベニコウイカの腎嚢を検索し、10種の未記載種のニハイチュウ類を発見した。そのうち3種のニハイチュウ類を記載した。(2) ニハイチュウの細胞分化:細胞の分化が起きているかどうか16遺伝子の遺伝子の発現パターンよって調べた。(3)ミトコンドリアゲノムの解析ニハイチュウとプラコゾアのミトコンドリアゲノムの構造を調べた。ニハイチュウ類では、一般にミトコンドリア遺伝子がそれぞれミニサークルを形成していることを明らかにした。(4)共進化ニハイチュウと頭足類について、ミトコンドリアCOI遺伝子と18SrDNAの塩基配列を用い、それぞれの種間の系統関係を調べた。その結果、共進化している種もみられる一方、ホストスイッチングした種もみられ、厳密な共進化はみられなかった。
著者
高良 秀昭 今塩屋 隼男
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.25-35, 2003-05-30

自己教示が知的障害者のメタ認知に対してどのように影響するかを検討する目的で、実験研究を行った。その結果、メタ認知の実行機能については、実験群(自己教示群)の実行機能が、統制群に比較して有意に高まった。さらに、実験群の実行機能の得点は、コバート・リハーサル段階で有意に高まった。この効果は、実行機能の得点が低いグループで、特に顕著にみられた。一方、メタ認知的知識に関しては、実験群のみに特有な変化は認められなかった。このような点から、自己教示は、知的障害者のメタ認知の実行機能を活性化するが、メタ認知的知識には大きな影響を及ぼさないことが示唆された。さらに、自己教示により活性化された知的障害者のメタ認知、特に実行機能は、1年後においても活性化が維持されることが明らかになった。
著者
古荘 匡義
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

平成20,21年度の研究では、中期ミシェル・アンリの実践および世界の概念を、平成20年度は前期思想との関係において、平成21年度は晩年のいわゆる「キリスト教の哲学」との関係において考察した。平成22年度は、二年間の研究をさらに掘り下げるべく、彼の「キリスト教の哲学」そのものの構造を解明し、その上でアンリの他者論、共同体論を検討した。三年間の研究を通じて、彼の思索全体における倫理概念の意義を通時的に解明できた。晩年のアンリにとって、倫理とはまずもって「キリスト教の倫理」である。それは、神の〈掟〉を守り、キリストの生と同一化して行為することであり、神の絶対的〈生〉のうちで生きることである。よって、他者関係とは、絶対的〈生〉のうちでの純粋に情感的な体験において他者と共に生きることであり、これこそが倫理的なのである。しかしアンリの倫理は、単にユートピア的な他者との合一ではない。アンリは他方で、固着した律法を守る行為の非倫理性や、表象や対象が媒介することによる他者関係の失敗についても考察している。この他者関係の「失敗」それ自体がもう一つの他者関係である。この「失敗」は純粋に情感的な他者関係に基礎づけられて成立しつつも、純粋に情感的な他者関係に影響を与える。アンリの哲学は、二つの他者関係の絡み合いによって倫理を表現する。このような表現を可能にするのが、「キリスト教の哲学」の行為遂行性である。この哲学は聖書解釈ではなく、聖書によって促された哲学的思索である。つまり、聖書のうちに絶対的な〈真理〉がある、とまず宣言し、この〈真理〉を哲学的に解明しようとする。このような思索は、それ自身が情感的な実践である。この思索が読者に向けて語られるとき、不可避的な誤解に晒されつつも、情感的に受容され得る。この行為遂行性こそが、純粋に情感的な事柄を言語で表現するという行為を可能にしている。
著者
但馬 亨
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本年度の主たる研究の目的は、以下2つの課題の実行であった。すなわち、国際的にこれまでの研究内容を発表することと、前年度から継続して貴重資料群のデータベース作成に一定の目途を立てることである。第一の課題については、2009年7月から8月にかけてハンガリーの首都ブダペストで行われた、科学史関連では最大である国際学会において18世紀半ばの弾道学的諸問題の理論的および実験的側面についての分析結果を発表し、2010年1月には京都大学理学部において同大学の名誉教授である上野健爾氏主催の数学史国際シンポジュームで曲線概念と関数概念の混交する17世紀末から18世紀前半における無限小解析学について、国際的な近代数学史研究の権威である、ベルリン工科大学のEberhard Knobloch教授と議論を行った。また、第二の課題の画像データベースの作成については、本年もパリのフランス国立図書館を中心として、貴重書の収集に努めた。その結果、パリ王立科学アカデミーの構成員である数学者Etienne Bezoutによる応用力学についての教育的著作やBenjamin Robins, Leonhard Eulerの砲術書の新フランス語訳等のデジタルデータ化を行った。ハードウェアレベルからの画像処理専用のコンピューターの構築についても前年から継続し、諸図形の形状をデジタル人力する専用ソフトを導入しデータベースを作成した。
著者
大濱 郁 喜田 拓也 有村 博紀 阿部 敏久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.476, pp.9-16, 2011-03-21

我々は,人間行動履歴の地理的クラスタリングについて議論する.本論文では,この問題を,二次元時系列データのセグメンテーション問題として定式化し,二つのクラスタリング手法,LS-linHMMとX-linHMMを提案する.前者のLS-linHMMは,線形制約付きHMMを用いたクラスタリングと情報量規準を用いたモデル選択を組み合わせ,クラスタ数の自動推定を行う.また,X-linHMMは,x-meansのアイデアを取り入れた2状態線形HMMによる階層的クラスタリングであり,LS-linHMMよりも高速なクラスタリングを実現している.今回,これらの手法を,GPSタグ付き写真コンテンツのクラスタリングに適用することを試みる.また,実データを用いた実験により,単純なx-meansよりも提案手法が効果的に動作することを確認した.
著者
小島 正秋 外山 信男 藤井 昇 橋爪 昭人 三浦 道雄 日高 敏郎 玉井 理 駒形 和男
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.1341-1345, 1987

8回にわたる高農めぐりも今回で終りを迎えます.前回の千葉高等園芸の場合と同じく,座談会に出席の先生は,高農から新制大学の創立時に入学され,母校に教鞭をとっておられる方々がほとんどでありました.<br> 和気あいあいに想い出がそのまま高農から宮崎大学農学部への歴史を追うことになりました.司会の駒形先生もにれが最後の御気持からか,大変リラックスされて,従来とはやや異なる内容となりました.<br> 座談会のために奔走してくださった宮崎大学の三浦道雄先生をはじめ御協力いただいた先生方に心から御礼申し上げます.(編集部)
著者
塩塚 秀一郎
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

『人生 使用法』を特徴づける「空虚」は、作家の生い立ちにその起源を求めることができる。精神科医ポンタリスは、偽名のもとにペレックの症例を報告し、この患者がみせる場所への執拗なこだわりが、幼年期をしるしづける「空虚」を根源にもつことをあざやかにえぐりだしている。「ピエールの母親はガス室で亡くなっていた。ピエールが飽くことなく充たそうとした空っぽの部屋の数々、その背後にはこの部屋が隠されていたのだ。あらゆる名の背後に、名もなきものがあった。あらゆる形見の背後に、痕跡ひとつ遺さず亡くなった母親がいたのだ。」部屋を充たして増殖する「細部」と同じく、『人生 使用法』を充たしている「物語」もまた、そもそもの欠如をうめあわせるものであったようだ。自伝『Wあるいは子供の頃の思い出』の冒頭は次のように始まる。「ぼくには子どもの頃の想い出がない。十二歳ごろまでのぼくの物語は数行に収まってしまう。父を四歳で、母を六歳で亡くした。戦中はヴィラール=ド=ランスの寄宿舎を転々とした。一九四五年に父の姉とその夫がぼくを養子にした、というものだ。」作家の幼年期における物語の欠如が、のちのロマネスクの希求につながっているということは十分に考えられよう。この視点から考え直すと、「制約」は単なる技術的仕掛にはとどまらなくなる。物語を求める無意識の衝動に突き動かされるままになるのでは、同一の物語を繰り返してしまう危険性があるが、「制約」によって、ペレックの紡ぎ出す物語は、そうした生々しい刻印を覆い隠すことに成功しているのである。
著者
藤井 和佐 西村 雄郎 〓 理恵子 田中 里美 杉本 久未子 室井 研二 片岡 佳美 家中 茂 澁谷 美紀 佐藤 洋子 片岡 佳美 宮本 結佳 奥井 亜紗子 平井 順 黒宮 亜希子 大竹 晴佳 二階堂 裕子 中山 ちなみ 魁生 由美子 横田 尚俊 佐藤 洋子 難波 孝志 柏尾 珠紀 田村 雅夫 北村 光二 北川 博史 中谷 文美 高野 宏 小林 孝行 高野 宏 白石 絢也 周藤 辰也 塚本 遼平 町 聡志 佐々木 さつみ
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

研究課題に関する聞きとり調査、質問紙調査等から、地方社会における構造的格差を埋める可能性につながる主な条件として(1)地域住民の多様化の推進及び受容(2)生業基盤の維持(3)定住につながる「地域に対する誇り」が明らかとなった。過疎化・高齢化が、直線的に地域社会の衰退を招くわけではない。農林漁業といった生業基盤とムラ社会の開放性が住民に幸福感をもたらし、多様な生活者を地域社会に埋め込んでいくのである。
著者
秋永 優子 中村 修 下村 久美子 阿曽沼 樹 キ須海 圭子
出版者
福岡教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

高齢者訪問給食サービスの献立の改善を目的とし、まず、13自治体の担当者に聞取り調査を実施した。栄養基準については、設定している自治体の場合、エネルギーのみ、さらに数種の栄養素についてなど様々で、数値を示していない自治体の場合、高齢者福祉施設の食事を利用するなど3通りがみられた。福岡県内全自治体を対象に基礎調査を実施したところ、サービス実施上のねらいとして、ほとんどが栄養バランスのとれた食事提供をあげたが、献立や実物のチェックはほぼされていなかった。そこで、献立評価方法を検討し、「栄養・食品構成」「食材・生産」「料理の味」の観点からなる、日常的に手軽に実施可能なチェックシートを提案した。