著者
吉野 孝 吉永 孝文 宗森 純
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.297-308, 2003-02-15
被引用文献数
1

携帯電話,PHSおよびPDA(携帯情報端末)など,小型軽量で持ち運びが容易な機器が増えてきた.そのため,位置情報は人と人とのコミュニケーションのための重要な情報のパラメータの1つとなっている.位置情報を携帯電話やPHSとGPSとを組み合わせて知らせるサービスは多数ある.しかし,これらは,相手あるいは目的の位置情報を視覚的な地図として伝達するだけであり,位置情報の表現として,聴覚や触覚を利用して伝達を試みたものはあまりなかった.そこで,PDAとGPSそれに携帯電話とを用い,アウェアネス支援機能を持つ電子鬼ごっこ支援グループウェアを開発した.そして,お互いに離れている遠隔地間で行う鬼ごっこを含む2種類の電子鬼ごっこ実験と,比較のためにアウェアネス支援機能を持たない電子鬼ごっことを2カ所の大学で,30回行った.これらの実験結果から下記のことが分かった.(1)アウェアネス支援機能と地図表示の工夫により,特に面白さに関する評価が向上する.(2)アウェアネス支援の方法はいつも一定ではなく,実験の領域の広さによって,支援の方法を変える必要がある.(3)アウェアネス支援機能は,使う頻度が上がると効果的である可能性が高い.Mobile phone, PHS and PDA (Personal Digital Assistant) are highly portable,and positioning data will become important data for human communication.There are many location-aware services.However,most of services only transmit or display a partner or the position information on target as a map.There was no service using the sense of hearing or touch as expression of position information.Then,we have developed the electronic tag-playing support groupware with awareness support functions.We performed experiments 30 times with the awareness support functions and without the awareness support functions at two universities.The results of the experiments were showd below.(1) We found that the evaluation of interesting was improved by awareness support functions and additional map information.(2) It is necessary to change the method of awareness support corresponding to the size of the place of an experiment.(3) The awareness support functions are more effective by the increase in the number of times used.
著者
金堀 利洋 鈴木 昌和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.66, pp.7-10, 2005-05-12

Webアクセシビリティの意識が浸透しつつある一方で, 情報がPDFとして提供される流れが加速している.配布されているPDFには文字情報が、人が読む順序と異なる順番に埋め込まれていて、視覚障害者がその内容を読み取る事は困難な場合が多い.また, 数式の情報が読み取れる形で入っていることはほとんど無い.今回, 特に数式や表を含んだ科学技術文書を対象とし, PDFに既に埋め込まれている文字情報を抽出し, 一方で, PDFを画像として認識し, 認識結果と抽出した文字情報を組み合わせ, 質の高い, アクセシブルな文書情報をPDFから取り出すことを目的とするシステムのプロトタイプを示す.
著者
Gillberg Christopher 是永 かな子
出版者
高知大学総合教育センター修学・留学生支援部門紀要編集委員会
雑誌
高知大学総合教育センター修学・留学生支援部門紀要 (ISSN:18831508)
巻号頁・発行日
no.4, pp.97-119, 2010-03

2009年10月8日に高知発達障害研究プロジェクト主催で高知県において行われたスウェーデン・イェーテボリ大学のクリストファー・ギルバーグ教授の講演内容を紹介する。内容はアスペルガー症候群についての診断と定義、有病率、他の障害との重複や併存、妥当性や信頼性、神経心理学的、神経生理学的、そして遺伝的特徴、転帰、検査、遺伝、介入等である。
著者
中村 満紀男 平田 勝政 岡田 英己子 二文字 理明 星野 常夫 荒川 智 宮崎 孝治 渡辺 勧持
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

19世紀末にイギリスで誕生した優生学は、瞬く間に欧米列強にも後進国にも受容される。それは、それぞれが優生学を必要とする国内情勢と国際環境に置かれており、民族自滅を回避し、人種(種族)改良をめざしていたからである。その具体策として、肯定(積極)的優生学よりは否定(肯定)的優生学が諸科学の関与のもとに展開される。その主たる対象としては「精神薄弱」「狂気」等が、方法としては断種が選択される。断種の当初の目的は、優生学を目的とする劣等種の減少・解消と収容施設の不足に対する補完を意図する優生断種にあったが、優生学の科学的根拠に対する疑問とともに、精神薄弱者のコミュニティ生活可能論および性行動受容論、子どもをもつことによる生活・養育の困難等の社会適応上の理由に基づく選択断種へと転換することになる。この過程において、精神薄弱者およびその行動を正常とみる範囲が拡大したことは確かである。このような優生学とその影響は、国と地方によって差異があったが、それは優生学に対する支持勢力の有無に基づいていた。宗教的要素と科学の関与の度合いが最大の要因となる。概ね優生学を歓迎したプロテスタント教会と社会学等の関与が強力な場合は、優生学運動は拡大し、断種法が可決されたが、ローマ・カトリック勢力が強大で、科学が消極的な場合は、優生学運動の影響は限定され、断種は促進されなかった。20世紀末に至ってても優生学は消失していない。生殖医療と先端医療技術の普及にともなって、障害発生予防を目的として、優生学的思考を孕んだ新優生学として、社会下層やマイノリティや特定のエスニシティに関連して発展しつつある。
著者
井村 美和子
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.131-142, 1998-04-01

着心地についての明確な定義づけはないが繊維の最終製品に対する品質項目の中で, 「着心地として, 手触り・感じ」が挙げられている.着用者自身が感ずる総合された快適さが着心地として現れてくるのであるが, その内容は皮膚感覚に訴える手触り・肌触り・被服重量・被服圧・適合性などや, 繊維製品の活動性(形状・大きさ), 保温・吸水性能, 生理的・心理的快・不快のように環境と関連したもの, 色柄・風合い, 社会的流行, 個人の趣味・嗜好との一致性など多くの要因を含んでいると言えよう.また, 着心地を広義に解釈すれば「人間と衣服と環境」の3者の相互作用から起こる適応関係にかかわる価値概念であると定義づけることも可能である.着心地の中で活動機能を大きく取りあげるか, 衛生面を取りあげるか, あるいは個人の感覚を取りあげるかは, 時と場合によって異なると言える.更に具体的にいうと数多く所持している被服の中で, 自分が似合う服, 着用していると気持ちが浮き浮きする服, 暑い時には涼しく感じ, 寒い時には暖かさを感じる服, 動きやすい服, 働きやすい服などは着心地が良い服であると, 即ち材質, 色, 柄, 形, サイズ, ゆとり及び縫製が着用者並びに着用目的に適合していることであると仮定することもできる.昨今では, 20歳前後の女性層から「着心地が良い・悪い」という語をあまり耳にしなくなった感がする.そこで女子短大生の着心地にかかわる意識を明らかにする目的で, 庄司光らが「着心地が良いための条件である」とした26項目を用いて「冬季着装」に視点をおいて意識調査を実施した.結果は, 項目No(以下同じ)26,項目内容(以下同じ)「着やすく動きやすいデザイン」98.8%, 14「あたたかい」98.4%, 6「気候に適した材質・デザイン」95.6%, 11「寸法がよく合う」及び21「伸縮性があり型くずれしない」95.1%が認められ, 運動適応性, 防寒性能などを着心地の良いための条件であるとしていることが認められる.反面着心地が悪いための条件であると回答した結果は, 2「布地が薄い」67.0%で, この項目内容は冬季着装被服の性能として消費者が要求するであろう「寒さを防ぐため」の性能を保持しないという観点から妥当な結果であると言えよう.調査項目26項目を被調査者が着心地の良し・悪しを意思決定する際の被服の性能と側面要因をA群衛生(含保健)的側面, B群素材(繊・組織)的側面, C群運動(着やすい・動きやすい・体になじむ)的側面, D群嗜好(色・柄・デザイン・縫製)的側面, E群風合い(手触り・感じ)的側面の5群に分類し構成した.着心地が良いための条件であるとした結果を平均値x^^〜で見ると, A群162.0,B群141.4,C群167.2,D群153.8,E群149.7で, 運動的側面及び衛生(含む保健)的側面に意思決定の働きかけが強いことが認められた.
著者
名倉 秀子 長坂 慶子 高野 美幸 大越 ひろ 茂木 美智子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.49-58, 1996-01-15
被引用文献数
7

A questionnaire was designed to inquire the actual conditions of dietary life on the first 3 days of New Years 1986-1992. The data on 1986, 1989 and 1992 were picked out and analyzed by time series analysis in a two-way layout. Four hundred and forty questionnaires of female college students returned 3 years in total. The findings were summarized as follows : 1) The distribution of the numbers of taken dishes from time to time was shifted from 2 peaks to 3 peaks a day as shown by smoothing line. 2) There were no significant differences between yearly variances of staple diets, side dishes and "Shirumono" (a kind of soup) respectively, but significant differences between daily variances of these. Besides these, there were significant differences between yearly variances of drinks and others. 3) There were significant differences between daily variances of "Zoni," "Osechi," and "Toso" respectively. These typical traditional diets were obviously taken more on the first day than the second or third day of New Year. 4) The ratio of dining out of staple diets shifted increasingly year by year and day by day, and the numbers dining out were significantly different between yearly variances and daily variances. 5) The Japanese style dishes of dining in was on the decrease, besides another style dishes was on the increase from first day to third day.

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著者
茅根 創 池田 安隆 川島 隆幸 狩野 直和 尾中 敬
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.6-8, 2007-05

2004年スマトラ島沖地震で干上がったサンゴ礁/史上最高の蛍光量子収率を示すアゾベンゼンの合成/「あかり」が見た星生成領域、終末期の星、超新星残骸、活動銀河核、遠方銀河