著者
梅田 浩史
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.49-57, 2023-07-20 (Released:2024-01-04)
参考文献数
11

In Japan, the Rabies Prevention Law was enforced in 1950, and the last reported case was 6 years later. The main reason for the success in eradicating rabies in a short period of time from a situation where rabies was prevalent was the eradication of stray dogs based on the Rabies Prevention Law and the strong promotion of vaccination. In the current situation where rabies does not exist, the current law plays a major role as a countermeasure against invasion from overseas and as a preparation for an outbreak. Rabies is a fatal disease, and unless rabies is eradicated from the world, rabies measures cannot be relaxed simply because the risk of outbreaks from overseas is very low. In order to minimize the damage even if it occurs in the future, we believe that it is important to maintain emergency and normal countermeasures that are in harmony with the impact of risk.
著者
佐々井 真知
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.233-249, 2014-08-25 (Released:2017-06-03)

シルクウーマンとは,中世後期イングランドで絹加工業に従事していた女性熟練工の総称である。本稿は,シルクウーマンの実像を,彼女たちの社会関係に注目して明らかにすることを目的とする。史料として15,16世紀ロンドンのシルクウーマン27名の遺言書を用いる。これらの遺言書を遺贈相手に注目して分析し,さらに同時代のロンドンの女性の遺言書および15世紀ロンドンの商工業者の一例である刃物工の遺言書と比較する。遺言書から,シルクウーマンは同業者,各種団体,地域,夫の同業者などを含む広範な個人・団体とのつながりを築いていたことがわかる。同時代のロンドンの女性が築いた社会関係と重複する部分が多いが,同業者および男性の友人への遺贈が多くの遺言書に見られる点が特徴的である。刃物工の遺言書と比較すると,同業ギルドを結成していなかったシルクウーマンは,各種団体に同業ギルドの役割を求めていたと推測される。従来の研究が示してきた,専門技術を持ち,同業ギルド不在で活動する女性熟練工というシルクウーマン像に,広範な社会関係を築いて活動していた女性という特徴を加えたい。
著者
坂本 正夫
出版者
飯田市美術博物館
雑誌
伊那谷自然史論集 (ISSN:13453483)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-9, 2019 (Released:2019-06-05)

宝永地震は,我が国最大級の地震の一つであり,プレート境界で起こったマグニチュード8.4 〜8.6 の巨大地震である.震源は遠州灘沖から紀伊半島沖にかけての海域にあり,日本列島の広範囲に被害を及ぼした.この地震の被害は伊那谷にも及んでいて,様々な文献などに記録され公表されてきている.しかし,いずれの文献も詳細に伊那谷の被害をまとめられているとは言い難く,部分的な地域の被害状況の記載に留まっている.そこで,そうした部分的に記載された文献を可能な限り収集し,さらに新たな文献発掘も行って伊那谷での宝永地震の被害をまとめる.
著者
佐野 一成
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.293-299, 2018-12-30 (Released:2019-07-03)
参考文献数
5

目的:過去の取り組みから災害リハビリテーション(以下,リハ)支援におけるリハビリ専門家の役割について報告する. 方法:2011年に発生した東日本大震災の災害支援のために,多くのリハ関連団体が協働した.その災害リハ支援活動を継続するために,大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会(Japan Disaster Rehabilitation Assistance Team: JRAT)が設立された.JRATはリハ専門職を対象とした全国研修会を開催し,各都道府県にJRAT組織を創設したことで全国各地での災害リハ支援が可能となった. 結果:JRATの支援対象は,特別な配慮を必要とする「CWAP: Children Woman Aged people Patients」と呼ばれる乳幼児,女性,高齢者,患者である.JRATは2016年の熊本地震において,避難しているCWAPの活動性を向上させることが,廃用症候群やエコノミークラス症候群などの新たな疾病の発生を予防できると考えた.そこでJRATは各地で避難所の環境改善を提案し,虚弱高齢者へは床からの立ち上がり方法を教えると同時に,活動性向上のために歩行運動や下肢運動を指導した. 結論:近年,リハ専門職による災害支援チームの組織化が進んだ.これからもJRATは災害リハビリ研修を通して人材を育成し,災害時には被災者の役に立ちたいと考えている.
著者
垣田 裕介
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

平成19年度に行った研究活動は、主に次の3点である。第1に、前々年度および前年度に引き続いて、ホームレス問題や貧困・社会的排除論に関する先行研究成果のレビューを行った。本研究課題に関する文献・資料は、急速な勢いで量を増してきており、効率的にサーベイし、重点をふまえたレビューを行うためにも、全国レベルの学会や私信・メール等を通じて、研究論文の著者や関係者との意見・情報交換なども積極的に進めてきた。学内外の研究会等においても先行研究のレビュー報告や意見交換を行った。第2に、本研究課題に関する実態把握を目的として、共同研究者らと前年度に兵庫県尼崎市で行ったホームレス実態調査の分析を行い、その結果の分析および報告書執筆の作業に携わった(大阪府立大学社会福祉調査研究会編『ホームレスの実態に関する全国調査及び尼崎市悉皆調査報告書』2008年)。第3に、以上に関する研究作業を発表する作業であり、雑誌論文や共著を発表した。以上のように、平成19年度の研究活動は、先行研究のレビューや実態分析を中心として進めてきた。3年間の交付期間を通して、先行研究や実態調査データなど、非常に多くの豊富な研究材料を得ることができたため、引き続き分析・研究作業を進めていくことが課題となるとともに、当面の筆者の研究活動の深化を図ることのできる環境が整備されたといえる。
著者
永井 恒司
出版者
公益社団法人 日本薬剤学会
雑誌
薬剤学 (ISSN:03727629)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.370-372, 2009 (Released:2019-03-31)
参考文献数
8
著者
斎藤 憲
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.166-179, 2003-04-24 (Released:2008-12-25)
参考文献数
10
著者
福長 秀彦
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.48-70, 2019 (Released:2019-03-20)
被引用文献数
1

本稿は、「北海道胆振東部地震」で拡散した流言をTwitterの記録から分析し、SNS時代の拡散抑制について考察したものである。分析と考察の結果は以下の通り。 ■流言の拡散を抑制する基本は、正確な情報を伝え、情報の曖昧さを払しょくすることであるとされている。NHKはウェブサイトやスマホのアプリで災害情報の多様なコンテンツを提供し、Twitterや2次元コードでそれらへの誘導を行った。活字や図表を随時、検索できるネットのコンテンツはラジオ放送を補い、情報の曖昧さを払しょくする効果がある。 ■流言のツイートには、述語が「~らしい」の推定形から「~する」の確定調にトーンが強くなってゆくものと、そうでないものがあった。災害再来流言の中には、流言のツイートが噴出するかのように急激に増えるものがあった。ツイートが急増する際に「LINEでみた」という投稿が現れた。 ■流言を打ち消す否定情報には、拡散抑制の効果があった。否定情報がTwitter上で浸透してゆく速度は流言によって異なっていたが、強い恐怖感情を伴った流言の場合には浸透のスピードが速かった。 ■SNSで流言は爆発的に拡散する。メディアは迅速な対応を迫られるが、今後の可能性を予期する流言は取り扱いが難しく、打消し方は複雑なものとなりがちである。デマという言葉は拡散を迅速に抑制する即効性があるとされる反面、まだ不確実な流言を全否定してしまったり、流言中の善意の言説までウソと決めつけてしまったりするおそれがある。

4 0 0 0 OA 国訳漢文大成

著者
国民文庫刊行会 編
出版者
国民文庫刊行会
巻号頁・発行日
vol.第十四卷, 1924
著者
村上 結城 藤田 明子 渡邉 義之 岡田 芳治 野村 正人
出版者
美味技術学会
雑誌
美味技術学会誌 (ISSN:21867224)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.5-10, 2015-07-31 (Released:2018-10-15)
参考文献数
12

収穫年度の異なる広島県産ヒノヒカリを用いた炊飯時の水蒸気中に含まれる香気成分を同定し,古米化および炊飯前の洗米方法が香気成分に及ぼす影響について検討した。さらに,それらの抗酸化能を評価した。その結果,米の貯蔵期間が長くなるにしたがい,アルデヒド類,アルコール類,脂肪酸類等,古米臭の原因成分の増加が確認された。また,洗米時の研ぎ回数の増加により炊飯後の古米臭が低減されることが示され,同時に香気成分の抗酸化能の低下が確認された。
著者
Yuka Chigira Nobumitsu Sasaki Ken Komatsu Kouji Mashimo Shigeyuki Tanaka Minori Numamoto Hiromitsu Moriyama Takashi Motobayashi
出版者
Japanese Society of Microbial Ecology / Japanese Society of Soil Microbiology / Taiwan Society of Microbial Ecology / Japanese Society of Plant Microbe Interactions / Japanese Society for Extremophiles
雑誌
Microbes and Environments (ISSN:13426311)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.ME23034, 2023 (Released:2023-09-14)
参考文献数
16

Zizania latifolia cultivars infected by the endophytic fungus Ustilago esculenta develop an edible stem gall. Stem gall development varies among cultivars and individuals and may be affected by the strain of U. esculenta. To isolate haploids from two Z. latifolia cultivars in our paddy fields, Shirakawa and Ittenkou, we herein performed the sporadic isolation of U. esculenta strains from stem gall tissue, a PCR-based assessment of the mating type, and in vitro mating experiments. As a result, we obtained heterogametic strains of MAT-2 and MAT-3 as well as MAT-2, but not MAT-3, haploid strains. Another isolation method, in which we examined poorly growing small clusters of sporidia derived from teliospores, succeeded in isolating a MAT-3 haploid strain. We also identified the mating types of 10 U. esculenta strains collected as genetic resources from different areas in Japan. All strains, except for one MAT-1 haploid strain, were classified as MAT-2 haploid strains or heterogametic strains of MAT-2 and MAT-3. The isolated strains of MAT-1, MAT-2, and MAT-3 mated with each other to produce hyphae. Collectively, these results indicate that the mating types of U. esculenta infecting Z. latifolia cultivars in Japan are biased towards MAT-2 and MAT-3 and that U. esculenta populations in these Japanese cultivars may be characterized by the low isolation efficiency of the MAT-3 haploid.