著者
小池 宏明
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1-2, pp.19-29, 2022 (Released:2023-01-12)
参考文献数
12

Evidence-based medicineは,昨今,臨床医学の意思決定の重要な根拠となってきていますが,それは二重盲検プラセボ対照試験の統計学的解析に基づいています.そして,近年,その解析にはCox比例ハザードモデルが用いられ,それにより臨床試験の参加者のヘテロジェネイティーの相違が,より詳細に解析結果に反映されるようになってきました.それにも拘らず,通常,ある試験で有意差をもって治療効果が認められた場合には,その試験と同様な患者群に普くその治療が行われています. しかし,その有意差が,その群の中の一部のみにその効果がもたらされた事,すなわち,レスポンダーの存在に由来する可能性は常にあり,しかも,ヘテロジェネイティーは全て既知の危険因子などから構成されているため,レスポンダーの存在が未知の交絡因子に由来している場合,通常のサブグループ解析ではその存在が不明なまま残ることになります. この論文は,レスポンダーの存在の有無を,赤池情報量規準(AIC)を用いて推定する方法を提案したものです.ただし,ここでは,治療群及びプラセボ群をセットとした統計量にそれを用いるためにひと工夫を要しました.
著者
岸 俊行 塚田 裕恵 野嶋 栄一郎
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, no.suppl, pp.265-268, 2005-03-20 (Released:2016-08-01)
参考文献数
5
被引用文献数
6

講義におけるノートテイキング行動と事後テスト得点との関係について検討した.講義の情報をキーセンテンスごとに分類し, ノートテイキングされた項目とノートテイキングされた量について調べ, 授業後と2週間後に課したテストの得点との関係について分析した.その結果, 直後テスト, 2週間後のテストどちらにおいても, ノートテイキング量とテスト得点の間に強い相関が認められた.また, 項目ごとに検討した結果, 項目によってノートテイキングされる割合に差が有り, ノートテイキング有群は無群より有意に成績が良い傾向が見られた.その差は授業直後でより大きく, 時間の経過とともに解消していく傾向にあった.
著者
編集委員会
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.11, pp.483-491, 2009 (Released:2010-08-25)
参考文献数
22
被引用文献数
2 1
著者
堀野 敬 高森 啓史 馬場 秀夫
出版者
一般社団法人 日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.132-138, 2012 (Released:2012-05-15)
参考文献数
44

喫煙は膵癌発症の危険因子であるばかりではなく周術期合併症の危険因子でもある.しかしながら,膵癌手術の周術期に喫煙が及ぼす影響はほとんど報告されていない.膵癌手術症例96例を対象に喫煙の周術期に及ぼす影響をretrospectiveに解析した.本解析では,喫煙は手術部位感染(創部)の有意な危険因子であったが,循環器・脳血管・呼吸器術後合併症,入院期間および予後には影響を及ぼさなかった.この結果をもとに喫煙が膵癌手術周術期に与える影響を消化器外科領域における喫煙と周術期合併症の観点から概説した.
著者
植田 睦之 島田 泰夫 有澤 雄三 樋口 広芳
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.A9-A18, 2009 (Released:2009-09-16)
参考文献数
12
被引用文献数
1

全国31か所で2001年から運用されているウィンドプロファイラという風を観測するためのレーダーに渡り鳥を中心とした鳥からのエコーが映ることが知られている.そこで,2003年 8月から2007年12月の記録を使って,全国的な渡り鳥の状況について記載した.いずれの地域でも 4月から 6月にかけての春期と 8月から11月にかけての秋期の夜間に「鳥エコー」が多く記録された.またその時期は地域によって異なっており,北の地域は南の地域と比べて春は遅く,秋は早かった.渡りは日没 1~3時間程度後から活発になる日が多く,夜半過ぎからは徐々に少なくなった.春の渡りは秋に比べて,日没後に活発になるまでの時間が早く,秋の渡りでは季節の進行に従って,活発になる時刻の日没後の経過時間が短くなる傾向があった.地域的にみると,春の渡りは日本海側で多く,秋は太平洋側も多いという違いがあった.国外では,レーダーをもちいた渡り鳥の生息状況のモニタリングが行なわれているが,日本でもこのウィンドプロファイラを使うことでそれが可能になると考えられ,標識調査等の情報と合わせることでより意味のあるものにできると思われる.
著者
古閑 豊和
出版者
日本環境毒性学会
雑誌
環境毒性学会誌 (ISSN:13440667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.S1, pp.S93-S104, 2023-11-10 (Released:2023-11-10)
参考文献数
27

A method for evaluating the combined effects of chemicals is the whole-mixture approach, which evaluates a water sample containing a mixture of several chemicals. In this approach, chemical analysis is important to identify the cause of toxicity. However, among the numerous chemicals present in wastewater and river water, it is difficult to identify the toxic chemicals using conventional chemical analysis methods. Therefore, a comprehensive analytical method capable of detecting many chemicals is required. This study focused on target screening methods for organic contaminants, especially in chemical analysis; introduced a gas chromatograph-mass spectrometer (GC-MS) database that could identify nearly 1000 organic compounds; and developed a rapid screening method. Furthermore, the combined effects on water samples using the target screening methods and biological response tests were evaluated.
著者
増田 明子 松井 剛 津村 将章
出版者
日本商業学会
雑誌
JSMDレビュー (ISSN:24327174)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.25-32, 2020 (Released:2020-08-04)
参考文献数
28
被引用文献数
1

本論文では,鹿児島県志布志市が公開したネット動画の炎上事例をもとに,消費者がストーリーについて表明する多様な解釈,すなわちナラティブが,どのようにうねりを持って集合現象になるのかを,消費文化理論の観点から検討した。3種類の定性データを分析した結果から,理論的示唆として,多様なナラティブの発生によって論点が細分化,同質化,差別化して論点が収束・発散するプロセスは,社会が抱える矛盾を解消するロジックを見出す神話的プロセスであることが明らかになった。本事例から導かれた3つの神話的プロセスとは「反セクシズム神話」,「反反セクシズム神話」,「メタ的神話」である。
著者
森田 学 石村 均 石川 昭 小泉 和浩 渡邊 達夫
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.788-793, 1995-10-30 (Released:2017-10-06)
参考文献数
19
被引用文献数
15

本調査の目的は,再治療が必要とされた様々な歯科修復物について,再治療に至った原因と,それまでの使用年数を調べることである。調査は,岡山市と名古屋市の10歯科医院において行われた。対象は,歯科修復処置が施されているにもかかわらず,歯科医師の判断により,再治療または抜歯が適当と診断された3,120歯であった。調査時に,既存修復物の種類,および,再治療が必要であると判断された理由を記録した。また,その修復物の使用年数を,患者への聞き取り調査から求めた。その結果,レジン,インレー,鋳造冠,アマルガムの平均使用年数は,それぞれ5.2,5.4,7.1,そして7.4年であった。レジン,アマルガム,インレーでは,2次齲蝕を原因として再治療される場合が多く認められた。インレーや前歯部で汎用される補綴物では,脱落によって再治療される場合が多くみられた。しかも,その場合の使用年数は,他の原因で再治療された場合の使用年数と比べて短かった。従って,インレーや前歯部で汎用される補綴物については,その脱落を可及的に防ぐことで,使用年数を効果的に延ばせる可能性が示唆された。
著者
コーカー ケイトリン
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.617-634, 2022-03-31 (Released:2022-07-20)
参考文献数
53

本論では、ポールダンス実践の生成変化に焦点を当てて、その経験的かつ物質的な側面を明らかにする。その目標は、人類学的な研究における情動の捉え方および伝え方に貢献することにある。まず、情動論的転回とその問題点を紹介する。そして、これまでの情動論が心身二元論の片方あるいは両方を別々の領域としてきた傾向を問題として取り上げる。この問題に対し、本論は人類学における情動論の原点の1つといえるドゥルーズとガタリの『千のプラトー』の第10章をもとに、情動そのものの定義を問い直す。より具体的にいえば、情動の発現をドゥルーズとガタリのいう生成変化そのものと捉える。これを基盤に、ポールダンス実践において実践者の間で最も共有される現象であるアザを出発点とし、アザの思い出、そしてアザがほのめかすエンスキルメントの過程における想像力に注目することで、フィールドでの情動的な次元をより鮮明に浮かび上がらせる。このように情動の実践的かつ身体的な側面を明らかにすることで、人類学における情動概念および方法論の新たな展開を目指す。
著者
尾崎行雄 著
出版者
モナス
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1938
著者
村田 和美
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.763-770, 1971-07-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
41