著者
井上 誠 山村 健介 山田 好秋
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は、(1)咀嚼に関わる運動神経のプレモーターニューロンの神経生理学的特徴を調べる,(2)咀嚼運動に関わる中枢神経系の制御を受けている顎筋,舌筋,舌骨下筋に注目し,リズム性の顎運動が遂行される際に,これらの運動神経がどのような協調運動を行っているかを調べることであった.麻酔下の動物の大脳皮質咀嚼野を電気刺激してリズム性顎運動を誘発した後に上下歯根膜からの入力の変化が協調運動に与える影響を調べた.これらの結果は,閉口筋とともに,舌牽引筋である茎突舌筋は歯根膜からの入力を受けてその興奮性を高めることにより咀嚼時の顎舌協調運動を維持させて,食塊の形成・維持に関わることが明らかとなった.次に覚醒動物が食物を自由に咀嚼・嚥下するときの顎舌協調について,さまざまな物性をもつ食品を摂取したときの顎筋舌筋,舌骨上筋の筋電図を同時記録することにより評価した.その結果は歯根膜からの刺激が舌筋活動に大きな影響を与える可能性があることを示唆していた,しかし,試験食品のうち,最も硬い食品である生米を用いたときよりも飼料用のペレット咀嚼時のほうが茎突舌筋の活動は大きかった.このことは,顎筋のように歯根膜や閉口筋筋紡錘だけでなく,舌活動に大きな影響を与えている口腔粘膜や舌の受容器などのような他の末梢性入力の可能性が大いに考えられることを示唆している.咀嚼運動に関わると思われる顎口腔顔面領域の運動神経核に投射するプレモーターニューロンの神経生理学的性質を検索した結果では,末梢からの投射を受け,さらに複数の運動核に投射するプレモーターニューロンを見つけることができなかった.このことは,咀嚼運動に関わる制御機構は末梢の入力により変調は受けるものの,その制御は主にプレモーターよりも上の脳幹領域で行われ,それぞれの運動神経に出される指令は独立して行われていることを示唆するものである
著者
中沢 文子 高橋 淳子 盛田 明子
出版者
共立女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1.第一大臼歯が欠損している被験者に圧力素子を埋めた義歯を装着して、被験者を束縛することなく自然な状態で種々のテクスチャーの食物の咀嚼し,その過程を計測した.食物を摂取してから飲み込むまでの咀嚼中の第一大臼歯に生じる噛む力パルスと,その臼歯の上下,左右,前後の3次元的な動きを同時測定した.咀嚼1噛み目の力のパルスと,臼歯の上下の動きから,摂食した食物の口腔内における力-変位曲線を求めることが出来た.機器による力-変位曲線と比較すると,機器による80%までの圧縮で最大値は2500Nにも達したが,臼歯で噛むときの最大咀嚼力は自然に食べるときには最大でも200N以下であり大きな違いがあった.1噛み目の最大咀嚼力が小さい,すなわち噛み切る力が小さい食物類が老人に好まれる食物類と一致した.2.微生物多糖のジェランのゲルを食べたときの口蓋圧を測定した.舌と硬口蓋で押しつぶして食べる咀嚼から,歯で噛む咀嚼に移行するゲルの機器測定による硬さは30kPa程度であり,寒天,ゼラチン,カラギーナンの潰して食べる限界破断破断応力とほぼ一致した.個人差はあるが,人が自然に食べるとき,舌で潰して咀嚼する限界の応力ははゲルの種類によらず,30kPa程度であることが示された。ジェランは,0.5%以下の濃度で3桁に及ぶG',G"の変化があり,周波数依存性がなく,天然のゲル化剤としての有効な特性を持つことが示唆された.3.6MHzの超音波パルスドップラー法により水および濃度の異なるゲルを嚥下したときの喉頭蓋直前を通過する嚥下物の流動速度分布を測定した.平均流速の平均値はゲルの濃度によらず0.1m/s程度であり,他方,最大流速の平均値は,水では0.5m/sであり平均流速との差は大きく分布が広がり,早く流れる水の存在が示された.
著者
飯田 順一郎 藤森 修 井上 農夫男 佐藤 嘉晃 金子 知生
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1、機械的刺激に対する微小血管の即時的な応答性、特に血管内皮細胞と白血球との相互作用における加齢変化の解明。若齢、老齢のゴールデンハムスター頬袋の微小血管(毛細血管後細静脈)を生態顕微鏡下で上皮の上から加工した微小ガラス棒で刺激し観察した。すなわち持続的および間歇的(10分毎)な圧迫刺激を加え、生態顕微鏡下で白血球の血管外遊走の出現様相を経時的に評価すると同時に、組織定量学的に白血球の種類を同定した。その結果、若齢において持続的刺激において刺激部位直後の部位に多形核白血球、単球の血管内皮への接触・接着が有意に増加した。2、機械的刺激に対する微小血管の長期的な形態変化の加齢による変化の解明。マウス背部皮下の微小血管床を用いたdorsal skin chamber法を用い、若齢、老齢のハムスターの背部皮下組織に、持続的および間歇的(12時間毎)な圧迫刺激を加え、顕微鏡下で刺激開始から7日間、血管透過性亢進反応、毛細血管の太さの変化、および血管新生の様相を定量的に計測した。若齢においては持続的刺激において持続的に血管透過性が亢進した。間歇的刺激の5から7日後に血管新生が同一動物で観察され新たな血流が生じた。さらに毛細血管の直径は徐々に増加し7日目に2倍以上の太さに変化していることが観察された。3、口腔周囲組織の機能に関する加齢変化の基礎データの収集咬みしめることが全身の筋機能(握力)に与える影響をとりあげ基礎的なデータ収集を行った。その結果成人においては最大握力を発揮する場合に咬みしめる者(A)と歯を接触させないもの(B)の2群に分類できること、またAの方が筋力が高い傾向にあること、さらにAは咬みしめた時、Bは歯を接触させない時の方が高い筋力を発生することが明らかとなった。
著者
村田 重之 渋谷 秀昭 中井 正道
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学工学部研究報告 (ISSN:13467867)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.121-132, 2001-03

1999年6月29日午後3時頃から夕方にかけて広島県は集中的な豪雨に見舞われ、各地で土砂災害が発生し、死者32名、負傷者54名を出す大惨事となった。災害後の2000年3月に広島市佐伯区と安佐北区を対象として、住民の意識調査を行った。今回、その結果を避難経験の有無、住居の安全性認識、居住年数などで詳しく検討し、住民の災害に関する意識に関していくつかの新しい知見を得ることができた。
著者
田村 實造
出版者
東洋史研究会
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.91-110, 1951-03-25
著者
寺石 悦章
出版者
四日市大学
雑誌
四日市大学総合政策学部論集 (ISSN:1347068X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.21-36, 2007-03-01
著者
矢形 幸久
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.8, pp.556-562, 1998-08-18
参考文献数
27
被引用文献数
5

本研究は, 内側広筋優位の強化を目的とした大腿四頭筋等尺性収縮訓練について調べたものである. 5種類の大腿四頭筋等尺性収縮訓練について, 健常者群15名(15肢), 廃用性筋萎縮がある患者群11名(15肢)における内側広筋, 外側広筋, 大腿直筋の筋活動を表面筋電図積分波形の最大波高で評価した. その結果, 従来的な開運動鎖での四頭筋セッティングに比べ, 足部回外位の足底接地で股内転等尺性収縮と同期して行うセッティングにおいて, 外側広筋に対する内側広筋の比(VM/VL)は高値を示した. 膝伸展等尺性収縮訓練では, 股内転等尺性収縮との共同運動を足部回外位の閉運動鎖で行うことにより, 内側広筋の収縮が外側広筋より優位となる.
著者
斎藤 夏来
出版者
公益財団法人史学会
雑誌
史學雜誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.113, no.6, pp.1066-1097, 2004-06-20

It is a well-known fa,ct that the five major Zen temples (Gozan 五山) in medieval Japan, whose abbots were appointed by the Ashikaga during its reign, played an important role in supporting the Bakufu's fiscal budget. In concrete terms, the discussion has turned to the fact that the order appointing Zen temple abbots (kojo 公帖) was widely sold for cash in the form of an official position know as za-kumon 坐公文, which was not directly related to the religious appointment of abbots. However, the issuance of kojo is an issue at the very core of the policy towards Zen temples, so the question arises as to whether or not appointments to za-kumon should be looked upon merely in economic terms as a form of selling kojo. This is the focus of the present article, which attempts to consider the political and religious ramifications of the practice. As a result, the author concludes that rather than constituting a source of revenue for the za-kumon appointments were related more to the expenditures side of the its fiscal ledger. Out of its belief in Zen Buddhism, the Ashikaga regime absorbed and systematized za-kumon payments and used the revenue in its sponsorship (like other members of medieval ruling elite) of such religious projects as the building and repair of temple complexes, sutra copying, and the dispatch of trading ships (the profits from which were used to build and repair temples). However, even more important than such religious sponsorship was the, decision-making process involved in za-kumon appointments. The purpose of such appointments-i.e., the implementation of Buddhist ceremonies and projects-became an important aspect promoting consensus among a ruling class that was on the verge of breaking apart in the midst of civil war. This political aspect of za-kumon certainly can not be understood merely within the framework of the "buying and selling of offices" to accumulate fiscal revenue with no consideration of the "religious grace" emanating from such an act. It was only during the following Sengoku period that revenue from the purchase of za-kumon appointments would go to the treasury or be redistributed as stipends to secular aristocrats within the regime. That is to say, the emphasis on the fiscal aspects of za-humon with no consideration for financing religious activities represents a marked deviation from the essential meaning of the practice.
著者
林 悠子
出版者
佛教大学
雑誌
社会福祉学部論集 (ISSN:13493922)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.77-94, 2011-03-01

本稿の目的は,保育の質において重要であるとされる「過程の質」は保育者にとってどのように経験されているのかを,保育記録の質的分析より明らかにすることである。筆者が保育者として記した保育記録の内容をKJ法を用いて分析した結果,保育者がその日の実践を振り返り書き残したことは8つのグループに分類でき,その特徴から保育者は子ども・保育者・職員・保護者との関係性を重視していることが明らかになった。グループ間の意味の連関からは,子どもの育ちへの願いを持った保育者が子どもと出会い,子どもの行為の意味を考え,次の関わりを展開する,保育者と子どもとの関わりの積み重ねの中に「過程の質」が見いだせることが考察できた。
著者
市古貞次 著
出版者
楽浪書院
巻号頁・発行日
1942