著者
渡邊 久雄
出版者
日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
no.618, pp.1171-1180, 1936-10
著者
栗田 英幸
出版者
愛媛大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

特に1970年代以降、途上国において、天然資源の豊かさと社会的繁栄との間に負の相関関係が顕著に見られるようになってきている。この現象は、「資源の呪い」と呼ばれ、さまざまな社会科学の分野において、メカニズムと処方箋の積極的な解明努力が行われてきた。その結果、「資源の呪い」研究は、不安定な資源収入に大きく規定されたマクロ経済管理の失敗へと収斂してきている。「資源の呪い」現象が、マクロ経済管理の困難さ故に民主制度の軽視と汚職を生じさせ、結果として「呪い」現象を生じさせているというのである。しかし、資源諸国において民主制度を変質させ、汚職を一般化している要因は、マクロ管理の失敗のみではない。ミクロから見るならば、資源開発という膨大な被影響住民の意思の無視を伴わざるを得ない特徴が、民主制度の進展を妨げ、変質させる、もうひとつの大きな要因なのである。本研究は、フィリピンの鉱山、ダム、石炭火力発電所、灌漑に関する開発プロジェクトの事例を整理し、大規模資源開発が合意形成の困難さ故に民主制度を変質させていることを、論理的およびケーススタディーの積み上げから説明した上で、NGOの近年のグローカルに張り巡らされたネットワークを通した活動から得られるようになってきた民主制度変質修正に関する成果を通して、「資源の呪い」克服の処方箋として、地域住民を起点とし、NGOのネットワークを媒介として多国籍企業本国や消費国の市民とつながり、民主主義や環境、人権を正当化の根拠として機能するグローカルネットワークが必要であることを明らかにした。
著者
福田 央 日吉 智 砂川 英之 田中 健太郎 藤田 仁 山根 雄一 若林 三郎
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
生物工学会誌 : seibutsu-kogaku kaishi (ISSN:09193758)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.299-302, 2001-08-25
被引用文献数
3

清酒もろみの原料利用率の向上を目的とし, セルロース, キシラン, およびペクチン溶解酵素といった, いわゆる植物細胞壁溶解酵素が, 清酒もろみの並行複発酵に及ぼす影響を検討した.セルロース, キシラン, およびペクチン溶解酵素を有する市販酵素剤の添加により, 蒸米の溶解およびアルコール発酵は顕著に促進され, またアルコール収得量も増加し, 原料利用率の向上が得られた.さらに, 麹菌を小麦フスマを基質とした液体振盪培養に供して得られた培養上清液よりアミラーゼ・プロテアーゼを除いた粗酵素液を調製し, もろみ発酵試験に供した.この結果, もろみ発酵・原料利用率ともに顕著に向上し, 酵素剤添加区の最高値に匹敵する結果を得た.調製した粗酵素液は著量のセルロース, キシラン, およびペクチン溶解活性を有することから, これらの植物細胞壁溶解酵素が, 清酒もろみでの蒸米の溶解・糖化に対する促進効果を有することが強く示唆された.
著者
斉藤裕樹 中村 陽一 戸辺 義人
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.334-346, 2011-02-15

センサネットワーク技術の発展,GNSS(Global Navigation Satellite System)機能を備えた小型デバイスの普及により,位置情報サービス(Location-based Service,LBS)の利用分野が拡大している.LBSでは実世界の膨大な情報を扱うため,分散環境上に実現される必要があるとともに,位置依存情報を管理するための枠組みが必要となる.本論文では,位置依存情報に適したオーバレイネットワークの構成手法GeoSkipを提案する.GeoSkipは,2次元の平面上のピア間を角度分割と隣接ピアへのリンクを行うことにより論理ネットワークを構成する.さらに,Skip Graphを2次元に拡張した階層構造を与えることにより,各ピアはより遠方のピアへのリンクを持つことができる.これらにより,2次元の情報を効率的に検索することができる特徴を有する.また,シミュレーションによる評価を行い,経路表の大きさと検索コストがO(log N)に抑えられることを確認した.Mobile devices equipped with Global Navigation Satellite System (GNSS) functionality and the advance of technology for sensor networks have enabled Location-Based Services (LBS). The location-based services deal with real-world information which is collected from mobile devices and sensors. Due to the large amount of collected data, we should manage such data in distributed architectures. This paper proposes a scalable overlay network architecture, called GeoSkip. GeoSkip extends one-dimensional Skip Graphs to two-dimensional content space in order to achieve efficient data processing for location-based contents. As a result, we are able to reduce cost to search for two-dimensional information to O(log N). The benefit of GeoSkip is validated by simulations.
著者
竹本 太郎
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、森林官であった齋藤音策の足跡を追うことで、明治から昭和初期にかけての近代林政が現場との対話により変化し、現在の緑化運動にも結びつく、植民地朝鮮における緑化の技術と思想が生まれたことを明らかにした。
著者
藤村 一行 内田 誠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.8, pp.1279-1288, 2009-08-01
被引用文献数
4 4

映像中の物体のトラッキングは,その物体のフレーム間の移動量の最適推定問題として定式化される.本論文では,その大局的最適解を得るために,動的計画法(DP)を用いたトラッキング手法を提案する.従来,幅優先探索の一種として扱われていたDP最適化では,画像のサイズやパラメータの増加により,探索幅が非常に大きくなり計算量が増加するという問題がある.これに対し本論文ではDPの解析的解法をトラッキング問題に適用する.これは,最適化の評価に用いられる局所的な誤差関数を二次関数近似することで,DPによる最適化過程に微分による最適化を導入した手法である.幅優先探索なしに解析的にかつ高速に最適解を得ることができ,トラッキング問題には特に有効といえる.本論文では,本手法の定式化と実験結果を示す.
著者
西原 克成
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.221-225, 1999

脊椎動物を規定する物質的根拠からこの宗族の進化という現象を観察すると,最も劇的な体制の変化が進化の第二革命の上陸において発生していることが明らかとなる.この変化は主に呼吸系,骨格系,皮膚において生ずるもので,この変化の原因を宇宙を構成する構成則から考慮すると,時間と空間と質量のないエネルギーおよび,質量のある物質によって同じ遺伝形質のまま形態と機能が変化することが明らかとなる.用不用の法則と生命発生原則に,分子遺伝子学と生体力学を導入し,この第二革命で発生する骨髄造血の人工モデルを用いて進化の法則について検証したので解説する.
著者
井上 忠男 尾崎 武司
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.49-50, 1980-01-25
被引用文献数
5

Yellow vein of Eupatorium chinense var. simplicifolium caused by a geminivirus (Osaki and Inouye, 1979) had long been attracted attentions by some Japanese botanists and plant pathologists. A poem written by the Empress Koken on the yellow leaf of Eupatorium in the year of 752 that appeared in "Manyoshu" would be the first record in all over the world in the literature of the possible plant virus disease.
著者
平山 貴博 松本 和将 入江 啓 岩村 正嗣 工藤 治 岩淵 啓一 青 輝昭 内田 豊昭 馬場 志郎
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.179-182, 2007-03

66歳女。膀胱鏡検査で頂部に最大径4.0cmの多発乳頭状広基性腫瘍を認め経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)を施行し, 病理組織診断はtransitional cell carcinoma(TCC), G1, pT1であった。その後, 再発を頻回くり返しTURBTを施行し, THP-ADM膀胱内注入療法を12回施行したが頂部に単発乳頭状腫瘍の再発を認めTURBTを施行した。この術前検査で右肺野単発結節状陰影を認め尿細胞診はclassII, 肺胞線状細胞診はclassVを認め, CTより右S3に約1cmの結節状陰影を認めたが遠隔転移巣は認めず胸腔鏡下右肺部分切除術を施行した。病理組織診断はTCC, G1で膀胱癌の肺転移と診断した。3ヵ月後に頂部に約5mmの乳頭状腫瘍を4ヶ所認め, BCG膀胱注入療法6回施行し, 同部位に残存を1ヶ所認めTHP-ADM膀胱内注入療法を6回施行したが, 腫瘍増大のためTURBTを施行した。病理診断はTCC, G1, pTaで術後BCG膀胱内注入療法を6回施行し, 現在に至るまで胸部も含め再発を認めていない。
著者
國安 理奈子 森川 和子
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.95-103, 2006-08-20 (Released:2008-03-21)
参考文献数
19

表面の物理的構造が異なる2種類の自然礫, 泥岩と砂岩に生息する付着微生物群集について, 分離した細菌株の生理学的性質とLV-SEMによる付着状態を比較した。付着微生物群集の採取は表層部とクラック (孔隙) 深部を区分するため, 超音波処理により分画採取した。礫当たりのコロニー形成細菌数は, クラックサイズの大きい砂岩の試料で高い傾向にあった。超音波処理時間の違いによる分画毎の細菌数は, 泥岩では表層部の分画において高く, 砂岩では下層分画において高かった。分離細菌株の種類構成は泥岩・砂岩とも分画毎に異なり, 上層から順次剥離している様子がうかがえた。砂岩の下層分画の細菌株は単一種類と見られ, クラック内で増殖した可能性が考えられた。また, 砂岩の表層部と泥岩のクラック深部の種類構成が類似していることが明らかにされ, 下層分画に生息する細菌株は両礫間で異なった。LV-SEMによる礫表面の観察からも, 超音波処理による付着微生物群集の剥離のされかたは礫種により異なり, 礫に形成される付着微生物群集は基層となる礫の表面構造を反映してパイオニア微生物が規定される可能性が示唆された。
著者
小嶋 秀夫
出版者
日本医史学会
雑誌
日本医史学雑誌 (ISSN:05493323)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.p26-44, 1989-01
著者
新田 滋 ニッタ シゲル NITTA Shigeru
出版者
茨城大学人文学部
雑誌
茨城大学人文学部紀要 社会科学論集 (ISSN:13440160)
巻号頁・発行日
no.50, pp.27-45, 2010-09

本稿は、「価値」なるものが、形而上学的あるいは物神崇拝的に存立する商品物神、貨幣物神の機構を解明することを主な課題とする。資本主義的な富は、資本循環における諸形態として貸借対照表に表される。そこに資産価値なるものが現れる。このような抽象段階になってはじめて、商品からも貨幣からも分離された価値なる対象性が社会的抽象の産物として実体化されるに至る。資産価値の現象形態である商品の価値形態、貨幣形態、資本形式は、廣松渉がいうように「抽象的人間労働-商品価値」という"物象化的に倒錯" された共同主観的な関係構造として存立している。しかし、交換関係は非対称的なものであり商品は貨幣への「命がけの飛躍」につきまとわれている。貨幣物神を括弧に入れられると考えるところに、古典派・新古典派理論、ひいてはロック的な「自己労働の自己所有」というアングロサクソン的な私的所有観のイデオロギー的倒像が成立するのである。
著者
日吉 大輔
出版者
北海道大学
雑誌
哲学 (ISSN:02872560)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.右1-右19, 2005-07-17

In Posterior Analytics B1-10, Aristotle constructs theory of inquiry, which has two crucial theses: (a) "everything which is inquired is the inquiry into a middle term" and (b) "what it is and why it is are the same." These are concerned with definition and demonstration. Then I will show how the relation between (a) and (b) is, while he seems to put them as mutually dependent conceptions in the relevant context. I distinguish B1-10 into three phases: phase 1; practice of inquiry (B1-2), phase 2; traditional framework (B3-7), phase 3; his theory of inquiry (B8-10).These three phases, I think, reflect on the relation between (a) and (b), and provide us backgrounds of the construction of the theory. Especially, phase 2 maintains the balance of definition and demonstration in the beginning of B8 on the basis of a traditional concept; essence.