1 0 0 0 OA 船弁慶 (ニ)

著者
観世 小次郎 信光[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1928-09
著者
中川 隆
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.12, no.11, pp.1159-1178, 1966-11

I. A radioisotope renogram rapidly reflects the changing p attern of plasma isotope-carrier (131I-Hippuran) concentration, dynamic "effective" volume of its distribution in body fluids, and principally its accumulation in renal area and output therefrom. 1. Diffusion and accumulation processes are given as Irpg(t)C,(0o=(/(-R-SPtF)Rd-(RPF)L)C2,(t)d(1t ) where I: injected isotope, Cp(t) : its plasma concentration, Vpo(t): distribution space, RPF: effective rena l plasma flow. 2. Excretion process is given as VwCui(t)=S:C(RPF)tCp(it=).Ro FrL iC u,(0)dt, (2) where 172,4: equivalent volume of urinary tract, : urine flow rate, CvA: urinary con centration. 3. Urinary excre t i on e(t) is given as e(t)=eR (t)+ei(t) ft et(t)=Jo FtCui.(t dt(3) where Ti : transportation lag. 4. Renogram record r t ( t) is given as r i (t)=ko[(jRPF)iC.2,(Stt)FditC ut(t.Ti)dt+(Back(g4r)o und)tj where k: a proportional constant. 5. Background will b e given as (Ba ckground)t=b,. Vp o(t)C2,(t) (5) 1160 中川=RI-Renogramの定量的分析に関する研究第1編 where bi: proportional constant II. The distribution space of 131I-Hippuran. 1) The volume of the blood and body tissues contaminated by 131I-Hippuran by single injection was measured according to the following formula. Trep(t) I. Ce(t + T ) D(t) 2) Table 1 and Fig. 1 show the distribution space measured with a patient of uterine cancer with renal damage and a normal subject. 3) This values of the distribution spa c e was adopted as the fundamental quality which is assumed to be independent of the renal functions and decides CC(t) in equation (1). 4) However, further investigations are necessary to decide whether the dist r i bution space V.(t) is completely independent of personal conditions of individual patients e. g. blood c irculation disturbance, renal function disturbance, etc. III. The renal extraction ratio of 131I-Hip p uran. 1) Renal extraction ratios of 131 I -Hippuran and PAH were compared by means of the venous canulation technique (Fig. 3) with 19 mongolian dogs. (a) The extraction ratio of RISA administered by si n gle intravenous injection, which was 0.00 as is shown in Table 2 (Dog No. 1), confirmed that this technique could not significantly affect the renal circulation. (b) With si n gle injection of 131I-Hippuran (Dogs No. 2, 3, 4, 5, 6), the plamsa extraction ratio decreased with the lapse of time (Tables 3, 4, 5, 6, 7 and Fig. 5). (c) With single injection of PAH (Dogs No. 8, 9, 10, 11, 12, 13 ) , no significant change could be observed in the plasma extraction ratio with the lapse of time. (d) With continuous injection of 131I-Hippuran (Dogs No. 13, 1 4 , 15, 16), the plasma extraction ratio showed no change with the lapse of time. (Tables 14, 15, 16, 17 and Fig. 8). (e) With continuous injection of PAH (Dogs No. 17, 18, 19), no change could be obse r v ed in the plasma extraction ratio (Tables 18, 19, 20 and Fig. 9). 2) According to true RPF=Cx/Ex (Cx : renal clearanc e of PAH or 131I-Hippuran, Es: extraction tatio of PAH or 131I-Hippuran), effective RPF (CI-Hippuran)by single injection (131I-Hippuran by single injection is used in RI-renography) was confirmed to decrea se with the lapse of time, while eff. RPF (C.PAR) by single injection showed no change with the lapse of time. 3) The change of the extraction ratio of 131I-Hippuran with the lapse of time is thought to be accounted for either by the existence of free iodine in 131I-Hippuran or by the penetration of 131I-Hippuran from the plasma into the red blood cell. However, further investigation seem to need on this fact.
著者
辻村 卓 日笠 志津
出版者
日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.81, no.10, pp.489-496, 2007-10-25
参考文献数
20
被引用文献数
3

3日間の低C食を摂取させた健康な女子10名を被験者として,AsAまたはDAsAの結晶1mmol(AsA176mg,DAsA174mg)を経口負荷させた場合の尿中総C量および全血中総C濃度を測定した.被験者は両C型(AsAとDAsA)の負荷試験を実施するため,約1ヶ月の期間をあけて同じ代謝試験を2回行い,次のような結果を得た.1)通常期および欠乏期の24時間尿中総C量は,AsA群,DAsA群の間に有意な差は認められなかった.C負荷後24時間尿中総C量では,AsA群のC排泄量がDAsA群を有意に上回った(p<0.05).2)C負荷後の経時的尿中C排泄量は,負荷後3〜6時間尿,6〜9時間尿および9〜12時間尿において,AsA群の総C排泄量がDAsA群を有意に上回った(p<0.05).3)C負荷後の経時的尿中C排泄量には個人差が大きいことを認めた.4)C負荷直前,C負荷後1,2,3時間全血中総C濃度を解析した結果,両群間に有意な差は認められなかったが,増加量で比較すると,C負荷1時間後でDAsA群がAsA群を有意に上回った(p<0.05).5)C負荷後0〜3時間尿中総C量と負荷後1,2時間の全血中総C増加量の間に強い正の相関が認められた(p<0.01).また,C負荷後0〜24時間尿(=負荷後尿)と負荷3時間後の全血中増加量の間にも同様に強い相関が認められた(p<0.01).
著者
野崎 京子
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010

二酸化炭素は炭素化合物の燃焼最終生成物であり,熱力学的に安定な,不活性な化合物である.一方で,二酸化炭素は安価で豊富な炭素資源であり,その有効利用は科学的興味に留まらず,社会的にも大きなインパクトをもつ.二酸化炭素を活性化し有機合成にもちいるには,より安定な結合を生成する系を選び,かつ反応の活性化エネルギーを下げる触媒を開発しなければならない.本研究では,二酸化炭素の活性化を鍵とする以下の二つの反応について,新規9族金属錯体の開発に重点をおき触媒開発に取り組み、以下の成果を挙げた。1)二酸化炭素還元反応の高活性化と可逆性の検討われわれが開発したピンサー配位子をもつイリジウム錯体は,水酸化カリウム存在下での二酸化炭素と水素の反応で,これまでで最高の活性を示した.この塩基をトリエタノールアミンに変更することで逆反応であるギ酸の分解も行えることを示した。水素の安定的な貯蔵方法としてギ酸を用いる可能性を拓いた。2)エポキシドと二酸化炭素の交互共重合反応の触媒開発これまでの研究で最も高い活性を示していたクロムやコバルトのサレン錯体に代えて、チタンやゲルマニウムなどの錯体が触媒作用を示すことを明らかにした。クロムやコバルトが3価の金属であり、サレンがジアニオン配位子だったのを、チタンやゲルマニウムなどの4価金属に変更した際、配位子もトリアニオン性にしてトータルの電荷を保ったことが成功の鍵である。より低毒性の金属を用いられるようになったことで、生成物の利用範囲が格段に広がった。
著者
Huy Phung Quoc Sasaki Kyuro Sugai Yuichi
出版者
Kyushu University G-COE program "novel carbon resource sciences" secretariat
雑誌
Journal of novel carbon resource sciences (ISSN:18846300)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-7, 2010-09
被引用文献数
7

A CO-ECBMR numerical modeling has been build for the Mao Khe coal seam in Vietnam. The numerical simulations for sensitivity studies on the dominant factors for CH4 production, such as permeability, CO2 injection rate and well spacing have been carried out by giving CO and CH4 adsorption capacities and viscocities of CO2 and water as a function of the coal seam temperature (40 to 65℃). Finally, the numerical simulations with five-spot model have been presented to evaluate CO2 injectivity and CH4 productivity by changing the well spacing. The results show that CO2 injection is roughly proportional to number of injectors, however the time of t he maximum CH4 production rate is delayed with 5-spots unit area. From view of economical evaluation, drilling cost of wells and well spacing are important parameters to decide the optimum production scheme.
著者
石崎 公庸
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、植物における栄養生殖の分子メカニズムを解明することを目標とし、タイ類ゼニゴケをモデルとして解析を行った。前年度までの研究成果から、ゼニゴケにおける栄養生殖器官である杯状体の基底部で、オーキシン生合成系の発現上昇とそれに伴うオーキシンの蓄積が観察されており、栄養生殖器官の発生プロセスにおいてオーキシンが何らかの役割を持つことが示唆されている。本年度、オーキシン低感受性株の解析から単離されたオーキシンシグナル伝達系の主要転写因子MpARF1の機能欠損変異体について、栄養生殖プロセスにおける表現形を詳細に解析した。その結果MpARF1の機能欠損変異体では、無性芽発生における分裂組織の発生と機能に異常が確認された。さらに別のオーキシン低感受性株mt37について、カルボキシペプチダーゼをコードするALTERED MERISTEM PROGRAM1(AMP1)の相同遺伝子MpAMP1の機能欠損変異体であることを明らかにした。mt37についても無性芽発生における分裂組織の発生と機能に異常が確認された。現在、これらの変異体の表現型や原因遺伝子の機能について詳細な解析を進めている。単離された複数のオーキシン低感受性変異体において、無性芽の分裂組織形成に異常が確認されたことから、杯状体底部におけるオーキシン応答が無性芽の分裂組織形成において重要な役割を持つと考えられる。
著者
内田 雄三 野川 辰彦 山下 三千年 橋本 茂廣 藤井 良介 畦倉 薫 橋本 芳徳 石川 喜久 小武 康徳 猪野 睦征 日高 重幸 北里 精司 大江 久圀 柴田 興彦 石井 俊世 下山 孝俊 三浦 敏夫 調 亟治 辻 泰邦 関根 一郎
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.12, no.12, pp.891-900, 1979-12-01
被引用文献数
7

癌浸潤が肉眼的に胃, 十二指腸の両側におよんでいるとみなされた79例について, 臨床的ならびに病理組織学的に検索し, 切除度および術後再発を左右する因子について検討した. 臨床的十二指腸壁に癌浸潤が確認された症例は79例中35例 (44.3%) で, その発生側はほとんどの症例で明らかでないが, 胃癌の十二指腸浸潤と考えるよりは, その進展の態度ならびに臨床的意義から, 胃・十二指腸境界部癌の概念で把握するのが妥当と思われる症例が6例みられた, この概念に該当する症例は肉眼的に Borrmann1, 2, 3型である. 十二指腸壁内先進部は m および sm にあり, リンパ管内蔓延が問題となる. 転移では(8), (12) および (13) 節が第一群リンパ節としての意義を有する.
著者
安井 夏生 松浦 哲也 二川 健 西良 浩一
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

オステオアクチビンは膜結合型の糖タンパクで、細胞外ドメインと膜貫通ドメインをもつ。我々はスペースシャトルで無重力を体験したラットの筋肉にオステオアクチビンが高発現していることを報告した。オステオアクチビンは機械的ストレスの感知機構に何らかの役割をはたしていると考えられてきたが、延長仮骨における発現は現在まで調べられていない。本研究ではマウス下腿延長中にオステオアクチビンがタンパクレベルでも遺伝子レベルでも過剰発現していることがわかった。またオステオアクチビンの細胞外ドメインは延長仮骨には多数存在するが、延長を行わない骨切り部には存在しないことが明らかとなった。延長仮骨においてはMMP-3も高発現していたが、これはオステオアクチビンの細胞外ドメインに誘導された結果と考えられた。さらにオステオアクチビンは延長仮骨における骨吸収を抑制している可能性が示唆された。最近、我々はオステオアクチビンのトランスジェニックマウスの作成に成功し、徳島大学動物実験委員会に届け出た上で交配・繁殖させてきた。このマウスを用いて下腿延長術を行い正常マウスと比較した。予想されたとおりオステオアクチビンのトランスジェニックマウスではMM-Pが過剰発現しており、同時に延長仮骨の吸収が著明に抑制されていることがわかった。
著者
神吉 博 安達 和彦 川西 通裕
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

スペースシャトルやH II-Aロケットエンジンをはじめ超高圧蒸気タービン等軸流タービンの不安定振動問題や、石油、天然ガスの効率的な取出しに不可欠な超高圧リインジェクションコンプレッサー等の不安定振動問題の解決は、我が国の情報産業やエネルギー問題の解決に必要不可欠な課題である。そしてこの種の技術の高さが世界における日本の立場を支配する重要なポイントとなっている。本研究では軸流タービンに起こる不安定振動と遠心コンプレッサーで発生する不安定振動を統一的に見直し、現象解明を行うとともに、それぞれに適した防止対策を考慮し、これを理論的、実験的に検証することを目的とする。昨年までの研究で軸流タービンの不安定振動の解明と対策案の検証を完了し、新しく遠心圧縮機の不安定振動解明のための、独特の実験装置の開発を完了した。今年度はこの実験装置による実験を実施した。回転数と流量をパラメータにして新しい実験装置を運転し、各条件で運転中加振テストを実施し、不安定振動発生の傾向を調査した。現在の運転条件では、不安定振動は発生していないが、回転数上昇に伴い、減衰比の低下が見られた。さらに回転数を上げることにより、不安定振動を発生することができると考えられる。またベースとなっている減衰の要因の1つである。上部軸受部をよりスムーズに動かせて、振動再現性を良くする対策として、深溝玉軸受を自動調心軸受に改良した。今後さらに実験を続け、現象解明を推進する予定である。
著者
藏田 伸雄 石原 孝二 新田 孝彦 杉山 滋郎 調 麻佐志 黒田 光太郎 柏葉 武秀
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究ではまず、科学技術に関するリスク-便益分析の方法について批判的に検討し、リスク論に社会的公平性を組み込む可能性について検討した。第二に、ナノテクノロジー、遺伝子組換え農作物等の科学技術倫理の諸問題をリスク評価とリスクコミュニケーションの観点から分析した。第三に、リスク論に関して理論的な研究を行った。さらにリスク論と民主主義的意思決定について検討した。第四に、技術者倫理教育の中にリスク評価の方法を導入することを試みた。まず費用便益分析に基づくリスク論は、懸念を伴う科学技術を正当化するための手段として用いられることがあることを、内分泌攪乱物質等を例として確認した。また研究分担者の黒田はナノテクノロジーの社会的意味に関する海外の資料の調査を行い、アスベスト被害との類似性等について検討した。また藏田は遺伝子組換え農作物に関わる倫理問題について検討し、科学外の要因が遺伝子組換え農作物に関する議論の中で重要な役割を果たすことを確認した。そしてリスク論に関する理論的研究として、まず予防原則の哲学的・倫理学的・社会的・政治的意味について検討し、その多面性を明らかにした。他に企業におけるリスク管理(内部統制)に関する調査も行った。リスク論に関する哲学的研究としては、確率論とベイズ主義の哲学的含意に関する研究と、リスク論の科学哲学的含意の検討、リスク下における合理的な意思決定に関する研究を行った。またリスク評価と民主主義的な意思決定に際して、参加型テクノロジーアセスメントや、双方向型のコミュニケーションによって、リスクに関する民主主義的決定モデルが可能となることを確認した。また技術者倫理教育に関して、研究分担者の間で情報交換を行い、上記の成果を技術者倫理教育に導入することを試みた。
著者
川上 紳一
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は,国際宇宙ステーションなどの人工衛星を活用した科学教育プログラムの開発である.これまでに科学研究を目的とした明るい人工衛星の飛行経路や到来時刻を予報したホームページを公開し,運用を続けている.今年度は「人工衛星観測ナビゲータ」に掲載されている人工衛星の明るさを観測し、予測式を導いて、予報値を公開するためのプログラム開発を行った.また、米国の情報セキュリティ強化にともなって、従来のような人工衛星軌道情報の取得が困難になり、軌道情報自動更新ソフトを新たに開発する必要が生じたため、ソフトの開発を行った.国際宇宙ステーションから見た地球のシミュレーションソフトについては,平成16年度に静止画版を公開したが,本研究では,3D動画配信版の開発に関する技術的検討を行った.このソフトの開発には,MatrixEngineというゲームエンジンが有効であり,このソフトで表示するための3D地球オブジェクトの開発が必要であることを明らかにした.これらのソフト開発についても本研究と密接に関連するプロジェクトとして進め,2005年9月の段階で,試作版をweb公開した.このソフトをさらに魅力的なものにするには、気象衛星の雲画像を取得して一定時間ごとに更新するようなシステム開発が望まれる.この課題についても,気象衛星画像の入手方法について調査を行い,複数の気象衛星の画像からコンポジット画像を合成して表示することは技術的に可能であることを明らかにした.一方,こうしたソフトを活用した天体観察会についても実施し,星空のなかを飛行する国際宇宙ステーションが,児童・生徒の学習の動機づけとして有効であるというデータを取得した.このように,本研究は当初の予定を上回る成果を挙げることができた。科学教育プログラムとしての完成のためには,当初想定していなかった雲画像の表示ならびに更新システム開発、地球情報とのリンクの確立など,新たな課題が明確にできた.
著者
藤木 篤
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本年度は、技術者倫理の成立した背景とわが国でのこれまでの歩みに焦点をあてながら、昨年度に引き続き専門家としての技術者の責任に関する研究を行った。主要な業績は以下の二点である。1.「工学倫理の教科書の変遷」では、日米それぞれの主要教科書の内容を検討し、その傾向について分析を加えた。技術者倫理の教科書を網羅的に扱った先行研究としては、石原の論考(2003)が挙げられるが、以降の趨勢の変化を反映したものとしては本研究が現時点で唯一のものであり、その点において一定の意義が認められる。アメリカの教科書は従来より技術者倫理におけるプロフェッショナリズムの重要性を強調しており、近年に至ってますますその論調を強めている。本稿では、こうした論調の変化をどのように受け止めるかが、わが国の技術者倫理の今後を考える上で非常に重要な鍵となる、という点を指摘した。2.『21世紀倫理創成研究』に掲載された「工学倫理の国際普及における外的要因:技術者資格と技術者教育認定制度の国際化」では、アメリカで興った工学倫理が、わが国を含め世界中でなぜこれほどまでに急速に広まったかという理由について技術者資格と技術者教育認定制度の国際化という観点から詳述した。これらの研究活動の他に、優秀若手研究者海外派遣事業により、平成22年6月から翌23年3月まで、派遣先機関であるコロラド鉱山大学にて資料の収集を行った。具体的には、同大学附属のアーサーレイク図書館に所蔵されている、鉱業関連企業の会社報告書コレクションの内、アスベスト取扱企業に関する資料を収集した。また同館が所蔵する、アスベスト使用・規制の歴史に関する資料も併せて複写した。
著者
鈴木 隆史
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

勾配を持つポテンシャル中に閉じ込めたボーズ粒子系で現れる有限温度下の秩序状態について調べた。まず調和ポテンシャル中の擬2次元希薄ボーズ気体の有限温度特性についてProjectedグロスピタエフスキー方程式を数値的に解いて調べた。その結果、位相相関関数の減衰冪がポテンシャル中心付近で現れるコヒーレント(凝縮)領域とその周囲に現れるインコヒーレント(非凝縮)領域の境界でコスタリッツ-サウレス型の臨界特性を示すことがわかった。続いて一軸方向にのみポテンシャル勾配を持つハードコア2次元拡張ボーズハバードモデルで現れる秩序状態の空間分布について量子モンテカルロ法を用いて調べた。この系は一様ポテンシャル下で化学ポテンシャルを変化させた場合に固体状態から超流動状態へ一次転移を示す。ポテンシャルの勾配を変えた場合に固体状態と超流動状態の境界付近で現れる秩序状態に注目した。その結果ポテンシャル勾配の形を変化させても両者は相分離し、局所密度近似の結果、すなわち一様系で観測される一次転移の振る舞いが相境界で見られることが分かった。
著者
木村 圭志
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

コンデンジジは、SMC2/SMC4の二つのSMC ATPaseサブユニットと三つのnon-SMCサブユニットからなるタンパク質複合体で、M期の染色体凝縮に必須の因子である。最近になって、修復、チェックポイントの活性化、転写制御などの間期におけるDNA代謝にもこの酵素が関与することが報告されている。コンデンシンは、in vitroでATP依存的にDNAに正のスーパーコイルを導入する活性(スーパーコイリング活性)を持つ。我々は、コンデンシンの細胞周期における制御機構を解析した。コンデンシンのタンパク量、及びタンパク質の安定性は細胞周期を通じて一定だった。細胞周期におけるリン酸化を調べたところ、コンデンシンは間期においてCK2で、M期ではCdc2でリン酸化されていた。M期でのリン化がコンデンシンのスーパーコイリング活性を促進するのに対して、CK2による間期リン酸化は著しく抑制した。このCK2による抑制的なリン酸化レベルの細胞周期における変動を調べたところ、M期に染色体上で著しく低下していた。さらに、ツメガエルのM期卵抽出液中で、コンデンシンのCK2部位のリン酸化レベルを上昇させると、染色体の凝縮は阻害された。これらの結果から、コンデンシンの機能は、従来から考えられていたM期キナーゼCdc2だけでなく、CK2によっても制御されていることが示唆された。一方、精製したコンデンシンをin vitro転写系に加えると、転写レベルは抑制された。また、その抑制はCK2によるコンデンシンのリン酸化により解除された。これらの結果から、コンデンシンは、間期においてもクロマチン構造をコンパクトな構造に転換するのに寄与し、CK2リン酸化によるコンデンシン活性の抑制は、クロマチン構造の弛緩と、その結果としての転写活性化に関与している可能性が示唆された。
著者
仲川 秀樹
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究は、「情報の受信・発信による若者の地方都市定着へ向けての社会学的研究」である。平成8年から9年度の2年間にわたり本研究テーマに沿った研究を別紙報告書記載の通り論じてきた。特に、社会学的研究という性格をふまえ学説研究としてのアプローチ、実証研究としてのアプローチをバランスよく取り入れることにした。学説研究としては、情報の受信・発信をメディアに求めた。それは映像による若者への影響を映画を媒体に考えた。それにはH・ブルーマ-の社会理論が適切であると考え、本研究の理論背景はブルーマ-の理論に負った。次にそれを実証するために、地方都市として国内と海外2つの都市を取り上げた。国内は、山形県北山形高瀬集落、海外はカナダ、プリンス・エドワード州をその対象地とした。この都市はいずれも映画の舞台となり多数の若者が集う場所でもあった。そこには女性分化としての性格が存在してそり、その視点も含めたヒアリングを実施することになった。その結果は、単なる流行りとする影響ではなく、生活様式まで取り入れた情報受容のスタイルがあった。学説研究、理論研究の2つのアプローチから若者の地方都市定着へ向けて、社会学が何をすべきかという課題にひとつの問題提起をなす結果として、情報の受信・発信がリアルに実施され、それが若者へ1次情報として認知される環境形成が不可欠なこと。これに応えられるべき環境の整理こそが若者を地方都市に定着させる処方箋に成り得ることなどが明らかにされた。その包括的な環境こそ若者がもっとも望んでいることであると考えられる。