著者
高橋 悦子
出版者
四日市看護医療大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

質の高い看護ケアに影響を与える要因を明らかにすることを目的に調査を実施した結果、電子カルテなど医療のIT化が看護ケアに与える影響は大きく、本調査でも、IT導入による医療の安全性向上、情報共有の迅速化など看護ケアの質向上に寄与している点が指摘された。一方、看護師の専門的判断力を支える、アセスメント能力、クリティカルシンキングの育成とITシステムとの連携が今後の看護ケア質向上の課題となることが明らかになった。
著者
清水 健
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

今年度は主に(100)面と(110)面極薄SOI MOFETにおける移動度をより詳細に調べるための試作活動、および方向依存性を理論的に検討するための数値計算の両面における活動を開始したところであった。より具体的には、極薄SOIにおける移動度の方向依存性を調べるために共通チャネルを有する(110)面極薄SOI MOSFETを実際に試作し、評価を開始したところである。実験結果について今のところ大きな進展はないが、少なくとも当初の机上予測どおり、厚膜を有するSOI MOSFETにおいては定量的に移動度の方向依存性を比較することが可能であることを確認した。今後の課題については、SOIが10nmを切るような極薄膜において移動度を比較することが可能であるかを、実験および測定の両面から検討する必要がある。他方、数値計算においては若干の進展があり、SOI膜厚に依存して伝導方向の有効質量に変化が生じることを理論的に確認することができた。以上の結果については、実験結果とあわせて何らかの形で学会や論文誌へ投稿する予定である。これまで移動度、ひいては電流の方向依存性について十二分な議論がなされている状態からは程遠く、以上の結果を広く公開することは、学術活動としての評価のみならず、産業界へもメッセージを発信することが可能であると考えている。また、前年度に学会へ投稿していた論文が無事に採択されたので、6月にハワイで開催されたIEEE Silicon Nanoelectronics Workshopにおいて口頭発表を行った。本結果については今年度に明らかになったものではないので詳細は省くが、特別研究員の科研費で出張を行ったので報告しておく。自身の発表に際しては質疑も行い、また発表後の休憩時間にも複数の異なる研究グループから詳細について質問を受けたので、一定の評価はなされたものと考えている。
著者
小澤 正基 渡邉 雅之 佐々木 祐二 三村 均 池田 泰久 大橋 朗 須郷 由美 森田 泰冶 佐伯 盛久 橋本 和幸
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-05-11

高レベル廃液中で酸素酸イオンTcO4-として存在するTc(Tc-99)回収のための効果的な抽出剤を開発した。新しい配位子(2,2’-メチルイミノビスジオクチルアセトアミドMIDOAは、ジグリコールアミド(DGA)の中央のエーテル結合の部位に窒素を導入した中心骨格を持ち、Tcに対し強力な抽出能を示す。MIDOAは安定で毒性がなく、検査(治療)対象の臓器に無理なく取り込まれるTc (あるいはRe) 錯体を創製できた。クロマトグラフィ分離法による高レベル廃液処理分離プロセスを構築した。中性子捕獲による使用済み核燃料の核分裂生成物の元素変換挙動と創成元素の資源としての利用可能性を評価した。
著者
小林 邦雄
出版者
近畿大学
雑誌
Memoirs of the School of Biology-Oriented Science and Technology of Kinki University = 近畿大学生物理工学部紀要 (ISSN:13427202)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.63-78, 2006-03-31

79名の大学1年生に,「同一性混乱尺度」と「孤独感類型判別尺度」の2種類の質問紙を施行した。孤独感類型判別尺度により全被検者は4つのタイプに類型化された。孤独感類型判別尺度は「自己の個別性の自覚」と「理解・共感の可能性」への信頼・期待を測定する2つの下位尺度で構成される。最も「自己の個別性の自覚」の低いA型と最も「自己の個別性の自覚」の高いD型において,被検者の度数が統計的に等しかった。この結果は,大学生においては殆んど例外なくD型がA型の度数を上回るという先行研究と合致しなかった。一方,「自己の個別性の自覚」尺度全7項目のうち6項目でD型がA型より有意に得点平均が高かった。「理解・共感の可能性」尺度全9項目のうち6項目で,A型はD型より得点平均が高く,前者の依存性の強さを示唆するとも考えられた。またD型はA型より同一性混乱(悩み)の程度が高く,前者では自己に関わる多様な「悩み」がA型より強く意識されていることが示唆された。以上の結果は,中学生を対象とした先行研究において示された,発達的に最も進んでいると考えられ争D型が最も未熟と考えられるA型よりストレス(悩み)が多いという結果と符節を合わせ,発達と悩みの不可分の関係を示唆するものと考えられた。
著者
林田 太郎 佐藤 純
出版者
Japan Society of Personality Psychology
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-11, 2009
被引用文献数
3

本研究の目的は,これまで我が国の心理学において取り上げられることがなかった自己憐憫について,過去の事例研究や自由記述の結果をもとに概念を整理し,その結果に基づいた尺度を作成して実証的に検討することであった。研究1では,大学生に自己憐憫の経験を尋ね,自己憐憫とは日常的な場面でも生じるもので,その内容としては他者を意識した感情や反応があることが明らかにされた。研究2では,その結果をもとに自己憐憫尺度を新たに作成し,322名の学生を対象に質問紙調査を実施した。確認的因子分析の結果から,3因子モデルが妥当であることが確認された。また,α係数や再検査信頼性係数は十分な値を示し,信頼性が確認された。妥当性を検討するために統制感,孤独感,怒りの表出との相関を検討した結果,ある程度予想通りの結果が得られ,妥当性を確認することができた。
著者
伊東 栄典 片岡 真 牧瀬 ゆかり
出版者
九州大学附属図書館
雑誌
九州大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:18813542)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.11-15, 2009
被引用文献数
2

Web 上で提供される電子ジャーナル等のe リソースサイトでは,契約した機関の構成員のみが利用できるようにアクセス制限を行っている。組織間の分散電子認証基盤としてShibboleth システムがあり,その利用が進んでいる。さらには Shibboleth を共通の認証基盤として用いる認証フェデレーションが世界で広がっており,日本国内でも学術認証フェデレーション「Gakunin」が設立されている。我々は,これまで九州大学におけるShibboleth の基盤開発を行ってきたが,この度情報統括本部と附属図書館の協力によって,Shibboleth IdP の立ち上げおよび図書館マイアカウントサービスのShibboleth 対応を行った。本稿では,特にGakunin フェデレーションに参加する場合の,Shibboleth IdP における属性問題についての検討と解決案を述べる。また,九州大学におけるShibboleth 導入と評価について述べる。
著者
古川 雄一
出版者
新領域創成科学研究科 環境学研究系
巻号頁・発行日
2006-03-23

報告番号: ; 学位授与年月日: 2006-03-23 ; 学位の種別: 修士; 学位の種類: 修士(環境学) ; 学位記番号: 修創域第1876号 ; 研究科・専攻: 新領域創成科学研究科環境学専攻
著者
壺南翁 [コナン オウ] 壷南翁
出版者
龍南會
雑誌
龍南會雜誌
巻号頁・発行日
vol.140, pp.12-27, 1911-03-25
著者
小頭 秀行 吉田 晴人 前原 文明 高畑 文雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.460, pp.157-162, 2003-11-14

レイリーフェージングにより特徴づけられる無線環境下においてTCP / IP伝送を行う場合,有線環境と比較して劣悪な通信状態が発生することから,ビット誤りに起因するパケットロスが生じ,スループット特性が大幅に劣化することが知られている.その対策として,通常,下位層に自動再送要求(ARQ),空間ダイバーシチ,一方向誤り訂正(FEC)が適用される.本稿では,TCP性能評価のための汎用的なツールの一つであるネットワークシミュレータnsを用いて,各種フェージング対策技術を適用したときのTCPスループット特性を取得することを目的として,それらの技術を適用したときのパケット誤りモデルを2状態マルコフ過程に基づき生成するとともに,生成されたモデルの妥当性を正確なパケット誤りパターンに基づくスループット特性と比較することにより検証する.
著者
中山 緑朗
出版者
作新学院大学
雑誌
作新学院大学紀要 (ISSN:09171800)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-19, 2006-03-23

1232年に制定された鎌倉幕府法である『御成敗式目』は、唐律の影響下に成立した公家法を継承した面もある。条文に用いられている漢語語彙を検討すると、(1)古代中国の歴史書に共通する伝統的な漢語、(2)伝統的な漢語であるが、意味などが日本的に変容した<和化漢語>、(3)中国での用例を見ない<和製漢語>、の三種に分類することができる。本稿では(2)(3)について検証する。