著者
新家 憲 吉田 光広 郭 桂芬 近江谷 和彦 松田 従三 渋谷 義樹 張 会均
出版者
専修大学北海道短期大学
雑誌
環境科学研究所報告 (ISSN:13464736)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.101-115, 2004-12-30

雨が夏季のみ集中して降る地帯において、夏に降った雨水を地下1mに貯水し、湿害を防ぐと同時に春の干ばつ期に、この水分を毛管水として作物に利用することを構想した。このため地下水層を人工的につくる機械を開発する。本報では高圧空気でつくられた地下の水平空洞(貯水槽)に砂を充填する装置(サンドガン)の開発について述べる。結果として、最適なサンドガンの構造は、砂をまずインジェクターの中に充填する。高圧空気を、この砂柱の上端に作用させる。したがって砂は連続的に噴出するのではなく、バッチで噴出する構造である。この構造では、例え土がノズルに詰っても高圧空気で、これを吹き飛ばすことができる。中国の砂も、日本の砂も土壌水分が異なると砂をノズルから噴出するのに必要なチャージタンク圧は異なった。両砂とも土壌水分10%d.b.で噴出に必要なチャージタンク圧は最大となり0.4MPaとなった。中国の砂と日本の砂で砂の移動距離はほとんど変わらなかった。土壌水分が10%d.b.の時、砂移動に必要なチャージタンク圧も最大となった。この時、砂移動に必要なチャージタンク圧は0.8MPaであった。砂移動に必要なチャージタンク圧は砂噴出に必要なチャージタンク圧より常に大きくなった。したがって、砂を地下空洞に充填する時、チャージタンク圧は砂移動に必要なチャージタンク圧とする必要がある。ノズルの数が複数あっても、順次抵抗の少ないノズルが働いて砂が噴出し、砂が空洞全体に充填された。
著者
劉 志偉
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.157-167, 2009-12-20

本稿は「姉小路式」の写本である「手耳葉口伝」をもとに,第五,第六の巻に当たる「か」と「かは」の巻を考察するものである中世に入って,テニヲハ意識が一層高まり,詠歌する際に個々のテニヲハの用法を説く専門書が現れ始めた.とりわけ,それを代表するものとLて「姉小路式」と呼ばれる一群の写本が挙げられる.この書には「ぞ」「こそ」「や」「か」といった係助詞に対する高い関心が認められる.本稿では「姉小路式」の著者による「か」「かは」の記述を解説した後,それを「や」や「ぞ」「こそ」の区分と比較した.その結果,「か」と「や」について,著者は両者をともに「疑ひ」の表現と認識したのみで,近世のように両者を区別する捉え方は見られなかった.また,「ぞ」「こそ」が係り結びの視点から促えられているのに対し,「か」と「や」は疑問表現として区分されている.こうした相違について従来の研究では,「姉小路式」に先行する最初のテニヲハ秘伝書『手爾葉大概抄』の影響によるとされている.しかし,本稿で見る通り,爺者は初期の連歌論者がテニヲハ論に及ぼした影響をも考え合わせなければならないと主張する.
著者
新家 憲 郭 桂芬 近江谷 和彦 松田 従三 賈 会彬 石 風善 李 東才
出版者
専修大学北海道短期大学
雑誌
環境科学研究所報告 (ISSN:13464736)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.143-147, 2004-12-30

アルカリ土壌の改良を目的として4段式心土混層プラウが設計試作された。2003年5月に、この4段式心土混層プラウで中国黒龍江省大慶市で試験圃場が施工された(2ha)。2004年7月に、この試験圃場で土壌調査、および作物の生育調査を行った。主な結果は対照区では表層0〜5cm(Ana層)に2.5MPaの硬い層があった。その下は深さ90cmまで1.0〜1.5MPaであった。処理区は表層も軟らかく、深さ90cmまで0〜1MPaであった。したがって1年間で土壌硬度は復元しなかった。処理区も対照区も、pH値は9-10であり、きわめて強いアルカリであった。したがってB層への堆肥施用だけでは、pH値を下げることはできない。pH値を下げるには、毛管による地下水の上昇を遮断する方法など、他の方法を考える必要がある。処理区の水分は対照区の水分より明らかに高かった。処理区では降った雨が深さ30〜50cmの心土(B層、C層)に保持されていた。対照区の表層であるAna、A層の水分が約5%d.b.と低かった。この理由は降雨があっても、土壌硬度が高く、クラストしているため、土壌中に浸透できず、表面水として流れ去ってしまうものと考えられる。一見して処理区と対照区の草丈に大きな差があった。処理区の野生草の草丈は約45cmであるのに対して、対照区では15cmであった。処理区では根は、C層に達していて、約50cmであった。対照区では、B層まで達していて、その深さはせいぜい30cmであった。
著者
竹見 哲也
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.387-397, 1999-04-25
被引用文献数
1

砂漠地域の乾燥した雲底下層中において降雨が蒸発により消失することについて、雨の落下・蒸発を表現した鉛直1次元非定常モデルを用いて調べた。夏季に中国北西部砂漠地域で見られる典型的な乾燥した深い境界層という条件のもとで、層状性タイプの弱い降雨をモデルでは仮定している。2種類の数値実験を行った。最初の実験では、大気は静止していると仮定している。中程度の降雨強度(9.5mmh^<-1>)の場合には、モデル上端で雨を与えてから約1時間後に地上レベルで降雨が始まる。一方弱い降雨強度(0.97mmh^<-1>)の場合には、地上での降雨は約11時間半経過してから生じる。蒸発による雨の消失量は、雲底高度からの雨の落下距離及び降雨強度に依存して大きく変化する。各降雨強度に対してモデル上端で与える総降雨量を一定にすると、強い降雨強度の時ほど蒸発する量は大きい。次の実験では一定の下降流を仮定し、下降流による断熱昇温が雨の蒸発に及ぼす効果について調べた。数10cms^<-1>の下降流だけでも雨の蒸発は大きく促進される。中国砂漠地域での地上観測とモデルの結果とを比較した結果、その地域で見られる典型的な降雨イベントに伴う気象変化は主に雨の蒸発によるものであることが示唆された。
著者
山田 功
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.591-592, 2001

物理の学習指導を考える時,つい授業ばかりに目がいってしまう。しかし,実は教室の外での子供の頃のさまざまな体験が大きな意義をもっていることに注目をした。昔は教室の外で体験した,昆虫採集や,物の分解や,遊び道具作りや,読書等が自然科学への興味,関心をもたせた。今はそうした体験が少なくなった。これが授業の理解を困難にしたし,理科離れのひとつの要因になっているのではないだろうか。そんな反省のもと,授業へのささやかな提案をする。
著者
津田 孝夫 中谷 いつ子 岡部 寿男 國枝 義敏 大久保 英嗣
出版者
京都大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1990

本研究は平成2年度から4年度まで実施された。作業としては、交付申請書の研究実施計画に沿って、自動ベクトル化/自動並列化コンパイラならびに仮想並列ベクトル計算機シミュレータを開発することとした。ただし、短期間で開発を進めるため、研究組織において既に開発した自動ベクトル化コンパイラV-Pascalを基にする。具体的な作業は、1.コンパイラの自動ベクトル化/自動並列化処理部の新規設計と作成、2.仮想並列ベクトル計算機シミュレータのための効率的なスタック機構/同期機構の設計と作成、3.コンパイラの目的コード生成部の新規作成、4.仮想並列ベクトル計算機シミュレータの作成、5.コンパイラのその他の各部の修正、6.システム全体の性能評価である。1.に際しては、他に類を見ない厳密な依存関係解析技術を新たに開発実装するとともに、粒度の大きな並列化を可能とするために、依存グラフをプログラム全体にわたって作成する手法を考案ならびに実現した。この依存グラフは、様々な並列実行の単位を想定して設計されている特徴を持つ。また、種々の粒度の並列タスクの候補を階層的に表現でき、かつ、タスク候補の分割・融合も容易なように設計されている。この新たに提案している階層的依存グラフを用い、各タスク候補の実行時間予測を行った上で、最適と思われる並列タスクを自動生成する技術を確立した。この時間予測では、本研究の設備備品費で購入した実験用計算機TITAN上で、各種実行時ライブラリの実行時間を計測したデータ等を基に、有効性を実際に検証した。2.のシミュレータとしては、日立のスーパーコンピュータS-820用のバージョンがベクトル命令のシミュレーションを含めて稼働している。並列同期/スケジューリング/スタック管理等の機構は、実行時ライブラリとして実現され、コンパイラが生成する目的コードと連携して、効率よく並列実行を進めるものである。
著者
内田 一郎
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稲田法学 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.171-190, 1964-03