著者
根本 正之 村山 英亮
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究. 別号, 講演会講演要旨 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
no.43, pp.20-21, 2004-04-16

一般に都市的環境下にある道路の植えます、公園、寺社の境内、校庭、グラウンドなどに侵入して<る雑草(侵入植物群)は程度の差こそあれ、踏み付けや刈り取りという人間による物理的な攪乱を受けている。これとは対照的に都市空地は上述のような攪乱がみられなくなった都市の空間として位置づけることができる。人間による攪乱が取り除かれたり、管理が放棄された場合、他からの侵入や埋土種子に由来する雑草の定着によって当該立地の二次遷移が進行、しばしば都市にふさわしくない景観が形成される。本研究では空地発生雑草を省力管理するための基礎的知見を得る目的で、人間によるさまざまな干渉が停止する直前の立地環境の違いが、その後の二次遷移系列にどのような影響を及ぼしているのか調査した。
著者
横山 尚 千代 章一郎
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.72, no.621, pp.229-236, 2007
被引用文献数
1

This paper aims to clarify the change process of the landscape of tourism of Hiroshima Castle as the famous place after the Second World War. Analyzing the guide texts of the sightseeing bus tours and the interview to a person who experienced bus tour guide, we can find out that the history of the castle in the military city is more emphasized than the present castle as the public park in the guidance of recent years. The meaning of Hiroshima Castle as the famous place was limited to the place guided about the definite history with the view from the outside of the castle.
著者
丹下 健 金 坂基 佐々木 惠彦
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.138-143, 1994-03-01

マツ材線虫病の進展過程におけるアカマツ成木の幹木部組織活性の変化を明らかにするために、枯死木の肥大成長停止時期の推定と自然感染によって枯死に至った立木の幹木部呼吸速度の変化を調べた。マツ材線虫病による枯死が毎年発生しているアカマツ林を調査地とした。枯死木の年輪解析から、肥大成長の停止は春材形成から夏材形成へ移行する時期と推定された。8月下旬にすべての針葉が褐変し枯死した供試木の呼吸速度は、7月下旬から減少し始めた。それ以前は、枯死しなかった供試木の呼吸速度と違いがなく、傷害呼吸による呼吸速度の増加はみられなかった。年越し枯れを起こした供試木の呼吸速度は、枯死する約1ヵ月前の5月下旬の時点ですでに他の供試木の呼吸速度の約50%に低下し、その後も減少傾向にあった。マツ材線虫病で枯死した供試木および枝条中にマツノザイセンチュウの存在が確認された供試木では、葉色等に異常がなく、測定部位の幹木部呼吸速度も低下していない時点で、日中に気温の上昇にともなう幹木部呼吸速度の上昇がみられ、すでに樹冠部で通水阻害が生じ、樹液流速度の減少が起こっていると推定された。
著者
皆川 洸
出版者
一橋大学
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.212-228, 1959-03-01

論文タイプ||論説
著者
向井 務 村田 英一 吉田 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.2080-2086, 2002-12-01
被引用文献数
25

近年,ユニバーサルアドホックネットワークや,無線アドホックネットワークとして研究されているマルチホップ自律分散無線ネットワークは,インフラを必要とせず自律的にネットワークを形成する技術である.マルチホップ無線ネットワークでは端末間で通信を行うため,送受信端末間の通信距離を短くすることが可能である.そのため,端末が自律的に適切な中継端末と通信チャネルを選択することができれば,周波数繰返し距離が短くなるため周波数利用効率が高いシステムとなりうる.本論文では多数の端末が存在する環境を仮定し,チャネル選択アルゴリズムの提案を行い,マルチホップ無線ネットワークの周波数利用効率と送信電力の検討が行われている.その結果,簡易に算出したセルラネットワークの周波数利用効率,総送信電力特性との比較では大幅な劣化は見られず,マルチホップ自律分散ネットワークの可能性が示されている.
著者
後藤崇行 常松 祐一 渡辺 裕
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.66, pp.31-36, 2005-07-08

フィルムグレインは、フィルムで撮影したコンテンツ特有の模様である。一般に雑音成分として捉えられがちだが、フィルムグレインによってフィルムコンテンツの質感を表現することができるため、質感を表現したい場合、除去されないことが望ましい。しかし、フィルムグレインを含んだ画像に圧縮符号化を施すと符号化による影響を受け失われてしまう。特に近年標準化された動画像符号化方式H.264/AVCにおいては、デブロッキングフィルタや4x4整数変換により、フィルムグレインが失われやすくなっている。H.264/AVCの拡張方式FRExt(Fidelity Range Extensions) では、映画コンテンツなどフィルムグレインを含む高解像度画像において画質改善を行う様々な符号化ツールが追加された。そこで筆者らは、更なるフィルムグレインの再現性を考慮したH.264/AVC符号化方式について検討してきた。本稿では、符号化モード決定のコスト値について考察し、フィルムグレインの再現性を更に向上させる手法の検討を行う。Film grain is a specific texture of film conttents. Though it generally tends to be recognized as a noise,it is preferable for film grain not to be removed to express the feeling of quality of film contents. However,film grain is influenced and lost easily by encoding. Especially,in H.264/AVC which is the state-of-the-art video coding standard,it is more easier for film grain to be lost by performing de-blocking filter and 4x4 integer-transform. In FRExt(Fidelity Range Extensions) which extended the conventional H.264/AVC,various coding tools were added to improve the quality of high definition size images such as movies containing film grain. We have been studying the H.264/AVC encoding method considering the fidelity of film grain. In this paper we consider the method to improve the fidelity of the film grain further by changing the cost value of the encoding mode decision.
著者
大橋 和彦 高木 道浩 杉本 千尋 小沼 操
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

ウイルス、細菌などの病原体には標的細胞への吸着の際、細胞表面糖鎖をレセプターとして利用しているものが多く、このようなレセプターをワクチンなどに利用すれば、株間で抗原性が異なる病原体に対しても広く有効な防除法を開発することが可能になる。そこで感染症防除のためにこれらの糖鎖を擬態できるようなペプチドを探索・同定し分子擬態利用法を開発するため、ウイルス(NDV)をモデルとしてNDVレセプター構造を分子構造的に模倣するレセプター擬態ペプチド分子を探索し、そのNDV感染に対する防御能を検討した。NDVヘマグルチニン-ノイラミニダーゼ(HN)抗原を標的として特異的に結合するペプチド分子をランダムペプチドライブラリー(6mer〜8merのペプチドを含む)よりファージディスプレイ法とバイオパンニング法により探索した。その結果、NDV HN抗原に対して特異的結合性を示す3種類のファージクローンが得られた。得られたクローンの塩基配列・アミノ酸残基を解析した結果、EVSHPKVG、WVTTSNQW、SGGSNRSPの3種類のアミノ酸配列が擬態分子として同定された。さらに各ファージクローンのNDV特異的結合能は、抗NDVニワトリ抗血清を利用したELISA競合阻止試験によっても確認された。次にこれらの各ファージクローンより予想されたアミノ酸配列をもとに合成ペプチドを作製し、NDV粒子に対する結合能や感染防御能を解析した。3種類の合成ペプチドはNDVによる赤血球凝集活性を阻止できなかった。しかしながら、ウイルス中和試験の結果、これらのペプチドが部分的にNDVの感染を中和できることが示された。今後、これらのペプチドが結合するNDV粒子状の分子を明らかにするとともに、そのアミノ酸配列をもとに、よりNDV感染阻止能力の高いアミノ酸配列を模索し、in vivoにおける効果を検討することが、臨床応用に向けて必要となる。