著者
臼井 澄夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.92, no.9, pp.768-774, 2009-09-01
被引用文献数
1

GPSはカーナビや携帯電話をはじめとして世界中で広い分野にわたって使用されるようになっている.GPSは,衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一つであり,世界ではそのほかにロシアのGLONASS,欧州のGalileoなどのGNSSが運用ないしは計画されている.GNSSは空間情報社会と呼ばれる地理情報・位置情報を活用した社会においては必須のインフラである.一般に利用されるGPS端末による測位は10〜20m程度の誤差を含むが,誤差を低減する各種の測位補強技術が用いられるようになり,高精度の測位を必要とする様々な分野で使用されている.本稿では,衛星を用いた高精度測位技術の現状,世界のGNSSの動向,及び応用分野などについて概観する.
著者
KOIKE Akira NAGAYAMA Osamu GODA Ayumi HOSHIMOTO Masayo YAMAGUCHI Kaori TAJIMA Akihiko UEJIMA Tokuhisa ITOH Haruki AIZAWA Tadanori
出版者
社団法人日本循環器学会
雑誌
Circulation journal : official journal of the Japanese Circulation Society (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.1418-1423, 2007-08-20
被引用文献数
1 5

<b>Background</b> It has been recently reported that cerebral oxyhemoglobin (O<sub>2</sub>Hb) decreases during exercise in nearly 50% of patients with dilated cardiomyopathy. The present study evaluated whether the inhalation of supplemental O<sub>2</sub> diminishes the decrease in cerebral O<sub>2</sub>Hb during exercise. <b>Methods and Results</b> Ten patients with a left ventricular ejection fraction <50% and a clearly observable decrease in cerebral O<sub>2</sub>Hb during preliminary exercise testing underwent 2 additional symptom-limited incremental exercise tests: 1 while breathing room air (control) and the other while breathing 50% O<sub>2</sub>. In the latter test, the switch from room air to 50% O<sub>2</sub> was performed, on average, at 43.0±14.2 W. Cerebral O<sub>2</sub>Hb was continuously monitored during exercise using near-infrared spectroscopy. In the control exercise test, cerebral O<sub>2</sub>Hb gradually decreased as the work rate increased in all the subjects. When the subjects breathed 50% O<sub>2</sub>, this decrease in cerebral O<sub>2</sub>Hb was diminished. The change in cerebral O<sub>2</sub>Hb from rest to peak exercise during the test under 50% O<sub>2</sub> was significantly higher than that during the control test (-0.23 ±1.89 vs -2.47±1.57 μmol/L, p=0.002). Similarly, the change in the cerebral tissue oxygenation index was significantly higher in the test under 50% O<sub>2</sub> (0.45 ±4.46 vs -3.33±3.06%, p=0.023). <b>Conclusions</b> Impaired cerebral oxygenation during moderate to heavy intensity exercise in patients with left ventricular dysfunction can be offset by breathing supplemental O<sub>2</sub>. (<i>Circ J</i> 2007; <b>71:</b> 1418 - 1423)<br>
著者
鶴岡 賀雄
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:2896400)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.27-37, 1984-02-21

「暗夜noche oscura」という言葉ないしイメージは,十字架のヨハネ全テクストの中でもとりわけ重要な位置を占めている。"Eu una noche oscura / con ansias en amores inflamada / odichosa ventura / sali sin ser notada / estando ya mi casa sosegada (ある暗い夜/愛の思いに これが燃えて/ああ なんという幸せ/気づかれずに 脱れ出た/わが家はもう 静まっていた)",とはじまる,「暗夜」と通称される彼の最も有名な詩の冒頭は,ヨハネの神秘思想全休の出発点であり,またそれの展開する場を開いて行く言葉であると言える。現代的な十字架のヨハネ研究の嚆矢となった大著『十字架の聖ヨハネと神秘経験の問題』において,すでにジャン・バリュジは,この「夜」という言葉をヨハネの「ユニークな「象徴(シンポル)」」とよんで,そこに,彼の著作にふんだんに見られる他の諸々のイメージ,アレゴリー等と区別された特別な重要性を見ている。この「象徴」は,バリュジによれば,それ以外の一般的概念に翻訳不能な,ヨハネの神秘経験自体と不可分なまでに結びついた言葉である。「象徴」という語は,しかし,バリュジの,またその後の様々な言語学的・哲学的考察の努力にもかかわらず,その内容が余りに一般的ないし多義的であって,宗教思想研究のための有効な概念とは未だ十分になりえていないと考えるが,ここでの「夜」という言葉に対するバリュジの着目と評価自体はたしかに正当なものと思われる。そこで,以下小論では,バリュジが「象徴」という語で捉えようとした,「暗夜」という語,イメージがヨハネの著作全休において有する意義を,筆者なりに探ってみたいと思う。これはしたがって,「暗夜」ということに焦点を当てた-しかもとくに,ヨハネの神秘思想の根本構造のごときものが提示されていると考える『カルメル山登攀』および『霊魂の暗夜』のはじめの数章に主に基いた-,筆者なりのヨハネ解釈の試みであるが,それはまた,バリュジにおいてすでにそうであったように,すぐれた意味で「宗教的」ないし「神秘的」とよばれうる言葉の一つのあり方を,その具体的な姿において,捉えてみたいという関心を背景としたものである。そしてこの視点はさらに,神秘家であるとともに詩人でもあったヨハネの研究における大きなプロブレマティックとなっている詩的な言葉と神秘思想との関係の問題とも,必然的に関わって行くこととなる。
著者
澤村 誠 宗林 孝明
出版者
北海道大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

貝毒(下痢性)を惹き起こすオカダ酸を、抗原抗体反応を利用し、非標識で動作するバイオセンサで検出した。また、予備実験として同センサによりがんマーカーのCEA(癌胎児性抗原)を検出した。・バイオセンサの作製:平成17年度に作成したトランジスタ型センサから操作が容易でより安定して動作するダイオード型センサを作製した(特許出願済)。・検出法:センサのシリコン基板表面の酸化膜上に微細な電極を作製し反応場とし、抗体を固定化(物理吸着)し、ターゲットの抗原を滴下する。抗原抗体反応進行に伴い、ダイオードの電流・電圧特性を比較すると、反応の進行レベルに加え、動的特性がターゲットの濃度に依存して規則的に変化する。標準サンプルから検量線を作成すればターゲットを定量することができる。・効果:本研究は貝毒の抗原抗体反応の検出を非標識で行った最初の研究と思われる(従来、検出にはマウステストが行われているが、近年ELISA法による実験の成功例がある)。オカダ酸のような微小な分子が非標識で検出されたことは重要な発見である。尚、使用したバイオセンサは構造が簡素で、低電圧で安定動作し、操作が容易である。他の抗原抗体反応(CEA検出)にも応用できるが、可能性として酵素反応やDNAハイブリダイゼーションにも用いることができ、応用範囲が広い。・新発見:反応場上の抗原と抗体が形成する薄膜の動的電気伝導特性が変化することから、反応に伴い抗体の分子構造(水を含む)の大きな変化(conformal transition)を伴う電子状態の変化があることが予想される。このため、今後、細胞やウイルスなどの大型ターゲットの電子状態計測や細胞シリコン融合素子への応用が期待される。課題:(1)検出感度を他の検出法と比較すること(サンドイッチ法(ELISA)で検出できず)。(2)抗原抗体反応に要する時間の短縮。(3)夾雑物のある環境における検出実験。
著者
安川 博 板井 陽俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.95, pp.67-72, 2006-06-08
被引用文献数
4

近年,安全な社会を構築する一つの要素としてセキュアシステムが注目されている.指紋や画像を用いた個人認証システムは高度なセキュアシステムを実現するが,処理能力やコスト面等の課題が多く存在する.音による識別はセキュリティシステムに関して,電子タグや指紋認証のようなIDとしての完全性は求めるべくもないが,その不完全さ故のソフトセキュアシステムとしてのニーズも一方では高まるのではないかと期待される.本稿では,映像以外の情報として音(環境音)に注目し,サーベイランスシステムへの活用の可能性を探る.はじめに歩行足音を用いた個人識別の研究動向と環境音の音源分離・識別の研究例を紹介し,技術的課題と今後の展望について述べる.
著者
坂井 邦夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.89, no.8, pp.722-727, 2006-08-01

本稿では,パターン認識技術とその応用に関するれい明期の状況を,筆者自身の経験や体験を織り込みながら,現在の状況と関連付けて紹介している.前半では,産・学・官の連携を起点として情報化の追い風に乗って成長した一時期,更にはその後の事業的な見地からの見直しなど,当時の研究開発環境の移り変りを振り返って述べている.後半では,本稿が単なる昔話に終わることのないよう,これまでの努力が現在どのような形で実を結んでいるか,またパターン認識の更なる発展にとって今後は何が必要かなどを筆者の見解も含めて述べている.
著者
藤野 庄三 本吉 彦 若山 永哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.36, pp.63-66, 2007-05-10
被引用文献数
1

筆者らは、複数の端末をPersonal Area Network(PAN)として接続し、これをモバイル網が収容するサービスを提案しており、これまでにPAN中のUSIMを持たない端末に対し認証を行う方式や、端末間でセッションハンドオーバを行う方式を開発してきた。本報告では、ユーザが利用中のコンテンツに対し最適の再生端末を選択するため、周辺端末の表示、音声再生、アプリ実行等の能力情報を携帯端末が収集し、実現可否を判定するシステムの設計、評価結果についてまとめる。
著者
徳田 恵一 益子 貴史 宮崎 昇 小林 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.7, pp.1579-1589, 2000-07-25
被引用文献数
65

HMM(hidden Markov model)による時系列の統計的モデル化手法は, 特に音声認識における音声スペクトル列の統計的モデル化手法として広く成功を収めている.HMMは, 離散的なシンボル列を扱う離散分布HMMと、連続値をもったベクトル列を扱う連続分布HMMとに大別されるが, 実際の観測系列には, 離散的なシンボルと連続値が時間的に混在したものがあり, 従来のHMMでこのような観測系列をそのまま取り扱うことはできない.音声のピッチパターンは, このような系列の例である.この問題を解決するため, 本論文では, 可変次元の多空間上における確率分布に基づいたHMMを新たに定義し, 拡張されたHMMのモデルパラメータの再推定アルゴリズムを与えている.拡張されたHMMは, 離散分布HMM, 混合連続分布HMMを特別な場合として含み, 更に離散シンボルと連続値が時間的に混合した観測系列をモデル化することができる.
著者
佐藤 純子
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学大学院論集. 人間科学研究編 (ISSN:13482122)
巻号頁・発行日
pp.71-83, 2003-03-18

TitleVII of the Elementary and Secondary Education Act enacted in 1968, well known as the "Bilingual Education Act" , was replaced by the "No Child Left Behind Act of 2001" which was signed into law by President Bush on January 8, 2002. The expiration of the "Bilingual Education Act" means the elimination of not only bilingual programs, but also the spirit of multiculturalism in the sense of tolerance and respect for diversity. This paper seeks to compare the purposes of the "Bilingual Education Act of 1968" with those of the "No Child Left Behind Act of 2001", and tries to expound why the "Bilingual Education Act" is needed to proceed us to real democracy.
著者
小山田 耕二
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.55-56, 1996-09-04

現在使われている可視化手法は,数値データが格子点で定義されていることを仮定していることが多い.一方,数値シミュレーションの中には,格子中心で数値データを計算するものがある.有限体積法では,変数は,格子の中心に定義されている.また,有限要素法では,最初に数値データが格子点で計算されるが,その微分量は,格子の中心で計算されることが多い.このような格子の中心で定義された数値データを以降,格子中心データと呼ぶことにする.格子中心点を格子点とするような格子を再構築するのは,非現実的である.特に非構造格子データの場合,もとの境界を保持するのが困難である.その代わりに,これまで,格子中心データから次のような2つの手法によって格子点データに変換されてきた.1つは,距離逆数法である.これは,まず,格子中心から格子点までの距離の逆数を重みとして,格子中心データS^<cell>を各格子点に加算していく.同時に,重みそのものも格子点毎に加算しておき,最後に,加算された重みで加算されたデータを除して,その格子点でのデータS^<point>_iとする方法である.S^<point>_i=<Σ_<C^<cell>_i S^<cell>×W^<cell>>/<Σ_<C^<cell>_i W^<cell>>,ここで, W^<cell>は,距離の逆数を,Σ_<C^<cell>_iは,i番目の格子点について総和をとることを示す.もう1つは,格子中心で評価された勾配ベクタ▽S^<cell>から格子点データを外挿する方法である.S^<point>_i=S^<cell>+(D^^→,▽S^<cell>),ここで,D^^→は,格子中心から格子点への方向を,(A^^→,B^^→)は,A^^→とB^^→の内積,そして▽Cは,スカラ関数Cの勾配を表す.格子中心から格子点データに外挿する場合,一般的に格子点を共有する格子毎に違った値が計算される.格子点毎にユニークな値が必要となる場合,これらの値は,平均化される.以上のアプローチで得られる格子点データによって張られるデータ空間は,もとの格子中心データによって張られるそれと異なると考えられる.今,紹介した手法では,この違いによる誤差についてなんら考慮がなされていない.しかしながら,我々は,この誤差の定量化を行ない,この定量化された誤差を各格子点毎に極小化するアプローチを提案する.
著者
小池 正春
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田教育評論 (ISSN:09145680)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.133-150, 2004-03-31

米国では,1983年に発表された報告書「危機に立つ国家」をきっかけに全国的な教育改革運動が起こった。また同年に「アメリカの高校教育改革」という全米各地の学校実態を調査した報告書による教育改革の提案がなされた。1991年大統領により「2000年のアメリカ:教育戦略」が発表され,2002年には連邦法No Child Left Behind Actの制定に至った。本報告書は,このアメリカの一連の教育改革を様々な報告や研究レポートを参照し鳥瞰図的に眺める。次に「アメリカの縮図」といわれるメリーランド州の教育改革の流れを見る。そして最も「アメリカ的な問題」を抱える同州プリンス・ジョージズ郡に焦点を当て,第2次大戦後同郡がどのように社会と経済,人種構成上で大きな変貌を遂げ,それが教育環境にどのような影響を及ぼしたかを事例を見て今後の行方を探る。
著者
池添 冬芽 市橋 則明 羽崎 完 森永 敏博
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.59-63, 2001-03-31
被引用文献数
1

本研究の目的は, 段差昇降動作における昇降動作様式の違いおよび下腿の肢位によって, 膝周囲筋の筋活動がどのように変化するかを明らかにすることである。対象は健常女子学生18名であった。測定筋は右下肢の大腿直筋, 内側広筋, 外側広筋, 半膜様筋, 大腿二頭筋とし, 前方昇降動作と後方昇降動作をそれぞれ下腿中間位, 下腿内旋位, 下腿外旋位で行わせたときの筋電図を分析した。前方昇格および後方昇降動作の筋活動量を比較すると, 大腿直筋, 内側広筋, 外側広筋においては前方昇降動作より後方昇降動作の方が有意に大きな筋活動量を示した。また, 下腿の肢位による変化は, 内側広筋, 半膜様筋, 大腿二頭筋において認められ, 内側広筋, 大腿二頭筋では下腿外旋位, 半膜様筋では下腿内旋位で最も大きな値を示した。これらのことから, 段差昇降訓練を行う場合, 段差昇降様式の違いではハムストリングスに対する負荷は変化しないが, 大腿四頭筋に対しては, 前方昇降より後方昇降させる方が大きな負荷量が得られること, さらに内側広筋をより収縮させたい場合には下腿外旋位で段差昇降を行うことが有効であることが示唆された。
著者
山田 雄司 Yamada Yuji
出版者
三重大学人文学部考古学・日本史研究室
雑誌
三重大史学 (ISSN:13467204)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-14, 2008-03-01 (Released:2017-02-17)
著者
ダニアル ケオキ 青木 孝文 戸田 真志 長谷川 晶一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.26, pp.15-20, 2009-02-28

カメラ画像から実世界の3次元情報を復元することが求められている。本研究では,実世界とCGを重畳させるために必要な3次元形状と運動認識をより効果に行うために尤度付き物理シミュレータの提案をする。A research to increase recognition of shape and movement for three-dimensional objects using physic simulator with probability consideration. By this,object recognition via camera is hoped to increase.