著者
吉見 昭一
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.jjom.H13-03, 2002 (Released:2020-10-13)
参考文献数
35

Twelve species and one unpublished species of Scleroderma have been recognized from Japan. A taxomic key is presented here based mainly on spore characters.
著者
岡野 八代
出版者
新潟国際情報大学国際学部
雑誌
新潟国際情報大学 国際学部 紀要 = NUIS Journal of International Studies (ISSN:21895864)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.89-100, 2020-04-01

本稿では、政治学教育において定着しつつあるフェミニズム理論が、逆に定着することによって、既存の政治学の特徴である公私二元論へと取り込まれてしまっているのではないかという問題提起を行なう。そのうえで、フェミニズム理論が政治学になんらかの貢献をなすには、どのような批判的視座が必要となるのかについて、ケアの倫理による公私二元論批判を経由して、ジョアン・トロントの民主主義論を例示しながら検討する。
著者
カーン カレク 北島 道夫
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

私どもは,これまでおよそ10年間にわたる検討から,子宮内膜症の発生および増殖・進展に関する新たな病態のひとつとしてbacterial contamination hypothesis細菌混入仮説」を提唱し発表した.子宮内膜症では非内膜症に比較して,月経血中への大腸菌混入が強く,結果として月経血中や腹水中でのエンドトキシン濃度が亢進していることが認められた.Defensinなどの抗菌性ペプチドや分泌型白血球プロテアーゼ阻害物質(secretory leukocyte protease inhibitor, SLPI)は,動物および植物に種横断的に広く存在する宿主生得免疫のメディエーターである.
著者
朴 恩姫
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.20, pp.258(1)-242(17), 2002-03-31

一 はじめに 崇徳院怨霊は、院政期の人々に最も畏怖された怨霊である。崇徳院の死や怨霊化の過程は物語の恰好の素材になり、以後崇徳院怨霊は『保元物語』を始めとして『平家物語』『太平記』などの軍記物語や『松山天狗』『雨月物語』などに登場し、 ...
著者
岡 浩一朗
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.208-215, 2003 (Released:2014-12-10)
参考文献数
24
被引用文献数
25

行動変容のトランスセオレティカル・モデル(TTM)は,人がどのように健康行動を変容するかを理解するために用いられてきた。元々は,不健康な習慣的行動(たとえば,喫煙)の変容を説明あるいは予測するために開発されたものであった。最近では,身体活動・運動行動の研究分野においても TTM を利用することが支持されている。本研究は,日本人中年者を対象に,運動行動における TTM の構成要素について検討した。特に,運動行動の変容段階と運動セルフ・エフィカシーとの関係を調べた。 初めに,本研究では運動セルフ・エフィカシーを査定するための尺度を開発した。467人の中年者が,調査票に回答した。ステップワイズ変数選択による探索的因子分析の結果,5 項目 1 因子からなる尺度が開発された。計量心理学的分析の結果,この尺度が高い信頼性と妥当性を有することが示唆された。 次に,変容段階とセルフ・エフィカシーの関係を検討するため,中年者808人を対象に横断的調査が行われた。運動行動の変容段階と運動セルフ・エフィカシーを査定する調査票を実施した。運動行動の変容段階分類と運動セルフ・エフィカシーとの間に有意な関連が認められた。特に,本研究の対象者におけるセルフ・エフィカシー得点は,無関心期に属する人が他の段階の人と比較して最も低く,維持期の人が最も高かった。一般的に,段階を通じて直線的なパターンで変化した。 本研究では横断的調査デザインおよび非無作為サンプル抽出法を用いているために結果の解釈が制限されるが,本研究と先行研究の結果の類似性は,運動行動の変容段階と運動セルフ・エフィカシーの関係が,年齢や文化の違いに関わらず支持されることを示している。これらの関係を正しく理解することによって,健康増進に関わる専門家は身体活動・運動の増進に対する働きかけを改善させることができる。
著者
星 優也
雑誌
摂大人文科学 = The Setsudai Review of Humanities and Social Sciences (ISSN:13419315)
巻号頁・発行日
no.28, pp.104-85, 2021-01

中世神仏信仰・中世神道と儀礼の研究は、近年飛躍的に進展した。なかでも儀礼で読まれる祭文や講式といった文献群は、注目されつつあるが課題が多い分野である。とくに神々を〈本尊〉とする講式は、鎌倉時代以降に展開したことで知られるが、不明な点が多い。本稿で取り上げる『神祇講秘式』は、これまで言及こそされたが、正面から研究されたことがない講式である。とくに密教系で短文の秘密式は、講式研究でも等閑視されてきたが、そこに「神祇」がつく『神祇講秘式』は、その最たるものである。しかし『神祇講秘式』は、講式と祭文、中世神仏信仰の近世的展開、中世神道と修験道の関係を考えるうえで重要な文献である。本稿は、『神祇講秘式』の基礎的考察を行い、類似する書名を持つ『神祇講式』と比較検討する。つづいて具体的な儀礼における『神祇講秘式』の存在形態を明らかにし、最後は神祇講式、神祇講秘式という書名すらなくなり、新しい祭文として作り替えられ、展開していく姿を明らかにする。

4 0 0 0 OA 鉄道停車場

著者
竹内季一 著
出版者
鉄道時報局
巻号頁・発行日
vol.上編, 1914
出版者
鉄道作業局工務部
巻号頁・発行日
vol.明治三十四年九月現行, 1907
著者
小島 庸平
出版者
政治経済学・経済史学会
雑誌
歴史と経済 (ISSN:13479660)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.26-37, 2019-04-30 (Released:2021-04-30)
参考文献数
25

This paper investigates how and why consumer-financing firms became highly developed during the post-war era in Japan. Although previous studies have emphasized the inadequacy of consumer finance regulation, this paper focuses on the strategy of lenders and the characteristics of borrowers from the 1960s to the 1980s.It is said that the number of “amateur usurers” increased among white-collar workers during the Great Depression. Even in the 1950s, there was still room for ‘amateur usury’ businesses, some of which were founded in the new public housing complexes of the time. The biggest benefit of “housing-complex finance” was that it saved the cost of credit checks. Because public housing complexes strictly investigated the incomes and assets of their applicants before allowing them to become residents, moneylenders in the housing complexes could substitute those inquiries for the usual credit checks.Other consumer financing firms founded in the 1960s also saved the cost of credit checks by using information from the borrower’s place of employment. White-collar workers in listed firms were evaluated on the basis of their overall character and therefore faced a certain dilemma. While they had to be sociable to maintain their reputations as good colleagues or superiors, the wining and dining expenses imposed a burden on their family budgets. They had to borrow secretly in order to make ends meet, but fearful that they’d be found out, they were avoided to an extreme degree any chance of defaulting on their debt. This made them very advantageous for consumer financing firms. During the rapid growth period, lenders used information about workplaces and residences as their standards for evaluating creditworthiness.After the 1973 oil crisis, however, there was a drastic change in how people used the money they borrowed from consumer financing firms. Unlike the 1960s, when male workers were the main customers, many housewives struggling from he recession started to use consumer finance to cover deficits in the family budget. This meant a greater risk of default than before and a need for more sophisticated approaches to lending. Consumer-financing firms introduced new statistical methods for analyzing creditworthiness and shared information with each other regarding defaulters, effectively instituting black lists. The corporate effort to introduce these innovations was essential to the development of consumer finance in the post-war era.
著者
木村 直弘 KIMURA Naohiro
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.15, pp.131-160, 2016-03

2015年春,再び「世界のTOMITA」がクローズ・アップされた。4月23日から5月30日の約一ヶ月間に世界25カ国から42の芸術団体や104のバンド他が北京を訪れ,室内,野外,合わせて計150ステージが上演される第15回北京国際芸術祭「相約北京」(「北京で会いましょう」の意。中国文化省,国家報道出版ラジオ映画総局,北京市人民政府による共同主催の,春季開催としてはアジア最大級の国際アート・フェスティヴァル)に,冨田勲作曲の《イーハトーヴ交響曲》が,日本から唯一招待されたプログラムとして,5月20日に北京世紀劇院で河合尚市指揮による中国中央音楽院のオーケストラ「EOS交響文献楽団」と岩手県人を中心とした合唱団「混声合唱団IHATOV FRIENDS」およびCGアーティストKAGAYAによって中国初演され,会場を埋めた1700人の聴衆から大好評を博したのである(1)。1974年には米国RCAから発売されたレコード(国内への逆輸入アルバム名『月の光――ドビッシーによるメルヘンの世界』)が日本人によるものとしては初めてグラミー賞にノミネートされ,翌年には次作アルバム『展覧会の絵』がビルボード・キャッシュボックスの全米クラシック・チャートの第一位を獲得して,作曲家冨田勲はシンセサイザー音楽の分野で一躍「世界のTOMITA」となった。さらに冨田は,1980年代には,世界平和の希求をコンセプトに,オーストリアのドナウ川で「宇宙讃歌」(1984年),米国のハドソン川で「地球讃歌」(1986年)と銘打たれた,超立体音響「TOMITA Sound Cloud」による壮大な野外イヴェントを成功させ,また,1998年には日本の伝統楽器,オーケストラ,シンセサイザーを融合させた《源氏物語幻想交響絵巻》をロサンゼルス,ロンドンで上演するなど,世界的に活躍してきた。そして,こうしたこれまでの国際的な活躍に対して,Japan Foundationによる平成27(2015)年度国際交流基金賞が,「~(前略)~近年は宮沢賢治の世界を描いた「イーハトーヴ交響曲」において,全世界の若者たちに絶大な人気を誇るボーカロイド(ヴァーチャル・アイドル・シンガー)の初音ミクをソリストに起用して話題を集め,今年5月には中国政府からの要請で「イーハトーヴ交響曲」北京公演を大成功させるなど,83歳を迎えてなお,日本文化紹介と国際相互理解の増進に大いに貢献し続けている」その「功績を称え,今後益々の活躍を期待」して,2015年8月27日に冨田に授与されている(2)。しかし,冨田が齢80を越えてから再び世界的に注目を集めたこの《イーハトーヴ交響曲》が,ヴァーチャル・アイドル・シンガー「初音ミク」をフィーチャーしてはいるものの,基本的には,同じく世界平和と希求したベートーヴェンの交響曲,特に《第九交響曲》以降,クラシック音楽の王道的ジャンルとなった「交響曲」であることは看過されてはならない。筆者はすでにこの「交響曲」に取材した2本の論考(3)で,宮澤賢治におけるベートーヴェン《第九交響曲》のいわゆる〈歓喜の歌〉からの影響について指摘してきたが,本稿は,いわば《イーハトーヴ交響曲》に関する拙論三部作の締めくくりとして,これまでその意味について言及してこなかった,いわばこの曲の構成原理とも言える音楽引用の問題について考察する。音楽における引用の問題については数多くの先行研究があるが,この交響曲はそうした先行研究の射程では捉えきれない内容をもつ。そこで,本稿では,改めて「ノスタルジア」という視点を設定し,それらが音楽引用という構成原理によっていかにこの交響曲で効果的に機能しているかを捉え直すことによって,この交響曲だけでなく,本家本元の宮澤賢治作品についての新しい視角をも提示することを目的としている。