著者
日名 淳裕
出版者
東京大学大学院ドイツ語ドイツ文学研究会
雑誌
詩・言語 (ISSN:09120041)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.39-56, 2010-10

本稿は2009年度に提出した修士論文を大幅に改稿したものである。オーストリアの詩人ゲオルク・トラークルは1914年11月に従軍したガリチア地方クラカウの病院で自死したが、それ以来残された作品の解釈をめぐって多くの詩人、思索家らに言及されてきた。彼を経済的に支援したヴィトゲンシュタイン、1950年代に二つのトラークル論を書いたハイデガー、あるいはハイデガーとは真逆の理解を示したアドルノ、初期の作品にその影響が顕著な詩人ツェランらによる受容は有名であるが、現代詩人トーマス・クリングやテクノミュージシャンのクラウス・シュルツェといった比較的若い世代による解釈も注目に値する。彼らの受容評価は多様であるが、いずれもトラークルを詩人として捉えている点は共通している。散文や戯曲も残しているにもかかわらず、もっぱらその抒情詩のみが注目されてきた理由としては、生前から独占的にトラークルの作品を出版してきたチロル地方の文学グループ・ブレンナーの活動が指摘できる。本論はもうじき100年になるトラークル受容史の根幹においていまだ支配的なブレンナー・クライスによる理解を批判的に検討する。晩年の散文詩『啓示と没落』の評価をめぐって、ブレンナーの主張するような抒情詩の系譜においてではなく、同時期に制作された戯曲断片『小作人の小屋で...』との関わりにおいて草稿段階にまで遡り比較分析する。そこからアヴァンギャルドとしてのトラークルの功績を創作過程に探り、戯曲家ビュヒナーの影響に着目する。
著者
Yui Arakawa Ryosuke Yoshimoto Fuyuki Yoshikane Takafumi Suzuki
出版者
日本デジタル・ヒューマニティーズ学会
雑誌
Journal of the Japanese Association for Digital Humanities (ISSN:21887276)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-9, 2015-09-02 (Released:2015-09-02)
参考文献数
13

Gathering information from social media content is becoming increasingly popular. Twitter, a microblog where posts are limited to 140 characters, is an excellent platform for gathering instant and interactive information. Considerable research has focused on Twitter’s effectiveness for disseminating emergency alerts and confirming the safety of acquaintances. However, there has been less emphasis on the analysis of Twitter posts to obtain information specialized to specific domains. Such analysis could enable simple and rapid identification of information related to state-of-the-art technology. Against this background, this study reports on a preliminary analysis of tweets by Japanese academic researchers. Our content analysis and text analysis reveal that many academic researchers tweet about their individual activities, education, or research. Their tweets contain domain-specific knowledge and have identifiable textual characteristics. This study provides basic findings that can be applied to obtain domain-specific knowledge from Twitter.
著者
今泉 俊文 楮原 京子 大槻 憲四郎 三輪 敦志 小坂 英輝 野原 壯
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.5, 2006 (Released:2006-05-18)

1.はじめに 陸羽地震(1896年)は,千屋断層が引き起こした典型的な逆断層タイプの地震であり,世界的に見ても歴史地震としては数少ない逆断層の例の一つである.これまで本断層を対象に地形・地質調査,トレンチ調査,反射法地震探査・重力探査等いろいろな調査研究がおこなわれてきた.演者らは,千屋丘陵の西麓・花岡で,陸羽地震時の断層露頭を発見した.地表トレースが地形境界に沿って湾曲することが明確になり,逆断層の先端(地表)から地下に至る断層の形状・構造が複雑であることがわかった,その形成過程とあわせて検討することが必要である.2.断層線 花岡・大道川(菩提沢)の河岸において断層露頭を発見した.この場所は,千屋丘陵西麓(断層崖)から300m程山側(東側)に入り込んだ沖積扇状地の扇頂付近にあたる.露頭の標高は,丘陵前面の断層崖基部に比べて高い.つまり,断層線は地形境界に沿うように湾曲する(図1).松田ほか(1980)は,花岡では断層が扇央を通過すると考えていたが,地籍図・土地台帳図の解釈からは,山際を通過することが指摘されていた(今泉・稲庭,1983).このような崖線の湾曲は,逆断層の特徴でもある.中小森のトレンチ調査現場(天然記念物保存地)の小谷で行われたボーリング調査結果から,このような断層線の湾曲は,地表近くで断層の走向または傾斜が変化(地下から地表に向かって雁行)することによって生じると考えた(今泉ほか,1986).花岡の谷(大道川)は.千屋丘陵の開析谷では谷幅も広い.谷幅に応じて湾入の程度が変わるとすれば,断層面の形状の変化も,谷幅に比例した深度から生じていると考えるべきだろう.この露頭の脇を通って(せせらぎ公園のある沢沿い),1996年に活断層を横切る反射法地震探査がはじめて実施され,千屋断層がemergent thrustであることや,この断層に沿って断層上盤側が東側へ傾動する構造などが明らかにされた(佐藤ほか,1998). 逆断層露頭を直接観察できる地点(一丈木・赤倉川河岸など)や,明瞭な地震断層崖が連続する場所は,千屋丘陵の麓でも,大局は断層線がほぼ北北東〓南南西走向を示す区間である.これに対して,走向が変わる千屋丘陵北端部や南端部では,断層上盤は撓曲変形を示し,陸羽地震時の断層の詳細な位置や変位量は不確かである.北端部や南端部では,逆向き断層を含めた副次的な断層によって,上盤側に数列の背斜状の高まりが生じている.3.断層露頭 上盤側の新第三紀層と段丘堆積物が下盤側の地震前の地表に衝上(傾斜は約30度)して.そこに崖高1.2m程の低断層崖を形成している(崖の上にはかつて小規模な発電所があった).断層に沿っては,砂礫層の回転・引きずりが明瞭である.この地形面(砂礫層の堆積の)年代を知るために年代を測定中である.あわせてこの露頭から陸羽地震以前の活動についても(その時期も含めて)詳細を検討中である.
著者
藤岡 祥子 降旗 建治 柳沢 武三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.98, no.247, pp.9-16, 1998-08-27
参考文献数
6
被引用文献数
13

超音波振動子を用いて, 骨伝導聴取を行うと, 20kHz以上の超音波領域の音を明瞭に聞き取ることが可能である。本論文では, 最初に, 乳様突起部位に20kHzから66kHzまでの骨導振動を加えたときの可聴範囲及び40kHzにおける頭部の各部位における最小可聴値を駆動点の加速度で検討している。次に, 外耳道に挿入された耳栓と鼓膜とに囲まれた管状小容積腔内の音圧を基準にしている新しいオージオメータを用いて, 骨導振動子で乳様突起部位に振動を加えたときの最小可聴値を検討している。この結果から, 超音波領域における骨伝導の可聴範囲は27dB前後であること, 40kHzにおける最小可聴値は上記腔内音圧レベルで46dB前後dあることを明らかにしている。
著者
平木 義良
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
燃料協会誌 (ISSN:03693775)
巻号頁・発行日
vol.10, no.11, pp.1237-1256, 1931 (Released:2011-02-23)

ディーセル機關の發達普及は海に陸に將た空に今や時代の寵兒たらんとして居る、而して今後の登展は一つに低廉なる燃料を豊富に供給し得らるゝや否やの問題に蹄着する、演者は本邦に於けるディーゼル重油の種類並に將來の供給に就て論じ、次いでディーゼル重油の製造法を述べ、最後に規格の意義を吟味せんとす
著者
小林 強
出版者
大東文化大学
雑誌
人文科学 (ISSN:18830250)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.21-101, 2007-03
著者
橋本 健一 Ken-ichi HASHIMOTO 千葉県立衛生短期大学
雑誌
千葉県立衛生短期大学紀要 = Bulletin of Chiba College of Health Science (ISSN:02885034)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.1-7, 2008

ナガサキアゲハPapilio memnon thunbergii SieboldおよびクロアゲハPapilio protenor demetrius Stollの千葉県鴨川市個体群(35°07'N)の20℃での蛹休眠誘起の臨界日長はナガサキアゲハでは約12時間40分,クロアゲハでは14時間以上であり,ナガサキアゲハの臨界日長は同所的に生息するクロアゲハより1時間以上短かった。ナガサキアゲハ鴨川市個体群の臨界日長は既に報告されている鹿児島市,和歌山市,箕面市,清水市および三浦市の各個体群での値(Yoshio and Ishii 1998, 2004)とほぼ同様であるので,本種は休眠性の変化を伴わずに北方へ分布を拡大しているものと思われる。このような分布の拡大は,秋季の気温の上昇により休眠世代の幼虫が蛹化に至るまでの温量が得られるようになったことが要因の1つであると考えられる。
著者
橋本 健一 Ken-ichi HASHIMOTO 千葉県立衛生短期大学(生物学) Chiba College of Health Science
雑誌
千葉県立衛生短期大学紀要 = Bulletin of Chiba College of Health Science (ISSN:02885034)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.3-9, 1994

In the velvet swallowtail butterfly, Papilio bianor dehaanii, there is a seasonal morph such as the spring-and summer-forms. When larvae were reared under a short photoperiod (less than LD 8 : 16hr.), all of them entered into pupal diapause and subsequently developed into small adults of the spring-form. On the other hand, under a long one (under room conditions), they all averted diapause and developed into large summer-form adults. The front wing length and size of the pupae were significantly different between diapause and non-diapause groups. It thus appears that a seasonal morph reflected in the size was deter-mined simultaneously by photoperiod during the larval period. When diapausing pupae were kept under various periods of chilling at 4℃, the longer the chilling brought the earlier onset of adult emergence and a narrower range of emergence. A well synchronized emergence from diapausing pupae was brought about by chilling for 140 days. In the Japanese swallowtail butterfly, Papilio xuthus, when larvae were reared under natural conditions in autumn, all of them entered into the pupal diapause. Three groups of diapausing pupae, that had overwintered from late autumn under natural conditions, were transfered to 20℃ conditions on Jan. 14, Mar. 2 and Apr. 4 respectively. In most of the diapausing pupae which had been transfered on Mar. 2 or Apr. 4, adult emergence occured within 20 days after the onset of incubation at 20℃. It thus seems that pupal diapause of them had terminated during their overwintering period.
著者
寳田 穂
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.10-19, 2009-05-31 (Released:2017-07-01)
参考文献数
27

【目的】薬物依存症者への看護の実践経験を有する看護師にインタビューを行い、看護の体験を描き出し、薬物依存症者への看護の意味を明らかにする。【方法】半構造化インタビューによる質的研究。インタビュー期間:2003年7月〜9月。参加者:12名。質問:(1)看護に関連する印象的な出来事、(2)その出来事への思いなど。インタビュー総時間:700分。【結果及び考察】看護師と薬物依存症者の感情には「無意識の対称性」がみられた。看護師は、薬物依存症者に「巻き込まれない」「負けない」ように看護を継続するも、薬物をやめさせることは困難だった。看護の限界や無力に気づいた看護師は、葛藤しながらも、患者との対話を大事したコラボレイティヴな関係を築いていった。看護の限界や無力に気づくことは、看護の質の変化へのターニングとなっていた。また、薬物依存症者への看護には、患者とのコラボレイティヴな関係を通して、患者と看護師の相互成長がもたらされるという意味があると考えられた。
著者
塚田 悠貴 髙島 一昭 山根 剛 山根 義久
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.30-33, 2014-03-20 (Released:2016-02-05)
参考文献数
8

9歳齢,未去勢雄のミニチュアダックスフンドがブドウの皮を摂取した後何度も吐くとの主訴で来院した。血液検査でBUN(104.5 mg/dl),Cre(6.9 mg/dl),Ca(13.1 mg/dl),P(17.9 mg/dl),K(5.15 mmol/l)の上昇を認めた。以上からブドウの皮を摂取したことに関連する急性腎不全と診断し,入院下で治療した。第1病日に一時的に乏尿に陥ったが,利尿薬等の投与で改善傾向にあった。その後も血液検査に改善がみられたが,第7病日に一般状態が悪化し,血小板数も低下しDICが疑われ,第10病日に死の転帰をとった。

4 0 0 0 OA 訓蒙字会

著者
崔南善 編
出版者
朝鮮光文会
巻号頁・発行日
1913

4 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1895年11月01日, 1895-11-01
著者
長瀬 慶重
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.12, no.11, pp.765-776, 2013-11-25 (Released:2014-11-27)

本稿はインターネット業界における新規事業の作り方について、サイバーエージェントの視点に立って論じる。まずはインターネット業界が最近ブームになっていることを説明し、ビジネスチャンスが多くなっていることを事例で示す。その次に、サイバーエージェントが新規事業を立ち上げるために仕掛けた仕組みについて説明し、新規事業の創り方を論じる。また、それぞれの新規事業を評価するときに用いる四つのチェックポイントについて論じた後、サイバーエージェントが市場で勝つために用いる二つの方法を説明することで、インターネット業界での新規事業の考え方を示す。

4 0 0 0 OA ピノッキオ

著者
村山知義 文・絵
出版者
朝日新聞東京本社
巻号頁・発行日
1948