著者
井口 浩一
出版者
嘉悦大学
雑誌
嘉悦大学研究論集 (ISSN:02883376)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.93-101, 2001-12-21

この世は、生命の創造ということによって成立している。したがって、常に新しい。その創造から祝福をもって遣わされた存在白身が、言霊や文字であると言っていい。このことから、彼らの役割は、徹底して、創造に参与することにおかれているに相違ない。その、永遠の経過が、瞬間ごとの事実というふうになっているとみて、誤まりはないであろう。私達は、かかる事実に、(言霊や文字を通じて)、素直にそえば、そこに、いやでも幸福は招来されずにはいないはずである。私達の親も、言霊や文字と同じ、創造にあるからである。事実を事実とすること、(自己白身を愛すること)、そういう生活を実践すること、つまり表現するということ、そのことが、私達の生命の唯一の使命なのではなかろうか?-歌を唄う、ということは、そういう営みを言う言葉として継がれてきているように思う。ここから、歌を、美しく唄うことが、誰にも大切なこととして登場してくる、と、私は考えている。しかし、現代のわが国は、かかる、事実を事実とする生活から、よほど離れてしまっているとしなければなるまい。多くの不調和の原因は、この反事実、反歌唄性に由来している、とみなしていい。言霊にかえること・文字そのものの古里を訪ねること、つまり、日本語で歌を美しく唄うという、私達のありのままの素直さが、現在、私達には天来の声として響いてきていると私には思われるのである。
著者
實川 幹朗
出版者
Mind/Soul Explorers
雑誌
心の諸問題論叢 (ISSN:13496905)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.27-61, 2009

学術雑誌の投稿論文審査(査読)が適切に行われていない問題を検討し、改善策を探ることが本論の狙いである。問題の性格を明らかにするため、不採択となった心理学論文二編の内容と査読所見とを検討した。一編は論理的・形式的議論から、脳とは独立の魂の存在を推論するもの、もう一編は特殊な教育現場における心理療法の事例から、治療論と研究方法の見直しとを論じたものであった。対照的な性格を持つこれらの論文にはしかし、着想の斬新さという共通点があった。査読所見を検討したところ、いずれの論文についても、見解の共通点がほとんどなく、不採択理由のすべては誤解に基づくか、不適切なものであった。心理療法の論文については、不採択と結論しながら理由のまったく挙げられない所見や、自分に分からないことをもって理由とした所見が目立った。また再審査の場合には、前回の所見の指摘を無条件に正しいと見做し、投稿者の反論を考慮せず、指摘を採り入れないことをもって不採択とする傾向も顕著であった。言い換えれば、思い付きによるあら探しと権威主義とが、査読の全般的傾向をなしていた。これらの結果から、少なくとも心理学領域においては、投稿論文査読はふさわしい役割を果たしていないことが、強く示唆された。これはまた、この分野での大学・大学院教員の資質と行動の適格性への疑惑をも惹起する。また隣接する他の分野においても、類似の問題の生じている可能性が示唆される。投稿論文の原則的な全編公開と公開での評価が、解決策となるであろう。
著者
酒井 恭高
出版者
名古屋文理大学短期大学部
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.109-114, 1993

体脂肪量の直接測定は現在の測定技術ではほとんど不可能であり,その試みは間接法による推定の域を説し得ない.多くの間接的推定法が開発されている中にキャリパー法とBI法がある.キャリパー法は,常にその妥当性や再現性等について信憑性が指摘されている.一方,BI法は再現性も高く,測定時間も2分程度で終了し極めて信頼性も高い測定法とされている.本研究は,BI法から算出される体脂肪量の推定を妥当と仮定し,キャリパー法の妥当性を検討した.被検者は健康で形態も日本人として標準的な18歳〜23歳の女性57名である.キャリパー法とBI法から算出されたF%の平均±標準偏差は. 28.21土7.04%, 29.77±4.77%でその差に有意差は認められなかった.しかし,キャリパー法の皮脂厚の計測は,被検者それぞれの皮膚の張り具合や測定誤差としての妥当性等にかなり問題があった.それは,キャリパー法とBI法の間に個々の差として,28.66〜-12.52%の差がみられたからである.また,皮脂厚腕(X_1)・皮脂厚背(X_2)を説明変数,BI法によるF%を従属変数とした重回帰はY=0.15(0.12)X_1+0.21(0.08)X_2+22.30〔()内推定標準誤差〕(r=0.48 P<0.01)を得たが,この推定式への寄与率は23%であった.従って,BI法を妥当と仮定した場合,キャリパー法によるF%の推定にはかなりの問題があることを強く指摘するものである.
著者
小川 勤
出版者
山口大学大学教育機構
雑誌
大学教育 (ISSN:13494163)
巻号頁・発行日
no.15, pp.25-35, 2018-03

本論文は,発達障害学生がその障害特性ゆえに,他の障害者に比べて就職が難しい現状に着目し,大学から社会への移行をスムーズに行うために,従来の対処療法的な支援にプラスした支援をどのように行っていくのかについて山口大学における実践を踏まえて論じたものである。発達障害学生の移行支援については,本人の自己理解力を高めるとともに,仕事理解力を高める必要がある。自己理解力を高めるためには発達障害学生本人が自分の障害を受容し,自分でできる対処や支援方法を理解するとともに,他の支援者に適切に配慮を要請するスキル,すなわち,「セルフ・アドボカシー・スキル(自己権利擁護力,以下,SAS)」を身に付ける必要がある。また,仕事理解では単に職種・仕事内容を理解するだけではなく,本人の障害状況とのマッチングを意識した支援を行う必要がある。さらに,本論文では,学内支援組織や学外の就労支援機関と連携・協力を行いながらどのようにSASを育成していくのかについて,山口大学における実践事例を交えて解説する。また,学外の就労支援機関と連携していく際に留意するべきことを明らかにする。
著者
丹野 宏昭 児玉 健
出版者
Japan Society of Personality Psychology
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.88-90, 2015

This study examined the relationship between werewolf-game experience and beliefs about lie clues. The participants included 203 undergraduates with no werewolf-game experience, and 42 werewolf-game fans, and 24 werewolf-game stage actors (Jinrou TLPT actors). They were asked to respond to a questionnaire. Two main results were observed. First, there were no significant differences between the three groups regarding their confidence in lie detection. Second, with respect to beliefs regarding the reaction to lying, werewolf-game fans and Jinrou TLPT actors believed that changes were likely to occur in remarks, while undergraduates believed that changes were likely to occur in bodily reactions.
著者
上野 大樹 安村 通晃
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.384, pp.1-6, 2011-01-15
参考文献数
6

近年,Twitterをはじめとした手軽でリアルタイム性やコミュニケーション性を重視したSNSが非常に流行してきている.また,こういったサービスは,ケータイ端末,特にスマートフォンからの利用と相性が良く,スマートフォン利用者の増加と共に,スマートフォンからTwitterを利用するユーザが増加してきている.この傾向を受けて,視覚障害者の中でもスマートフォンからTwitterを利用するユーザが出てきており,今後そういったユーザが増加していく可能性が高いと考えられる.だが,一般のユーザにとってもそうであるが,特に視覚障害者にとってスマートフォンからのTwitterの利用は,未だ不便な点が多い.そこで本研究では,スマートフォンのジェスチャー操作と音声入出力を利用して,誰でも簡単かつ手軽に利用できるTwitterシステムVoiTwiの提案,試作を行った.
著者
菱田 信彦
出版者
東京女子大学比較文化研究所
雑誌
東京女子大学比較文化研究所紀要 (ISSN:05638186)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.59-76, 2017

Elves and goblins in J. K. Rowling's "Harry Potter" books seem to be rather different from their traditional images we see in British folktales. Rowling's elves are pathetic, hardly able to act for their own sake, delighted only when they are treated well by witches and wizards. On the other hand, goblins are clever and assertive, and always stick to their goals. In Harry's last battle with Voldemort told in the seventh book, a goblin, Griphook, plays a crucial part. It seems that in Rowling's works goblins are given more positive roles than elves, which is not the case in most traditional folktales. However, learning to be kind to house-elves is also very important for Harry, because house-elves work best for those who are kind to them, and acquiring their help means a lot in the battles Harry fights. In the seventh book, Harry digs a grave for Dobby, the house-elf who has died to save him. Harry does this just for Dobby's memory, not to get help from house-elves. This selfless service of Harry's moves Griphook, usually a stubborn and defiant goblin, and he agrees to join forces with Harry in his task to defeat Voldemort. Elves and Goblins described in Rowling's works show that just being kind can change the world.