著者
刑部 育子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-11, 1998
被引用文献数
4

本研究の目的は, 保育園における4歳児の「ちょっと気になる子ども」の長期にわたる集団への参加過程を関係論的に分析したものである。関係論的視点, その中でもとくにLave, &Wenger(1991/1993)による「正統的周辺参加」論では, アイデンティティの形成過程を共同体への十全的参加者となることとする。Lave, & Wengerは, アイデンティティの変化を長期にわたる他者との生きた関係の中で提え, また実践の共同体の徐々なる参加を通した位置として提える。本研究では, 1993年4月から1993年12月までピデオ観察を週一回の割合で行い, 保育者との関わり, 他の子どもとの関わりを通した対象児のアイデンティティの変化を分析し, 記述した。その結果, 「ちょっと気になる子ども」が気にならなくなっていく過程で起きていたことは, その子ども個人の知的能力やスキルの獲得といった変化というよりも, 共同体全体の変容によることが明らかになった。
著者
時実 象一
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.185-192, 2013-05-25 (Released:2013-07-25)
参考文献数
19
被引用文献数
2

図書館情報学志望の学生を対象にウィキペディアの作成実習を行なった. 5-6名のグループで作成したい記事を選定し, ウィキペディアのアカウントを取得して記事を作成した. 2007 年以降, 25記事 (うち2記事は既存記事の補足) 作成した. そのうち4記事は削除され, 追加記事のうち2記事は編集を取り消されたが, 残りは今も生きている. 実習を受講した学生にアンケートを実施したところ, 「自分でも編集できると知って驚いた」「簡単に編集できるので驚いた」との感想が合計半数を超えていた. 教員に対するウィキペディアの利用についてのアンケート結果についても述べた.
著者
三輪 誠
巻号頁・発行日
2005-03

報告番号: ; 学位授与年月日: 2005-03- ; 学位の種別: 修士 ; 学位の種類: 修士() ; 学位記番号: ; 研究科・専攻: 新領域創成科学研究科基盤情報学専攻
著者
卜部 敬康 佐々木 薫
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.283-292, 1999-09
被引用文献数
1

本研究の目的は,授業中の私語の発現程度とそこに存在している私語に関するインフォーマルな集団規範の構造との関係を検討することであった。中学校・高校・専門学校の計5校,33クラス,1490名を対象に質問紙調査が実施され,私語に関するクラスの規範,私的見解および生徒によって認知された教師の期待が測定された。私語規範の測定は,リターン・ポテンシャル・モデル(Jackson,1960,1965;佐々木,1982)を用いた。また,調査対象となった33クラスの授業を担当していた教師によって,各教師の担当するクラスの中で私語の多いクラスと少ないクラスとの判別が行われ,多私語群7クラスと少私語群8クラスとに分けられた。結果は次の3点にまとめられた。(1)多私語群においては少私語群よりも相対的に,私語に対して許容的な規範が形成されていたが,(2)生徒に認知された教師の期待は,クラスの規範よりはるかに私語に厳しいものであり,かつ両群間でよく一致していた。また,(3)クラスの私語の多い少ないに拘わらず,「規範の過寛視」(集団規範が私的見解よりも寛容なこと)がみられた。これらの結果から,私語の発生について2つの解釈が試みられた。すなわち結果の(1)および(2)から,教師の期待を甘くみているクラスで私語が発生しやすいのではなく,授業中の私語がクラスの規範と大きく関わっている現象であると考察され,結果の(3)から,生徒個人は「意外に」やや真面目な私的見解をもちながら,彼らの準拠集団の期待に応えて「偽悪的」に行動する結果として私語をする生徒が発生しやすいと考察された。
著者
Yoshiyuki Sugishita Takuya Yamagishi Yuzo Arima Narumi Hori Naomi Seki
出版者
国立感染症研究所 Japanese Journal of Infectious Diseases 編集委員会
雑誌
Japanese Journal of Infectious Diseases (ISSN:13446304)
巻号頁・発行日
pp.JJID.2015.312, (Released:2015-09-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1 9

The number of notified syphilis cases in Tokyo has more than doubled in recent years. The number of reported primary and secondary syphilis cases increased from 108 cases (0.8 per 100,000 population) in 2007 to 245 cases in 2013 (1.9 per 100,000 population). During this period, the majority of cases was male (905/1,024), and the recent increase among primary and secondary syphilis cases was attributed to the increase among males (90/108 [83%] cases in 2007 to 218/245 [89%] cases in 2013); men aged 20-49 years contributed most to the increase, with those aged 30-34 years having the highest rate in 2013. Male-to-male transmission was the primary route of infection reported, and men who have sex with men (MSM) accounted for nearly 80% of male cases in 2013. Syphilis appears to be reemerging in Tokyo, and reducing the risk of acquiring syphilis among MSM aged 20-49 years should be a public health priority in Tokyo.
著者
藤原 耕三 槇 康子
出版者
大阪夕陽丘学園短期大学
雑誌
大阪女子学園短期大学紀要 (ISSN:02860570)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.20-28, 1959-06-01

チクロヘキシルスルファミン酸ソーダを、こしあん、しるこ、ぜんざいに使用してその味見試験を行った。三者の何れも場合も佐藤の甘さの40%をチクロヘキシルスルファミン酸ソーダで置きかえても著しい影響はなかったが、その使用量を増して60%以上にすると二、三問題点が生じた。せんざいにチクロヘキシルスルファミン酸ソーダを使用する場合は砂糖の一部を水あめで置き換えれば味は向上し、片栗粉を混入すると外観上良好であって両者を併用したものでは全糖品に優る結果を得た。
著者
田中 惣五郎
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.16-29, 1952

In the consolidation of the modern state, advanced sections of the community often lead other, less-advanced ones and sometimes enforce consolidation by conquest. In Japan, the four feudal clans of Satsuma, Choshu, Tosa and Higo formed a state through a secure consolidation with the emperor system, and thus brought into being a nation ruled by a feudal clique.
著者
朝鮮総督府鉄道局 編
出版者
朝鮮総督府
巻号頁・発行日
vol.全, 1912
著者
古谷野 英一
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.104-110, 1984

本研究は作業者の脈拍速度曲線を先行指標として, その変化から事務ミスの発生を予知することのできる方法開発の基礎研究である.本報ではとくに脈拍速度曲線と事務ミス曲線との相関関係が成立するための要因と, 相関係数の正負の発生構造を解明することを目的した.本報では被験者40名, 実験延時間400時間, 393回の英文タイプと電卓計算作業における打鍵ミスの実験を行った.実験結果の解析から, (1)両曲線間には統計的に有意な相関関係が存在するとともに脈拍先行差が存在する, (2)脈拍先行差は両極線の相関関係の正負発生に強い影響をもつ, (3)脈拍先行差は作業種別に影響を受けないが性別にやや受ける, (4)脈拍速度曲線に変動係数を用いた場合のほうが算術平均値を用いる場合より脈拍先行差の特性が現われやすい, (5)脈拍先行差には個人別恒常性が存在しない, (6)両曲線の相関係数の正負は作業者の作業開始時点と肉体的条件に影響を受ける, などのことが解明された.
著者
小崎 道雄 飯野 久和 トク トランリン ホウ ファムタン 関 達治
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.327-337, 2002-05-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10

「米酒」醸造地帯の「米酒」と米関係食品の製法, 特徴, 背景などについて, 東南アジア全域に渡り長期調査された筆者に, 前回に引き続き甘酒, 梗米酒, 糟米酒, 籾殻吸管酒, 焼酎について解説していただい。「米酒」の製造に黒米や赤米を使ったり, 米を焦がす方法や, 米とともに雑穀やキャッサバを使用するといった工夫がみられて面白い.又吸管の籾殻壼酒は親睦だけでなく, 儀礼的にも重要な位置を占めており, 飲酒文化面からも興味深い。
著者
佐々木 正昭 Masaaki Sasaki
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.101-117, 2005-05-25
著者
三鬼 清一郎
出版者
公益財団法人史学会
雑誌
史學雜誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.108, no.11, pp.1930-1932, 1999-11-20