著者
伊藤 英紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.96, no.2, pp.117-123, 2013-02-01

2012年1月に将棋電王戦が行われ,筆者の開発した将棋ソフト「ボンクラーズ」が米長邦雄元名人に勝利した.2012年現在の将棋ソフトの実力は人間のトップ棋士をも越えるほどである.最近のソフトの棋力向上の原動力の一つがクラスタ並列探索である.αβ探索のクラスタ並列化は技術的な困難が多く,少し前までほとんど成功例がなかったが,近年ボンクラーズがこの分野の技術を先導・開拓し,棋力向上を実現した.本稿ではコンピュータ将棋におけるクラスタ並列探索技術の過去の事例を振り返り,その困難さについて述べた後,ボンクラーズの実装を中心に技術のポイントを幾つか解説していく.
著者
坂東 俊彦
出版者
奈良大学史学会
雑誌
奈良史学 (ISSN:02894874)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.59-84, 1998-12

「情報化社会」といわれる今日の情況を反映して、「情報」というものに注目が集まっており、その意義などについて各分野での考察が盛んに行われている。近世史の分野でも従来からの街道、飛脚といった交通史、黄表紙、絵草紙やかわら版といった出版文化史など「情報」を素材とした研究が数多くなされている。また幕末期における「情報」の情況についても、嘉永六年(一八五三)六月のペリーの来航やアヘン戦争などの海外情報をはじめとする政治・社会情報を中心として、和親・開国、穰夷・鎖国の両論の政局、政策的な論議の推移を対象とした研究がなされ、一定の成果を挙げている。それはペリi来航時におけるアメリカ大統領の国書の諸大名から庶民層にまでへの開示・意見聴取をおこなったように、幕府上層部など特定の階層での「情報」の独占、隠匿ということはなくなった。そして「情報」の上から下、横への広がりや情報交換のための人的なネットワークの形成がなされて、各地で一般民衆のレベルでも海外情報をはじめ多種多様な政治・社会情報をかなり自由に入手することのできる「情報化社会」へと幕末の社会構造が変化していったとされる。また一方で宮地正人氏は、ペリーの来航情報に始まったこれら十九世紀後期の、「情報」が民衆の問で蓄積されていく情況を「風説留的社会」の成立とし、幕末期の政治問題を開国、鎖国の政策論議のレベルではなく、急速に形成されつつあった国民的輿論11「公議輿論」と幕府の専制的・家産制的政治支配との構造的矛盾のレベルに存在していたとしており、この「公論」世界の成立が近代社会成立の条件の一つであるとしている。そこで本稿ではこれらの成果を踏まえつつ、中央での政治的発言力、権力を持たなかった山城地域における在地有力者層が、いかにしてペリーの来航などの海外情報やそれ以降の政治・社会情報を入手、分析、理解し、近代「公論」世界の担い手としてその形成に関わりを持っていったかについて、石清水八幡宮社十・河原崎家を例にとり、考察をしようとするものである。
著者
安岡 昭男 長井 純市
出版者
法政大学
雑誌
法政大学文学部紀要 (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.A13-A24, 2006-03-06
著者
矢野 環
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.4, pp.1-8, 2013-07-27

AKB のシングル選抜総選挙は、今や 6 月の恒例行事となっている。メンバーの得票数を予想する様々な試みがなされている。講演者の方法は、2011,2012 年度上位 16 名、かつ 20 名の顔ぶれを的中させ、また 2013 年では 16 名中 15 名が的中であった。また、2012,2013 ともに上位 3 名は順序を含めて的中である。このようなシステムを考察する場合、特殊な分析手法をあれこれ使うよりも、データそのものをよく見ることが有効である、という良い例にもなっているのである。また、対象をよく知ることも重要である。それらを考慮した、実際の方法について解説する。Nowadays, the single selection general election of AKB serves as a routine occurrence in June. Various trials which expect a member's number of votes obtained are made. The lecturer's method made 16 and 20 persons' higher rank lineup guess right in the 2011-2012 fiscal year, and 15 persons were hits among 16 persons in 2013. Moreover, top three persons are hits, including the order in 2012-2013. When considering such a system, it is more effective to see the data itself than using specialized analytical method.
著者
玉井 建也
出版者
学習院大学東洋文化研究所
雑誌
東洋文化研究 (ISSN:13449850)
巻号頁・発行日
no.18, pp.57-80, 2016-03

This paper examines the formation of history image and the relationship with development and the real world by taking up an image of the person who appears on historical novels. More specifically, this paper discusses the Ghost Story of Yotsuya, Juutarou IWAMI and Sasuke SARUTOBI and considered the difference between the forgotten existence and the existence left for the memory even now. A correlation with story culture and the real world is important. Moreover fans of entertainment works also referred to the tourism by visiting related places. I pointed out the importance of the archive facilities where it is supported.
著者
下坂 智恵 下村 道子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.125-131, 1996-05-20
被引用文献数
1

近年わが国の生活環境は大きく変化し、家庭内の衣・食生活は多様化し、さらに高齢化が急速に進む中で、高齢者をめぐる家庭生活の状況も以前とは異なってきている。そこで本調査では女性の家事行動の実態と意識について多面的に把握しようとした。女性は、食料品よりも衣料品を買いに行くことが好きとした者が多かった。また、食料品の買物、料理作りなどの食生活に関する行動よりも、衣料品の買物、手芸など衣生活に関する行動をすることで、ストレスの解消になるとした者が多かった。実際の行動としては、生活の技術といわれる食生活関連の行動の方が衣生活関連の行動よりも頻度が高かった。女性の25〜34歳では、クリスマスや子供の誕生日に特別な料理を作るとした者が多く、パンや菓子作りをする割合も高かった。25〜64歳では、年齢が高くなるにつれて食器やおしゃれに関心をもち生活を楽しもうとする傾向がみられ、買物をすることは楽しくストレスの解消になるとした者が多かった。とくに衣料品の買物でストレスの解消になるとした者が高率であった。65歳以上の女性は、他の年齢と比べて惣菜や半調理品を購入する頻度が高く、外食頻度は低かった。そして、漬物や煮豆、行事食などを作ることが多く、夕食作りや夕食の後片付けなどを楽しむ傾向がみられた。すなわち、惣菜を購入する率は高く、その一方、料理を楽しいと意識し、伝統食の手作りなどを楽しむ傾向がみられ、これらは家事の簡便化指向と同時に、余暇として楽しむという二極分化現象とみることができる。女性で年齢の高い者は低い者よりも、みそ汁や漬物作り、夕食作りを楽しいとし、食卓を飾る、盛り付けに配慮するなど食生活を楽しむ傾向がみられた。本調査から作り慣れている料理は、高齢になったときに、容易に行うことができ、楽しみとして作ることができるのではないかと考えられる。
著者
髙田 祐介
出版者
佛教大学歴史学部
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.55-78, 2016-03-01

本稿では、明治維新直後に生じた外交問題として知られる、堺事件とその「殉難者」の近代日本における顕彰過程に焦点をあてた。近代という時間軸を通してこれを跡づけた場合、国家による評価の揺らぎや、ときに国家との相克を伴う地域の顕彰活動および歴史像の形成が析出された。それとともに事件現場の堺のみならず事件当事者の出身地である高知あるいは中央の政治家など、広範な顕彰主体の存在と時々の情勢に沿ったその変遷という顕彰の推移が明確となり、特に靖国合祀に至る経過を、初めて実証的に解明した。明治維新堺事件殉難者顕彰靖国神社合祀
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1545, pp.90-93, 2010-06-14

ここまで社会から叩かれ、批判を浴び続けた組織も少なかろう。ピークに達した国民の怒りは、政権すら交代させるほど凄まじかった。 「あれだけやられると世間の目が怖くなり、職場にも萎縮ムードが漂っていました。精神的に参る時期もありましたね」。西日本にある年金事務所の幹部がこう言うのも無理はない。