著者
伊佐敷 隆弘
出版者
日本大学哲学研究室
雑誌
精神科学 (ISSN:02876604)
巻号頁・発行日
no.54, pp.1-20, 2016
著者
近藤 良享
出版者
日本体育・スポーツ哲学会
雑誌
体育・スポーツ哲学研究 (ISSN:09155104)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.15-30, 1998
被引用文献数
1

The purpose of this study is to clarify the issue of an individual's sovereignty over his own body and person in the field of professional boxing.<br>This study is based on the debate between the well-known principles of individual sovereignty as presented by John Stuart Mill and the paternalistic regulations issued by the Japanese Boxing Commission (JBC).<br>The results here are as follows:<br>1. In a free society which emphasizes individual autonomy, a professional boxer such as J. Tatsuyoshi has sovereignty over his own body, the reason being that strong paternalism cannot be justified in the case of adult athletes.<br>2. In order to promote sound professional boxing, JBC should provide safe athletic settings and examine the medical condition of all boxers by means of medical examinations and empirical studies.<br>3. A balance of sovereignty and paternalism in sports should be achieved in an open system for all athletes. Moreover, unfair regulations should be replaced with fair ones.
著者
清塚 邦彦
出版者
Tohoku University
巻号頁・発行日
2016-11-10

要約のみ
著者
塚野 弘明 TSUKANO Hiroaki
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.451-459, 2015-03-01

認知行動療法(CBT)とは、患者自身が自分の心(認知、行動、身体、気分)の状態や関連性を知り、それを変えられるという実感を通して自らを制御する力をつけていく自己コントロール法である。こうした方法の発想自体はそれほど珍しいわけではなく、古くから指摘されてきた。たとえば、ギリシャのストア哲学者エピクテトスは、「人間は、生じる物事によってではなく、その物事に対する考え方によって煩わされるのである」と述べている(Epictetus 1991)。また、ダライ・ラマは、「私たちがじぶんの思考や情動を新たな方向に向かわせ、自らの行動を整理し直すことができれば、苦悩をうまく処理する術をもっと簡単に習得できるだけでなく、そうした苦悩の発生を最初からかなり防ぐことができる」と述べている(Dalai Lama 1999)。このように、人間の気分や行動は、認知のあり方(ものの考え方や受け取り方)の影響をうけることから、しばしば認知の偏りを生じることがある。CBITでは、その偏りを修正し、問題解決を手助けすることによって精神疾患を治療することを目的とした心理療法である.これがCBTとして確立したのは、1970年代にベックがうつ病に対する心理療法として構造化してからである(Beck,Ruth,Shaw et.al 1979)。その後、うつ病はもちろん、不安障害やストレス関連障害、パーソナリティー障害、摂食障害(神経性大食症)、統合失調症などの精神疾患に対する治療効果と再発予防効果を裏付ける優秀なエビデンス(科学的証拠)が多く報告されてきたことから、欧米を中心に世界的に広く使用されるようになった。また精神疾患以外でも、日常のストレス対処、夫婦問題、司法や教育場面の問題など、その適応範囲は広がりを見せている。日本では、特に1980年代後半から注目されるようになった。それとともに治療効果の検証も進み、2010年度からうつ病のCBTが保険診療報酬の対象になった。その背景には、薬物治療中心の精神医学に限界が生じ、心理社会的治療を併用することの重要性が認識されるようになったことが大きく影響している。また、従来の心理療法の問題点(話は共感的に聞いてもらえるが有効なアドバイスをもらえない)の指摘などもCBTが注目される理由となっている。マスコミで取り上げられたこともあり、最近では受診の際に「CBTを受けたい」と希望する患者が多くなっている。しかし、定型的なCBTを実施できる専門家の数に限りがあるなど課題も多い。
著者
廣田 照幸 宮寺 晃夫 小玉 重夫 稲葉 振一郎 山口 毅 森 直人 仁平 典宏 佐久間 亜紀 平井 悠介 下司 晶 藤田 武志
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

教育システム設計の理論的基盤を確立するために、現代の教育理論、社会理論や政治哲学がどのように役立つのかを検討した。教育が果たす社会的機能を考えると、社会の多様な領域の制度との関わりを抜きにして教育システムを構想するのは問題をはらむということが明確になった。本研究では、社会のさまざまな領域の制度、特に福祉や労働の制度を支える諸原理と教育システムを構成する諸原理とを一貫した論理、または相補的な論理でつなぐ考察を行った。
著者
鈴木 貴之 鈴木 真 笠木 雅史 井頭 昌彦 太田 紘史
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

今年度は、本研究プロジェクトの5つの研究課題のうち、従来の哲学方法論の批判的評価、哲学的自然主義の可能性と限界、実験哲学の哲学的意義の評価、という3つの課題についておもに研究を進めた。従来の哲学方法論の批判的評価に関しては、2017年10月に香港大学からマックス・ドイッチュ氏およびジェニファー・ネド氏を招いて、科学基礎論学会秋の研究例会および東京大学で、哲学における直観の重要性と信頼性に関するワークショップを開催した。また、笠木雅史が同月に開催された日本科学哲学会のシンポジウムで、分析哲学における哲学方法論の歴史について発表を行った。哲学的自然主義の可能性と限界に関しては、井頭昌彦が自然主義の定式化や代替案を論じた論文を発表し、鈴木貴之と太田紘史が、自然主義的な心の哲学の現状や課題について、論文や共著を発表した。また、鈴木貴之が道徳に関する心理学研究の哲学的意義について、2018年2月に東京大学で開催された社会心理学コロキウムで発表を行った。実験哲学の哲学的意義の評価に関しては、笠木雅史が文化間の実験哲学研究に関する問題について論文を発表し、鈴木貴之が哲学における責任をめぐる議論の現状と、そこにおける実験哲学の意義について論文を発表した。また、鈴木真が実験哲学についての辞典項目を執筆した。さらに、来年度以降に本格的に研究を進める予定であるメタ哲学的観点からの哲学史の見直しに関しても、2017年8月に東京大学で研究会を開催し、小山虎氏が20世紀前半における分析哲学と科学哲学の関係について講演した。
著者
田中 裕
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.117-122, 1989

1964年に発表されたベルの不等式の実験的検証は1970年代から複数の科学者グループによって遂行されたが, 1982年にフランスの物理学者アラン・アスペによって行なわれた光子対の偏極相関の範囲を測定する実験は, 実験の精度の高さと遅延選択の採用による非局所的相関の確認によって, 量子物理学の解釈をめぐる原理的諸問題の考察に新しい局面を拓いたといえる(1)。嘗ては思考実験にすぎなかったものが技術の進歩によって現実の実験となることによって, 1930年代にボーアとアインシュタインの間でなされた量子力学の完全性をめぐる哲学的論争が新しい姿で甦ることとなった。この論文は二部に分かれる。第一部ではEPRの議論に要約されるアインシュタインの量子力学批判を適切な形で再定式化することによって, ベルの定理との論理的な関係を明らかにすることを目的とする。ベルの不等式の実験的反証によって明らかとなった「分離不可能性」の事実を確認したあとで, 第二部ではEPR相関と相対性理論の基本思想との関係を主題とする。
著者
森 達也
出版者
政治哲学研究会
雑誌
政治哲学 (ISSN:24324337)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.91-100, 2019 (Released:2019-04-10)
参考文献数
10
著者
宇野 重規
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3-4, pp.153-172, 2011-03-15

本稿は「労働」と「格差」について, 政治哲学の立場からアプローチする. 現代社会において, 労働は生産力のみならず社会的なきずなをもたらし, さらに人々に自己実現の機会を与えている. 対するに格差は, 社会の構成員の間に不平等感や不公正感を生み出すことで, 社会の分断をもたらす危険性をもつ. このように労働と格差は, 正負の意味で政治哲学の重要なテーマであるが, これまでの政治哲学は必ずしも積極的に向き合ってこなかった. その理由を政治思想の歴史に探ると同時に, 現代において労働と格差の問題を積極的に論じている三人の政治哲学者の議論を比較する. この場合, メーダが, 政治哲学と経済学的思考を峻別するのに対し, ロールズは, ある程度, 経済学的思考も取り入れつつ, 独自の政治哲学を構想する. また, 現代社会が大きく労働に依存している現状に対しメーダが批判的であるのと比べ, ネグリのように, あくまで労働の場を通じて社会の変革を目指す政治哲学もある. 三者の比較の上に, 新たな労働と格差の政治哲学を展望する.
著者
エルヴイン・ニーデラ
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.481-492, 1983

哲学, 心理学, 社会学, 特に言語学の分野では, 多領域に亘る様々な理論を背景に言葉と思考との関連性が論じられているが, 現在なお意見の一致をみるに至っていない.これは, 言葉と思考の本義が問われる時, 常に生じる問題であり, 例えば,言葉を意志疎通の手段と定義するならば, 動物ですら言葉を有すると言えるであろう. この場合, 我々の言葉の特に人間的な面を動物の伝達方法と判別するのは困難となる. また, 心理学者, O.Setzの説のように, "考えること" を "Know How" と定義するならば, 猿も "考える" ことになる. 猿は手の届かぬ所にあるバナナを棒を利用して獲得するからである. 人間個有の思考能力を勘案する時, 人間の思考を単に動物的能力の上昇したものにすぎぬと解するのは, 適切とはみなされえないだろう. この小論では,特に, 人間の言語獲得能力とその再生的, 生産的思考性の考察を基に, 言葉と思考の関連性が論述される.
著者
福岡 義隆
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.751-762, 1993
被引用文献数
1

まず始あに,最も古典的で著名ないくつかの文献と筆者自身の考えに基づいて,気候学と気象学の違いを論考する.気象学が人間不在でも成り立つ大気の科学であるのに対して,気候学は必ず人間の存在と密着した大気の科学であるとする.気候学をも含め自然地理学は,隣接の理工学の手法を取り入れるが,解析・理論的解釈の段階で人間的要素を色濃くもった地理学独自の哲学・思想が必要である.<br> それゆえに,気候学は自然地理学の一つ,あるいは地理学そのものとしての存在理由があるはずである.その存在理由は'Physical-Human Process.Response'と称するW. H. Terlungのシステム論における5番目のカテゴリーによって確信づけられる.筆者はそのようなcontrol systemの説明のために3っの具体的な気候学の研究例を紹介した.その一つはW. H. Terlungが論じているように"都市気候学"の研究である.ほかの一つは"災害気候学"に示され,そのうちの一つとして年輪に記録される干ばつの気候に関する研究を紹介した. 3つ目は"気候資源に関する研究"で,これも最も地理学的な気候学の一つと考えられる.というのは,それらの研究が自然エネルギー利用の伝統的方法における気候学的考えに拠るものであるからである.最後に,いつまでも他分野に仮住まいすべきではなく,気候学という現住所にいて地理学という本籍(本質)を全うすべきことを主張した.
著者
森 大徳
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書 (ISSN:18817165)
巻号頁・発行日
vol.255, pp.115-127, 2013-02-28

千葉大学大学院人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書第255集『子どものための哲学教育研究』山田圭一 編"Studies of Philosophical Education for Children" Report on the Research Projects No.255