著者
緒方英彦 加藤諭 清水邦宏 金子英敏
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2017(仙台)
巻号頁・発行日
2017-06-13

既存の付着強さ試験は,鋼製治具を接着剤でコンクリート表面に固定する方法であるために,表面の付着物や水分状態の影響を受け,試験面が滞水している場合には試験そのものが実施できない。この課題を解決するために,著者らは,アンカー機構の治具による無機系補修材料の付着強さ試験方法の開発を進めている。本論では,既存の接着方法と同等の結果を得るためのアンカー治具を設計するとともに,試験方法を室内試験で検討し,開発した試験方法を現地試験で検証した。その結果,反力板を用いることで破断面積を均一にでき,接着方法と同じ引張強度が得られることを明らかにした。
著者
長谷川雄基 長束勇 谷村成 佐藤周之
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2017(仙台)
巻号頁・発行日
2017-06-13

本研究では,コンクリートの表層品質の評価指標として適用される表層透気係数に着目し,表層透気試験の結果からコンクリートおよび無機系補修材料の耐摩耗性を推定する手法を実験的に検討した。結果として,表層透気係数と摩耗質量との間には関連性のあることが確認でき,表層透気係数から耐摩耗性を推定可能な関係式を示した。しかしながら,けい酸塩系表面含浸材は,塗布する銘柄ごとに表面改質効果が異なることから,表層透気係数と摩耗質量との間には必ずしも一定の傾向が成立しないことが示唆され,本研究で導いた関係式による推定の精度が低下するケースのあることが考えられた。
著者
北 和之 篠原 厚 河津 賢澄 二宮 和彦 稲井 優希 箕輪 はるか 大槻 勤 木野 康志 小荒井 一真 斎藤 敬 佐藤 志彦 末木 啓介 高宮 幸一 竹内 幸生 土井 妙子 阿部 善也 岩本 康弘 上杉 正樹 遠藤 暁 大河内 博 勝見 尚也 神田 晃充 久保 謙哉 小池 裕也 末岡 晃紀 鈴木 杏菜 鈴木 正敏 鈴木 健嗣 高瀬 つぎ子 高橋 賢臣 張 子見 中井 泉 長尾 誠也 南部 明弘 藤田 将史 森口 祐一 谷田貝 亜紀代 横山 明彦 吉田 剛 吉村 崇 渡邊 明
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

【研究背景】 2011年3月に起こった、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、福島県を中心とする陸域に大規模な放射能汚染が起こった。事故後の2011年6月には、日本地球惑星科学連合および日本放射化学会を中心とした有志の研究グループが、汚染状況の把握のための土壌採取のフィールド実験を実施した。これにより初期の汚染状況が明らかとなったが、航空機サーベイ等による汚染状況の把握は継続して行われているものの、実際に土壌を採取して汚染状況の詳細を把握する大規模な調査はそれ以降行われていない。事故から5年以上が経過し、土壌に沈着した放射性核種(主に放射性セシウム:134Csおよび137Cs)は環境中でその化学形態等を変化させ、土壌の深部への浸透や流出により、初期とは異なる分布状況に変化していることが予想される。帰還困難区域の除染作業が開始されようという状況で、土壌の放射性核種の汚染状況を把握するのはきわめて重要である。そこで本研究では、福島県内の帰還困難区域を中心として土壌採取のフィールド実験を行い、その分析により現在の汚染状況の把握することを目的に実施した。【調査概要】 本研究プロジェクトは、2016年6月から9月にかけての9日間、のべ176名で実施した。福島県内の帰還困難区域を中心として、公共施設等を選定したうえで、各自治体との情報交換を行い、除染が行われていない地点全105か所を土壌採取場所として選択した。まずはNaIシンチレーターもしくは電離箱を用いて地面から1 mおよび5 cmの空間線量の測定を行い、専用の採土器を用いて表層より5 cmの土壌を採取した。試料採取場所におけるばらつきを評価するために、1地点ごとに5試料の採取を実施し、5年間の環境中での放射性核種の移動状況を評価するために、土壌は表層部の0.0-2.5 cmと、深部の2.5-5.0 cmに分けて採取した。また放射性核種の移行過程をより詳しく調べるために、4地点につき1地点程度、深さ30 cmのコア試料の採取も行った。本講演では、この調査について概要を説明し、事故直後と5年後の比較などいくつかの初期結果について簡単に紹介する。より詳細な結果については、別の講演にて報告が行われる。
著者
熊本 雄一郎 青山 道夫 濱島 靖典 岡 英太郎 村田 昌彦
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

2011年3月11日に発生した巨大地震とそれに引き続く大津波は、福島第一原子力発電所(FNPP1)の核燃料露出と炉心損傷を引き起こした。その結果、多くの放射性セシウム(134Csと137Cs)がFNPP1より漏えいし北太平洋に放出された。これまでの観測研究によって、日本近海の北太平洋に大気沈着および直接流出した放射性セシウムは北太平洋海流に沿って中緯度表層を東に移行しつつあることが明らかにされた(Kumamoto et al., 2016)。また、黒潮・黒潮続流の南側に大気沈着した放射性セシウムは亜熱帯モード水の亜表層への沈み込みによって、2014年末までに西部亜熱帯域のほぼ南端に相当する北緯15度まで南下したことが確認されている(Kumamoto et al., 2017)。一方、2011年から2015年の約4年余の間、北海道西部、新潟、石川、福井、島根、佐賀、鹿児島、愛媛、静岡県の各原子力発電所の沿岸域では、海水中放射性セシウムの継続な濃度上昇が確認されている(規制庁, 2016)。また、Aoyama et al.(2017)も2015/2016年に同沿岸海域における表面水中濃度の上昇を報告している。放射性セシウム濃度の上昇が観測された海域は黒潮系水の影響が比較的大きい沿岸海域であり、これらの結果はFNPP1事故で西部亜熱帯域全体に拡がった放射性セシウムが、時計回りの亜熱帯循環流によって日本沿岸に回帰していることを暗示している。しかしながら、西部亜熱帯循環域におけるFNPP1事故起源放射性セシウムの時空間変動は明らかではない。我々は2015年および2016年に黒潮・黒潮続流南側の西部亜熱帯域において、表面から深度約800mまでの海水中溶存放射性セシウムの濃度を測定したのでその結果を報告する。海水試料は、新青丸KS15-14(2015年10月)、白鳳丸KH16-03(2016年6月)、および「かいめい」KM16-08(2016年9月)の各観測航海において、バケツ及びニスキン採水器を用いて各10~20リットルを採取された。陸上の実験室(海洋研究開発機構むつ研究所)において硝酸酸性にした後、海水中の放射性セシウムをリンモリブデン酸アンモニウム共沈法によって濃縮し、ゲルマニウム半導体検出器を用いて放射性セシウムの濃度を測定した。濃縮前処理と測定を通じて得られた分析の不確かさは、約8%であった。北緯30-32度/東経144-147度で得られた134Cs濃度(FNPP1事故時に放射壊変補正済)の鉛直分布を、同海域において2014年に得られたそれ(Kumamoto et al., 2017)と比較した。その結果、深度100m程度までの表面混合層においては、2014年には約1 Bq/m3であった134Cs濃度が、2015/2016年には1.5-2.5 Bq/m3に増加したことが分かった。一方、深度300-400mの亜表層極大層におけるその濃度は、2014年から2016年の3回の観測を通じてほとんど変化していなかった(約3-4 Bq/m3)。この134Cs濃度の亜表層極大層は、亜熱帯モード水の密度層とよく一致していた。一方、同じく黒潮続流南側の北緯34度/東経147-150度における放射壊変補正済134Cs濃度は、2012年から2014年の約3年間に、表面混合層では検出下限値以下(約0.1 Bq/m3)から約1 Bq/m3に増加し、亜表層の300-400mでは約16 Bq/m3から約3-4 Bq/m3に低下したことが報告されている(Kumamoto et al., 2017)。これらの観測結果は、FNPP1事故から5年以上が経過した2016年までに、亜熱帯モード水によって南方に輸送されたFNPP1事故起源の放射性セシウムが同モード水の時計回りの循環によって、日本南方の西部亜熱帯域北部に回帰してきたことを強く示唆している。その他の起源(例えば陸水)の影響が小さいと仮定できるならば、表面混合層における2012年から2016年の間の134Cs濃度上昇(0.1 Bq/m3以下から1.5-2.5 Bq/m3)は、亜表層極大の高濃度水がentrainmentによって表面水に取り込まれたためと推測される。講演では、日本沿岸域の2015/2016年の観測結果速報も報告する予定である。この本研究はJSPS科研費24110004の助成を受けた。
著者
操上 広志 Malins Alex
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

放射性セシウムは土壌への強い収着特性を有する一方、深度方向に緩やかに移動し、その結果として空間線量率は物理減衰以上の低減を示している。放射性セシウムの深度分布はExponential型あるいはそれ以上に深度方向に延伸する型が多く認められる。このような放射性セシウムの分布の変遷は、数値解析によって収脱着の反応速度と分散の効果で説明しうることがわかってきた。本報告では、収脱着の反応速度を考慮した移流分散モデルおよび放射線輸送モデルを用い、放射性セシウムの深度分布変化に基づく空間線量率変化の予測結果を例示する。空間線量率の低下は、フォールアウト後10年程度まで放射性セシウムの土壌深度方向への移動により物理減衰以上であることが期待される。その後は、放射性セシウムの土壌への固定化が進むとともに物理減衰程度になると想定される。
著者
Brent Sherwood Adrian Ponce Michael Waltemathe
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

Introduction: Planetary-protection requirements for exploring solar system ocean worlds rest on a key value: limiting to one in ten thousand the probability that a single viable Earth organism will enter an alien liquid water reservoir [1]. Enforceable under international treaty, the 10-4 forward-contamination requirement governs missions by NASA, JAXA, and ESA. Its relevance increases as these international partners focus on places “with real water” far out in the solar system, where life unrelated to Earth life may have arisen. So it is important to understand the origin of this key requirement, and periodically to revisit the assumptions behind it. Even NASA anticipates that “these requirements will be refined in future years” [2].The 10-4 requirement traces to the 1940s in the US [1, 3]. Many changes in the intervening half-century justify revisiting the requirement’s rationale: 1) vastly improved technology for assaying biomolecules and organisms; 2) expansion of the definition of self-replicating organisms; 3) expansion of the environmental ranges known to be habitable; 4) deeper understanding of how multi-cellular communities behave differently from single organisms; 5) expansion of the habitable exploration target list to include several icy moons containing vast liquid-water oceans; and 6) a sociological and international context for setting policy quite evolved since the mid-20th century.The 10-4 requirement may still be appropriate for today’s exploration of places that meet textbook criteria for being habitable. But the requirement might be either technically or socio-culturally outdated, or both. Without validation by an explicit conversation among a broad, international cross-section of stakeholders, mission plans by any nation could be severely disrupted downstream. If the requirement should be modified by international consensus, starting this process now would be advisable.Pedigree and evolution of the 10-4 requirement: We describe the rationale for the current requirement: its source; quantification drivers in the original debate; how it was determined to be appropriate for humanity’s first contact with Mars in particular and habitable alien environments in general; and its verifiability. We lay out the rationale for reconsidering it now, including how it has been handed down, and its validity given a prospect not envisioned in the 1970s: multiple, vast, interior salt-water oceans, with seafloor hydrothermal activity and organic chemistry.Viability of life: Many fields affecting our understanding of how life might take hold in ocean-world environments have emerged since the Viking era: 1) biology of extremophiles; 2) detailed scenarios for the origin of life; 3) replication of non-life macromolecules including retroviruses and prions; 4) rapid evolution for survivability as environmental conditions change; and 5) how communities of microorganisms maintain local habitability. This new knowledge affect quantification of survival and replication probabilities.Planning for low-probability, high-consequence events: We analyze limitations in how humans rationalize events with low probability but high consequence; how systematic human perception biases can be compensated; and how perceptions of risk are normalized and acculturated. We compare the current requirement to other risks in the range from 10-2 to 10-10. We assess how decision responsibility might be distributed across stakeholders, and what voice planetary scientists can have.Ethical basis for contaminating an alien ecosystem: We frame the low risk of contaminating an off-world ecology as one of many techno-ethical decisions facing humanity today, that must weigh consequences, compare ethical values, and accept uncertainty based on the comparison. The 10-4 requirement may not deserve automatic perpetuation. What status should it have within an international, ethical decision-making process? We contrast a meta-ethical discussion about absolute values with reliance on an arbitrary number governing the absolute necessity of preserving scientific discovery or protecting alien life. We describe how can an enlightened understanding and evolving consensus can flow down into governing policy.References: [1] Melzer, M., When Biospheres Collide: A History of NASA’s Planetary Protection Programs, 2011, NASA, Washington DC, p.78-84. [2] Conley, C. Planetary Protection for Icy Moons: Update to the 2012 SSB Europa Report, cited 2017, 1/8/2017, https://planetaryprotection.nasa.gov/missiondesign/. [3] Werber, M., Objectives and Models of the Planetary Quarantine Program, 1975, NASA, Washington DC, p. 9-11.
著者
野津 湧太 前原 裕之 行方 宏介 野津 翔太 幾田 佳 本田 敏志 野上 大作 柴田 一成
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

Flares on G, K, M-type stars are sudden releases of the magnetic energy stored around the starspots, like solar flares. Recent high-precision photometry from space shows that "superflares", which are 10-104 times more energetic than the largest solar flares, occur on many G, K, M-type stars including Sun-like stars (slowly-rotating G-type main-sequence stars like the Sun) (e.g., Maehara et al. 2012 Nature). Such superflares emit harmful UV/X-ray radiation and high-energy particles such as protons, and may suggest that exoplanet host stars have severe effects on the physical and chemical evolution of exoplanetary atmospheres (cf. Segura et al. 2010 Astrobiology, Takahashi et al. 2016 ApJL). It is then important to know the detailed properties of such superflare events for considering the habitability of planets.In this presentation, we present statistical properties of superflares on G, K, M-type stars on the basis of our analyses of Kepler photometric data (cf. Maehara et al. 2012 Nature, Shibayama et al. 2013 ApJS, Notsu et al. 2013 ApJ, Maehara et al. 2015 EPS). We found more than 5000 superflares on 800 G, K, M-type main-sequence stars, and the occurrence frequency (dN/dE) of superflares as a function of flare energy (E) shows the power-law distribution with the power-law index of -1.8~-1.9. This power-law distribution is consistent with that of solar flares.Flare frequency increases as stellar temperature decreases. As for M-type stars, energy of the largest flares is smaller (~1035 erg) compared with G,K-type stars, but more frequent "hazardous" flares for the habitable planets since the habitable zone around M-type stars is much smaller compared with G, K-types stars.Flare frequency has a correlation with rotation period, and this suggests young rapidly-rotating stars (like "young Sun") have more severe impacts of flares on the planetary atmosphere (cf. Airapetian et al. 2016 Nature Geoscience). Maximum energy of flares and flare frequency also depends on the area of starspots, and this suggest existence of large starspots is important factor of superflares.The statistical properties of superflares discussed here can be one of the basic information for considering the impacts of flares on planet-host stars.
著者
谷 健一郎 Ishizuka Osamu McIntosh Iona Nichols Alexander Masaki Yuka Ikegami Fumihiko Sumino Hirochika Toyofuku Takashi
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

Oomurodashi is a large bathymetric high located at the northern end of the Izu-Bonin Arc. Using the 200 m bathymetric contour to define its summit dimensions, the diameter of Oomurodashi is ~20 km, making it one of the biggest edifices among the Izu-Bonin Arc volcanoes. Oomurodashi has been regarded as inactive, largely because it has a vast flat-topped summit at ~100 meters below sea level (mbsl).During cruise NT07-15 of R/V Natsushima in 2007, we conducted a dive survey in a small crater, Oomuro Hole, located in the center of the flat-topped summit, using a remotely-operated vehicle (ROV). The heat flow measurement conducted on the floor of Oomuro Hole during this dive recorded an anomalously high value of 4,200 mW/m2. Furthermore, ROV observations revealed that the southwestern wall of Oomuro Hole consists of fresh rhyolitic lavas.These findings suggest that Oomurodashi is an active silicic submarine volcano. To confirm this hypothesis, we conducted detailed ROV and geophysical surveys of Oomurodashi in 2012 and 2016 (cruises NT12-19 of R/V Natsushima and KS-16-6 of R/V Shinseimaru). The ROV surveys revealed numerous active hydrothermal vents on the floor of Oomuro Hole, at ~200 mbsl, with maximum water temperature measured at the hydrothermal vents reaching 202°C. We also conducted a much more detailed set of heat flow measurements across the floor of Oomuro Hole, detecting very high heat flows of up to 29,000 mW/m2. ROV observations revealed that the area surrounding Oomuro Hole on the flat-topped summit of Oomurodashi is covered by extensive fresh rhyolitic lava and pumice clasts with minimal biogenetic or manganese cover, suggesting recent explosive eruption(s) from the Hole. Furthermore, several small (~50 m in diameter) domes were discovered on the flat-topped summit of Oomurodashi, and an ROV survey recovered fresh rhyolite lava from one of these domes, suggesting that more effusive, lava dome-building eruptions also occurred recently. These findings strongly indicate that Oomurodashi is an active silicic submarine volcano, with recent eruption(s) occurring from Oomuro Hole. Since the summit of Oomurodashi is in shallow water, it is possible that eruption columns are likely to breach the sea surface and generate subaerial plumes. A ~10 ka pumiceous tephra layer with identical geochemical characteristics to the rhyolites recovered during the dives has been discovered in the subaerial outcrops of the neighboring islands of Izu-Oshima and Toshima, strongly suggesting that these tephra deposits originated from Oomuro Hole.The deeper slopes of Oomurodashi are composed of effusive and intrusive rocks that are bimodal in composition, with basaltic dikes and lavas on the northern flank and dacite volcaniclastics on the eastern flank. This suggests that Oomurodashi is a complex of smaller edifices of various magma types, similar to what has been observed at silicic submarine calderas in the southern part of the Izu-Bonin Arc (e.g. Sumisu Caldera; Tani et al., 2008, Bull. Vol.).We will provide a geological overview of Oomurodashi Volcano and edifice growth history based on the ROV observations, and discuss its potential hazards from shallow submarine silicic eruptions.
著者
Ajay B. Limaye Jean-Louis Grimaud Yuhei Komatsu Chris Paola
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

Submarine channels convey turbidity currents, whose deposits are key hydrocarbon reservoirs and indirect records of continental denudation. Submarine channel patterns resemble those of their subaerial counterparts, but controls on the form and dynamics of submarine channels and associated deposits remain comparatively uncertain. Existing laboratory experiments show that braided channels can develop under similarly high flow width-to-depth ratios for both subaerial and submarine conditions. We conducted a new set of experiments with net-depositional density currents to (1) further test the conditions for channel formation; (2) test the response of channel and bar geometry to changes in the ratio of water-to-sediment flux, inlet conditions, and submarine versus subaerial conditions; and (3) quantify the relative timescales of channel lateral migration, abandonment, and aggradation. We generated density currents within a freshwater basin using saline inflows that transported plastic sediment as bedload across a platform 2 m long and 1 m wide. We find that across a 2.7-fold range in the ratio of water-to-sediment flux, submarine braided channels consistently develop, are more pronounced upstream, and can transition to zones of sheet flow downstream. We measured topographic statistics directly, and using a reduced-complexity flow model. The topographic analysis showed that braiding index is higher for subaerial than for submarine conditions with other variables fixed. For a representative submarine experiment, channel lateral motion decorrelated in double the time to move laterally one channel width, and one-third the time to aggrade one channel depth. We propose a new stratigraphic model for submarine braided channels, wherein sand bodies are more laterally connected and less vertically persistent compared to those formed by submarine meandering channels. These results suggest that channel pattern is a key variable for predicting stratigraphic architecture in submarine environments.
著者
吉田 聡 佐々木 英治 笹井 義一 細田 滋毅
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

北西太平洋は冬季に爆弾低気圧が頻繁に発達する海域の中で最も深い海洋である。渦解像準全球海洋大循環モデルOFESによる34年間の過去再現実験データを用いたコンポジット解析によって、爆弾低気圧が急発達する際、海洋混合層内では強い発散が起こり、2000m深に達する上昇流が励起されることが見出された。また、爆弾低気圧活動の年々変動が海洋深層の鉛直流の振幅と日スケールの水温変動に影響することが示された。しかし、通常の海洋観測網では爆弾低気圧に対する海洋応答を捉えることはできない。深い冬季混合層のため、衛星観測による海面水温では爆弾低気圧による変化は見えない。また、10日毎のアルゴフロート観測は1日程度の爆弾低気圧の急激な観測をするには長すぎる。そこで、爆弾低気圧に対する海洋応答を観測するため、北西太平洋でのアルゴフロートを用いた高頻度観測を2015/2016と2016/2017の2冬季(11月~3月)に実施した。今回用いたアルゴフロートは観測の時間間隔と観測深度を衛星通信によってリアルタイムに変更できる。気象庁の週間アンサンブル予報を元に、観測海域で爆弾低気圧が高確率で予測された場合には6時間毎、650m深までの観測を実施し、それ以外は1日毎、2000m深の観測を実施した。2016年12月までに爆弾低気圧活動が活発な海域の859プロファイルを観測した。参考文献: Kuwano-Yoshida, A., H. Sasaki, and Y. Sasai, Geophys. Res. Lett, 44, 320-329 (2017).
著者
松本 剛
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

東日本大震災の津波で児童74人と教職員10人が死亡・行方不明になった宮城県の石巻市立大川小学校(以下,「学校」と云う)をめぐり,児童の遺族が市と県に損害賠償を求めた訴訟で,平成28年10月26日,仙台地裁は原告(児童の遺族)の主張を一部認める判決を言い渡した。判決では教員は津波の襲来を予見しており,早めに安全な場所へ児童を誘導すべきであったとされる。しかし,新聞報道の判決文要旨のみではこの辺りの判断の根拠の検証が難しい。そこで,本報告者は今般,仙台地裁より判決文全文の提供を受け,原告・被告双方の主張とそれに対する地裁の判断を検証し,今後の学校防災の在り方について,考察を行った。事象を時系列で追うと,以下のようになる。・午後2時46分,本件地震発生,直後より,NHKが津波等に関する情報や避難の呼び掛け。・午後2時51分以降,NHKが宮城県で大津波警報が出ており高さ6mの津波の到達が予想されていること等を伝えた。・午後3時14分,気象庁は,宮城県に到達すると予想される津波の高さを10m以上に変更。NHKは発表直後にテレビ放送の字幕でこのことを伝えた。・午後3時20分頃,河北消防署の消防車が学校前を通過し,大津波警報が発令されたことを伝え,避難を呼び掛けた。・午後3時30分~35分頃,教職員と児童70名が徒歩で校庭から「三角地帯」に向けて移動開始。・午後3時37分頃(推定),「三角地帯」に向かう途中で,北上川を遡上した津波が堤防を越流して襲来し,教職員と児童は津波に呑まれた。・午後3時37分頃,学校に津波が到達し,周辺一帯が水没。「三角地帯」は,新北上大橋付近の北上川東岸に位置する標高約7mの小高い丘で,大川小学校の校庭(標高1.5m程度)より標高が高く,学校からは直線距離で150m程である。一方,学校のすぐ南側には標高数百メートルの「裏山」と呼ばれる高地がある。標高が高く,避難場所として真先に想定されるべき場所である。「裏山」への避難には3ルートがあり,当面の津波被害回避として標高10mを目安とすれば,どのルートについても校庭の中央付近からの距離にして150m程度,所要時間は歩いても2分以内(原告が後に実験を行った結果)である。しかし,当時は降雪により地面が湿っていたとされ(被告主張),また崖崩れを起こした履歴があり,教職員や地元の人は「裏山」への避難を躊躇していた。判決では,地震発生前,発生後午後3時30分以前,それ以降の3段階に切り分け,津波により児童が被害に遭うことが予見出来たか否か,また教員の注意義務違反の有無をそれぞれ判断し,以下の点を明示している。遅くとも午後3時30分頃までには,広報車が学校の前を通り過ぎて,学校の付近に津波の危険が迫っていることを伝えていた。北上川東岸の河口付近から学校のある地区にかけては平坦で,北上川沿いには津波の侵入を妨げる高台等の障害物は無い。教員は当然,勤務校周辺のこのような地理的特徴を知っているはずであり,判決では遅くとも上記広報を聞いた時点で大規模な津波が学校に襲来する危険を予見したものと認め,この時点で,教員は速やかに児童を高所に避難させるべき義務を負ったとした。判決ではまた,避難場所としての「三角地帯」と「裏山」の適否についても論じている。ここでは,予想津波高10mという情報がある以上,北上川の堤防を超える可能性もあることや,付近にはより高い地点が無いことから,避難場所として適切ではないと結論付けている。午後3時30分或いはそれ以前に「裏山」への避難を開始すれば,充分に津波被害を回避できたことが容易に想像される。余震が続く中で崖崩れの虞もあり,足場の良くない山中で児童を率いて斜面を登ることは簡単ではなく,児童に怪我をさせる危険性もあった。しかし判決では,大規模な津波の襲来が迫っており,逃げなければ命を落とす状況では,各自それぞれに山を駆け上ることを児童に促すなど,高所への避難を最優先すべきであったと結論付けている。原告・被告双方はこの判決を不服として控訴したと報じられた。しかし,この判決は,非常事態に際し,児童・生徒の生命が学校としての秩序の維持などよりも優先されるという,学校防災の本質を示している。また,判決では学校で過去に津波被害が無かったこと,またハザードマップ等で学校が避難場所として指定されているなどを理由として原告の訴えを一部退けているものの,現実にこのような事件が起きた以上は,次回同様の津波が襲来した場合,このような根拠で学校側が義務を逃れることは許されない。教職員には自然現象への理解,学校の置かれた環境の把握,災害に対する備え,普段からの防災訓練などに加え,児童・生徒の生命を守るため,常に「先を読む」力が求められる。
著者
鈴木 義和 高尾 誠 奥村 晃史 谷 和夫
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

In October 2014, the Atomic Energy Society of Japan (AESJ) established an investigative expert committee to develop risk evaluation methods and measures for fault displacement on the basis of engineering approach. Following the launch of the committee, meetings were held seventeen times to discuss and examine the issue, and the committee ultimately published an investigative report in March 2017 to disseminate the research results. In this presentation, we will give an outline of the evaluation method in terms of fault displacement hazards.Fault displacement hazards for risk evaluation should be analyzed both deterministically and probabilistically.On a deterministic basis, a fault displacement, which is necessary for deterministic margin evaluation (hereinafter, ‘the fault displacement for evaluation’), is to be determined on the basis of three kinds of approach, namely: 1) geological investigation approach, 2) numerical simulation approach, and 3) database of earthquake surface faults approach. ‘The fault displacement for evaluation’ should be set not only upon comprehensive consideration of 1), 2) and 3) but also taking into account uncertainties related to 1), 2) and 3).On a probabilistic basis, hazard curves, which are necessary for Probabilistic Risk Assessment (PRA), should be determined in accordance with Probabilistic Fault Displacement Hazard Analysis (PFDHA), proposed by Youngs et al. (2003), Petersen et al. (2011), Takao et al. (2013) and so on. Furthermore, the hazard curves will be utilized as references when ‘the fault displacement for evaluation’ is examined.As stated above, the AESJ has established a methodology to determine the fault displacement hazards. In order to improve the reliability of the method, it is essential to accumulate technical knowledge and for the related academic fields to cooperate with one another.
著者
森岡 周 大住 倫弘 坂内 掌 石橋 凜太郎 小倉 亮 河野 正志
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
第52回日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
2017-03-24

【はじめに,目的】運動イメージの想起を求める臨床手続きはメンタルプラクティス課題を含め,脳卒中後の上肢運動障害に対して効果を示すことが数多く報告され,医学的根拠も明確になっている(Langhorne 2009)。加えて,運動イメージ時の脳活動は実運動と等価的であることが我々の研究(Nakano, Morioka 2014)他,多くの研究で明らかになっている。しかしながら,運動イメージの定量的評価が臨床場面に導入されていない背景から,運動イメージ能力が直接的に片麻痺上肢機能に関与するかは不明である。本研究では,両手協調運動課題(bimanual circle-line coordination task:BCT)を用いて,運動イメージ能力を定量的に調べ,運動イメージ能力が片麻痺上肢の運動機能や麻痺肢の使用頻度に関係するかを明らかにする。【方法】対象は認知障害のない脳卒中片麻痺患者31名である。BCTにはタブレット型PCを使用し,その課題はunimanual-line(UL):非麻痺側のみで直線を描く条件,bimanual circle-line(B-CL):非麻痺側で直線を描き麻痺側で円を描く条件,imagery circle-line(I-CL):非麻痺側で直線を描き麻痺側で円を描くイメージを行う3条件で行い,各々12秒間3セット,ランダムに実施した。描かれた直線を記録し,その軌跡をMatlab R2014b(MathWorks)を用いて解析した。解析は軌跡を1周期ごとに分解し,その歪みを数値化するためにovalization index(OI)を求めた。OIは[X軸データの標準偏差/Y軸データの標準偏差]×100により算出した。運動麻痺の評価にはFugl-Meyer Motor Assessment(FMA),日常生活での使用頻度にはMotor Activity Log(MAL)のAmount of Use(AOU),動作の質にはMALのQuality of Movemen(QOM)を用いて評価した。一元配置分散分析後,多重比較検定(t-検定)を用い3条件のOI値を比較した。また,I-CLのOIとFMA,AOUおよびQOMの関係を調べるためにピアソン相関係数を求めた。有意水準は5%とした。【結果】ULに対しB-CLおよびI-CLのOIで有意な増加を認めた(p<0.00001)。I-CLのOIとFMAの間に有意な相関がみられないものの,I-CLのOIとAOM(r=0.3883,p<0.0154)およびQOM(r=0.3885,p=0.0153)に有意な相関関係を認めた。【結論】本結果から,非麻痺側で直線を描き,麻痺側で円を描くイメージを行う条件であっても有意な楕円化を認めた。すなわち,運動イメージの存在を定量的に確認することができた。一方,それは運動麻痺の程度に直接に関係しないものの,麻痺肢の使用頻度や動作の質に関係することが明らかになった。今後は,運動イメージ能力が向上することで,麻痺肢の使用頻度が増加し,それに基づき運動障害が質的に改善するか,縦断的調査を試みる必要がある。
著者
笈田武範 武藤正人 小林哲生
出版者
日本磁気共鳴医学会
雑誌
第42回日本磁気共鳴医学会大会
巻号頁・発行日
2014-09-11

【背景・目的】近年,他のモダリティとの融合や小型軽量化などの理由から,超低磁場MRIの研究が注目されている.超低磁場MRIを実現するためには,超伝導量子干渉素子(superconducting quantum interference device : SQUID)や光ポンピング原子磁気センサ(optically pumped atomic magnetometer : OPAM)などを用いて,低周波の微弱磁場を検出する必要がある.OPAMはアルカリ金属蒸気を封入したガラスセルにポンプ光・プローブ光2つのレーザを照射し,光ポンピングされたアルカリ金属原子の電子スピン偏極による磁気光学回転により磁場を計測する.OPAMは,SQUIDでは必須の冷媒が不要であり,維持コストなどの面で利点がある.しかしながら,アルカリ金属原子の電子スピン偏極の磁気回転比は,MRIにおいて主に計測対象となるプロトンの約164倍であるため,同一磁場中に試料およびガラスセルを設置すると,共鳴周波数の不一致により計測感度が低下する.この問題に対して,フラックストランスフォーマ(flux transformer : FT)を用いた遠隔計測法が提案されている.先行研究において,単一FTを用いたMR信号計測では,信号対雑音比(signal-to-noise ratio : SNR)が最大となるコイルのパラメータが存在する一方,その感度に限界があることが報告されている.本研究では,直交位相FTを用いることにより,OPAMを用いた遠隔MR信号計測のSNR向上を目指す.【方法】直交位相FTとして,鞍型コイルペアを入出力コイルとするFTをコイルペアの円筒の軸の回りに90°回転した2組のFTを用いた時の間接MR信号計測について,磁場分布の数値解析および擬似MR信号計測を用いてSNRを評価し,OPAMと直交位相FTを用いた間接MR信号計測の有効性を確認した.【結果・結論】数値解析の結果,直交位相FTを用いることにより単一のFTを用いた場合と比較して,約2倍のSNRが得られることが確認された.また,擬似MR信号計測の結果においてもSNRの向上が確認され,直交位相FTを用いることによりOPAMを用いた遠隔MR信号計測のSNR向上が可能である事が示された.