著者
鈴木 紀毅
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.99, pp.15-31, 2016-03-31 (Released:2019-04-03)

A radiolarian taxonomic database with synonymy relationship was created by PaleoTax for Windows that was developed by Hannes Löser. All the taxonomic names published by March, 2015, have been completely entered, reaching 2,780 genera and 15,040 species. In consideration of taxonomic unavailable names and junior synonyms, a total of 13,590 species are regarded as available names. These available names, however, also include the species impossible to be applied for actual specimens due to lack of illustrations and less-characteristic name-bearing type specimens. Excluded such problematic species, a total of 9,870 species are considered to be practically existing. A total of 2,780 genera were established so far, and 1,450 of 2,780 genera are practically usable. Although this database is unable to be in public due to authorships to the illustrations of the name- bearing specimens, it is useful to subjectively search variable information such as the most cited species names (e.g. Cyrtocapsella tetrapera), very rarely cited names (one or twice) (58%), the number of samples (not localities) in the selected geologic time intervals (e.g. 113 samples in Cambrian and Ordovician), the species diversity changes through the geologic time, and other scientific supports. Users to database, however, must aware of the interpretation and quality of the search results.
著者
野村 和孝 山本 哲也 林 響子 津村 秀樹 嶋田 洋徳
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.143-155, 2011-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、性加害行為経験者を対象とした認知行動療法的治療プログラムを構成する心理社会的要因が、性加害行為抑止効果に及ぼす影響についてメタ分析を用いた検討を行うことであった。性加害行為抑止を目的とした認知行動療法的治療プログラムを心理社会的要因の構成に基づき分類したところ、セルフ・マネジメントの有無に基づく分類がなされた。セルフ・マネジメントの有無が性加害行為抑止に及ぼす影響についてメタ分析を行った結果、性的嗜好、歪んだ態度、社会感情的機能、リラプス・プリベンションから構成される治療プログラムの性加害行為抑止効果が確認された一方で、ストレスマネジメントなどのセルフ・マネジメントの向上を目的としたアプローチの手続き上の工夫の必要性が示唆された。
著者
長谷川 達也
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.465-480, 1997-10-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
50
被引用文献数
1 3
著者
堀口 良一
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大學法學 (ISSN:09164537)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.226-160, 2002-07

[目次] はじめに, 1.安全第一協会と機関誌『安全第一』, 2.機関誌『安全第一』所収の蒲生記事, 3.蒲生俊文の安全思想, おわりに本文データは, CiNiiから複写したものである。
著者
佐藤 健二 落合 恵美子 赤川 学 中筋 由紀子 葛山 泰央 野上 元
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

最終年度として、これまでの研究会活動を通じて浮かび上がってきた問題を整理すると同時に、資料の共有の方法の模索を通じて、あるいはデータベースの構築に関わる問題点の検討を通じて、明らかになってきた情報と問題について、それぞれの立場から研究を進めた。第一に、歴史社会学の理論と方法の問題の焦点が、広い意味での資料論およびデータ論の構築のしかたにあることがしだいに明らかになってきた。歴史学と社会学の深い断絶は、一方では歴史学における理論や方法論の枠組みに対する認識論の感度の低さに、他方では社会学における資料やデータのとらえ方のなかの現在中心主義的な狭さに由来する。その双方の乗り越えが、歴史社会学の理論と研究方法の課題であると自覚したうえで、もっとも戦略的な研究フィールドとして、「社会調査」が浮かびあがってきた。第二に、いくつかのパイロットスタディから、手がかりとなりうるものも現れてきている。研究代表者を中心に薦めてきた(1)調査票画像データベース構築の実験、(2)歴史的調査研究の二次分析の試み、(3)社会調査史の構成に関わる基礎的情報の洗い出しは、それぞれその第一段階の見通しがついた。本格的に展開するためには、新たな科学研究費プロジェクトが必要となるだろうが、部分的にわかってきたことからも、社会調査の歴史社会学が、歴史社会学の理論と研究方法の構築にもつ大きな意味はうかがえる。第三に、この研究プロジェクトの一つの柱であった研究会活動について、当初の目標として掲げられた歴史社会学のテクストブックは、まだ論点を浮かびあがらせた段階にとどまっているが、それぞれの立場からの理論と研究方法の検討は、固有のテーマやフィールドのなかで展開された。論集という形での成果の公開に向けての検討も進んだ。
著者
李 凰玉 芳賀 穣 近藤 秀裕 廣野 育生 佐藤 秀一
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.333-346, 2019

<p>植物性蛋白源により完全に魚粉を代替した無魚粉飼料(NFM)にタウリンを段階的に添加した飼料を10週間与えたマダイの成長,消化吸収率,腸管の形態ならびに炎症性サイトカイン遺伝子の発現に対する効果を調べた。魚粉主体飼料(FM)区では日間成長率(SGR)と増重率(WG)が NFM 区よりも有意に高く,タウリン添加による改善は見られなかった。FM 区の飼料効率とタンパク質効率は,NFM+1.0T 区および NFM+1.5T 区よりも有意に優れたが,NFM+2.0T 区の間では飼料効率に差がなかった。NFM+1.0T 区以外では FM 区と同等のタンパクと脂質の消化率が見られた。NFM 区では,腸管の粘膜下層において典型的な大豆による腸管障害である好中球の浸潤が見られ,サイトカインの発現も FM 区よりも有意に高かった。NFM 区の遺伝子の相対発現レベルはタウリンの添加により有意に低下した。以上の結果より,マダイではタウリンの添加は植物原料を配合した NFM による炎症反応等の一部を緩和することが示唆された。</p>
著者
清水 誠
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

タウリンはβ-アミノ酸の一種であり生体内で様々な生理機能を有することが知られている。タウリンは、タウリントランスポーター(TAUT)による外部からの取込とMetやCysからの生合成の二通りによって生体内へ供給される。昨年度は、脂肪細胞のモデルとしてマウス由来前駆脂肪細胞株3T3-L1を用い、3T3-L1細胞におけるTAUTの特性、またTAUT及びタウリン生合成の律速酵素であるシステインジオキシゲナーゼ(CDO)の制御について解析を進めた。そこで本年度は、脂肪細胞分化過程におけるTAUTとCDOの制御についてまず検討した。3T3-L1の脂肪細胞分化過程におけるTAUT活性及びTAUTとCDOのmRNA量を測定したところ、TAUT活性とTAUTmRNA量は分化誘導時において一過的に増加し、その後徐々に減少していくことが示された。一方、CDOmRNA量は分化が進むにつれて増加し、特に分化誘導直後に顕著な増加がみられた。そこで次に、タウリンが脂肪細胞分化に及ぼす影響について検討することとし、分化の指標となる細胞内トリグリセリド量とGPDH活性に対するタウリンの影響を検討した。しかしながらタウリンはいずれの活性に対しても影響を与えず、脂肪細胞分化に対して影響を与えないことが示された。一方、分化した脂肪細胞が分泌するアディポサイトカイン類の発現に対するタウリンの効果を検討した結果、TNF-αによるアディポネクチンの発現抑制がタウリンの添加により改善されることが見出された。さらにタウリンはTNF-αによるPAI-1mRNA発現量の亢進を有意に抑制した。以上の結果より、タウリンは脂肪細胞においてインスリン抵抗性のサイトカイン(PAI-1)を抑制しインスリン感受性のサイトカイン(アディポネクチン)を増加させることで、インスリン抵抗性さらには生活習慣病を改善する可能性が示された。
著者
椿本 弥生 高橋 薫 北村 智 大辻 雄介 鈴木 久 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.255-267, 2013-11-20 (Released:2016-08-10)

日本語母語話者の高校生を対象に,日本語で産出した小論文をグループで協同推敲できるシステム「Re:(アール・イー)」を開発した.推敲の観点として内容・構成・言語使用の3つを設定した.グループの構成員が得意とする観点がそれぞれ異なる実験群と,得意とする観点が統一された統制群とで,システム使用前後の小論文の得点を比較した.その結果,全体的評定値については,実験群のシステム使用後で有意に得点が高かった.さらに分析的評定値では,論拠の質などの小論文の質に深く関わる評価項目について実験群のほうが統制群よりも有意に得点が高かった.プレとポストの得点差において,統制群よりも実験群のほうが,各グループで一定に近かった.このことから,提案するグループ編成方法がより多くの学習者に一定の学習効果を保証できる可能性が示唆された.
著者
平賀 岳彦
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.108, no.2, pp.110-121, 1999-04-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
27
被引用文献数
3 3

Grain boundaries in metamorphic rocks were obsereved by high-resolution transmission electron microscopy. Most of the boundaries have no distinct secondary phases at a nanometer scale. Not only between the same kind of minerals but also between different minerals, mineral grains are directly connected at their boundaries, showing that the structual width of the grain boundaries is less than 0.5nm. Grain boundaries with spheroidal voids are observed in the boundaries. It can be concluded that this type of grain boundary is formed by the healing of microcracks. Low-index plane boundaries are well-developed, showing that this type of boundary has low grain boundary energy. Local structural modification, indicating the segregation of impurities, in grain boundaries is observed. The present results show that the actual width of the grain boundary in rocks is too small for the grain boundary diffusion to be as the dominant transport mechanism.
著者
黒上 晴夫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.521-526, 2017-10-01 (Released:2017-10-01)

シンキングツールの活用が広まっている。これはアイデアを可視化して考えを生み出したり,共有して協働的に考えたりすることを助けるツールである。考えるためには,一定の制限が有効にはたらく。シンキングツール上の図式や視点がその制限となる。活用にあたっては,考えを生み出す手順として思考スキルをイメージすることが重要である。思考スキルは,小学校低学年から高等学校まで徐々に高度化しながら活用する。思考スキルとシンキングツールを対応させることによって,その手順が可視化できる。しかし,この対応は一様ではなく,シンキングツールを使う場面やトピックの対象となる事項の数・質,活用の目的によって変わる。
著者
松井 美帆
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.128-134, 2007-09-20 (Released:2017-04-27)
参考文献数
15
被引用文献数
1

医療に対する自律性について、日米の高齢者を対象に自記式質問紙調査を実施し、比較検討を行った。対象者は国内の地域高齢者125人と米国ハワイ州ホノルル市における日系高齢者94人であった。医療に対する自律性に関連する要因として両群ともに、意思決定とかかりつけ医との関係が認められた。また、家族機能との関連では、国内高齢者では意思決定と家族の凝集性、適応性が正の相関、日系高齢者では情報希求との間に共に負の相関が認められた。また、国内高齢者では検査の目的や薬の副作用などに関する情報希求が日系高齢者に比較して高く、終末期ケアの意向についても意思決定と療養場所の希望、延命治療の意向との間に関連が認められた。以上のことから、高齢者において医療に対する自律性と医療従事者、家族関係は重要と考えられ、国内高齢者に対する支援として、医療に関する情報提供、さらに終末期ケアも含めた意向に関する理解が求められることが示唆された。
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.803, pp.173-177, 2001-08-27
被引用文献数
1

「小山さん,今度のセンサ,随分苦戦してるようやな。この間言うとった例のノイズ,どうなん?」 「あれな。うちにおるアナログ回路のスペシャリストにいじってもろたら,一発や。さすがやねぇ。勘所をちゃんと押さえとる」 「すごいなぁ。あんだけ消えん,消えん,言うとったのに。
著者
星 優也
雑誌
摂大人文科学 = The Setsudai Review of Humanities and Social Sciences (ISSN:13419315)
巻号頁・発行日
no.28, pp.104-85, 2021-01

中世神仏信仰・中世神道と儀礼の研究は、近年飛躍的に進展した。なかでも儀礼で読まれる祭文や講式といった文献群は、注目されつつあるが課題が多い分野である。とくに神々を〈本尊〉とする講式は、鎌倉時代以降に展開したことで知られるが、不明な点が多い。本稿で取り上げる『神祇講秘式』は、これまで言及こそされたが、正面から研究されたことがない講式である。とくに密教系で短文の秘密式は、講式研究でも等閑視されてきたが、そこに「神祇」がつく『神祇講秘式』は、その最たるものである。しかし『神祇講秘式』は、講式と祭文、中世神仏信仰の近世的展開、中世神道と修験道の関係を考えるうえで重要な文献である。本稿は、『神祇講秘式』の基礎的考察を行い、類似する書名を持つ『神祇講式』と比較検討する。つづいて具体的な儀礼における『神祇講秘式』の存在形態を明らかにし、最後は神祇講式、神祇講秘式という書名すらなくなり、新しい祭文として作り替えられ、展開していく姿を明らかにする。