著者
池田 昭夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.8, pp.1348-1357, 2016-08-10 (Released:2017-08-10)
参考文献数
10

「てんかん」(epilepsy)とは,慢性の脳の疾患で,大脳の神経細胞が過剰に興奮するために,てんかん発作が反復性に起こる.発作は突然に起こり,普通とは異なる身体症状や意識,運動および感覚の変化が生じる.反復性の発作(てんかん発作)を唯一の症状あるいは主徴とし,これに種々の臨床症状および検査所見を伴う状態である.病歴上,発作,例えば全身けいれん発作,意識減損発作,意識はあるが身体部位の突発的な症状(=視覚,触覚,聴覚,嗅覚,情動,失語,自律神経症状など),脱力転倒が,1~2分間(短いと数秒間)出現し,いつも同じ症状である.意識減損時は数分間程度のもうろう状態などから回復し,ほぼ元に戻る.
著者
戎 利光 田中 麻結 松浦 麻衣 安居 曜平 山田 侑希 宮下 裕文
出版者
福井大学教育地域科学部附属教育実践総合センター
雑誌
福井大学教育実践研究 (ISSN:13427261)
巻号頁・発行日
no.39, pp.31-42, 2014

平成24年度の学校保健統計調査1)によると,裸眼視力1.0未満の児童生徒は年々増加傾向にある。視力 の低ドは日常生活に支障をきたすがそれだけではなく,その度合いが強くなると,将来,緑内障や近視 性網膜症,白内障などの重篤な疾患を続発する危険性が高くなる2)ことから,児童生徒の視力低ドに対す る予防対策が必要である。 ただ,児童生徒の視力への影響因子は広く報告されているにもかかわらず,詳細な調査によって広範 囲に検討された研究は少ない。従って本研究の目的は,視力低下を招く可能性のある屋外活動や姿勢を はじめ,勉強中の目の疲れ,教科書を見る様子,教室の明るさ,勉強時間,スポーツ実施時間,テレビ やゲームに費やす時間などを児童生徒にアンケート調査し,さらには,家族の視力,両親の近視の有無 メガネやコンタクトレンズの使用状況,子どもが勉強やゲームをしている状況,テレビゲームの使用制 限,子どもの習い事,子どもの朝食摂取や睡眠等の生活習慣などを,保護者にもアンケート調査するこ とによって,児童生徒の視力と各種環境因子や遺伝因子との関連を明らかにすることである。 福井県内の小学生726人(小学4,5年生),小学生の保護者722人,中学生795人(中学2,3年生), 中学生の保護者770人の合計3,013人に,巻末の資料1~資料3に記載したアンケート調査を行った。本 研究のアンケート回収率は,児童生徒が95.8%,保護者が98.7%であったが,3,013人の回答の中から,不 完全な回答のデータを除き,小学生695人,その保護者702人,中学生762人,その保護者770人の合計2,929 人のデータを分析した。 本研究より,次のような結果が明らかになった。(1)学校で勉強している時目の疲れをよく感じている 児童生徒は視力が比較的悪く,目の疲れをほとんど感じていない児童生徒は視力が比較的よい,(2)教科 書を見る時目を近づけないように気をつけている児童生徒の多くは,視力が比較的よい,(3)教室の明る さについて丁度よいと感じている生徒の多くは,視力が比較的よい,(4)学校で勉強している時目の疲れ をよく感じる児童生徒の多くは,教科書を見る時いつも目を近づけて見てしまう,(5)学校で勉強してい る時目の疲れをよく感じる児童の多くは,教室が「明るすぎる」,「暗すぎる」と感じている,(6)学校で 勉強している時目の疲れをよく感じる児童の多くは,先生の話を聞く時いつも姿勢が悪くなる,(7)教科 書を見る時目を近づけすぎないように気をつけている児童の多くは,教室の明るさが丁度よいと感じて いる,(8)教科書を見る時目を近づけすぎないように気をつけている児童の多くは,先生の話を聞く時い つも姿勢よく聞いている,(9)普段家の外で遊んだりスポーツをしたりしてよく身体を動かしている児童 の多くは,視力が比較的よい,(10)スポーツ少年団やスポーツクラブに入っている生徒の多くは,視力 が比較的よい,(11)視力の比較的よい母親は児童生徒も視力がよく,視力の比較的よい父親の生徒は視 力がよい。以上の研究結果が,児童生徒の視力低下に対する予防策の一端として活用されることを期待する。
著者
佐藤 佳子 熊谷 英憲 岩田 尚能 柴田 智郎 丸岡 照幸 山本 順司 鈴木 勝彦 西尾 嘉朗
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.72, 2011 (Released:2011-09-01)

3.11の巨大地震の後、福島第一原発の事故により放射性希ガス放出が予想された。そこで、放射性希ガスを四重極質量分析計で測定し、希ガス存在度の変化の検証を試みた。Ar-41, Ar-39, Kr-85, Xe-133などの希ガスが安定な希ガス同位体に対して10倍以上に増加したことが地震後の測定で明らかになりつつある。地震による安定な希ガス同位体の放出を差し引いて、放射性希ガス存在度の変化について報告する。

3 0 0 0 OA お茶の話

著者
梶田 武俊
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.51-59, 1992-02-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
37
被引用文献数
1
著者
長尾 克子
出版者
北海道大学經濟學部
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.30-45, 1995-06
著者
吉川 登
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.441-452, 2011-03-20 (Released:2017-06-12)

鑑賞学の基礎理論として筆者が提示した研究論文「行為としての鑑賞-鑑賞学の序章としての鑑賞行為の分析-」(平成4年度)の内容を再検討することによって,鑑賞学の基礎理論の充実・補強を図る。特に,第5章鑑賞の思考レベル:「考えること」では,具体的な画像読解の手法を提案した。また,平成4年から平成22年までに公表された「鑑賞学実践研究」の成果を背景にして,鑑賞学の特色および有効性について論究した。
著者
室山 幸太郎 衣畑 加代子 山下 久仁子 室崎 伸二 山本 佳弘 渡辺 裕彦 曾根 良昭
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.93-99, 2005-08-25 (Released:2017-07-28)
参考文献数
23

Our previous experimental results have shown that a mixture of thiamin, arginine, caffeine and citric acid (TACC) has an enhancement effect on fat metabolism in mice and human. In this study we examined the effect of tea ingestion, which was supplemented with TACC, on energy expenditure during a rest and an exercise period from the viewpoint of fat metabolism (utilization) in healthy subjects. A single-blind, placebo-controlled, crossover study was carried out to compare the energy expenditure after ingestion of TACC-supplemented tea (thiamin, arginine, caffeine, and citric acid; 1.1, 1240, 52, and 540mg, respectively) or control tea on two consecutive days, in 10 healthy male and female subjects (aged 21-27y) in experiment 1. After the tea ingestion, subjects sat on a chair for 30 min followed by treadmill walking (5km/hr) for 30 min. Respiratory quotient (RQ) and oxygen consumption (VO2) were measured during rest and exercise periods. A double-blind, placebo-controlled, crossover study was performed in 14 healthy female subjects (aged 21-22y) in experiment 2, of which study design was the same as that of experiment 1 except for an additional measurement of RQ and VO2 before ingestion of the tea for 30 min in the sitting position. As results, total energy expenditure and fat oxidation were similar between the two cases (ingestion of control tea and TACC-tea) during the rest period after tea ingestion both in experiment 1 and experiment 2. On the contrary, treadmill walking resulted in about three-fold increase in total energy expenditure; however, fat oxidation during the exercise was significantly greater in the case of TACC-tea than in the control tea case in the both experiments. This effect of TACC-supplementation, enhanced fat oxidation and energy expenditure, seemed to be positively proportional to subjects' Body Mass Index.
著者
Bonnie Maclachlan
出版者
Continuum
巻号頁・発行日
2012
著者
大谷 周平 坂東 慶太
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.513-519, 2018
被引用文献数
5

<p>Sci-Hubとは,6,450万件以上もの学術論文のフルテキスト(全文)を誰もが無料でダウンロードできる論文海賊サイトである。Sci-Hubからダウンロードできる論文には,学術雑誌に掲載された有料論文の約85%が含まれており,Sci-Hubは学術出版社の著作権を侵害する違法サイトである。大学図書館の契約する電子ジャーナル,OAジャーナル,機関リポジトリ,プレプリントサーバーなど法的に問題ない論文サイトが在る中で,世界中から1日に35万件以上の論文がSci-Hubを通じてダウンロードされている。本稿では先ずSci-Hubの概要・仕組み・世界的な動向について述べる。次いで2017年にSci-Hubからダウンロードされた論文のログデータを分析し,国内におけるSci-Hub利用実態の調査結果を報告する。栗山による2016年調査と比較すると,Sci-Hubの利用数やSci-Hubの利用が確認された都市数は増加していた。また,Sci-Hubでダウンロードされているのは有料論文だけではなくOA論文が約20%を占めていること,クッキーの情報から約80%のユーザーは1回のみSci-Hubを利用している状況も明らかになった。</p>
著者
吉武 紀道 久保 孝一 古川 睦久
出版者
MATERIALS LIFE SOCIETY, JAPAN
雑誌
マテリアルライフ学会誌 (ISSN:13460633)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.185-190, 2002-10-31 (Released:2011-04-19)
参考文献数
10

ポリウレタン (PU) は耐熱性に劣るためポリイミド (PI) やポリアミド (PA) 等の耐熱性を有するポリマーとの共重合による耐熱性の改善が考えられる.ここでは種々の配合比で共重合させたPU-PA, PU-PIの熱分析 (TG-DTG) を行い, 小沢らの方法による解析ソフトを用いて熱分解特性を検討すると共に長期使用における耐熱性の評価を試みた.800℃まで10, 20, 40℃/minの昇温速度で昇温して得られたTG曲線について解析を行った.PA, PIの配合比の増加により共重合体の性状はエラストマーからプラスチックに移行し10%重量減少温度 (T-10) から見た耐熱性は増加し, 熱重量減少率と配合比の間に定量的な関係が見出された.PUにPAやPIを10~20%共重合することによりエラストマーとしての性質を保持しながら, 約10~50℃の耐熱性が向上した.さらに10%減量するのに100年間かかる上限の温度を寿命温度として寿命予測した.
著者
石塚 伸一
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷法学 (ISSN:02864258)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.1031-1060, 2016-01-29

3 0 0 0 不殺生考

著者
原 實
出版者
国際仏教学大学院大学
雑誌
国際仏教学大学院大学研究紀要 (ISSN:13434128)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.292-256, 1998-03
著者
Mik Lamming Mike Flynn
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.1_16-1_25, 1995-02-28 (Released:2008-10-03)
参考文献数
15
被引用文献数
484

コンピュータは記憶を助ける道具である一方, 人間の記憶負荷を驚くほど増加させてもいる. 「Forget-me-not」は, エピソード記憶に似た方法でデータを体制化し, 日常記憶の課題を支援するために開発中のコンピューティング・モデルである. 身につけることの可能なこのモデルは, 利用者とともに移動し, 利用者が遭遇する人や機器からの信号を記録することで利用者の出会ったエピソードを記憶する. 利用者は記憶の断片から「Forget-me-not」の検索機能を使って, 自分でも忘れかけている出来事を思い出すことができる. 本稿では開発中のモデルの仕様と実際の使用例について紹介する.
著者
阿部 智和 宇田 忠司
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.97-135, 2015-06-11

本論文の目的は,質問票調査にもとづいて,国内のコワーキングスペースの実態を明らかにすることである。まず,コワーキングに関する世界規模の年次調査であるGlobal Coworking Surveyを中心に,関連する先行研究を整理・検討した。次いで,国内で稼動しているスペースのほぼ全数に対して質問票調査を実施した。さらに,場の開放性とメンバーの多様性が期待されるドロップイン利用が可能なスペースに着目し,①施設,②運営組織,③戦略,④活動,⑤利用者,⑥成果という6つの視点から相関分析の結果を示した。そのうえで,本調査にもとづくコワーキングスペースの実態に関する概観的な知見を提示した。
著者
長竿 淳 野尻 あゆ美 進藤 順治 吉岡 一機
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.79-87, 2017-12-22 (Released:2018-05-04)
参考文献数
20

スローロリス(Nycticebus coucang)の上腕腺における組織学的特徴について検討した。上腕腺は組織学的ならびに超微細構造学的にアポクリン腺に類似し,形態の異なる3つの終末部と毛包に開口する導管から構成されていた。免疫組織化学的性状に関しては,上皮マーカーであるcytokeratin AE1/AE3抗体とエックリン腺マーカーであるS-100 Protein抗体ならびにCD44抗体に対して陰性で,アポクリン腺マーカーであるCD15抗体に対して陽性を示す終末部と,上皮マーカー,エックリン腺マーカー,アポクリン腺マーカーのいずれのマーカーにも陽性を示す終末部が認められた。以上より,スローロリスの上腕腺は形態的にアポクリン腺の特徴を示す3種の異なる終末部から構成され,免疫組織化学的性状に関しては,アポクリン腺と,アポクリン腺およびエックリン腺両者の特徴を有する腺の2種類の終末部から構成されると推察された。
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.563, pp.5-163, 2000-01