著者
中村 かおる
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.E59-E65, 2012-01-31

わが国では従来、就職時に明確な根拠なく先天色覚異常者を制限する傾向が見られていたが、近年の法規改正に伴いその制限が大幅に緩和され、先天色覚異常者の職業選択の幅が広がった。しかしそのために微妙な色識別を要する業種などでは新たな問題が浮上している。そこで、先天色覚異常者が職業に関しての助言を求めて眼科を受診する事例について検討し解説する。,雇用時健康診断での色覚検査はほとんど行われなくなり、不当に採用を制限されることが減少した一方で、現在も制限が続く職種も存在する。また、先天色覚異常の色識別能力は正常色覚より低いことは事実であり、その上、色誤認の自覚が乏しく問題の表面化が遅れることもあるため、制限が緩和された職種で就職後に困難を生じる事例が増えている。,この傾向は小学校での色覚検査が減少したために自らが色覚異常であることを知らない世代が増加し、彼らが微妙な色識別を要する職種にも就職することにより、さらに深刻な問題となりつつある。先天色覚異常者本人は業務継続に向けて模索するが、転職を余儀なくされることも多い。職場では色覚異常者が働きやすい環境を作るための努力も行われているが、実現は難しく、なかには企業が再び採用を制限する動きもみられる。,このような社会情勢の中で、先天色覚異常者本人が、自分の色覚を理解しその弱点を補う対策をたてることが求められる。治療の対象にならない疾患などに対するケアは医療現場では軽視されがちであるが、先天色覚異常者は何らかの対策を求めて受診する。眼科では、色覚異常の程度や型の診断が可能であり、診断に基づいたカウンセリングの意義は大きい。カウンセリングでは、業務内容を詳細に聞き取り、個々の状況に応じたきめ細かい助言をすべきである。
著者
根岸 一美
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

1923年から1935年まで関西に在住したオーストリア人音楽家、ヨーゼフ・ラスカと、彼が宝塚少女歌劇の管弦楽団員たちとともに創設し、指揮者として定期演奏会活動を展開した宝塚交響楽団に関する研究において、当該研究期間に力点を置いたのは、とりわけ作曲家としてのラスカの活動と意義を解明することであった。この目的のために、毎年、オーストリア国立図書館音楽部門(ウィーン)、ウィーン市立州立図書館音楽部門、およびリンツ・ブルックナー音楽院を訪ね、自筆譜・筆写譜・出版譜を複写ならびに写真撮影し、そうして得られた資料をもとに、音楽家たちや、音楽学専攻で楽器の演奏力を有する大学院生等に演奏してもらい、CDを作成し、作品研究のための資料整備を進めた。主な作品は《万葉集歌曲》、《日本組曲》、《7つの俳句》である。また、すでに神戸女学院で入手していた《詩編第13篇》の筆写譜についても、演奏とCD作成を行った。これらのほか、ラスカの伝記作成にむけて資料の収集に力を注ぎ、王立ミュンヘン音楽院時代の学内演奏会の曲目内容や彼自身の演奏曲目などについても重要な情報を得ることができた。美学会での各種発表においては、ラスカの作品の歴史的意義と美的特性について論じた。研究代表者の仕事を通じてラスカの名前が比較的知られるようになり、2002年9月には宝塚歌劇団の管弦楽団によって《日本組曲》が部分的ながら演奏され、ラスカと宝塚交響楽団の活動の意義が改めて見直されるにいたった。

3 0 0 0 OA ビールろ過 (1)

著者
乾 祐哉
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.151-164, 2001-03-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
18
被引用文献数
2 3
著者
久保山 凌 村上 裕基 山口 行一
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集 (ISSN:1348592X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.61-64, 2018

都心部の回遊に関わる既往研究は多いが、休憩の観点から回遊性の向上について検討した研究は十分な蓄積があるとは言い難い。そこで本研究では、神戸三ノ宮地域を訪れる来街者を対象にカフェの利用有無に関する分析、都心部カフェの混雑状況分析、カフェ利用者を対象に利用者特性分析を行い、カフェの利用実態を明らかにすることを目的とする。分析の結果、カフェの利用有無については、滞在時間や同行者数などが影響を与えていた。対象地域でみれば、店舗ごとに差はあるものの、同じ大手カフェチェーンであれば混雑率の推移に大差がないが、同じ大手カフェチェーンであっても店舗によって利用目的が異なることがわかった。

3 0 0 0 OA 地震被害情報

著者
原子力安全・保安院
出版者
経済産業省
巻号頁・発行日
no.(169), 2011-06-14
著者
北田 葉子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.383-412, 1996-06

序一 アカデミア・デッリ・ウーミディ二 ウーミディからフィオレンティーナへ三 コジモ一世結論
著者
赤澤 堅造 奥野 竜平
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual56, no.Abstract, pp.S240, 2018 (Released:2018-09-14)

認知症予防には,正常集団から軽度認知障害(mild cognitive impairment MCI) への移行予防, MCIから認知症への移行の予防,認知症の増悪予防,である.米国のnun研究に見られるように,認知症予防の非薬物的な効果は認められている.認知症に対する音楽療法は,3編のコクランレビューがある.「被験者数が少なく,研究の方法論的な品質が低いため,メタ解析を実施できなく,有益な結論を導出できなかった」,との結論である. しかし成果を示す研究報告は多くあり,現状を把握する必要があると考えた.まずメタ解析の研究報告を参考にし,そして最近の文献のレビューを実施した後,効果量を用いてエビデンスを比較し,音楽療法によって得られる認知症予防の効果の現状および課題をまとめた.なお, 結果は次の通りである.認知症に関しては,音楽療法は不安の改善に効果量が中程度である,という結果が得られている.MCIに関しては,楽器演奏により認知機能改善が見られ,正常集団については,楽器演奏が認知症の危険度を低下させる,ことが示されている.

3 0 0 0 OA 字鏡集

著者
菅原為長
出版者
巻号頁・発行日
vol.[3],
著者
野尻 宗子
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

我が国の高齢化率は年々上昇しており,平成30年高齢社会白書によると 65歳以上人口は、3,515万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)も27.7%である.高齢化による合併症の増加に伴い多剤併用(polypharmacy)が生じやすくなっており,多剤併用による医療費の増大と同時に有害事象の増加が懸念されている.本研究では,60歳以上の高齢者を対象として睡眠薬・抗精神病薬での多剤併用と骨折リスク,睡眠時無呼吸症候群患者の睡眠薬使用実態についてレセプトデータ(National DataBase)を用いて調査する.
著者
たら澤 邦男 藤森 研司 森谷 就慶 尾形 倫明 千葉 宏毅 三澤 仁平
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

日本は超高齢・多死社会を迎え、国民が希望する場所で最期を迎えるための条件整備が急がれる。国民の55%は自宅で最期を迎えることを希望する一方、死亡場所の74%は病院であり、がんによる病院死は83%とさらに高い。がん患者について、病院死症例を多く含む病床機能と終末期医療の実態は明らかにされておらず、在宅看取りが多い地域にはどのような病院機能があるか解明されていない。そこで本研究は、在宅看取りの高低に対し同一地域の病院機能が与える影響を明らかにすることを目的とする。目的達成のためNDBレセプトデータ、官公庁公開データを併用した分析を行い、地域で実現可能な在宅看取りの普及啓発のあり方を検討する。
著者
Aiko IGUCHI Junichi OOSHIDA Ikki MITSUI Naohiro UCHIDA Saori KOBAYASHI Masahiro YAMASAKI Reeko SATOU
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.18-0286, (Released:2019-04-18)

A 12-year-old, male miniature dachshund has an ulcer on the footpad of the right hind limb. Despite treatment for longer than 6 months, the ulcer did not heal. Biopsy of the lesion was done to make a definitive diagnosis. Histologically, there were lumens containing weakly eosinophilic fluid surrounded by tumor cells with a similar circular pale nucleus and distinct nucleoli that showed some variation in size. Immunohistochemically, the tumor cells were positive for cytokeratin (AE1/AE3) and vimentin, were negative for S100 and p63. A poorly differentiated eccrine adenocarcinoma was diagnosed. Treatment was started with toceranib, an anti-angiogenic agent, and enlargement of the lesion was not observed during the administration period.