著者
亀田 晃尚
出版者
法政大学公共政策研究科『公共政策志林』編集委員会
雑誌
公共政策志林 = 公共政策志林 (ISSN:21875790)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.133-146, 2018-03-24 (Released:2018-07-09)

中華人民共和国(以下「中国」という。)にとって,エネルギー不足は大きな問題となっている。国連海洋法条約上,中国は尖閣諸島周辺の石油資源の主権的権利を確保するためには,尖閣諸島の領有権を主張しなければならない。中国が経済的・安全保障的な高いリスクを背負ってまで,尖閣諸島に対する領土的野心を露わにすることは考えがたく,中国の尖閣諸島に関する領有権主張は石油資源を確保することを主眼としたものであると考えられる。中国は尖閣諸島周辺を含む東シナ海に800億バレルという莫大な石油埋蔵量を見込んでいる。米国防総省も中国の見方を裏付ける。一方,日本は32億バレルの埋蔵量しか見込んでいない。日本が中国の石油埋蔵量の認識についてどう捉えるかは,日本が中国に対してどのように対応していくかに直接関わってくる。尖閣諸島をめぐって,中国を相手に力で対抗しようとするリアリズム的対応を行えば,安全保障のジレンマに陥り,不測の事態を招きかねない。中国は尖閣諸島の領有権を棚上げしての共同開発を提唱しているが,日中双方の信頼関係が十分に醸成されていることが前提となる。したがって,いま必要なのは,中国が尖閣諸島周辺を含む東シナ海に莫大な石油資源を期待しているという現実を認識した対応であり,エスカレーション・ラダーを上げないための対話による中国への自制呼びかけや海上保安機関による冷静な現場対応に加えて,経済関係や人的・文化的交流の拡大といったリベラリズム的な不断の努力である。そうした努力の積み重ねによって日中の信頼関係は深く醸成されていくに違いない。その先に,尖閣諸島をめぐる問題の解決が見えてくるであろう。
著者
田渕 恵 三浦 麻子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.89, no.6, pp.632-637, 2018 (Released:2019-02-25)
参考文献数
21
被引用文献数
2

The purpose of this study was to investigate the similarity in chronic regulatory focus (promotion/prevention) among elderly parents, middle-aged children, and their spouses. We made the 10-item short version of the Japanese Promotion/Prevention Focus Scale. The participants were 78 sets of middle-aged children (49.04 ± 4.06 years), their elderly parents (75.89 ± 2.74 years), and their spouses (49.38 ± 4.44 years). The results showed that the strength of children’s prevention focus was similar to that of parents’ prevention focus. On the other hand, the strengths of the promotion focus were similar between couples. We discuss the background of our findings wherein two aspects of regulatory focus have a different tendency in terms of similarity among parents, children, and their spouses in later life.
著者
藤芳 衛 石田 透 澤崎 陽彦 大武 信之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.352, pp.1-8, 2001-10-11

最近コンピュータの世界共通コード体系としてWindows等で使用されているUnicodeの図形文字に点字記号を割り付け, 日本語と英語の共通の点字記号体系として統一日本語点字記号の開発を進めている.1996年に情報交換用符号JIS X-0201及びJIS X-0208に対応した「統一日本語点字記号」第1版を拡張してUnicodeに対応した第2版の開発を行った.本点字記号は日本と英語の一般文書から情報科学や数学等, 専門分野の文書までを統一された一通りの点字記号で表記することができる.小学生から専門家までの視覚障害者が学校や職場で共通に使用することができる.
著者
楠 正憲
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.566-567, 2017-06-15

3 0 0 0 OA 経済学全集

著者
福田徳三 編
出版者
同文館
巻号頁・発行日
vol.第3集 經濟史經濟學史硏究 第二分冊, 1928
著者
内田銀蔵 著
出版者
同文館
巻号頁・発行日
vol.第1輯 日本経済史の研究 上巻, 1921
著者
末廣 祥二
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学研究紀要 (ISSN:21860459)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.231-242, 2013-01

2011年の東日本大震災、およびそれにともなって発生した原子力発電所の事故により、市民の科学的リテラシーの必要性が強く認識された。米国の科学的リテラシー教育はすべての市民のためのものという点が強調され、科学と社会の関係、人間活動としての科学という面を重視する。科学的リテラシーは科学についての理解を根幹とするものであるが、実際のところ科学に対する深い理解は、科学者を養成するための基礎訓練と、科学者としての実践によって獲得されるものである。一般市民に対する科学的リテラシーの教育においては、簡略化したカリキュラムでどのように科学を理解させるかということが最大の課題である。英国の21世紀科学のカリキュラムにおいては、説明のストーリーによって科学についての概念を与えるという考えがある。数年の大学生を対象とする科学的リテラシー教育の経験から、科学についての概念を学生にどのように与えることができるかという点について考察する。
著者
川平 成雄 Kabira Nario
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
琉球大学経済研究 (ISSN:0557580X)
巻号頁・発行日
no.80, pp.55-80, 2010-09

憲法第一条の象徴天皇、憲法第九条の戦争放棄、この見返りが沖縄の米軍基地化であった。このことを深く考慮することなく、憲法改正、とくに憲法第九条の改正を唱えるのは、憲法制定前、制定時のアジアを取り巻く国際情勢を無視した論理といわなければならない。冷戦の開始は、アメリカ本国政府に軍事戦略の転換を迫るものであった。これまで極東戦略の中心は中国に置かれていたが、中国の内部革命によってそれが覆り、軸の中心を沖縄に置く、基地建設の本格化がはじまる。このことを端的に語るのが、米軍の"銃剣とブルドーザー"による住民の土地の強制的接収であった。土地を奪われた住民の苦闘は今なお続いており、ここに沖縄の悲劇が生まれる。冷戦の終焉は、アメリカ本国政府に極東政策の見直しを迫るものであったが、依然として、広大な米軍基地は沖縄に居座り続けており、数々の事件・事故を引き起こしている。この最たるものが、1995年9月4日に起きた米兵による少女暴行事件であった。沖縄県民の怒りは爆発し、10月21日には沖縄県民総決起大会が8万5000人を集めて開催された。8万5000人という規模は、沖縄返還後、最大である。高校生代表の「基地がある故の苦悩から、私たちを解放してほしい。今の沖縄はだれのものでもなく、沖縄の人たちのものだから」との訴えを、日米両政府首脳は、常に、肝に銘じておくべきである。2009年2月17日、日米両政府は嘉手納基地以南の返還、普天間基地の移設を合意するが、その見返りに辺野古沖での最新設備を備えた新たな基地建設を要求する。これは沖縄県民を愚弄する政策行為そのもので許し難い。いつまで沖縄県民は、基地の重圧に耐えなければならないのか。「戦後」65年というが、日常茶飯事的といってもいいほど不発弾爆発事故が起こり、この度ごとに沖縄の「おじい」・「おばぁ」たちの頭には、沖縄戦の恐怖が蘇り、錯乱状態に陥る。沖縄の「おじい」・「おばぁ」たちにとっては、沖縄戦が続いているのである。このことを忘れてはならない。70年から80年はかかるとされる不発弾処理、未収集の遺骨、日本にある米軍基地の74.3パーセントの存在、この中のひとつでもある限り、沖縄に「戦後」はない。
著者
出雲 孝
雑誌
情報学研究 = Studies in Information Science (ISSN:24322172)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-19, 2018-03-31

本稿は、カント『法論』における著作権の概念、とりわけ出版権を巡る議論を概観し、現在検討されている違法アップロードサイトのブロッキングの是非等に、法思想史上の知見を提供する試みである。情報は、有体物とは異なり、一度流出・拡散すると原状回復が非常に困難になるという性質を有する。違法アップロードの削除やブロッキングは、有体物の取戻しと同様に、できる限りの原状回復を目指す手法であるが、ここには情報法を何らかのかたちで物権法と対応させるアナロジーが働いている。しかし、17・18世紀に活躍した近世自然法論者のクリスティアン・トマジウス(1655-1728年)および彼の私法論から影響を受けた哲学者のイマニュエル・カント(1724-1804年)は、情報等の有体的コントロールが効かないものについては、金銭的解決を行う方が適切であると考えていた。本稿では、この洞察が法学的・哲学的にどのような裏付けを有していたのかを解明し、情報法の客体が情報そのものではなく、情報を巡る当事者の利害であることを明らかにする。

3 0 0 0 OA 没落の世界

著者
コナン・ドイル 著
出版者
金剛社
巻号頁・発行日
1925
出版者
自動車工業会
巻号頁・発行日
vol.第2, 1967
著者
清水 淳子 須永 剛司
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第65回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.290-291, 2018 (Released:2018-06-21)
被引用文献数
1

複雑な社会問題に取り組んでいる当事者たちの課題を解決するため、グラフィック・レコーディングでサポートしました。 この研究の目的は、異なる立場の人々が複雑な問題に直面するときに起こる衝突をどのように解決するかを見つけることです。待機児童の解消を目指すチームと協力しています。私は視覚的なコミュニケーションのプロセスを考察します。私は目に見えるグラフィックだけでなく、人々の思考や関係を考慮し、ビジュアルコミュニケーションの効果を考慮します
著者
依田 憲
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR ANIMAL PSYCHOLOGY
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
pp.68.1.3, (Released:2018-03-28)
参考文献数
44
被引用文献数
1

Bio-logging, i.e., the use of animal-borne sensors such as acceleration, GPS, electroencephalogram, and video camera, allows researchers to measure the behavioral and physiological data of animals as well as the variables of the environments in which the animals move. The derived animal-borne data, coupled with statistical modeling, can be used to understand ecologically significant phenomena, such as the navigation strategies of animals, across multiple spatiotemporal scales. For example, streaked shearwaters (Calonectris leucomelas) have evolved the ability to locate their home far away from the colony and adjust the onset time of their homeward journeys according to the distance to the home. We discuss the current trends and limitations in bio-logging science and propose future directions for integrating bio-logging with engineering, robot technology, and data science.
著者
東 尚弘 岩本 桃子 中村 文明
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.672-675, 2015 (Released:2015-10-25)
参考文献数
2

がん医療の均てん化はがん対策の大きな課題である. そのためには医療の質の測定・把握が必要であるが, データ源として最も信頼の置ける診療録からの採録は作業負担への懸念から, 限界は許容しつつ院内がん登録とDPC (diagnosis-procedure combination) データをリンクしたデータによる指標の測定が始まった. 両データをリンクするためには病院内で共通の匿名番号をつける必要があるが, データの標準化も十分ではなく, さまざまな困難があった. 専用のソフトで作業を自動化し, ソフトも各種課題に対処して改良を重ねることで, 2012年症例では232施設からデータの収集が可能であった. 今後は, 参加病院のがん診療の質の向上と, がん対策の効果的推進の両方にこのデータを活用していく体制構築を行っていく.